無砂月
レンガ造りの道を歩いていた。
紫色の空には雲が泡のように浮かんでいる。
少し歩いた先には、海があり月が浮かんでいた、さびしい風が私の頬を冷やす。
おびえるような風だった。
ガラスの砂浜まで歩いてきた、月の光に照らされて水晶の様に輝いている。
海は暗く無機質で不気味な物質で満たされていた。
おぞましい模様の貝たちが、蠢いている。
ここは何処だろう?
私は女性の格好をしているけれど、いつからそうだったのだろう。
このワンピースに包まれた肉体は私のものなのだろうか。
過去との関係が欠落しているように、心が崩れ落ちてゆく。
そこには単一の私が立っていた。
スタン、スタン、とおしよせる波は破壊の証だった。
ふと振り返るとレンガの道は無くなっていた。
虚空に砂浜だけがぽつねんとたたずんでいるようだった