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004 HEROは決心する


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『…フムフム。じゃあ、結果を説明するわね』



女神アテナはそう言うと、排出された3つの玉をゴージャスな宝石ケースに乗せて、大理石のソファに腰掛けた。



『エリスも座りなさい』



「…はい。失礼します」



女神アテナがそう言うと、対面に同じような大理石のソファが現れて、私はそこに座ることにした。お尻にひんやりとした冷たさを感じるが、新しい身体から得られた感触が心地よかった。



ソファにはキレイにたたまれた羽衣も置いてあり、アテナ様のご厚意だったらしく、目配せされた。さすがに女同士で二人きりとは言え、私は今、一糸まとわぬ裸だったことを急に自覚してしまい、一気に恥かしくなってきた。



透けるシースルー生地の羽衣を手に取る私。薄すぎて…これってあまり意味ないよね?これは虐めですか?裸よりはマシだけど…服とかくれないのかな?ね?恥ずかしいです…



でも、アテナ様も羽衣一枚だし、恥ずかしくないのかな?もしかして天界の正装っていつもこんな感じとか?…と疑問に思いつつ、ありがたく羽織らせていただいた。透き通る白い布をクルクルっとボディコンのように巻き付ける。



新しい名前で呼ばれると、不思議と納得感があったし、徐々に慣れていく気もしてきた。天野美月だった私はあの事故で死に、今はエリス・ロヴェラという新しい名前と体を授かったのだと、改めて実感してしまう。



アテナ様は眼前に3つの玉を見据えると、両手を広げて呪文を唱えた。アテナ様の両手が光り始める。直後、頭にアナウンスが響き渡る。



--- [女神アテナ]の"転生魔法②(3つの玉=3種のギフト統合)"による直接介入を承諾しますか?はい、いいえ ---



私は「はい」を選択する。



『OK。じゃあ、合成した解析結果を共有するわね』



頭の中に、アテナ様が解析し、構築したと思われる情報が表示された。それは、ゲームなどで良く見るステータス一覧とでも呼べるような内容だった。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



---

[白い玉:スキル]、

[虹色の玉:ジョブ]、

[ピンク玉:ステータス]の3つのギフトを[エリス・ロヴェラ]へ統合した結果を表示します ---


【名前】

前世:天野美月 16歳

現世:エリス・ロヴェラ 16歳 (Lv 1)


【種族】

人間


【職業】

美少女魔法戦士(オーラ発動時)


【称号】

HERO (オーラ発動時)

愛と勇気と希望の戦士(オーラ発動時)


【加護】

女神アテナの加護

女神アルテミスの加護

女神ヘスティアの加護


【成長率】

頭脳:C

集中:A

敏捷:A

柔軟:S

回転:S

剛力:B

魔力:S

幸運:C

美貌:S


【ユニークスキル(一次):オーラ(白)】

魔力を闘気に変換させる魔法。通常、エンチャント効果付与・強化系魔法の一種とされており、メインの魔術としてマスターする者は少ないマイナー魔法。魔力をオーラに変換する事で、状態異常、身体強化、回復魔法などの効果を付与できる。卓越した術者になるとオーラの具現化や形状変化ができると言う。例えばファイアーボールなどの炎攻撃魔法に、毒・呪・麻痺などのエンチャント効果(オーラ)を付与させる等の使用方法が一般的である。


【ユニークスキル(二次):オーラスキン】

闘気を粒子に変換させて具現化させたオーラスキンを身に纏う魔法。オーラスキンを身に纏うことで身体能力が飛躍的に向上する。高位の術者になると武器や防具を具現化できる場合がある。


【ユニークスキル(三次):オーラバトラー】

オーラスキンを戦闘へ特化した形状へ変化させ、具現化させる神級魔術。具現化したオーラスキンを装着する事で、様々な戦闘能力が飛躍的に向上する。


・スペル:コスメティックメタモルフォーゼ

・ポーズ:XXX…etc

・オーラスキンを具現化した防具セット一式

・オーラスキンを具現化した武器セット一式

・オーラスキンによる身体強化、武具強化

・瀕死時オートトランス


〇オーラスキン防具セット一式

・頭:薔薇のリボンバレッタ

・目:薔薇の仮面マスク

・耳:薔薇のピアス

・口:ルミナスローズ

・上:薔薇刺繍の肩出しパフスリーブ

・飾:薔薇のブリーチリボン

・下着:薔薇刺繍のキャミソール

・飾:薔薇のベルト

・背:天使の羽飾り

・下:ホワイトミニスカート

・下着:薔薇刺繍のブラ

・下着:薔薇刺繍のパンツ

・手:ホワイトグローブ

・指:薔薇の指輪

・足:薔薇刺繍のストッキング

・靴:ホワイトハイヒール

・メイク:薔薇の口紅

・メイク:薔薇のグロス

・メイク:ホワイトファンデーション

・メイク:薔薇のチーク

・メイク:薔薇のマスカラ

・メイク:薔薇の香り


〇オーラスキン武器セット一式

一輪の薔薇『ルミナスローズ』から、術者の意志により七種類の宝具へ変形する。


長剣:聖剣エクスカリバー

短剣:聖剣ブリューナク

盾:聖盾イージス

槍:聖槍ロンギヌス

鞭:聖鞭フラゲルム・デイ

弓:聖弓ゲイ・ボルグ

杖:聖杖ケリュケイオン


【ジョブスキル:七星の英雄】

美少女魔法戦士の固有スキル。オーラ発動時、ルミナスローズ(武器)を使用時に発動する事ができる。


・天使の剣術

・天使の短剣術

・天使の盾術

・天使の槍術

・天使の棘術

・天使の弓術

・天使の杖術



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



フロアは静まり返っていた。

何となく…予想以上に凄そうだ、と思った。エリスは息を飲み、額に汗を滲ませる。



私は期待と不安が入り交じり、緊張した面持ちでアテナ様を見つめている。



…オーラの魔法を極めている魔術師はとても少ないわ。理由はカンタンで、戦闘に特化するなら先に武術スキルや攻撃魔法スキルを覚えた方が圧倒的に効率が良いからで、余力があればオーラを習得して、武器や魔法に二次的効果のエンチャントを付与してって感じでオーラを纏わせて使うのが一般的ね。


そういう意味でも、オーラの魔法自体はかなりマイナーな魔法なんだけど…。エリスのユニークスキルを見ると、高位のオーラスキルを主軸に極めた後に、武術スキルや攻撃魔法スキルを伸ばした感じがするわ。オーラ特化でスキルを極めるとこうなるのか。凄いわね…



女神アテナは生まれたての新しい命の可能性に驚愕していた。この数千年…この潜在能力だけを見れば、タイプは違えど、かの勇者、大賢者、大聖母に匹敵するだろう。べリタスにいる妹のアルテミスがきっと喜ぶだろうとアテナは思った。



『前世のHEROの影響かしら?エリス…あなたホンモノのHEROだったのね』



HERO…私はアテナ様の話を耳に入れて聞いていたものの、しばらく呆気に取られていた。



スキル、職業、ステータス…私はジッとステータス一覧を見つめる。…なんか凄そう。オーラってどんな魔法なんだろう。オーラの武器とオーラの服?も貰った感じでいいんだよね?きっと!どんな服だろう??名前を見る限りではオシャレそうで安心したけど。



ガラガラポン産のスキルや武器、防具??は、どれも私のオタク心をくすぐる話だったし、可愛いファッションが好きだから洋服が貰えるのは嬉しい。



そもそも私が魔法を使えるなんて、寝耳に水な話であって、後からゆっくり確認してみたい話だなと思った。でも、それ以上に私の心を揺るがしたもの。それは『HERO』の称号だった。



これまでの16年が

私の中を通過していく。



クルミちゃん…か。あの事故だけじゃなく、これまで自分がHEROの後姿を追いかけて来たことを思い出した。まさか、死んだ後に神様にこんな形で肯定されるなんて、思っても見なかった。正直、ちょっと泣きそうだった。



でも、もし私が、私の想うHERO…になれたなら、自分のために涙を流しちゃダメだ…私は心が高ぶるのを抑え込み、心を鎮めた。



あの時、弱かった私に勇気をくれた、

あの人みたいになるって決めたよね。



ジーンとしているまぶたをしっかり見開き、前を見据える。



そして、これから始まる人生について、この世界で頑張ってみたいと、そう思えた。



「…アテナ様。ありがとうございます。こんなに沢山の贈り物をいただいて幸せです。私は自分のワガママと言ってもいい行動で、これまで奮闘してきました。その中で、一度は死んだ身です。その私にまた生きるチャンスをくださり、とても感謝しています。振り返ればやりたいことは、まだまだ沢山あったなって思います。もし、私にまだ出来ることがあるなら、異世界転生について、前向きに頑張ってみたいと思います」



女神アテナはエリスの瞳をじっと見つめながら話を聞いていた。そして…



『…エリス、ありがとう。でもね、スピーチが固すぎるわ』



と、スパーンッと軽くハリセンでツッコミを入れる女神だった。



「えっ?痛ァ!エーーッ!?イタタ…(ど、どこからハリセンが…)」



これは仕事の依頼や、面接じゃないのよ。転生って新しい人生そのものなの。私はエリスの自由に生きて欲しいの。


"魂の自由"こそ、あなたの運命のチカラを最大限に解放させる秘法よ。例えば、異世界スローライフしたっていいし、異世界グルメ旅だって楽しいわよ。クエストや修行に励む人生も良し、どんな生業に就いたって構わないわ。


学校に行くのもいいし、恋をしたっていいし、結婚や子育てだってそうよ。しかめっ面な人生じゃなくて、笑顔が満ち溢れる人生でいいのよ



「えぇ!?…でも、近々魔王が復活するんですよね??私はその討伐に〜…」



『もちろん、魔王は復活する。魔王の復活は世界全体の滅亡に関わる話だから、あなた1人が抱える問題ではないの。生けるもの達の一人ひとりが、それぞれの視点で魔王と向き合うわ。エリスもあなたの人生の中で、魔王と向き合えばいいのよ』



「…は、はぁ、結構アバウトなんですね」



『まあね。理由はカンタンよ。私たち天界の神であれ、魔界の魔神であれ、転生した者の自由を奪ったり、強制的に魂を縛って戦争の殺戮マシーンにする事は出来ないわ。魂にそんな制御ができる力を持った神もいなければ、魔神もいないわ。だから、私たちが出来る事はただ一つ…べリタスへの転生者を1人でも多く生み出して、魔王の陰謀を阻止する確率を上げるって訳ね』



「な、なるほどー…」



と、私は思わずポンッと手を叩いた。



『じゃあ、説明も終わったし、さっそくべリタスへ転生させるけど、準備はいいかしら?』



え!今から!?エーーッ!貰った身体やチカラについて、まだ色々と聞いてないよね!?魔法ってどうやって使うの!?早すぎませんか女神様!???という心の叫び声を必死に抑えた私は、ゴクリと唾を飲み込み、一呼吸ついて答えた。



昔々の少女時代に、ある人に教えて貰った勝利のポーズ。恥ずかしいけど…やる時は限って試合前とか、勇気が欲しい時…決まっていつもこういうシーン。



私は深呼吸をして…左手は腰におき、右手でグーを作り、空を見ながら頭上へ思いきり突き立てて、その拳をグーのまま一気に前へ振り下ろす。そして、中指と親指でパチンッと音を立てて交差させ、人差し指と親指で勝利のハートマークをつくる。勇気を出すときの私のオマジナイ。



最後に首を45°に傾けて、ニッコリ100点満点の笑顔を作ってウインク。これで完成だ。



私は言った。



「はい。世界を救ってきますっ!!!」



『かわいいけど…ちょっとダサいわね』



アテナのクスクスという笑い声とともに、私は眩しい光に包まれた。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

Copyright(C)2020-まあふ

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