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003 HEROはエリスと名乗る


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



『論より証拠。試すのが早いわ。さっそく貴方のアバターをつくりましょう。貴方に合った職業やスキルも当然気になるでしょ??あ、もちろん、返事は後からでも全然大丈夫よ』



「…た、試します」



好奇心をそそる女神の誘惑に、アッサリと身を委ねた私に、女神アテナはそっと近づくと両手を広げて魔法の呪文を唱えた。その瞬間、私の魂コロは呪文とともにゆっくりと浮かび上がった。



--- [女神アテナ]からの"転生魔法①(アバタークリエイション)"による直接介入を承諾しますか?はい、いいえ ---



慣れてきた感じで私は「はい」を念じる。

その瞬間、私は眩しい光の中に包まれた。

ふいに、頭の中でアナウンスの声が響きわたる。



『貴方の理想の女性を強くイメージしてください。その女性は誰よりも強く、気高く、美しく、大いなる愛を持っています。髪の先から、顔の輪郭、瞳、鼻や口元、耳、首すじから胸元、肩から腕の指先まで、腰やお尻、太もも、ふくらはぎ、足の指先まで、鮮明にイメージしてください』



光が消えて、アナウンスが終わり、目を開くと、なんと私は魂コロではなくなっていた。



両腕がある感覚、両足で立っている感覚、匂いや音が鼻と耳をくすぐる感覚、優しい風が肌をなでる感覚、温かい光が目蓋に当たる感覚やまばたきをする感覚がある。目の前には大きな鏡が準備されており、その鏡には美しい女性の裸が映し出されていた。



「…こ、これは」



ハッと息を飲んで見とれてしまうくらい綺麗な女性だった。私は生きていた頃に好きだった花がある。そんな天野美月のランキング第一位の花は『薔薇』の花で、数多くの品種があるのだが、その中でもエリス・ロヴェラという桃色の薔薇がとても好きだった。そんな薔薇が似合うキレイな女性だと思った。



『そう。あなたの新しい名前は"エリス・ロヴェラ"っていうのね。分かったわ』



「…え?あ、はい。すごい…」



気が動転していたのかも知れない。名前呼ばれた?アテナ様の言葉はあまり耳に入って来ず、相づちを打つのがやっとだった。それほどエリスと呼ばれた女性(=私)は色々と凄かった。



ピンクホワイトのロングヘアーが胸元まで綺麗に伸び、毛先は内側に軽くカーブを描いている。くるんと巻いた前髪にモデルの様な小顔。大きな二重にピンクの瞳、スっと通った鼻筋に、完璧な唇と顎。女性らしい丸みを帯びたなで肩に、細くて白い華奢な腕。シミやシワ、ホクロが一切なく、無駄な贅肉なんてあるわけもなく、全ての肌がきめ細かくプルルンとしていて、水すら弾きそう。



指先は細長く、爪先までキレイ。異性を釘付けにしてしまいそうな大きな胸に、腰のくびれ、バランスの良いお尻、スリーサイズは言うまでもなく…完璧な黄金率。発した声も、自分のもの?と思うほど、ずっと聞いていたくなるような美しい声だった。



『さすがに凄いわね。肉体の潜在能力だけ見ても、ピュアハート計測器を壊しただけはありそうね』



アテナ様の話はちゃんと聞いていたと思う。でも、アーッとか、イーッとか、声や顔の表情を確認しながらエリスは自分の身体を確かめたくて仕方がなかった。いちばん驚いたのは笑顔をつくった時だった。アテナ様、これは…破壊力が底知れません。女の私ですら時が止まりそうになりますって。



『…フフ。喜んでくれてるみたいで何よりよ。さぁ、エリス。次は職業とスキルを決めるわよ』



(ドクン)



初めてエリスと呼ばれたからなのか、『職業』と『スキル』というキーワードを聞いたせいなのか、これから始まる新しい人生の1ページへの期待と不安が混ざり合い、心臓はドキドキと脈拍を早めた。



『職業』と『スキル』…って言えば、ソーシャルゲームとかラノベでは超重要なヤツだよね…!!



私の魂がウォンウォンとサイレンを鳴らしている。



『職業』と『スキル』について、過去のゲームで職業選びに失敗したことや、冴えないマイナースキルを伸ばしてしまい失敗した苦い思い出や、逆に職業選びとスキルが見事にマッチして、成功したことなどを思い出した。ステータスとも関連性が高いため、キャラクターメイク上で最も頭を悩ませる所じゃないだろうか。



『じゃあ、サクッとこの"運命のガラガラポン"を3回回してくれるかしら?』



そう言うとアテナ様はどこからともなく、商店街の抽選で使いそうなガラガラの超巨大バージョンを取り出した。ガラガラ本体は透明な立体パネルで構成されており、中には大量の玉がひしめき合っており、その色の数に圧倒される。



えーッ!まさかのランダム方式!終わった!オワターー!私がこれまでにゲームで引いたガチャ失敗の数々が思い出される。アテナ様がどこからともなく出してきた、あのガラガラポンの玉の量…レア排出の確率は分からないけど、10連ガチャを3回ならまだしも、たった3回しか回せないなんて…無理ゲーじゃない!



『安心しなさい。このガラガラポンはその名前のとおり、その人の"運命"がとても影響してくるの。死ぬ前の貴方の人生=運命は果たしてハズレだったかしら?違うでしょう。どんな運命であれ命にハズレなんてものはないのよ。引き寄せの法則に基づいて、自然と貴方の"運命"が引き寄せられる。長い歴史のある神級魔道具のひとつだから』



アテナ様はどうやら私の心境がわかる様だった。その上で、適切な言葉で私を後押ししてくれる。ありがとうアテナ様!意を決して私は回します。何卒、レア度の高いものが出ます様に…という、現金な願い事を心の中で何度も叫んだことはあえて言いません。



「…は、はーい。じゃあ…」



商店街の抽選会のガラガラを超巨大化した"運命のガラガラポン"のレバーを両手で掴み、深呼吸する…



ふーっ…



私は一気に大きな弧を3回描いた。ガラガラポンの中の玉はレバーを軽く少し動かしただけでも、まるでピンボールが弾ける様に全ての玉が不規則に動き出し、勢い良く混ざって行く。



1回目!…ガラガラ…ポンッ!

『白い玉』がでた!どうしようヤバい!一発目から…何となくハズレの予感しかしないっ!!



2回目!…ガラガラ…ポンッ!

『虹色の玉』がでた!エッ!七色に光ってる!何となく凄そう!!当たりとか!!?



3回目!…ガラガラ…ポンッ!

『ピンクの玉』がでた!キレイ!きっとカワイイ何かに違いないわ!!



『…フムフム。じゃあ、結果を説明するわね』




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Copyright(C)2020-まあふ

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