最終話 君に会えた。
前回のあらすじ
紗貴は記憶を思い出したくて、
旅館のロビーで泣きだしてしまう。
言葉に出すと余計涙が出てくる…
「――ッ!思い…出したいよォ…」
「紗貴…――」
すると先生も駆け寄ってきた。
「萩原。ここにいると他の人に迷惑がかかる。萩原の部屋へ連れてってくれないか?」
「分かりました。紗貴、行こう?」
「…うん。」
部屋に行っても私の涙は止まらなかった。
「私っいつ…。記憶…戻るの?」
「それは…。俺もわかんないけど…。」
しばらくすると、とんでもないことが起きたんだ。
雄一が、泣いてる私を…。
抱きしめたんだ。
「雄…一?」
「紗貴……。俺っ!」
背中を回る腕が、凄く暖かい。
肩に当たってる私の顔が、熱くなる。
雄一は私の顔を真剣に見て言ったんだ。
「俺、紗貴の事ずっと好きだった。だから、早く戻ってくれよ。」
「雄一…――。」
その時私は、全てを思い出したんだ。
自分が階段から落ちて記憶喪失になったこと。
自分が、雄一を…
好きなこと――
「思い出したよ…。雄一。」
「紗貴…。」
「雄一。私ね…。」
私は微笑んで言うんだ。
私は雄一。貴方の事――
「雄一の事、好きだよ。」
雄一。私、凄く幸せなんだと思ったよ。
貴方に会えたこと、凄く感謝してるんだ。
嬉しくて仕方がないんだ。
記憶喪失にならなかったら、こんな事にならなかったのかな?
貴方に合わなかったら、こんなに幸せにならなかったのかな?
そう考えるとね…。
私…。
貴方に…。雄一に…。
――君に会えてよかったよ。
ついに終わりました。
君に会えた。
今回読んでいただいた方々、ありがとうございました。
もしよかったら、次回の作品も読んでくれると嬉しいです。