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8.シェインの決意

「シェイン、私は大丈夫よ。とにかく続きを話して」


リアは全てを精査するのは後回しにして、まずは全ての話を聞くことにした。


「わかった。その水晶はそのままにしておくと、来世で今言った通りの作用をするだろう。僕に考えがある。奴との「来世の結婚」が無効になるかはわからないけど、やってみる価値はあると思うんだ。リア、僕とも「来世の結婚」の約束をしよう」


「え?・・それで、カーサ様との約束が無効にできるの?」


「わからない。だけど、試してみないか。約束した2人の想いがどれだけ深いかによって、その「約束」の発現の仕方は変わってくるはずなんだ。つまり、僕たちが、カーサの「約束」より強い気持ちで「約束」すれば勝算はあると思う。何より、僕がしたいんだよ。・・リア・バークレイ。来世で僕と結婚してくれますか?」


シェインは再びリアの手を取り、思いがけない形でのプロポーズを口にした。


「シェイン・・もちろんよ。私も来世であなたと一緒になりたい」


カーサに言った時とは違い、今度はリアも心から言葉を返した。


「ありがとう、リア。よし、これで僕にはカーサの邪魔をする正当な理由ができた」


そう笑うとシェインは水晶を又手に握り直して集中し始めた。



数分の沈黙の後、シェインはようやく水晶から目を外した。


「王太子がくれたものを捨てるわけにはいかないけど、これならほぼ無害のはずだ。奴のエネルギーの痕跡はほぼ消し去れたと思う。代わりに僕のエネルギーを入れたよ。石の作用は、僕に対して起こるようになると思う」


シェインはいたずらっぽい笑みを浮かべてその原石をリアに手渡した。

リアはその水晶をそっと手に持ってみる。シェインの体温が残っていて暖かい。


「それなら持っていても大丈夫ね。来世でシェインに会わせてくれますように」


頬を赤く染めてリアが嬉しそうに微笑む。


「・・だめだ、リアそんなかわいい顔見せられたら・・我慢できなくなるよ」


その言葉が終わらないうちにリアは引き寄せられ、気が付いたらシェインの腕の中にいた。

そして恥ずかしくて目を閉じたリアの唇に柔らかいものが触れた。


「リア、・・愛している。お前も僕を想ってくれているとわかっただけで、僕はこの先も一人で生きていける。来世でも必ずお前を見つけるから」


「シェイン・・」


初めての口づけの衝撃にリアの身体は震えていたが、両手でぎゅっとシェインを抱きしめ返して顔を上げた。


「私も同じよ。幼い頃からずっと大好きだったシェインが、まさか私を女として好きでいてくれたなんて。信じられないほど嬉しい・・私は無意識にあなたへの想いを封印していたのね。何より、巫女の身だもの。今世、私は愛する男性なんて、望んではいけないと思っていた。でも今日、あなたがその封印を解いてくれたんだわ」


「リア・・」


リアを抱きしめる腕に力がこもり、痛いほどだ。

リアは続ける。


「私もこれで今世巫女として全うする決意を新たにできた。愛する人がいてその人も私を愛してくれている。そう思える人がいるだけで、強くなれる気がする」


そんなリアを愛情のこもったまなざしで見やり、シェインが言う。


「考えようによっては、これでよかったのかもしれない。お前が巫女になったからこそ、王太子の求婚ですら、はねつけることができるんだ。もし巫女でなければ、間違いなく今頃お前は召し上げられて、王妃になっていて、どちらにしても僕と結婚はできなかったと思う。カーサは多分、かなり前からお前に目を着けていたよ」


なるほど・・。でも、そう考えると、リアの魂はこうなることを見越して、カーサから逃れるために、今世巫女になるよう導いたとも言える?リアが心に浮かんだその考えを口にすると、シェインは考え深そうにスカイブルーの瞳を細めて言った。


「うーん、だとすると・・カーサは前世からお前を追いかけて来た可能性もあるな。今世が因縁の最初じゃないということだ」


「えぇ?!」


カーサが前世でも一緒だったかもしれなくて、前世から追いかけてきた?なんだかもう色々と許容量を超えた話になってきた。


「これは何となく感じていたことだけど・・カーサには気を付けろ。何かを切望して強く思い詰めた人間は、胸の中に闇を抱えてしまうことがあるが、奴から最近、その闇の気配を感じたんだ」


この言葉を聞いてリアには漠然とした不安が押し寄せてきた。未来のエネルギーを感じ取っていたのかもしれなかった。


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