7.私の戸惑い
「・・・夢だった?」
恐る恐る目を開ける。・・私の部屋だ。引っ越してきた時の段ボールがまだ2,3手つかずで置いてあるのが見える。
「ていうか・・あれは一体なんだったの?」
すごく不思議な夢だった。寝た気が全くしない。まるで細部までよく作りこまれた映画を観ていたかのようだった。全部はっきり覚えている。こんなことは初めてだ。
リアという綺麗な子の夢だったのだけど、何かが変だった。私がリアの夢を見ていて考えたことが、そのまま彼女の思考に飛んだみたいなことが何度かあったのだ。
「ストーカー」って言葉も、私があの二人の会話を聞いて、
(そんなのもろストーカーじゃん)
って考えたことだった。
時空を超えて追いかけてくる水晶なんて・・。とここまで思い出して私はぎょっとする。
「ちょっと待て!あの水晶・・見たことあるんですけど?!」
思わず叫んで部屋を見回す。夢で見たあの水晶の原石、私のコレクションの中にある!
それは、数年前、都内で買ったものだ。形や色まで夢で見たものとそっくりだ。
「嘘だよね・・?これが夢で見たストーカーの呪いの水晶とか・・」
嫌な汗が噴き出してくる。
「いや、これは逆でしょ!私の記憶にあったこの石が夢に出てきただけ、だよ、多分。うん、そうに違いない!」
私は半ば無理やりにそう思うことにした。でも百歩譲って水晶はそうだとしても・・あのストーリー全般、絶対に私の頭の中から出てきたものではない。
それに、映画の途中で映画館を出てきてしまったような、消化不良感が残っている。
リアとシェインだっけ、二人は結局どうなっていくんだろう?純粋に、野次馬根性的に気になる。続きが見たい!今夜見られないかな?
そんなことを思うだけで、今日という日に楽しみができた気がして、久しぶりにほんの少しだけ気分が明るくなった。