21.私の再認識
今日は忙しかった。
まず午前中に、物件問い合わせをした不動産会社の1つから電話がきた。
営業トークも巧みなその男性に色々聞かれ、自分の現状も少し説明し、あれよあれよという間に来週見学に行くという話になった。
つまり、来週関東に一時帰る。実家に1週間滞在して物件巡りをする予定で。久しぶりの帰郷だ。こんな状況だが、ちょっと嬉しい。
関東に帰る手段は夜行バスにした。そのバス料金と・・例のスカイブルーの古代
ガラスペンダントの料金も一緒に近所のコンビニで払い込みをしてきたところだ。
ペンダントは海外から来るので、10日前後かかるから、ちょうど戻ってきた頃に届くかもしれない。おかげで関西に又戻ってくるのに、その気の重さも和らぐというものだ。
それにしても、まだ“降参”な気分は続いている。だって、電話してくれた不動産屋が、紹介してくれた物件5件のうち、2件がなんとウェブCMで見た例の「春来市」だったからだ。
聞いてみたら、春来市は近年いくつかの市町村が統合合併して新しくできた市の
1つで、正に実家のある市の隣接市の1つだった。知らなかった。もうお手上げという気分だ。
もしかして私の引っ越し先は本当に春来市になるのか・・?何となく結果の予想がつく気もしたけれど、とにかく、物件を実際に見てから考えよう。
そういえば、昨夜見た夢で、リアとシェインはお互いの愛をエネルギーとして、
石に込めて交換していた。その赤い光石とムーンストーンの2つの石は、
またしても、私のコレクションの中にあるものとそっくりだった。
赤の光石の方は、私の手元にあるのは普通にインカローズという石だけれど、形と質感、大きさも正にそのもの。ムーンストーンもまるっきり同じ。
・・確かにこの石2つとも、コレクションの中でも比較的最近手元に来たもので、思い入れがあって大事にしているものだけど、この畳みかけ方はひどくないだろうか・・。もう沈没寸前である。
ただ、2人の魂が、(つまりは私の魂でもあるけど)文字通り全てをかけて、過去を変えるためにこの計画に飛び込んだことは理解できる。
夢の中でリアを生きている時、彼女のシェインへの絶対的な愛と信頼を肌で感じた。こんなにも強い信頼を、愛を、私はまだ誰かに対して持ったことはない。羨ましいと思った。私もそんな愛が体験してみたい。
この2つの石は、過去世でリアとシェインがお互いを想って創り出したエネルギーを持っていて、それを保持したまま、今世に時空を超えて現れたのか。私の元で再会を果たしたのだ。
つまりは、それほどに強い想いでお互いを呼び合っていたから。私はもうそのことに疑いを持っていなかった。2人が約束したことを今世で成就させなければ。させてあげたいと心から思っていた。
(でも、ということはつまり、私が2人のためにできることって・・1つしかないんじゃない?)
ということに私はここで、ようやくはっきり思い至る。
・・例の、「来世の結婚」の約束の成就一択だ。それは・・こちらだって、思いっきり、何とかしてあげたい。そのために生まれてきたらしいし
・・でも、現状を考えると、一番の難題かもしれないよ、リア、シェイン・・私はうめき声をあげた。




