桜VS夢月
「磔に鍛えてもらっているんでしょ?私をがっかりさせないでよ?」
「上から目線が本当にムカつくわ!!」
試合が始まった直後、夢月は桜に蹴りを喰らわせるが桜は左手で夢月の蹴りを受け止めた。
「いい蹴りね、でもそれじゃあ私に傷を付けることなんて出来ないわよ?」
「うっさいわね、今に見てなさい!!」
夢月は蹴りを防がれた状態で桜に青色の弾幕を放つが、桜は右手で夢月の弾幕を弾き、逆に夢月の胸辺りに起爆する弾幕を当て爆発させた。
「うわぁ、桜の奴最初から容赦がないな。」
「まあ人格が何時も見ているのと違うからなぁ。前の桜の人格の方が弄りがいがあったのにねぇ。」
戻ってきた磔が試合の様子を見ていると、隣に終作が現れて残念そうに桜を見ていた。
「夢月はどれくらい鍛えたんだい?」
「元のスペックが高かったからな。かなり鍛えることは出来たと思うんだが。」
「桜との相性は悪いかもねぇ。にしても、磔は豊姫と依姫という妻がいながら夢月にも手を出したのかい?メイドが欲しかったのかい?んん?」
終作は憎たらしい笑顔を浮かべながら磔を煽った。煽られた磔は終作の首を刀で斬ったが、すぐに終作の首は元に戻っていた。
「怒るってことは図星なのか~?不倫はいけねぇぞぉ?」
「あんな暴力的なメイドいらんわ。終作も同じ空間に数日も入れば俺の気持ちは分かると思うぞ?」
「はっは~、遠慮しとくわ。俺は影からこっこりと観察してクスクス笑うのが趣味だからな!」
終作がそう言うのと同時に試合フィールドから轟音が鳴り響いた。
「磔!!凄い事になってるぞ!!」
「どうした幻真?具体的に30文字以内に話してくれ。」
「弾幕ごっこじゃない。武道会を見てるみたいだ。」
幻真がそう思うのも無理はなく、夢月と桜はほとんど弾幕を放たず、格闘だけで試合をしていたからだ。
「桜の腕力は一体どうなってるのよ!?」
「夢月みたいな世間知らずには負けないわよ。」
夢月は掌底を桜の腹目掛けて放ったが、桜は右手で受け止めた。その瞬間、桜の右腕は内側から木端微塵に吹っ飛んだがすぐに再生されて元に戻っていた。
「面倒ね!!不老不死は!!」
「衝撃粉砕ね、よく出来てるじゃない。でも威力不足ね。」
そう言い桜は夢月の左腕の関節を掴み、関節技で夢月の動きを封じた。
「は、離しなさいよ!!」
夢月は右足で桜を蹴り飛ばそうとしたが、桜は関節技を決めながら夢月の蹴りを避けて更に右腕の関節を掴んだ。
「痛い痛い痛い!!」
「あんたが磔から性格の悪いことは聞いてるからね、少し懲らしめてあげようと思ったのよ。さあどうするのかしら?このままだと両腕を引きちぎるわよ?」
「くうぅぅぅ!!」
夢月はじたばたして必死に桜の関節技から逃れようとするが、桜は夢月を逃がさないようにしていた。
「桜ってあんなに体術が凄かったのか?」
「そりゃすごいよぉ。気付かなかったのかい幻真?」
「桜ってスペルや他人の弾幕をコピーして攻撃をしているイメージしかなかったから。」
幻真は終作に指摘され、まだまだだなと自分に言い聞かせていた。
「実際の所は何時もと別の人格で来てるらしいからな。」
「そうなのか磔?」
「ああ、今の桜は近距離戦の肉弾戦を好むんだ。しかも不老不死の体を利用してな。」
磔が幻真に説明すると、幻真は唖然とした表情を浮かべていた。
「それだと桜に敵う相手はいるのか?」
「倒し方によるなぁ、俺は桜の力を奪い取って戦闘不能にさせるけどな~。」
「それは終作にしか出来ないだろ。」
磔が終作にそう言うと、フィールドから関節が外れる音が聞こえてきた。
「へえ、自分から関節を外して脱出するなんてね。けど、無理をしたみたいで涙目になってるわよ。」
「うるさいわよ。これくらいどうってことないわ。」
桜からの問いに夢月は強気に答えるが、涙目になっていて口は僅かに震えていた。
「いかにも涙を我慢しているな!!なんかそそられるぜ!!」
「終夜、もう動いても大丈夫なのか?」
幻真は隣に来て興奮している終夜に訊ねるが、終夜はうんうんと頷いた。
「ある豆を噛ったからな!あの豆は凄いぞ!!一瞬で怪我を治してくれるからな!」
「それよりも、これから夢月はどうするんだ?かなり不利だぞ?」
幻真が試合を見ながら呟いていると、夢月は両腕の関節を強引に戻してスペルカードを取り出した。
「このままやられるのは癪ね。不老不死が相手なら殺しまくるまでよ!!」
「出来るものならやってみなさい。」
「開放 ソウルモード!!」
夢月はそう言い額から蒼色の炎を出現させる。それを見た桜は空間からソードブレイカーという剣を取り出した。
「準備運動はここまで。ここからが本番よ。」
「はっ!!」
夢月は懐から銃を取り出し、縮地を使って夢月に近付き、銃で桜の顔面を殴ろうとした。だが桜はそれをソードブレイカーで受け止めた。
「へぇ、銃を使って近接戦ね。斬新じゃない。」
「その余裕そうな顔を無くしてやるわ!!」
夢月はその場で回転して桜にかかと落としを喰らわせるが、桜は頭で夢月のかかと落としを受け止めた。
「頭で受け止めるなんて無茶苦茶よ!!」
「造作もないことよ。にしても、随分と可愛らしい下着を付けているじゃない。」
桜にそう言われた夢月は顔を赤くして桜に銃弾を放つが、桜は全てソードブレイカーで粉々にした。
「性格が悪くてもその反応をするってことは年頃の少女というわけね。」
「うっさいわね!そのなんでも分かってますよ感が凄くムカつくわ。」
そう言いながらも夢月は弾幕を放つが、桜のソードブレイカーで全て弾かれ、逆に弾幕を放たれる。
「分かってるから言ってんのよ。ついでに磔に好意を寄せていることもね。」
「は、はぁ!?別にあんな奴なんてどうでもいい!!なな何でそんなこと言うのよ!?」
夢月は否定しながら桜にレーザー弾幕を放つが、顔を真っ赤にしている為、説得力がなかった。
「手に取るように分かるわ、本当は素直に甘えたいのに無駄なプライドが邪魔して素直になれな「ややや止めて!!いい言わないで!!」嫌よ。」
夢月はさっきよりも顔を赤くして縮地を使いながら桜に近付いて銃弾を放とうとするが、桜は夢月に近付いて殴るふりをして肘を夢月の顔に当てて吹き飛ばす。
「どうしたのかしら?それくらいの力で磔に近付こうなんてしたら、月の姫に瞬殺されるわよ?」
「いい加減にしなさい!!直伝 スピンシュート!!」
夢月は螺旋状に回転した青いレーザーを桜に放ったが、桜は両腕を使って横に逸らした。
「いいスペルね。でも私相手にその選択は間違いだったわね。」
そう言い桜は先程夢月が放った螺旋状に回転する青いレーザーを夢月に放った。
「なんであんたも使えキャァァァ!!」
「あら可愛い悲鳴だこと、でも威力はいまいちね。別の人格ならもっと威力を出せるのに。」
夢月は動揺して動きが遅れて青いレーザーに呑み込まれた。桜は不満顔で文句を言っていた。
「ほらほら、それで倒れてたら好意を寄せている磔ががっかりするわよ?」
「だから、私はあいつの事を何とも思ってない!!」
桜が夢月に挑発しながら手招きすると、夢月は掌に青い弾幕を出現させていた。
「磔ってモテモテだな!!夢月ルートも攻略しちゃうのか~?」
終作が磔に肘を当てて聞くが、磔は首を横に振った。
「しねえよ、それに夢月を攻略しようとは思わない。」
「ん~?わかったぞ!手間のかかる娘みたいな感じで接してるんだろ?どうだ?終作君の名推理は?」
「迷推理の間違いじゃないのか?まあ合ってるけどさ。」
磔がため息を付きながらそう答えると終作は面白くなさそうな表情をした。
「つまんねえの~、このままもう一人増えて修羅場的な展開が見たかったのによぉ。」
「別世界で見てろ終作。」
磔が終作にそう言うと、フィールドから夢月が吹き飛ばされてきて磔にぶつかった。
「くっ、桜は本当に何者なのよ。」
「考える前に避けてくれ。周りの目が凄い事になってるぞ?」
磔は夢月にそう指摘する。今の二人の状態は磔が仰向けになって倒れていて、夢月がその上に乗っかってるという状態だ。
「今だシャッターチャーンス!!」
「撮って撮って撮りまくれ~!!」
絢斗と終夜がカメラを持ってその光景を撮ってる時に夢月が気付き、恥ずかしさのあまり泣きそうな顔になりながら磔の顔面に往復ビンタしてフィールドに飛んで戻った。
「いへぇ~、ふぁい~?いふぁふぉへぇのはおほんはふうひはっへいる?」
「ごめん、何を言ってるか全くわからないよ磔。」
両頬に立派な紅葉マークが付いた磔はゲラゲラ笑っている終作の隣にいた快に聞くが、快は聞き取れなかった。
「凄い事になってるぞ磔。漫画に出てきそうなくらいはっきりと分かる紅葉マークが付いてるぞ。」
「やっぱり?どうしたらいい霊斗?」
「そのままでいろ、プッ、面白いからなブフォ!!」
磔の所にやって来た霊斗は笑いを堪えながら磔の質問に答えるが、最後は堪えきれずに吹き出していた。
「アヒャヒャヒャヒャ!!ひー腹いてぇ!!」
「終作、笑い死ぬなよ?」
「ヤバイ!!腹筋が痛くて死にそうだ磔。その顔で豊姫と依姫に会いに行け!!」
「笑われて終わりだわ。それよりも試合を見ないとな。」
磔がフィールドの方を見ると夢月が涙目になりながら桜に正拳突きを放つが、桜は左手で受け止めた。
「好意を寄せている磔を押し倒した感覚はどうだったかしら?」
「殺す!!絶対に殺してやる!!」
「恥ずかしさと怒りと嬉しさで我を忘れているわね。作戦成功といったところかしら。妖桜 白桜」
桜は夢月の様子を見てスペルを唱え、妖力で出来たサクラの花びらを夢月の周りに放ち、金の狐火をぶつけて一帯を焼き払った。
「!!!」
それを見た夢月は咄嗟に超技術の肉鎧を発動させて身を守ったが、完全には防ぎ切れなかった。
「ふぅん、意外と発育がいいのね夢月って。」
「どこ見て言って!!?」
夢月の服は6割燃えて無くなっていたので、アンダーシャツが丸見えの状態だった。見た目年齢の割には大きな膨らみが見えた為、桜はそこに指を指しながら言った。
「死ね!!直伝 デュフージョンシェル!!」
夢月は桜に蹴りで衝撃波を放ち、桜の体を木端微塵にした。
「はぁ、はぁ、これなら再生は「残念ながらするのよ。白霊 無想天生~斬~。」あっ。」
桜の体は木端微塵にされたが、無傷の状態で夢月の後ろに背中合わせで立っていて刀を鞘にしまっていた。その瞬間に夢月の体は真っ二つにされていた。
「勝者、阿部桜!!」
「蘇生っと。けど夢月って本当に分かりやすいわね。」
桜は夢月を蘇生させた後、首を回しながら夢月にそう言った。
「何を!?「桜の挑発にまんまと乗せられたな夢月。」た、磔!?今来るんじゃないわよ!!」
夢月は何かを桜に言おうとした瞬間に磔が目の前に現れた為、後ろを向いた。
「ほれ、服だ。さっさと着てこいよ。」
「まるで父親と娘ね。にしても、あんなのをよく手懐けたわね磔。」
「色々あったんだよ。それと桜、何故夢月を挑発しながら戦ったんだ?」
磔が桜にそう訊ねると、桜は観客席に座っている霊斗に指を差した。
「霊斗に面白い試合にしてくれって頼まれたのよ。」
「んなことお願いすんなよ霊斗、おかげでまだ紅葉マークが消えねえんだぞ。」
「結構似合ってるわよ、ぷっ!!」
桜は未だにくっきりと残っている磔の頬の紅葉マークに指を指し、笑った後、観客席に戻った。
「次は、どうしよう?」
「決めてねえのかよ、じゃあこの二人でいいや。」
霊斗はそう言うとフィールドに快と大和を転移させた。
「次は佐藤快VS日向大和、じゃスタート!」
「俺は弱いからな。手加減してくれよ快?」
「嘘を言ってるのがバレバレだよ。」
おまけ
終作「ところでよ、磔の妻は夢月の事を知ってんの?」
磔「知ってるぞ、それがなしたんだ?」
終作「いやぁ、夢月が磔とくっついたらどうなるのぉ?もしもでいいから教えてくんね?」
霊斗「嫉妬して幻想郷を滅ぼしそうだな、豊姫と依姫ならやりかねない。」
磔「その線は断じてないな。」
大和「何でだ?普通なら自分の夫が他の女に取られたなら嫉妬くらいするだろ?」
磔「嫉妬はするだろうけど、幻想郷は滅ぼさねえってことだ。まあ、一時期豊姫と依姫と夢月と住んでた時もあったからな。」
霊斗「一体どういう状況でそうなったんだ?組み合わせとしても珍し過ぎるだろ。」
磔「色々あった。それで夢月とはくっつかないけど家族として迎え入れるのはありかな。」
大和「それで磔の女たらし度がレベルアップするのか。」
終作「全く罪な男だのぅ~。」
磔「いや、豊姫と依姫が喜ぶ。」
大和「いや何でだ!?普通は喜ばないだろ!?」
磔「妹が増えたとか言って喜ぶと思う。特に依姫。」
霊斗「お前の奥さんは一体なんなんだよ?」
大和「けど、夢月って確か夢幻館に住んでるんだよな?そこには夢月の他にエリーやくるみや夢月の姉の幻月がいるぞ?そこんところどうすんだ?」
磔「多分豊姫が夢幻館の住人に説得コマンド(物理)をしてどうにかすると思う。」
終作「うへぇ~、流石は磔の奥さんだな~。」
大和「本当に磔の奥さんは何者なんだよ!?」
磔「昔に自分の子供に手を出そうとしたくらいだからな。依姫も豊姫の子供に手を出したからな。」
大和「ということは二人には前の夫がいるんだよな?そいつらがもし来たらどうするんだ?」
終作「八つ裂きにされるんじゃないの~?」
磔「いや、もう会いに行って許しは得ているぞ。逆にどうか幸せにしてくれと頼み込まれたくらいだからな。」
大和「えっ!?じゃ、じゃあ夢月は幽香の従者だったわけだよな!?幽香が黙っていないんじゃないのか!?」
磔「前にその話をしたら『面白そうだからいいわよ』って言われたから問題ない。」
大和「お前本当に何者だよ!?」
磔「白谷磔ですが何か?」
大和「そういうことを聞いてるんじゃねえよ!!」
終作「根回しは完璧ってか。こういうことは霊斗、お前が教えたのか?」
霊斗「俺はそういうことは一切教えてないんだけどな。磔は一体誰に教えてもらったんだ?」
磔「快に教えてもらった。」
磔以外『あいつかよ!?』