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現代風もてなし

海水浴場


「行ったわよ桜!」


試合が終わり宴会、という流れになったのだが時刻はまだ昼過ぎだったため、今から宴会は早いんじゃないかとの事で皆海水浴場に来ていた。


「任せなさい尾都、そりゃ!」


折角だから幻想郷で体験出来ないことを体験させようと磔は考えて皆を海水浴場に連れてきた。


幻想郷では絶対に見れない光景。果てしなく広がる海の風景を見て皆感動していた。


「させません!トスお願いしますハリスマリーさん!」


見るだけではなく、水着に着替えて皆思い思いに遊んでいた。今は桜と尾都、ハリスマリーと霊愛のペアでビーチバレーをしている。


「分かりました!」


海の方ではアルマとパルスィが1つの浮き輪に二人で入ってのんびりとしていた。


「あぁ~、こうやってのんびり出来るなんて最高だねぇ~。しかもパルスィの水着姿も見れるし。」


「磔には感謝しなきゃね。二人用の浮き輪を用意してくれたし。でも海ってこんなに気持ちいいものなのね。」


「今度は皆も連れてこようか、でも今はパルスィとくっつく!」


アルマとパルスィがイチャイチャしている反対側で刀哉と終夜はどちらが早く泳げるかの競争をしている。


「うおおおおおお!!」


「どうした終夜?まだまだ遅いぞ?」


「甘いわ!!ここから追い抜くぼぼぼぼ……。」


皆それぞれ大いに楽しんでいた。


「もらいました!」


「甘いわよ!」


霊愛がスパイクを打った瞬間に桜がブロックに入り、ボールは霊愛とハリスマリーのペアの枠内に落ちた。


「流石ねぇ~、桜がいると心強いわ。」


「ビーチバレーっていうのも中々面白いわね。しかも水着でやるから体が軽いわ。」


桜と尾都はハイタッチして、ビーチバレーを楽しんでいた。一方で点を入れられた霊愛とハリスマリーは頬を膨らましていた。


「むむむ、強いですね。でも漸く要領を掴めましたよ。反撃開始といきましょうハリスマリーさん!」


「そうですね!頼りにしてます霊愛さん!」


キャッキャ騒いでいる女性達を見ながら磔はバーベキュー用のコンロで串に刺した肉や野菜、魚を焼いていた。


「明福だなぁ。」


「そうだね~、青い空!白い砂浜!そして可愛い女の子達!いやはや最高だねぇ~。」


磔に続いて焼きそばの具材を切りながら魚を捌いて器に盛り付けてる絢斗がうんうんと頷く。ちなみに魚は霊斗と大和が釣りをしているため、捌いても捌いても数は減らない。


「俺は魚を釣るぞフィィィィシュュ!!」


「うるさいぞ霊斗、魚が逃げるだろ。」


意気揚々と魚を釣り上げる霊斗に対し、大和は傍に置いてある焼き魚を食べながら静かに釣りを楽しんでいた。


「よし、仕込みはこのくらいだな。絢斗も目処が立ったら遊んでもいいぞ?」


「マジ!?す~ぐ終わらせるよ~!!」


快は先に料理の仕込みを終わらせている為、幻真とサーフィンをしている。


「これ楽しいな快!!平衡感覚も必要だし修行にもなっていいな!」


「そうだよ、他にも色々とあるから楽しんでね幻真!」


「いやぁ、少年少女達が楽しんでいて何よりだぞぉ。俺はここでアイス食ってるからねぇ。」


終作は砂浜にパラソルを立て、その下でのんびりとアイスを食べ、トロピカルジュースを飲んでいた。


「終作も混じればいいんじゃねえの?」


「いやぁ、こんなさんさんと日光が降り注ぐ中で騒いだら蕩けちゃう~!」


「吸血鬼かお前は?暑さ耐性はあるだろ。」


「バレた?でもそれだったらハリスマリーちゃんはどうなのかなぁ?半吸血鬼だから日光やばくな~い?」


終作はクーラーボックスから新たにアイスを取り出して、食べながら女性達がいる方へ目を向ける。


「まあ確かにな、アイス1つ貰うぞ。」


「これは終作君の物だ!って勝手に食うなよぉ。へこむぞぉ?」


「そのアイス俺が買ってきたんだからな?まあハリスマリーには日光や水流に耐性が付く魔法を掛けただけだ。楽しんで貰いたいからな。」


「魔法って便利だねぇ~。」


ハリスマリーと霊愛と桜と尾都の女性達は海の浅い所で海水を掛け合いながら楽しんでいる。


「うん、海水浴というのも中々に楽しいもんだな!」


「うへぇ、何で刀哉はそんなに泳ぐの速いんだよ。ゲホッ、ゲホッ。」


「大丈夫か終夜!?よし、終夜の敵は取ってやるぞ~!あそこまで競争だ刀哉!!」


絢斗は刀哉に遠泳の勝負を挑みにいったが、勝てなかったようで終夜と水面にぷかぷかと浮く。


「磔、この二人はどうすればいい?」


「ほっとけほっとけ、少し時間が経てば復活するからな。にしても刀哉は速いな。」


「霊斗に泳ぎ方等を教えてもらった。頃合い的にそろそろ食事か?」


「まあ、そうでもいいんだ「磔!!あんたそんなところにいないで私達と勝負しなさい!!」テンション高いな桜。」


桜に呼ばれ、磔と刀哉は桜達の方へと向かう。そこには釣りをしていた筈の霊斗がいた。


「来たか磔!!ちょいと助けてくれない!?」


「霊斗が助けを求めるなんてな、どうした?」


霊斗はハリスマリーと霊愛が持っている水鉄砲から出る海水を避けながら磔を手招きする。


「今どちらが海水を多く掛けれるかの勝負をしてるんだが、ハンデということでその場から動けないんだよ!!」


「霊愛さん!行きますよ!」


「「そ~れ!!」」


ハリスマリーと霊愛が海水を掬い上げて霊斗に掛ける。


「やりましたよハリスマリーさん!」


「にゃはっ、海水浴は楽しいです!」


ハリスマリーと霊愛がにっこりと頬笑み合ってるのを見て、磔は霊斗がその場から動かずにいる理由を察する。


「孫の楽しんでる姿を壊したくないのか霊斗?」


「当たり前だよな?友人と楽しんでる姿を壊したくない、磔なら分かるよな?」


霊斗はドヤ顔をしながら磔の方を見る。決まってはいるのだが、いかんせん鼻水を垂らして顔面だけずぶ濡れだから刀哉はなんとも言えなかった。


「ごもっともだな霊斗。そんじゃ桜と尾都も来たし、俺らも参加するぞ刀哉!!」


「承知した!!」


「「もっとリラックスリラックス刀哉!!」」
















皆充分に海水浴を楽しんだ後、照り付ける夕日を見ながら磔達が用意した物を食べる。


「これ何て言う料理なんですか快さん?」


「これは半分を時雨煮の具材、もう半分を4つのチーズで作ったピザだよ。カロリーとかは従来で作る物の3分の1にしてあるから大いに食べても大丈夫だよハリスマリー。」


「快さんって料理出来たんですね!!ってあれ?私変なこと言いましたか?」


ハリスマリーに料理が出来なさそうと言われ、快はへこんだ。それを見ながら終作はかき揚げをモグモグと食べる。


「うめぇ!!このかき揚げうめぇ!!それと傍にあるタコ焼きも中々だ!!」


「こんな美味い物作れるのかよ。隠してたのか磔?」


幻真は丁寧に焼かれた肉や野菜を食べながら磔の方を見る。磔は片っ端からある料理をリスのように頬を膨らましながら食べていた。


「いや、これらは時間を掛けた作ってるから美味いんだよ幻真。短時間で大量の美味い料理なんか俺には作れん。それは絢斗の仕事だからな。」


磔が言った通り、磔と快は料理は普通に出来るが短時間で大量には作れない。代わりに絢斗は短時間で大量に作れる。料理を仕込んでいれば磔や快でも作れなくはない。


「ほらほら~、桜ちゃんも尾都ちゃんも食べて食べて~。」


「グイグイ押し付けないでくれるかしら絢斗?」


「反応が冷たい!だがそれでこぞ桜ちゃんだね!」


刀哉と終夜は仲良くなったらしく刺身やサラダ等を食べながら話をしていた。アルマとパルスィはパエリアを互いに食べさせ合っている。


「よし、そろそろ夜になるしここからは宴会場で続きをするぞ!宴会場の近くには温泉もあるから自由に入っていいからな!」














温泉場


海の家でシャワーを浴び、服に着替えた後、宴会場で料理を食べたり酒を飲んだりした。幻想郷では味わえない料理や酒を皆が思い思いに堪能する。


「いや~、やっぱり温泉に入りながらの月見酒はいいもんだな。」


温泉に入っている磔は日本酒を飲みながら月を見ていた。何処か淋しそうな表情をしながら。


「何黄昏てんだ磔?」


「幻真か、いやなに少し考え事をな。」


いつの間にか幻真が磔の隣にいた。話し掛けられるまで気付かなかったということは余程考え込んでいたらしい。


「悪かったな、試合の時は。」


「気にすんなよ、お陰で俺もお前もパワーアップ出来ただろ?エンドエボルバーを使ってたぞ?」


「そっか、でもやっぱり磔は才能があって羨ましいぜ。」


幻真が酒を飲みながらそう言った時、磔は苦笑いを浮かべていた。


「俺に才能なんてねえよ。何でも出来るのはどれか1つを極めた奴等に追い付く為さ。」


「いやいや冗談を言うなよ磔。磔もどれか1つ飛び抜けてるものがあるだろ?」


「残念ながらないのさ。剣術や頭の良さ絢斗に負ける、潜在能力や身体能力なら快に負ける、技の豊富さなら聖人に負ける、洞察力なら良太に負ける、魔法全般は健二に負ける、剣術以外の武器の扱いは彰に負ける、能力の扱いは謙治に負けるのさ。」


そう言って磔は日本酒を飲みながら近くにある温泉卵を食べる。


「まあ俺が自分を悲観的に見てるだけかもしれねえけどな。じゃあ俺は上がるからな。」


磔が脱衣場の方へいく姿を幻真は黙って見て、誰もいない空間でポツリと呟く。


「堪え忍ぶ強さなら磔が一番だよ。」













宴会は夜が更けるまで続き、男性は男性用の部屋、女性は女性用の部屋で布団を引いてそれぞれ眠りについた。















???


「ん?もう朝か?ってあれ、皆がいねえぞ?」


磔はふと目を覚ますと就寝用の部屋ではなく、見たことのある個室のベットで寝ていた。


「あっ、お父さんが起きた!!お母さん達もう起きてるよ!」


扉が開かれ、そこから出てきたのは会えるはずのない娘の姿だった。


「春姫、なのか?」


白谷磔と綿月豊姫の子の綿月春姫がそこにいた。絶対に会えないはず、だが間違いなく目の前には春姫がいた。


「まだ寝惚けてるの?珍しく寝坊したから無理はないかな。とにかく早く来てね!」


そう言い春姫はトタトタと走り去っていった。


「何がどうなってやがる?」


疑問を感じたまま、磔は春姫が走り去っていった方へと向かっていった。

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