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磔VS幻真2

「加減はしねえ。全力で来ねえと再起不能になるぞ幻真?」


「アクセルモードも使ってない磔に負けねえよ!!」


幻真は磔に向けて空間を埋め尽くす程の弾幕を放ち、真神剣を構えた。


「何が何でも負けるわけにはいかねえんだ!!負けたら「周りの注意が疎かになってるぞ?」は、あ?」


幻真が叫ぶのと同時に幻真の体に鈍い痛みが走った。下を見ると右手に緑色のオーラを纏った磔が幻真の鳩尾に正拳突きをしていた。


「い、いつの間に!?」


「俺は全力で来いと言ったんだが?てめえの全力はそれか幻真?」


磔は幻真を睨み付けながら言う、それを聞いた幻真は真神剣を回して逆手で持ち、磔の背中目掛けて振り下ろそうとする。


「うるっせえよ!!これでもくらえ!!」


幻真は真神剣が磔の背中に刺さる事を確信していた。数十センチ動かせば容易に刺さる。避けられるよりも前に刺してやるという気概で真神剣を振り下ろす。


「ゴハッ!!!」


だが結果は幻真が確信していたものと違い、幻真は何者かに蹴られて吹き飛ばされた。


「ちぃ、何がどうなっッ!!」


口に溜まった血を吐き捨てながら幻真は起き上がって磔の方を見た瞬間に驚愕の表情を浮かべた。


「分身!?フランのスペルでも使ったのか!?」


磔は一人ではなく、四人に増えていた。しかも全員同じ見た目をしていた。


このような事が出来るのはレミリア・スカーレットの妹、フランドール・スカーレットが使うスペルカード『禁忌 フォーオブアカインド』しかない。


「言っとくがこれは分身なんかじゃない、超高速移動による残像なんだよ。」


「ちぃ、だったらスペルか?」


幻真が口を拭って真神剣から炎を出現させ四人の磔に向けて放ち、燃やそうとする。


「スペルでもねえよ、やろうと思えば誰でも出来る技術だ。」


磔はその場から動かずに炎をまともに浴びた。それを見た幻真が怪訝な表情をするが、すぐに辺りを警戒し出した。こんなのでやられる磔ではないと言い聞かせながら。


「何処だ!?姿を見せやがれ!!」


「自分で見付けろバカ。後ろだ。」


磔はいつの間にか幻真の後ろに立っていた。右腕に纏ったオーラは緑色から黄緑色に変化していた。


「ッ!!」


幻真は咄嗟にしゃがんだ。その一瞬後に磔の持っていた木刀が宙を切っていた。


「(あいつ!!本気で殺るつもりで攻撃してきやがった!!)」


幻真は自分の判断が一瞬遅れていたら首と胴体が別れていた事を感じ、冷や汗を掻きながら真神剣を磔の鳩尾目掛けて切り払う。


「カウンター、瞬間的な判断は出来てるな。『陽聞』もきちんと出来てる。」


磔は木刀を頭上に放り投げながら幻真を分析する。またも奇怪な行動をする磔に幻真は違和感を感じていた。


「けど、真神剣での切り払いは駄目だな。」


磔は無防備な状態で幻真の攻撃を受けた。胴体が真っ二つに斬られ、血が吹き出す……筈だった。


「なん、で!?ふざけんな!!アクセルモード4の状態での切り払いだぞ!?そんな無防備な状態で受け止めれるんだよお前!?」


「受け止められたことがそんなに意外か幻真?」


真神剣は磔の胴体を真っ二つに斬ることもなく、更に傷一つ付けることもなかった。有り得ない、何故と幻真は考えを巡らせた。


磔の右腕のオーラが黄緑色からオレンジ色に変化していた事に気付かずに。


「観察力が足りてねえぞ?」


僅かに出来た隙を狙って磔は頭上から降ってきた木刀を掴んで幻真に斬撃を飛ばす。


「んなっ!!くぎぃ!!」


斬撃を受けた幻真は少し後ろに飛ばされ、体勢を整えようとしたが、続けざまに磔は斬撃を放って幻真の体勢を整える隙を与えなかった。


「んなろ!!やられっぱなしでたまるかよ!!焔雷 ボルケーノサンダー!!」


幻真は斬撃が止んだと同時に掌から炎と雷を纏った極太レーザーを磔に向けて放った。炎の周りに雷撃が走っており、触れれば即滅だということは見てとれるだろう。


「なるほど、以前まで使っていたレーザー系のスペルを強化したのか。」


磔は横に飛んでレーザーを回避したが、それを見た幻真はニヤリと微笑んだ。


「かかったな!!」


磔の横を通過したレーザーはそのまま通り過ぎることはなく、磔の回避した方向に向かった。


「これが狙いか。」


磔は更に上に跳んで回避したが、レーザーはそのまま磔に向かって行った。


「!!」


2回目も来るとは思わなかったのか、磔は下から来たレーザーを避けきることが出来ずに飲み込まれた。それを見た幻真が息を荒げながら立ち上がった。


「即席で思い付いたアイデアとしてはいいけど、魔力や霊力の消費が激しいな。」


あのレーザーをまともに喰らったのだからかなりのダメージは入っている筈と幻真は考え、一歩踏み出した瞬間、目の前から磔が現れた。


「殺したと思ったか?」


「くっ!!しぶてえんだよ磔!!」


磔の高速の突きを幻真は横っ跳びで回避し、そのまま磔に大量の弾幕を放った。


「いい加減にくたばれよ!!」


空間を埋め尽くす程の弾幕を放ち続ける幻真だったが、段々と自分の放った弾幕が消えていっていた。


「やみくもな攻撃は利用されるぞ?」


「さっきから何なんだよ!?それは!?」


幻真の放った弾幕が消えていったのは磔が弾幕を放って相殺していた訳ではなく、幻真が放った弾幕を自分の物みたいに操作して消していた。


「教えてやるよ、初披露だからな。超技術『風林火山』俺の右腕に纏っていたオーラの色がちょくちょく変化していたのは気付いていたな?」


そう言いつつ、磔は右腕を前に持ってくる。今磔の右腕に纏ったオーラの色は赤色になっていた。


「まさか、そのオーラの色毎に効果みたいなものがあるのかよ!?」


「ああ、緑色は風。まあ超高速移動が出来るようになるし、残像も作り出してある程度の時間操る事も出来る。」


磔が四人に分身して見えたのはこの風林火山の風を使っていたからであるからだ。


「黄緑色は林、相手の後ろに瞬時に移動出来る。空間が入れ替わったと考えてくれ。オレンジ色は山、防御力をかなり上げる事が出来る。」


「だからあのレーザーを耐えたのか!!」


「赤色は火、自分の攻撃力を倍に出来て、更に相手が放った弾幕をオーラが纏ったみきで触れれば自分の物に出来るんだよ。」


磔は説明し終えた後、オーラを消して右腕の調子を確かめていた。


「へぇー、あんな超技術があるなんてね~、こりゃ磔の勝ちだろうな。」


観客席から試合を見ていたアルマは焼き鳥を食べなから呟いた。だがアルマの近くにいたパルスィがアルマの呟きを聞くと頭を叩いた。


「そんなわけないでしょ、磔をちゃんと見なさい。」


「痛いよ~パルスィ。叩くことないじゃないか。」


アルマがジト目でパルスィを見つめるとパルスィは先程叩いた所を優しく撫でた。


「磔はもうグロッキーよ。いくら防御力を上げたからと言ってもあのレーザーを喰らったのはまずかったわね。」


「それを悟られないように振る舞ってるのか~、俺だったら面倒くさくてすぐギブアップするね。」


アルマは食べ終わった焼き鳥の串をゴミ箱に放り投げたが、腑に落ちない表情になった。


「どうして磔の事をそこまで見てるのかって言いたそうな顔ねアルマ。」


「顔に出てたかパルスィ~。」


「何を考えているかはお見通しよ。もし磔がここで死んだら次はこっちに矛先が来るかもしれないじゃない。」


パルスィがそこまで言うと、アルマはパルスィの言いたいことに気付き頭を撫でた。


「イチャイチャの時間は邪魔されたくないもんね!」


「声が大きいバカ。」


観客席でパルスィとアルマがイチャイチャしている最中、幻真は必死に頭を回転させて策を練っていた。


「(どうするどうする!?磔はまだまだ余裕そうだ、もしハイパーソウルモードやエンドエボルバーを使われたりしたら確実に殺られる!!マジでどうすりゃいいんだよ!?)」


「(随分と焦ってるようだな。焦りは冷静さを失う、冷静さを失えば分かるものも分からなくなるぞ?)」


幻真が考えてる時に、突然男の声が聞こえ始めた。


「(誰だお前は?)」


「(君の味方とでも言っておこうかね。詳しくは言えない、だからある一人の男の独り言として聞いてくれ。)」


「(目の前にいる白谷磔は余裕そうに見えるが、もう瀕死の状態だ。君が先程放ったレーザーによってな。よくよく彼を見るといい。)」


謎の男にそう言われ、幻真は磔を見る。


「(確かに瀕死の状態だ。霊力はほとんど感じないし、体は今にも崩れそうだ。)」


「(それを悟られまいと精神力だけで立っているのだよ。全く、大した男だよ白谷磔。それと、彼はハイパーソウルモードもエンドエボルバーも使えない。殺すなら今だぞ。)」


「(ああ、分かっているさ。)」


幻真が改めて決意を固めると、謎の男の声はもうしなくなった。


「磔、お前もう立っているだけで精一杯だろ?」


「どうかな?まだまだ余裕かもしれねえぞ幻真?」


「嘘に惑わされねえぞ。でももしかしたらそうなのかもな、だからこれを使う。感情爆発 絶望。」


幻真はそう言い手を広げると、幻真の後ろから一匹の龍が召喚された。黒い鱗と大きな羽を持つ、名は滅神龍ラグメルリア。


「マジか、感情爆発を使ってきたか。それで、そんな龍を召喚して何すんだ?」


「体力を減らすよりも、その精神を減らす方が早い。」


幻真は指を鳴らすと、ラグメルリアから暗黒色の瘴気が溢れ出し、試合会場を飲み込んだ。観客席には霊斗が瘴気を通さない結界を張った為、無事だった。


「精神を減らす、そして名前が絶望。今から襲い来る事は想定出来るなこりゃ。」


磔がそう軽口を叩いた瞬間、磔の耳に声が入ってきた。






















貴方のせいで幻想郷は滅んだ


貴方のせいで皆死んでいった


貴方のせいで何もかも失った


憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い















貴方なんか消えれば良かったんだ


貴方なんか幻想郷に来なければ良かったんだ


貴方なんか生まれて来なければ良かったんだ


消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ消えろ














貴方なんて来なければこんなに傷付くことはなかったわ、貴方が来たからいけないの、ねぇお願い、私の為に死んでくれる磔?











貴方なんか消えてしまえばいいんです。何故私の前に現れたんですか?とっとと消えてください。月の民に関わらないでください穢れた罪人よ


















お前は何の為に強くなった?自分の幸せを守るためか?誰かを傷つけないようにするためか?誰かに認めてもらえるようになるためか?







誰かを傷つけないようにするためだろう?そして強くなって強くなって強くなっていったよな?強くなれば誰かを傷つけなくて済むだろうって思ったよな?











結果はどうだ?幻想郷の皆を何度も死なせたよな?何度も傷付けさせたよな?くだらない理想を持ったことが原因だ















そんな理想など捨ててしまえ贋作者(白谷磔)、お前は何も守れない。友人も愛する人もな、お前は生きてはいけない奴なんだよ。あの時死ぬはずだったんだ。













それでもくだらない理想を持つなら、その理想を抱いたまま消え失せろ


















「ああ、確かにお前らの言う通りだよ。俺は第二次月面戦争が終わったら消えていけば良かったんだ。それか幻想郷には行かずに現代にいれば良かったんだ。」


磔はそう言い目を閉じた。今聞こえてきた幻聴は全て本当の事を言っている。耳を塞いで聴かないフリをすることは出来ない。


「そして理想も高過ぎた。誰かを傷つけないようにするなんて、到底無理な話だ。この一瞬でも誰かは傷付いている、それらを全て守るなんて無理だ。」


「でも、この理想は願いなんだよ。誰かを必死に守ろうと奔走し、誰かの力になりたくて強くなった。でも、結局は何もかも取り零した男(磔)の願いなんだ。」


磔はそこまで言うとゆっくりと目を開き始める。


「その理想が叶わなくて、人生を無駄にして、偽善に満ちたとしても、俺はその理想を手放したりせず、皆を守る盾となる!」


磔がそう叫ぶと、全身から血を吹き出させながら暗黒色の瘴気を木刀で切り払った。目の前には驚きを隠せない表情になっている幻真がいた。


「あの狂気をそんな瀕死の状態で乗り越えたのかよ!?」


幻真がそう叫んだ時、磔の手に持っていた木刀が粉々になり、何処かへ飛んでいった。今磔が持っている武器は何もない、ましては瀕死の状態。今がチャンスと思った幻真はスペルカードを懐から取り出す。


「終唱 真霊蝶砲!!これで止めだ!!」


幻真は霊力による、砲弾を磔に放つ。砲弾は地を抉りながら進んでいき磔の目の前まで迫った。


これを喰らえば死ねる。死んだらどんなに楽だろうか?だが死ねない、まだやるべきことはたくさん残っている。


霊力はない、魔力もない、気力もない、何もかも使い切った。だが!まだ1つだけ残っている力がある!!


思い出せ


解き放て!


想い出せ!!


「想いは、過去から呼び起こす!!」


磔がそう叫ぶと右手と左手の先に蒼い光が出現し、それを使って磔は目の前の砲弾を弾き飛ばした。


「はは、遂にやりやがったな磔。これだから、これだから師は止められねえ!!」


霊斗は磔の姿を見て凄く嬉しそうな表情をした。磔の両手には刀が出現し、後ろの方に10本のクナイが浮かんでいた。


「この勝負は絶対に負けられねえ。幻真、お前も出し惜しみは無しで来い。」


「分かったよ、終域 ソウルドライブモード3!!」


幻真は赤と金の混じったオーラを身に纏い、赤と金の混じった炎を額に宿した。これは幻真が本気の本気で使うスペル、戦闘力を極限まで引き伸ばした状態。


「「さあ、最終決戦といこうぜ!!」」


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