私はもう一度、恋をする④
「私はもう一度、恋をする」の続編です。
『おとうさんがほしい』
一年前のクリスマスに私が娘にクリスマスプレゼントに何が欲しいか聞いた時の娘の回答。私はその一言に何も言えなかった。娘は父親が亡くなったことは知っているが、その意味を知らない。私にとっては夫を亡くしたことは大切な人を失ったことであり、娘の一言は私にとって心に突き刺さるものだ。娘には『サンタさんにお願いしとくね』と誤魔化したが、クリスマス当日は娘にどうやって説明すべきか悩んだ。結果、娘には魔法少女の変身グッズをプレゼントした。しかし、娘は『おとうさんじゃないといや!』と言われた。『わがままを言っちゃダメ!』と叱りたいが、娘と私が失ったものは同じな上に、私も欲しいため、娘には何も言えなかった。私にとって辛いクリスマスだった。しかし、今は違う。夫であって、夫ではない人が私と娘の近くに居る。私たちの家庭事情を把握した上で、大切な時間を割いて真摯に私たちに向き合ってくれる人。
今日はクリスマス。遅いクリスマスプレゼントは今日も私たちのために来てくれる。そして、玄関のインターホンが鳴る。私と娘は玄関に向かう。今日は一年前の分も楽しもう。その前に言わないといけないことがある。
『サンタさん、私たちにプレゼントをくれてありがとうございます。大切にします』
読んでいただき、ありがとうございます。
頑張ります!