表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/59

教練の部

注意、作者は銃器の構造について詳しくないです。

マキシム機関銃の資料ならあるんすけどね。


午前8時、低血圧の熊野は判然としない眼を擦りつつ管制塔の前へと向かう。

射撃訓練に参加してる者は七割が男性で、三割は女性だ。

国旗の掲揚などの公務員的朝の日常が終わり、航空自衛隊の迷彩を着た眼鏡の女性が現れた。


「傾注!よーく聞くように!

これから実射訓練を開始するので注意事項を良く聞くこと!」


右から左に安全に関する極めて初歩的で全うな、そして退屈な言葉を聞く。

内容は極々常識的で銃口を向けたり必要なとき以外トリガーに触らないようにと言う事等であった。

以上の事を終え、全員が移動を指示される。

フェンスが近い駐車場に向かい、人型が描かれた看板が四体置かれている。

訓練のシーンで良く見るちゃんとした的ではなくて、極めて手製感が溢れる恐らく図画工作作品のような物である。


「あの標的が見えるか!

あれが的だ、一昨日子供らに作って貰った奴だ」


何人かから笑う声が聞こえた。


「では本番だ!

銃器の使い方を教えてやるからよーく覚えるように!!」


M2カービン銃と、M1ガーランド銃が出てきた。

二丁ずつ出てきた銃器のうち、カービンを手にとってその自衛官は言う。


「こいつは見ての通り、極めて鉄砲らしい見た目をしている。

装填の仕方は、こう!」


弾倉を斜めに引き抜き、もう一度差し込む。

そしてスライドを引いて装弾、映画とそう変わらないので熊野はなんだ変わらないのかと少し残念がった。

続いてガーランドの装填方法が説明される。


「こいつはさっきのと比べてレトロだが、素直だ。

グリップは5発入り、完全に打ち切るとキーンと音がなる。

ここを開いて、グリップを入れる、この通り!」  


スライドを引いて説明し、装填の方法の説明が終わる。

ついに射撃訓練が始まった。

適当に二列ずつに分け、5発ずつの射撃訓練を行う。

当然バイポット等と言うハイテックな物は知りません、当たり前である。

自衛官はしきりに、しゃがんで安定させて撃つよう指示した。

立射では日本人に大きいアメリカ製は当たらない、伏せて撃つのでは移動に難あり。

従ってしゃがんで撃てと説いている、理論的で至極全うだ。


「お、重い、拳銃とかでは駄目なんですか」

「当たり前だ金属と木で出来てるんだぞ!それに軽すぎると反動が抑えられん!

それに拳銃なんて結局のところお守り、腰にぶら下げる文鎮でしかない。

ましてお前ら民兵が撃って当たるか!」

「成る程」


熊野は納得した、事実一発撃ってみたが反動が大きい。

跳ね上がると言うか、肩にガツンと来るから結果として跳ね上がるのだろう。

しかもライフルで此なのだから、拳銃なんて素人が撃っても無駄と言う訳だ。

まして14.5mmや12.7mm、20mmなんて無理に決まってる、イレイザーで州知事が片手でデザートイーグル撃ってたが逆に言うとターミネーター位じゃないと無理と言うことだな。



しかし。







なにこれ無茶苦茶楽しい、地獄の黙示録のヘリガンナーや戦争は地獄だぜとか言ってたガンナーの気持ちが超分かる。

押井監督が市街地に戦車走らせて機関銃撃たせてるだけで数時間尺稼げそうとか言うわけだ。

だがそんな楽しい時間も無情なカキーンと言うグリップ廃莢音で終わりを告げた。


「肩に来るな結構...」


撃ちきると教官役の自衛官が「命中率5/1、まあ悪くないか」と笑って言った。

射撃訓練の最後は良くあるトラブルについての事だった。

廃莢不良、あるいは弾丸が銃身内で止まった際の事だ。

前者はどうしても無理なら無理矢理弾き出せと言われ、後者は残りの弾丸を抜いて最悪放棄して良いと言われた。

まあそうなるな。

わしら銃工じゃないもん、ブローニングとかウィンチェスターの仕事だもん。

午前9時を過ぎた頃、訓練が終わり、若い警官がやって来て言った。


「お仕事決まったらしいっす」

「さよですか、屯田兵になるかあ」 


熊野はどうせやることは決まってると考えていた。

土方の真似事か屯田兵、或いはラバウルごっこ、もしかしたらお舟で特車2課ハゼ部隊ごっこして過ごすのだろうと。

結果を言うと、違っていた。


この空港の避難民は殆ど罹患者相手に立て籠ったりしており、慣れていない。

しかし人手が足りない、だが物は減る。

物資収拾である!


「あんのぉ、僕民間人です、戦争屋ではなかとです」

「大丈夫大丈夫、殆ど罹患者いないし」


人事担当者らしい男は胸元に会計科と書かれており、こいつの頭ザクロにしてぇと心から思ったが、実行不可能なのでやれない。



泣きそう。



この騒動終わったらリベラルに鞍替えしてやる、社会党支持者になって...もうアナーキストになろうかなこれ。


熊野(こいつ)いつも避難先で物資捜索してんな

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ