1日目、午後の部
なんでいきなりブックマークが伸びたんですか(困惑)
ー15分前、公園横
バタバタと大きな音を響かせ、二基のローターを回してCH-47Jが数機空を飛ぶ。
報道のヘリやドクターヘリもちらほらと見えたり、聞こえ始め事態が悪化に向かっていると嫌でも認識させた。
「目達原のヘリか、海の方へ向かってるな。佐世保から護衛艦でも出たのかな。」
彼女はつぶやきながら空を見上げるのを止め、後ろにいる岡崎の顔を見た。
チアノーゼが既に出ており、呻き声から微かな吐息に移り変わっているのが分かる。
先ほどから病院への連絡をしたり、走らせてみたが適切な処置を迅速に行動させれる様な所は無く、
ただただ混乱状態で右往左往する様な状態であった。
「・・・・・っ・・・・」
汗が滝の様に流れ、呼吸と心拍が上がっていく。
小銃を向け、頭に狙いを定める。
自責と後悔と苦悩が怒涛の如く押し寄せ、手が震え始める。
それでも安全装置を解除し、セレクターを単発へ変え、引き金を引いた。
PAM!と乾いた炸裂音が鳴り、甲高い金属音が薬莢の落下を告げる。
「はぁ・・・はぁ・・・」
荒い息を整え、深呼吸をし、吐き気を我慢しようとする。
「おゔぇっ!!げぇっ・・・」
堪えきれず吐瀉物を撒き散らし、汗が頬を伝っていく感覚が不快感を増幅させる。
これがその日まで会った事もない敵国の兵隊や、どぐされなテロリストならば多少マシであったろう。
だが撃ったのは後輩、よく知り、見慣れた仲間だ。
同じ飯を食い、無理矢理年末の忘年会で飲まされ、異臭がするからと踏み込んだらプラモデルを製作してたバカで、
班の中で一番若い奴だった。
「ゴメン...」
何回かの深呼吸をし、回らない頭で木のそばに穴を掘る。
5分程すると人1人を埋めるには不自由しない穴が出来上がり、そこにもはや人であっただけの肉塊を入れる。
彼の小銃を突き刺し、鉄帽を銃床に被せる。
ー現在、家
「それで、アンタは隠れていたが慌てて家に駆け込む私を見て野盗と思った、と?」
「・・・」
彼女は黙って頷いた。
事情を把握した私はまだ混乱する脳で様々な情報を集め、理解しようとする。
「そうだ、他の自衛官達は?避難所か?」
「分かりません・・・、無線機はあの旧ジープの荷台にあるので・・使い方も分かりません。」
「・・・なんてこった。」
止むを得ず彼はパソコンを操作し、テレビを付けてそれが終わると戸棚から災害用のラジオをつけた。
大手テレビ局は未だにバラエティ番組が放送され、数行のテロップが流れている程度で地方局の番組へ切り替えた。
『えー現在福岡天神から博多にかけての地域は暴動状態にあり、大変危険です。決して近づかず、家の中にいてください。繰り返します....』
中継の画面が映らないと言うのは、つまりそう言う事なのだろう。
写っているアナウンサーもよく分かっていないのが、表情で理解できた。
テレビを消すと、ラジオの周波数を弄る。
『緊急災害避難命令が東京都より発布され、総理府は最早警察に対応出来ないとして治安出動待機令を発令しました。
これに対して与野党や一部知識人などから批判が飛びましたが、菅野官房長官はそれに対し「ならばあなた達にこの事態を鎮圧できる策があるのでしょうか?」と発言しました。
既に東京都知事からは治安出動の要請が出ており、防衛省はこの件に関しての声明を出しておりません。』
ラジオの周波数を変え、他局に変えてみる。
『フランス政府は公式に一週間を期限とした戒厳令をパリ及び周辺地域に発令し軍警察も出動している模様です。
ドイツはこの件について支援を惜しまないと発言、既にルクセンブルク領にはドイツ治安維持部隊が待機していると言う情報もあります。
・・・・・あっ!速報が入りました!総理府は本日1100時を持ち戒厳令を発令、国民の自宅待機を指示しております。
えっと、読み上げます。
「本日1100時をもち、全国に戒厳令を発令する。
国民の皆様方には自宅に待機し、戸締りを厳重にして秩序を乱さず治安警官と自衛隊が避難の確認に来るまで待機してください。
既に外出している方は、災害時における避難所或いは警邏中の警察官へ報告する事。
やむを得ない理由で国外に居る方は現地政府の管轄下で待機し、おって大使館の連絡が来るまで現地政府の指示に従ってください。
無断外出・強盗等の犯罪行為には刑法77条内乱罪が適用されます、抵抗する者には発砲を辞さず最悪の場合に於いては殺害を認可します。
戒厳令下に於いては電波法、鉄道営業法、風営法、郵便法、等が管制下に於かれます。
全国の小中学校は全面的に休校、また私立高校や大学等も休校を要請し指示に従ってもらいます。
老人ホームや、病院は地方自治体及び警察官の指示に従って行動してください。
最後に申し上げますが現在屋外に出るのは危険です、速やかな帰宅をして戸締りを厳重にし、家族を守る事に全力を尽くし自衛官あるいは警察官などの指示に従ってください。」
以上です。』
突然の放送に、等々思考が停止した。
ただ思ったのは、非常時であると言う認識のみ。
唖然とした状態で、混乱と怒涛の1日目午前は過ぎ去り、
太陽は1番高く昇り午後へ移っていった。
読者に督戦隊されたので更新します。
あとこの作品は割と公的機関も努力している作品となる予定です。