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真夏の開演

遅れて申し訳ないです


大盾を持った機動隊員が鉄道駅のスラムの一画を取り囲む。

辺りを封鎖線を貼って閉じ、突入した自衛官の銃声が数発響く。


「どうやって増えてんだ罹患者は...」


防護服を着用した警官が愚痴を溢し、ガスマスクを着けた制服警官が罹患者を通報した者達に質問をしている。

とはいえ通報した者たちも罹患者が襲われた所を見ていない。

空気感染にしては罹患者が少なすぎる。

そして何より、罹患者は老人や幼児でその後家族を襲う。


「しっかし此処等は暑いなあ」


質問を終えた制服警官は小声で呟き、靴底から嫌な感触がした。

裏を見てみると死んだネズミだ、ふと路地裏を覗いて見るとネズミが何匹も死んでいる。


「...動物感染?」


だがどうもこの障害、動物には有害らしい。

この制服警官は刑事と共に初期の頃の罹患者事件に携わっていた。

決まって罹患者に湧いたり、糞便に近づいた虫や獣は息絶えていた。

然るに、これは動物にとっては致命傷になるのだろう。

想像が振り出しに戻され、ため息をついて制服警官は呟く。


「俺の想像の範疇ならもう終わってるよなあ」


当たらずとも遠からずであった事を、彼は知らない。



66式鉄帽にガスマスクを着けた自衛官たちが防壁外で射殺した罹患者たちを公園に集める。

20~30人程の死体をひとかたまりに積み上げ、二人の自衛官が火炎放射器で死体を火葬していく。

午前と午後に三回ずつ、一日六回こうして焼いている。

今日燃やさない死体には石灰を撒いて病気を蔓延させないようにする。


「...俺、何でこんなところでこんなことしてんだろ」


三トン半の荷台から死体を下ろして、ある自衛官がぼそりと呟いた。

最初は死体をゆっくりと運んでいたがすぐに投げ棄てる様な粗雑な扱いになり、燃える死体の山を見てもただただ無感情になる。

最初子供の死体を見たときは思わず声を上げた。

今は妊婦の死体を念入りに腹に三発撃って胎児もきっちりと死亡確認をするようになった。


「おかしいなあ...俺がおかしくなったのか、それとも」


最後の死体を雑に投げ入れて、死臭も気にせず彼は燃え上がる死体の山を眺めていた。

うん、おかしくなったのは世界の方なんだ。

俺はまだ、おかしくないんだ、まだおかしくなってないんだ。

そう言い聞かせ彼はそこから離れた。



【関西壊滅】感染性多臓器不全強度行動障害関連スレpart1208【中部地方も/(^o^)\!】


782:匿名希望さん


米国政府は東海岸全域に戦術純粋水爆の投下を実行、ボストンやニューアーク、ニューヨークは地上から消失を公表。


783:名無しさん


キレイナハナビダナー


784:名無しさん


純粋水爆か、放射線の心配はせんでよさそうやね


785:名無しさん


ワイ広島市民、アメ公ざまーみろと大笑い


786:名無しさん


割りと政府連中元気だなあ

いまだに核攻撃機飛ばせんのかよ


787:名無しさん


欧州連中はスイス政府とアイルランド、イギリス以外公表も途切れてるんですけど大丈夫なんですかね?

昨日以降デンマーク政府の公報がないし


788:名無しさん


イタリアはシチリアに抵抗線築いてる南部、南チロル辺りで粘ってる北部政府に分裂してるしな

南北イタリア纏めれたムッソリーニって凄かったんやなって


789:名無しさん


...あれ、北欧三国政府とカナダ政府が定時の更新しないんですけど


790:名無しさん


【悲報】中国に核攻撃が確認される、ISSクルーにより画像うp


791:柄沢貴洋  


虎ノ門より謎の飛翔体


792:名無しさん


(荒らしは)出ていけェ!


793:名無しさん


ところでウチの町に罹患者出て今更大騒ぎしてるんですけどどうしよう


794:名無しさん


遅れてんなぁw、何処住みだオメーwww


795:名無しさん


 礼 文 島


796:名無しさん



797:名無しさん


最北端のド辺境じゃねーかwww


798:名無しさん


もう助からないゾ♥


799:名無しさん


なんかインフルエンザみたいな症状起こしたじいさんがそのまま罹患者に変わったらしく、騒動なってる

J隊の部隊も出てるけどどうにかなるんだろうか?


800:名無しさん


O松「人生無理な時は無理だぞ」



03式自働歩槍を装備した中国兵達が、相互に警戒しつつ鉄橋に近づく。

レールをゆっくりと、まっすぐに補正し、トンネルを塞ぐバリケードの前面に爆薬を設置して有線の起爆装置を音をたてずにトンネルの外に運ぶ。

また海岸沿いのある所では消音器をつけたM4のデッドコピー品を装備した中国兵達が09式自走榴弾砲を空き地に展開させる。

その近くではWZ-10攻撃ヘリコプターがゆっくりとローターを回し始め、ゆっくりと飛び立とうとする。 

午前3時15分、帰るところのない兵隊達の最後の花火が始まった。

奇遇にもそれは初夏の始まりと同じだった。






次回から3、4話は戦闘シーンが続きます。


Q:彼らは人間ですよね?

A:はい

Q:何故停戦しないのですか?

A:彼らが人間だからです


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