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4日目、午後の部

お久しぶりです。


久しく心地よい眠りを体験した熊野はゆっくりと立ち上がって背伸びする。

外では夕日がゆっくりと沈むか沈まないかしており、腹の音がなる。


「配給か何かあるかなあ」


熊野は少し考えて、人が集まっているならあるだろうと思い港に向かう事にする。

酒や飯を扱って商魂たくましい奴等が居たっておかしくないだろう。

そう考えると必要最低限の物以外を隠しておく、安全神話を彼は信じる気にはなれない。


「これとこれくらい有れば良いな」


USBを幾つかリュックに詰め入れ、リュックを前にしょって歩く。

隣の文月は恐らく寝ているのか物音も聞こえない。

外には寂れた壁に真新しいポスターが張ってあった。


『体調の異変はただちに報告してください。ー厚生省ー』

『罹患者は見つけ次第通報!ー法務省ー』

『何時でも貴方を見守っていますー法務省ー』


最後のポスターは、法務省の部分に薄くビッグブラザーと落書きされていた後があった。

嫌な予感は段々濃くなっていき、此で黒くなかったらビックリだ。

熊野の予感は、数分して確信になった。



熊野と文月は人だかりがあることに気づいた。

そこは駐車場だったらしく、今では鉄条網と金網に囲まれた怪しげな広場になっている。

ざわざわと野次馬達が会話を交わし、文月は熊野を近くにあった建物の階段に連れていく。

三階から見下ろしていると、同じように野次馬が来た。


「なあ人だかり出来てるけど何かやんの?」

「んぁ?あぁ、見せしめに公開処刑だって」

「あー...」


文月は驚いた顔で目を逸らし、熊野は察して効率は良いもんなあと考えつつ引き続き見ていく。

一見残虐極まるように思えるが、人間は倫理的に生まれるのではない、事実子供時代にみっちりと社会に"洗脳"してようやく数割はまともになる。

残った割合の人間がテロリストや連続殺人や異常性癖の変態や無政府論者になるのである。

この世で性善説を唱えている奴は真性アホか自己満足の自慰に浸ってるシーチワワの連中と似たようなカスだ。

人間がそこまで進歩してるわけないだろ!。

そこで恐怖が使われる、商売に洗脳に関係に、恐怖は万能!お肌の不安を煽れば美肌関連が売れたりするのが証拠だ。


「まぁロベスピエール弾圧してもダメな時はダメだけどこう言うのが必要な時代かァ」


自分が細やかな楽しみを得られる程度の社会が、こうも壊れると本当に困る。

そう思っていると一トン半が停車し、66式鉄帽を被った作業服の自衛官が四人降りた。

ゴーグルと赤いスカーフで顔は分からず、片手を横に伸ばして整列しおえ、死刑囚がやって来る。

目隠しがされており何か必死に口を動かしているが、丁寧に舌引っこ抜いたか喉を焼いたか声は聞こえない。

すると拡声器を持った、最初に会った嵐と言う自衛官が演説を始める。

その声はゆっくりと、聞きやすい声量だが遠くまで響く声をしていた。


『市民諸志!我々の言葉を良く良く聞いてくれ!

我々は好きでこうしている訳ではない、指示に従ってくれれば我々は安心して目前の罹患者と戦えるのだ。

だが平和を乱す敵との同調者、私利私欲の犯罪者に対して無条件に優しい世界は終わりを告げた。

然るに、市民諸志には自己の成すべき事をしていて欲しい。

安心して君たちと我々が家に帰れる時までだ』


そんな時何時来るんだよバカ。

そう野次りたくなったが彼らの64式小銃が自分の頭に7.62mmの風穴を開けてきそうなので言わずにおく。


「構え」


号令と共に64式小銃が構えられる。


「狙え」


そして四人の自衛官達が狙いを定める。


「撃て」


三点射撃が四名から放たれ、死刑囚は動かなくなった。

観衆からは悲鳴とうも聞こえるわけでもなく、終わるとぞろぞろと立ち去っていく。

現代の無責任な野次馬根性を見せられたような気分がしてきて嫌になるが、娯楽か何かと言う扱いなんだろう。


...来るんじゃなかった。

インスマス大戦争編、開幕。

さあ瓦礫と動く死体の山でガキ大将になるのはだーれだ!()

Q:何故停戦も何もしないんですか

A:人間だからです

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