4日目、救出の部?
この作品所々趣味が漏れてますね...()
まあ止めませんが。
あれから数時間、我々は廃駅の待合室で交代で寝ている。
今現在あの罹患者の気配、それにそんな余裕があるのか分からないが中国軍も居ない。
しかし分からないのは彼らだ、侵略にして疲労困憊の雰囲気をしていたし。
隊長さんらしき人の言葉は嘘や見せ掛けでなくどうも、こうにも戦意の薄い感じだった。
侵略ってもうちょいこう、敵意剥き出しな感じだろうに妙に嫌そうな雰囲気をしていた。
「おい、5時だ」
白んだ夜空、またくそったれな一日。
何時まで生きれるのだろうか、目的と言えばあやふやな情報で歩いている。
だが良い側面を見よう、実はインターネットが繋がったことで地図を見れた。
我々は既に目的地まで数キロ、このさきの川を越える事で目に見える筈だ。
「状況開始!」
土居はそう言って頭を掻く。
正直全員匂う、汗をよくかくお陰で異臭が酷い。
俺、昨日人が死んだばっかなのに気にしなくなってる。
なんか、いやだなあ。
ー
「天は我らを見放したァ!」
中野の声が河に響く。
鉄橋は盛大になくなっていた、内側から外側に鉄橋の鉄が曲がっているから多分爆発。
レールが二本、爆破した地点を繋げる唯一の陸路。
この世界に神様が居るとするなら不幸を次郎系するのは止めて頂きたい所存である。
そう思いながらも誰から行くか眼で見合ってみる。
「私...ですか?」
日本の和の趣を感じさせてくれる無言の押し付け合いの結果、文月が最初となった。
とても嫌そうな顔で、拒否しようとするもそれを聞くほど善人だったらここには居ない。
ゆっくりと、とてもゆっくりとだが文月は牛歩の末渡りきった。
「軋んだりしてない、と言うことは安定してるんだな」
思わずそう言うと、中野は少し笑って言う。
「木造ならともかく鋼鉄だろ?軋むわけない」
それを言われて言われてみればと思うと、嫌な声が聞こえてきた。
木々を掻き分け木の枝を踏み砕き、葉を掻き分け走る音。
結構な集団が迫っているのは明白だ。
「やべえ、俺行くわ」
中野はジャンプして向こう側に行き、土居は64式狙撃銃を一旦中野に渡して続いて飛ぶ。
「かぁぁぁレぇェちぃ!」
黒いズボンにYシャツの罹患者がトンネルの向こうから走ってきている。
その後ろにはざっと20~30の後続集団が連なっている、恐らくさっきの列車や我々のように廃村に逃げ込んだ連中だろう。
何人かの罹患者はパイロットや、青色を基調とした迷彩服を着用している。
罹患者は国境で感染を分けないらしい、なんてこった。
「熊野!!跳べ!!」
土居が64式狙撃銃を構えて叫んだ。
「高い所苦手なんだよ!」
「うるせぇ飛んで死ね!!!」
「ひぃぃ!!」
意を決して後ろから足音が聞こえながら飛び。
盛大に着地に失敗した。
枕木に頭をぶつけ、鈍痛に悶えていると罹患者達は鉄橋を依然として走っている。
中野は9mm拳銃を装填すると膝に的確に銃撃を行い前のめりに倒す。
すると罹患者達は互いに足を引っかけ合い鉄橋から落ちていった。
「...もう二度とこんなことしたくない」
「俺もしたくない」
文月との意見の一致をしていると、鉄橋の断裂部分に血まみれの手が這い上がってきた。
「うっそぉ!!!」
罹患者は手を掴みあって断裂部分を埋めてみせ、渡橋したのである。
何人かは拳銃と狙撃銃のフルオート射撃が阻止したものの後続集団に混じっていた空挺軍の罹患者が土居の狙撃銃を蹴り飛ばした。
中野の援護射撃は装弾数の少なさにより弾切れであり、熊野が蹴り飛ばされた狙撃銃を回収して見よう見まねで射撃する。
が、機関部に歪みが生まれ弾が出ない。
「あ、終わった...」
熊野の咄嗟の呟きとともに、数発の銃声が木霊した。
緑色のナイトビジョンゴーグルの眼光、不気味な印象のガスマスク、揺れる装具の音、迷彩二型が描かれたプロテクター。
軍事には詳しくない彼でも分かった、最近自衛隊も採用した機械仕掛けの甲冑、装甲人員防護具俗称鉄人だ。
ZEVOVOと独特の電子的な銃声を発してTAR-21が火を噴く。
トンネルのコンクリート壁に大量の弾痕を残し、罹患者は動かないちゃんとした死体となった。
「大丈夫ですか!助けに来ましたよ!」
彼らの士官はそう言うと、中野と土居を見て言う。
「誰何!」
「中野シン、第三対戦車回転翼機隊(3ATH)の二等陸尉」
「土居龍、66普連のレンジャー」
「...よし、来てくれ」
くぐもった声でそう言うと、道なりではなく緊急避難用通路に向かう。
「出口は罹患者を防ぐためフェンスで溶接して鉄板張ってる、無いよりましだ」
避難用通路では土嚢が積まれ、62式機関銃が据え付けられており66式鉄帽を被った自衛官が三人居た。
節電の為か赤い非常灯が灯されているが、LEDらしく苦ではない。
角を曲がると一本道があり、目的地側に歩く。
「エニワよりオトイネップへ、要救助者を救助、帰投中、送レ」
『オトイネップ了解、手配する』
無線交信と共にドアを開けると、久しく見ていない光景があった。
人が居るのだ、生きていて、秩序のある暮らし、統制された社会が。
罹患者の姿、燃える家屋、食われた残骸、悲鳴と絶叫の阿鼻叫喚は何処へやら。
「すごい、罹患者が居ない」
「何人か潜伏期間中だったが、抑え込んだ、この防護具のおかげさ」
院州枡の市街は活気があった。
だが一ヶ所から煙が出ている。
「あの煙は?」
「火葬してるんだ、伝染病になるし不衛生だからな」
「成る程」
ようやく落ち着いて眠れそうだ。
そう思いながら彼は安堵のため息をついた。
世の中そんな出来た話があるわけないと気づかずに。
装甲人員防護具
元はアメリカとイスラエルが共同開発した物。
イスラエル国防軍が導入し難民のテロ行為に対して使用、防弾強靭、万全ならば50口径でも即死がむずかしい。
ただし構造上火炎瓶や火炎放射機に弱く、最強と言う訳でもない。
俗称「人狼」「レンホウのガンサム」「首都警」「鉄人」「ベイダー卿」
自衛隊西部方面隊東部方面隊北部方面隊の一部が装備。
自衛隊のはアメリカのライセンス生産、米国でボツになった奴を買い叩いている。
TAR-21
作者がブルパップ大好きおじさん故に出れた、日英安保と言うことでL85にするか迷った。
イスラエルとの関係を重視する現政権を見て強引にやれば出来なくないと思い採用。
現実的にやるなら89式CQBとか、M4カービンかHK416であろう。
エイリアン2のパルスライフルに影響を受けてオリジナルにするか多少迷った。




