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0日目

プロローグ


夕方の小学校、野次馬や立ち入る警官達が辺りを満たしていた。

門真市北部小学校と書かれた看板のある正門には今や規制線が貼られている。

ざわざわと騒めく野次馬を規制線の外に追い出して大阪府警のパトカーと救急車が数台停車する。

パトカーの無線で腹の出た憂鬱そうな眼をした警官が報告を入れる。


「門真464より本部へ、小学校に到着しました。

容疑者はえーと、ミヤダ?あー、教育委員会の役員らしい。

気が狂って子供と教師数人に負傷、以前から体罰及び暴言により批判されてて...うちの警部の息子に手ぇ出してんのか、不起訴処分ねぇ...」


教師って独裁者で傲慢の子供を金の成る木として見てるクソヤロー多いからなあ。

警官はそう思いつつ後ろで遺体袋にかけられる子供二名と担架の上で応急措置される子供を見る。


「容疑者は子供と教師数名を殺傷、死亡2重傷1、軽傷4。

容疑者は屋上から飛び降りて頭弾けてご臨終や、クソヤローやな」


すると、重傷の子供を運ぼうとした救急隊員が困惑した顔で子供に耳を傾ける。

辺りの医師を呼んで心臓マッサージを開始して心音を確かめようと近寄ると救急隊員は首元を噛みつかれた。


「ああああっ!いたたた、いたいいたい!」


手を振って助けを求める救急隊員に慌てて警官が何人か駆け付け引き離そうとするも子供は離れない。


「離さんと撃つぞ!」


回転式けん銃を地面に撃って警官は警告するが子供は離れない。

止むを得ず子供の足と肩を撃ち抜くも子供は離れず喉を食い千切って地面に落ちた。

どたんと音を立てて落ち、そして起き上がろうとするが警官二名が回転式けん銃が全弾命中したがそれでも倒れさえしない。


「頭!頭撃つんや!」

「死んじゃいますよ?!」

「構わへん!撃て撃てェ!!」


DAMDAMと連続して銃声が響き、付近の子供達や救急隊員達があわてて逃げ出す。

数発が子供に命中するが喉元を食い千切った子供は拳銃を向けている警官たちに走り出す。

とびかかられて絶叫を上げる警官や逃げ散る子供たちの泣き声は、救急車や消防車のサイレンに掻き消されていった。



ウォール街の証券取引所にMARPが停車する。

停車すると車内からHK416を装備したACU迷彩の州警察SWAT部隊が展開し直ちに証券取引所に突入する。

中は著しい騒乱状態でありMARPAT迷彩服の先行突入した部隊が"罹患"した者達に銃撃を叩き込んでいる。


『チーム2はどうなった!?』

『チーム2<クロックワーカー>応答なし!』


横から飛び出てきた証券員だった者が首もとに噛みつかれ、屋上から突入したチーム3の隊員が落ちてくる。

パネルに当たってから仰向けに落下し食われていく姿にパニック状態の突入部隊が敗走を初め外に出るが、外ではLWHヘルメットにバイザーを着けた州警察の包囲部隊が壊走をしていた。


『Jesus...』


失意のまま呟いたSWAT隊員は後ろから飛びかかってきた罹患者に噛みつかれた。

かじられていく彼の頭上ではCH-53Eが、群れを成して飛んでいた。



【国防総省州兵総局命令】


1つ、通達された州は現地警察を指揮下に編入し、直ちに住民を屋内待機させよ。

2つ、州軍は各要所に展開せよ、特に州政府及び発電所浄水場等の生活に関わるインフラストラクチャーを確保せよ。

3つ、全ての州兵に司法権を貸与する、逮捕権限も貸与されるので暴動などにたいして行使せよ。

4つ、屋内待機に従わず警告射撃をしても従わず且つ接近してくる場合射殺せよ。

5つ、他者に対して噛みつく等の狂暴な住民に対しては無警告射撃を許可する。

6つ、必要であるなら苛烈な手段を用いてでも治安を保つべし。

7つ、上記に忠実であれ、合衆国と連邦政府に常に忠誠を。



あちこちからサイレンが鳴り響くソウル市街をM35トラックが走る。

議政府回廊にそって漢河の橋に入るとそこでは警察の治安維持部隊が展開しており、V-150装甲車がM2機関銃で制圧を行っている。


「パルリパルリ(急げ急げ)!!」


緊急召集された予備役兵は旧式のM2ヘルメットとM16を装備しており、明らかに質的問題があった。

...だがもう、その時韓国に問題を云々している余力がなく、72万の現役陸軍部隊がその半数を失い各地域に拡大する罹患者はもう封じ込めれるものではなかった。

ソウルのスラムの争乱を街路封鎖により、警察力で鎮圧できる筈が軍駐屯地や航空基地、遊園地やホテルに駅で事件が起こっていき、

軍の治安出動を開始したのに国防部高官まで罹患者になり統制は崩壊した。



【警視庁からのお知らせ】


昨今群発しております傷害事件でありますが、厚生省より新種の奇病であることが先日発表されました。

現在自衛隊と警察による防疫処置と、避難誘導を各地で実行しております。

国民皆様は家に待機し、ドアと窓に鍵を閉めて見回りの者が来るまでお待ちください。

詳しくは厚生省ホームページ【罹患拡大中の新種の疾病に関して】をお読みいただけますと幸いです。

ご安心を、政府を信じて下さい。

大丈夫です、事態は早急に解決出来ます。


【テレビ用原稿】


本日のお昼デス!は予定を変更いたしまして、ここで臨時ニュースをお送り致します。

政府は大阪と東京で拡大する暴動の原因が新型の感染症である可能性があると発表、各界に波紋が及んでいます。

[上記文章は関東、関西、北九州に更新して下さい。ADより]


自衛隊の治安出動に関しては明言されておりません、既存の警察力で鎮圧するか治安出動されるかは不明です。

一部知識人からは大きな非難を[ここカットしといて]


【九州、あるネット小説家もどき】


『拡大する暴動は渋谷駅の炎上を...』


テレビの声を無視して、部屋のカーテンを開ける。

今日の気分は良いのでちゃんと執筆出来そうだ。

んっと両手を伸ばして彼はパソコンを開き、後ろの窓の向こうの人身事故も気にせず、執筆を始める事にした。



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