第1話
言うておくけど、ぼく“はねこ”ちゃいますえ。
ぼくは生まれて3ヶ月になりました。でも黒い毛皮のママと一緒におでかけしています。ぼくが住んでいるのは天満市場とかいうにぎやかな市場の近所のおうちに居候しています。
居候先の人が首輪をしてくれました。人間の世界じゃ首輪されることで征服されたように感じる人もいるけど、わんちゃんとかねこにとってが首を守る大事なアイテムなんだよ。
夜中におでかけして、ごはんを食べさせてくれるおばさんに会うのが楽しみ。おばさんにとっては生き物の命の大事さを知っているんだろうね。でもご近所に「ネコにえさをやらないでください」って看板もあるものね。
今日はぼくたち親子に声をかけてきた人がいた。どうみても男の人なんだけど、どことなく女の人の匂いがするんだなぁ。
でもママが「ああいうタイプはネコを抱きたいだけだから、ちかづいちゃだめよ」だって。
男の人で女の人の匂いがする人と会った場所で、僕そっくりの毛皮を着たネコがいました。ママはなんにもいわないけど、おじさんがぼくのパパなのかなぁ。いつもぼくたちのことをじっとみつめているんだ。