表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/176

初めての口づけは……

 う~ん、どうしよう。


 潤んだ瞳で睨み見上げてくるアンジェリカが可愛くて困る。


「シオルが本当の名前なんだ」


「なんで嘘付いたの!」


「ちょっといろいろあって命を狙われていたんだ。 アンジェリカに助けてもらった怪我も暗殺者から逃げるときに負った傷だったんだ……、アンジェリカやトーマスさんを私の事情に巻き込みたくなくて偽名を使いました。 ごめん」


 素直に頭を下げれば、アンジェリカは両手で拳を作り私のコメカミに当ててグリグリと力を加え始めた。


 頭を両側から圧迫され、更にツボでもあるんじゃないかと思えるほどの激痛が走る。


「アンジェリカ、痛い痛い! 痛いって!」


「ばっかじゃないの! 素人の私が見たって刃物でついた傷くらいわかるわ! 行商人なんて定住しない商売を何年続けてきたと思ってるの! レ、シオルがなにか厄介事に巻き込まれてる事なんて拾ったときから覚悟してるし、巻き込まれたくなかったら拾わずに放置してるわ!」 


 尚も追撃の手を緩めないアンジェリカの両手を掴んで引き剥がすとまたボロボロと大粒の涙を流している。


「ねぇアンジェリカ、泣きやんでよ」


「うるさい! シオルには関係ない!」


 関係ないと言われて頭に血が上った私は、気が付けばアンジェリカの唇を奪っていた。


「ちょ、うぐっ! シオ」


 何か言おうと口を開いたアンジェリカの唇を角度を変えて強引に再び塞ぐ。


 前世は恋愛経験なんてほとんどない喪女だった。


 喪女で経験がなくても、毎晩絶倫な両親のやり取りや愛の行為を強制でライブ観察してきた私を舐めんなよ!


 舌を絡ませアンジェリカを貪れば、なけなしの抵抗はなくなり、アンジェリカは私の腕のなかで脱力し浅い呼吸を繰り返している。


「関係ないなんて言わないでよ……」


 ギュッと私より小さな身体を抱きしめれば、小さな声がバカと告げた。


「バカですよ! すっかりアンジェリカに嵌ったバカですけどなにか?」


 半ばヤケになって告げれば服の胸元をグイッと引っ張られアンジェリカの顔が近づき、柔らかな唇が私の唇に重なった。


「これでお互い様ね」


 してやったりという顔をしたアンジェリカに急激に顔やら全身が煮え滾るように熱くなる。


 絶対真っ赤になってるよね今!


「そっ、それよりもこんな時間に一人で宿を飛び出すなんて危ないよ? アンジェリカらしくないよね、どうしたの?」

 

 強引に話を逸して聞けば、アンジェリカの視線が彷徨った。


「アンジェリカ?」


 アンジェリカのぷにぷにした触り心地が良いほっぺたを両手で挟み、強引に視線を合わせると、観念したのかボソボソと話し出す。


「父さんが再婚するって言い出したんだもん、私にお母さんが出来るんだって……私のお母さんは死んじゃったお母さんだけなのに!」


 唸りながらアンジェリカは次々と心の中を吐露して行く。


 なんでもこの間会った女性と再婚したいと言ったトーマスさんの下腹部に八つ当たりして宿を飛び出してきたらしい。


 その話を聞いて股間がヒュンとした。


 女だった時にはわからなかったけどあれはやってはいけない技だ。


 今頃トーマスさん、宿で泡を吹いて悶絶してるんじゃないか?


「だから私も独り立ちしてやるの!」

 

 よっぽど腹に据えかねているのかまたは強がりか、アンジェリカを抱き締めて耳元に囁く。


「ならアンジェリカは私と一緒に来る?」


「えっ、どこに?」


「私の産まれた国へ」


 突然の誘いに狼狽えているのはわかるけど、アンジェリカと離れたくない。


「独り立ちすれば危険も多い。 トーマスさんとはもう会えなくなってしまうかもしれないし、祖国から迎えが来てしまった私はアンジェリカと一緒に行けない。 でもアンジェリカをひとりで行かせるなんて絶対に出来ない……」


 アンジェリカを大切だと気がつく前なら別れられたかもしれない。


 私が差し出した手に伸ばされかけた手は次の言葉でピタリと止まってしまった。


「今はまだ言えないけど私は護るべきものを沢山背負ってる、私と一緒に来てもアンジェリカは沢山苦労すると思う。 トーマスさんとも会えなくなってしまうかもしれない。それでも……私と一緒に来る?」 

ブックマーク、評価、お気に入り登録ありがとうございます。これからも皆さんからいただきましたptを原動力に執筆頑張ります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ