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襲いくる刺客

 どうやら自分で自覚している以上に疲れが蓄積していたようで、目が覚めればすでに太陽が高い位置まで差し掛かっていた。


 ミリアーナ叔母様はまだ寝ているため起こさないように着替えを済ませると、先に起きていたらしいロンダークさんが朝食と思わしい切れ目を入れたパンに炒めた肉や野菜を挟んだ物を持ってきてくれた。


「おはようございます。 良くお休みになられましたか?」


 ロンダークさんが小さな丸いテーブルにパンが納められたバスケットをおくと、湯冷ましが入った水筒を渡してくれたので、一気に飲み干した。


「ありがとう。 少し寝過ぎてしまったみたいですね」


「いえいえ、本当はもっと休んでいただきたいところなのですが、あまりひと所に留まるのは危険ですので、ミリアーナ様がおめざめになられましたら出立をと考えております」


 空になった水筒を返せば、代わりに炒めた肉や野菜を挟んだパンを渡されてかじりつく。


「次の大きな街までどれくらい?」


「そうですね、正味三日でしょうか。そこから更に五日すれば王都に入りますが、私達が目指すべきは王都から二日ほど離れた街ですね、そこまで行けばレイナス王国からマーシャル皇国に入っている密偵と連絡がつけられます」


 大体十日ほどの日程か、通常ならなんの問題も無いだろうが、身重で骨折中のミリアーナ叔母様を連れての旅支度だ、そうそう無理はさせられない。


「幌馬車の荷台を得ることは可能かな?」


「私もそれは考えました。 ミリアーナ様は記憶は曖昧になっていらっしゃいますが、それでも身体は乗馬を覚えていらっしゃるのでしょう。 しかし、やはり骨折してない片足で馬上姿勢を維持するのは負担が大きいのです」


 ドラグーン王国を抜けるまでは機動力を重視したため騎馬で移動してきたが、ミリアーナ叔母様の憔悴ぶりは看過できない。


「しかし荷台を購入した場合、私とシオル様だけでは守りきれません」


「う~ん、護衛を雇うにしてもこの街じゃね」


 あえて人口五百人から千人ほどの小さな街を選んだ為、護衛を職業斡旋所から募るのも難しい気がする。


「最寄りの十万人越えの都市はどこ?」


「十万人……王都マーシャルですね」


「その次に経路上の近場で大きい街は?」


「そうですね……やはり三日後のゴアの街です」


「……わかった、三日だけ凌ごう」


 二人で話をした後、目覚めたミリアーナ叔母様は食欲が無いのか湯冷ましとパンを少しだけ食べて残してしまった。


 馬屋に預けていた馬たちに騎乗して、街を出る。


 ミリアーナ叔母様は相変わらずロンダークさんにくっついて離れない。


 途中何度も小休憩を挟みながら街道を進んでいく。


 太陽が傾き、辺りが茜色に染まる頃私達の背後から奴等はやって来た。


  


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