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引き寄せる加護

 ロブルバーグ様いわく記憶を取り戻したらしいキャロラインはその後数日間に渡り高熱を発症し寝込んでしまった。


 どうやらこれは前世の魂が今生の身体に蘇った事で、精神の融合に強力な負荷が掛かるため、身体と精神が自己防衛に走った結果らしい。


 どうやら宮廷医師もこのような症例は初めてらしく、動揺する母様を宥めたのはロブルバーグ様だった。


「直に目が覚めるじゃろう。安心していい」


 ロブルバーグ様の言葉に安堵の息を吐いた母様はどうやらキャロラインの寝室で目覚めるまで付き添いすることにしたらしく、王妃としてしなければならない仕事をキャロラインの寝室に持ち込んでいる。


 そして私はと言うと……


「つまりスノヒス国へ行く途中で、奴隷の子をサクラに乗って連れ帰った事で街ひとつ潰してきたと?」


 頭が痛いと言わんばかりの陛下に今回のスノヒス国への訪問の際のイベントあれこれを報告したばかりだ。


「潰したわけじゃ……」


 視線を彷徨わせれば、更に大きなため息を吐かれる。


「お前はどうして行く先々で揉め事を起こして歩くのだろうなぁ」


 まるで人をトラブルメーカーのように言う陛下に抗議しようかと口を開き掛けたが、まだ同席しているロブルバーグ様の言葉に遮られる。


「そう言う『双太陽神の加護』を持っておるのじゃから嘆いても仕方がないの」


 冷めかけた紅茶の入った白磁のカップを傾けながらのほほんと言われてしまった。


「生誕の儀式でも告げたが『双太陽神の加護』は色々じゃ、儂のように幼子の声を聞く者、迷える死者の声を聞き双太陽神の元へ昇華させるもの、そしてシオル殿下は」


 こちらを見て勿体つけるように言葉を止めたロブルバーグ様から発せられるだろう言葉に思わず唾を飲み込む。

 

「『引き寄せる加護』……とでも言えば良いかの」


「『引き寄せる加護』とは一体どんな加護なのですか?」


 自分の加護くらい認識しておきたいので続きを促す。

 

「そうじゃな……人や物など色々なものを引き寄せる。 いい事も悪いことも手当たり次第見境なくの、きっと苦労するのぅ」


 カッカッカと笑うロブルバーグ様に、顔が引きつった。


 どうやら私のトラブル体質は『双太陽神の加護』らしい、できればもっと実用性がある加護が欲しかった……

 


  

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