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ロブルバーグ様の手習い

 ロブルバーグ様直々に今晩は教会の所有する貴賓室に泊まるように言われてしまいました。


 急な事だったのでとりあえずリヒャエルが他の護衛達に知らせに行ってくれた。


 話の流れからご老体と少年を連れて弾丸帰国しなければならないだろう展開が予想されるため、他の護衛達には直ぐにスノヒス国聖都プリャから一番近い街に戻ってもらい宿の手配を頼んだ。


 戻って来たリヒャエルとクロードと共に、死んだふりをしたロブルバーグ様とセイン様、二人の護衛となる保守派の精鋭である神教騎士五名を連れてレイナス王国へ脱出する手はずになっている。


「こんな事ならはじめにスノヒス国のステンドグラス工房を見学させてもらえば良かった……」


 ロブルバーグ様に再会するのも楽しみだったけれど、実はステンドグラス工房を見られるのではと期待していたのに見れないなんて……


「ステンドグラス工房なら自国に建てたらよかろう、シオル様がきたら儂自らステンドグラス工房の説明と作り方を見せてやろうと思ってな」 


 ステンドグラス工房の工房主とは旧知の仲らしく、どうやらロブルバーグ様は職務放棄して居留守を使い、年寄りの手習いとしてステンドグラス工房に通っていたらしい。


「いやいやだって専売特許なんでしょ?」


「なにもステンドグラスを作らなくても良かろう。 スノヒス国はガラス細工も一級品なのじゃ。 色ガラス細工のグラスなんかもきれいじゃぞ」


 色ガラス細工のグラスかぁ……切子グラスみたいなやつかな?


「そうですね、ロブルバーグ様にレイナス王国でガラス細工広めてもらおうかな」


「楽しみができて良かったですねロブルバーグ様」


 やる気満々と言った様子のロブルバーグ様にセイン様がクスクスと穏やかに笑っている。 

 

「多分朝に教皇の逝去を報せる鐘が三度、神子の逝去を報せる鐘が五度鳴る、 私達は午前中参列者による献花を受けるために棺で大聖堂に安置され、午後からは顔が見られないように厳重に封印がなされる。 そうしたら脱出だの」


「そうですね、前もって棺の床と献花台には細工も施してありますから、隠し通路で外へ出ましょう」


 ガッチリと硬い握手を交わすロブルバーグ様とセイン様に苦笑する。


「ではお二人とも明日はよろしくお願いいたします。 私は他の護衛達と献花台の下でお待ちしておりますから」


 二人に暫しの別れを告げて用意してもらった貴賓室で休んだ翌朝……


 聖都中に教皇逝去、神子逝去の鐘が鳴り響いた。  


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