表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/176

戦況【視点アールベルト】

「ドラグーン王国軍の様子は?」


 レイス王国の王太子になって国内がお祝いの雰囲気に包まれるなか、まるでその隙を狙いすましたようにドラグーン王国の軍が侵攻してきた。


 先代のドラグーン王国の今は亡きクラインセルト国王はどちらかと言うと戦乱よりも他国との友好を重視する外交を行っていたように思う。


 特にレイス王国とも絆が深いレイナス王国とは、現国王同士が共にドラグーン王国のセントライトリア学園へ留学していた際に、同じ時期国王として切磋琢磨し、ライバルとして、友として友情を育んだ。


 クラインセルト陛下のもとに嫁がれたミリアーナ王妃はレイナス王国の産まれで、お二人の婚礼の際に私はレイス王国の外へ出てドラグーン王国の大地を初めて踏んだ。


 その婚礼で起きた事件が切っ掛けで面識を得ることが出来たレイナス王国の第一王子シオル殿下とは、今も親しくして貰ってる。


 なぜか動揺し素に戻ると女性のような言葉遣いが飛び出る面白い男だ。


 話はずれたが、クラインセルト陛下が亡くなってから、まだクラインセルト陛下に直系の子が無かった事もあり、ドラグーン王国は王位継承権をもつ高位貴族達の王位をめぐる熾烈な権力争いに突入した。


 我が国にもドラグーン王国の民が多数難民として流れ込み、その対応に追われたのは記憶に新しい。


 その後王位争いを勝ち抜いたのは野心家で好戦的なファラウンド・スコットニー公爵だ。


 ドラグーン王国の国王に即位しファラウンド・ドラグーンと名を改めたファラウンドは好戦的な人物らしく、どこに仕掛けるつもりか不明だが開戦の準備をしているとドラグーン王国に入り込んでいた密偵から連絡が来ていたのだが……まさか我が国へ攻め込んで来るとは。


 どうやらファラウンドはレイス王国の親ドラグーン王国派の貴族達を引き込んで居たようで、戦況は良くいえば膠着状態のままだ。


「まだ動きは見られません、夜明けを待っているものと思われます」


 傍らに立つハロルド・レクサンドール

の言葉を聞き頷く。


 レイス王国王家に代々仕える忠臣、セイグラム・レクサンドールの実子でアールベルトの側近として仕えてくれている。


 セイグラムが父の忠臣ならハロルドは間違いなく私の右腕だろう。


「失礼します! 我が軍後方に小隊出現!」


 走り込んできた告げられた言葉に息を呑む。


 この状況で背後から攻め込まれでもしたら戦況は一気にドラグーン王国へと傾いてしまう。


「所属は!」


「太陽と蔦の輪っ! レイナス王国の国旗です!」


「我が軍の先導は?」


「ありません」


 レイナス王国は友好国であり私の立太子式典にシオルが国王代理として参列した後、帰国したはずだ。


 レイナス王国の使者が我が国軍の導きもなく、こんな最前線までやってくるなんて敵の急襲だと捉えられ討たれても文句が言えない。


 本来であればあり得ない、そうあり得てはいけない事態にならざるを得なかった理由があるはずなのだ。


「ハロルド、私はレイナス王国の使者を出迎えてくる、ドラグーン王国軍に動きがあったらすぐに」


「我が軍の。左翼軍よりレイナス王国の使者へ矢が射られました!」


「なに!? 即刻止めさせろ! 責任者を連れてこい! その上で私が話を聞く」


 やはりおかしい。


「すぐにレイナス王国からの使者を出迎えに行く。 近衛隊は私と共に付いてこい!」


 従者が連れてきた騎馬に跨り近衛隊と

共に走り出した。 


 




 

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ