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~出逢い 1 ~





なぜだろうか。なぜだろう。


彼は自分の右手を見てそう思った。


なぜ自分はここにいる?そして今まで何をしていた?



わからない。



「ああ。そうだ。」 彼は思い出した。

いや、忘れようとしていたことを呼び起こした。


瞬間彼は自分のからだが飲み込まれていくのを感じた。何かに 静かに 強引に。






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山口くん、


またよばれた。行くのがめんどくさい。行かないと。



「山口くんまたバランス表ずれてるよ、ちゃんとやってくれないと」



ちゃんとってなんだ。

おそらく自分にはこの人の「ちゃんと。」が、一生わからないだろう。

そんなことをカヲリは思っていた。


デスクからいつまでも発され続ける青白い、無機質な光はなにもかもを減退させる。


それの源光装置と向かい合い、マウスを無造作に動かす。




今日もだましだまし終わる。




カヲリはまだ耳の奥に残るノイズをうっとうしく感じながら、そんなことを考えていた。





帰り道。



コンビ二の前の若者たちの視線をあしらい、マンションに入る。

今日も高い給料をもらっておいて暇そうな管理人を横目に、5のボタンを押す。

一瞬浮く感覚に、カヲリは魅力を感じる。ずっとこれが続けばいいのに。

そしたら違う世界にいける、こんな世界にサヨナラだ。



ほぼ毎日通る廊下が、現実に戻る道のように思われる。


赤いシミ。あの管理人、ほんとに仕事してないな。カバンを探る。





そして彼女は止まった。それはドアを開けるためでも、見つからないカギを探すためでもない。


黒い塊…人がいるからだ。これってもしかして、血?えっどうしよう、…まずは救急車か、ケータイは…。




変な音がする。声。カヲリがそれを発しているのがこの塊だと気づくまで数秒かかった。


もうやめて。私は帰りたいだけなのに!塊が話す。

「…ナイデ」

いったいなんなのよ、はっきりしゃべって。

「デンワ…シナイデ」

カヲリは男を殺したい衝動にかられた。






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研究者メモ 担当者:堀内

概要:本日、ターゲットとの接触を確認。研究者一同、喜びの嵐。このまま継続するとともに経過を観察する。AR、今のところ異常などは確認されない。






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