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第二話 婚約者?いらないし、いないよ。いるのは滑稽な大根さ!

タイトルが長いと鬱陶しいですか?

 突然だけど、幼稚園生っていう未だ10歳にも満たない子供にいきなり婚約者って言っても理解できるのかな?まあ、ませてる子なら「将来お嫁さん(もしくはお婿さん)になる!」って意味なら理解しているかもしれないけれども。明らかに「婚約者」の意味を5歳児が理解できることについて、どう思う?


「縁君!あの…えっと…こんにちは!」

「こんちゃー。キミなんでここにいるの?」

「え、だって婚約者だから一緒に幼稚園に行こうかなって」


 この会話から、婚約者(自称)はこの歳に見合わないほど話すのが上手だ。褒めている訳では無いけれども。しかも、婚約者であることを理解していることが異常だよね。普通の5歳児なら、果たして「今日から彼の婚約者」と言われて直ぐに「婚約者たるもの~」みたいなことを理解できるかな。

 彼女はどうやら周りから神童と持て囃されているようだが、確かにそれは理解できる。普通の5歳児は「婚約者たるもの~」を実践しない。


 正直に言おう。ボクは彼女のことを気持ち悪くて腐った臭いを放つ大根役者だと思っている。何故だか知らないが、彼女はボクがケーキが好きなことを初対面で言い放った。心が読める訳でも無さそうだがその方が逆に不安だったりする。能力ならばボク自身で解析、防ぐことができるのだが彼女の場合は能力ではない。これが確信できるのは単にボクの力のおかげである。けれどもそれと同時にボクはこれが彼女自身の能力ではなく、誰かの能力の副産物であることを理解した。


 それを知った時、ボクはとても嬉しかった。この世界でボクただ一人だけが力を持って生まれたと思っていた。けれども、それが覆され、何者かが彼女に干渉して力を与えている。それはすなわち、人に力を与えられるほどのまあまあ大きな力を持っていることに他ならないからだ。


 当初、ボクはあえて彼女を好きなふりをしてその何者かが接触するのを待とうと思っていた。しかし、そうしてしまえば一瞬でもボクは彼女を愛するふりをしないといけなくなる。そしてボクは一瞬で答えを出した。


―ボクは嫌だ。大根なんてボクのタイプじゃない!ボクのタイプは甘くて蕩ける風味でふわふわなイチゴの乗っかったケーキなんだ!


 そんなこんなで彼女が婚約者になってから3日が経ち、婚約者として振舞おうとして来る大根から逃げるように家に引きこもって更に3日経った。今日は実行日。天気も晴れていてお日様ポカポカ。この3日間ケーキだけを食べていたわけではない。ぜんざいやかき氷、マフィン、ミルフィーユをそれぞれ5種類ずつ制覇しながらボクは今日の為の作戦を考えてきた。


 そしてボクは今日、婚約破棄の為の作戦を実行する。


「ははうえーぼくはこんにゃくしたくなーい」

「あらあら縁、コンニャクじゃなくて婚約よ…どうしたの?」


 ボクが考えた作戦は至って単純、子供ならではの理由で婚約を破棄させることだ!子供だから大人からの婚約と違って言い訳じみた理由でも結構通るとボクは思っていたりする。単純な作戦?なんとでも言え!


「んーとね、あのこボクをおそとにだすの…やだ!」

「つまり、あの雌猫が病弱で喘息持ちな縁を無理やり外に連れまわるから追い出して、婚約なんていやだ!ってことね?安心しなさい!あなたが嫌がるなら私は親でも殺すわ!じゃあ早速…婚約をぶち壊す!」

「ありがとー」


 母親はボクを置いて颯爽と走って行った。手に何かキラリと鈍く光ったものが握られていたのは見てないよ。それにしても母は強し、って本当なんだね。ボクはそれを凄く実感したよ。凄く目がギラギラしていて、殺気に満ちてる。あれは一般人の覇気じゃないよ、下手したらボクの敵に匹敵するくらいだ!やはりこの世界の人って侮れないなー。親でも殺すって…つまり祖父母のことかな?あの人たちケーキくれるから結構好きなんだけど…。できるだけ殺さないでほしーなー。


 翌日、朝食を食べるときに集まる広間に現れた母親の顔を見て、ボクは作戦が上手くいったことを確信した。やはり持つべきものは友達ではなく母親だとボクは強く思った。


「縁、安心してちょうだいな。あの雌猫はもう婚約者じゃないわよ。前から気に入らなかったのよね~」

「こんにゃくじゃないの?やったー!ありがとー!」


 母親にぎゅっと抱き付けば「キャー!」と奇声を上げて更にきつく抱きしめられた。苦しいけど今回頑張ってくれらから我慢する。ボクはきちんと仕事をしてくれる部下には褒める良い上司なんだよ。

 

 それからしばらく経って、名前の知らない婚約者(元)の家が没落したなんて話聞いたけど、ボクにはもう関係ないよね。だけど、それに関与したのがボクの家だという黒い噂なんて知らないからね!


 婚約者?いらないし、もういないよ。あそこにいたのはボクのタイプから程遠い腐った大根さ!







縁くん視点だと色々とかわいそうなことになっているのに気付きました。

今回の縁くんは甘いもの食べておねだりしてるだけですね。

縁くんはこれしきのことでは動かないんですよ、きっと。


活動報告を載せました。ネタバレが少しあるので、閲覧の際はご注意を。

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