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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

隣死

作者: 辻端耕太郎

 三日前、隣国で怪死事件が発生したそうだ。聞けば、人間の頭がなんの前触れもなく破裂したらしい。

 死んだのは僕と同じ17才の学生だという。

 高校のクラスメイト達は、皆このセンセーショナルなニュースを面白がって話していた。

 だからどうということはないのだが。


 その翌日、隣の県で怪死事件が発生したそうだ。聞けば、人間の頭がなんの前触れもなく破裂したらしい。

 死んだのは僕と同じ17才の学生だという。

 警察は事件を視野に入れて捜査しているそうだが、なんの手掛かりもないらしく、お手上げ状態みたいだ。

 だからどうということはないのだが。


 その翌日、隣の家で怪死事件が発生したそうだ。聞けば、人間の頭がなんの前触れもなく破裂したらしい。

 死んだのは僕と同じ17才の学生だという。というか、今回死んだのは僕の幼なじみだ。昔はよく一緒に遊んだ仲だったが、高校が別々になってからは疎遠になっていたのである。

 だからどうということはないのだが。


 その翌日、即ち今日、僕の学校で、たった今、怪死事件が発生したようだった。

 どうやら、授業中に隣の席に座っていた坂見君の頭が、なんの前触れもなく破裂したらしい。

 死んだ坂見君は成績優秀であり、所属するサッカー部ではキャプテンを務める逸材で、クラスの人気者であった。

 だからどうということはないのだが。


 坂見君の体は、首から上を失ったことで噴水のように血を噴き出している点を除けば、いつもと同じように正しい姿勢で椅子に座っていた。

 だからどうということはないのだが。

 四散した坂見君の頭蓋骨と血と脳漿にベットリとまみれながら僕が辺りを見回すと、クラスの大半がパニックに陥っており、泣き叫んだり嘔吐したりしていた。何人かは呆然としており、何人かは気を失っていた。

 だからどうということはないのだが。

 僕には皆が慌てている意味が解らなかった。

 確かに人の頭が破裂する現象は不可解だ。不気味だ。驚異だ。

 でも僕は思うのだ。


 なんで今になって恐怖するのか?三日前はあんなに面白がっていたのに?





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― 新着の感想 ―
[一言] 拝読しました。 対岸の火事である”悲劇”との間にあった川が見えなくなるまで、人はその真実から目を逸らし続ける。 世界のどこかで惨事が起こり続けている現実の中で、そうした残酷さは人間の心を守…
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