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スクエアー  作者: 亜果利
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夏騎の話

夏騎の話は目の前に状況が浮かんできて大変面白かった。


死にかけた話は夏騎が中学の時、試合に負け落ち込んで稽古を無断で三日も休んだ事に腹を立てたその鬼コーチが竹刀を持って家まで怒鳴り込んで来て、驚いた夏騎は二階の窓から飛び降りたと言う事だった。


着地した場所が芝生の上だったから軽い捻挫と両膝のカスリ傷ですんだらしいが、もう少し手前ならコンクリートになっていたから両足骨折は免れなかっただろうと笑いながら話をしてくれた。


夏騎は話がしやすいと思った。


春菜のクラスにはいないタイプだ。


運動部推薦組と国公立進学組。


タイプが違って当たり前といえば当たり前だが、久しぶりに楽しい会話が出来たと思った。


春菜のクラスに窓から飛び降りるような子は多分いないだろう。


「ハックション」


寒気がして、いきなりクシャミが出てしまった。


「風呂あがりだったよな。長話してしまってごめん。もう、そろそろ切るよ。今日はありがとうな。ほんとはさ、礼は今度会った時に言えばいいかなって思ってたんだけど冬哉が今夜絶対に電話しろってうるさくてさ」


「えっ?」


{夏騎が直接お礼が言いたいらしくてね。携帯電話の番号とメルアド教えてやってくれないか?}


冬哉の言葉が頭の中を回った。


「私は、竹本君がお礼を言いたいみたいだって聞いて携帯の番号教えたんだよ」


「え?そうなのか?」


普段、どこか抜けた感じで男の子にもてそうにも無いような女だから気を持たせて笑ってやろうとでも思ったのだろうか?


「松本君……私の事からかったのかな?」


「いや、そんなつもりはないと思う。俺が普段からちゃんと礼義とかいい加減だからあいつ気を利かせただけだよ。深く考えるな。じゃ、もう電話切るよ。ありがとな。久しぶりに楽しかったな俺」


「うん。じゃ、おやすみ」


せっかく夏騎が気を使ってくれたのに落ち込んだ声しか出ない。


「お……おやすみ」







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