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スクエアー  作者: 亜果利
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夏騎からの電話

 お風呂から上がり、生乾きの髪をタオルで拭きながら自分の部屋に入ると、机の上に置いてあった携帯のランプが着信アリの点滅を知らせていた。


片手で携帯を開くとメールが届いていた。


竹本夏騎からだった。


{今から、電話してもいいかな?}


着信時刻は今から30分ほど前になっている。


風呂に入る直前に届いたのだろう。


春菜はすぐに返信メールを打った。


{返事遅くなってごめん。お風呂に入ってた。今なら平気だよ}


セミロングの髪を片手でガシガシとタオルふきながらベットに腰をかけると同時にもう片方に持っていた携帯が鳴りだした。


「竹本だけど、怖がられてシカトされたのかと思った」


返信メールを待っていたみたいだ。


「今日は、ありがとうな。パン買ってもらった上にデザートまで貰って、スゲェー美味かったよ」


「ううん、こっちこそお釣り貰っちゃった上に食べて貰って助かった。それにわざわざお礼の電話なんてよかったのに。それに剣道部って忙しいんでしょ」


「俺が剣道部って知ってたの」


「売店のおばさんが言ってた」


「あー。あのおばさんね。でも、今日は本当に助かったよ。あのままだと腹減ったまま部活する羽目になってたからさ、多分後輩に当たり散らしていたと思うし」


昼に見た1年生の引きつった顔を思い出した。


「アハハ。それは可哀そうだよ」


「俺、腹減るとイライラしてくるんだ。1年なんか近寄ってこないもんな」


「松本君が言ってたよ。夏騎が切羽詰まる時はお腹が減っているときか監督かコーチに怒られる事した時かどっちかだって。そう言えば、剣道部の顧問って世界史の先生だったよね。あの先生そんなに怖いの?」


1年の時世界史を習った先生だった。春菜から見ればそんな怖いイメージの先生ではなかった。


「うーん。運動部の監督にしたら普通だろうな。逆にこっちが気を使って貰っているというか、それより問題はコーチのほうなんだ。俺って小学生からずっと剣道習っててそのコーチって言うのが同じ道場に通っている人なんだけど、もう容赦ないと言うか、特に俺に対しては特別なんだよ。ほんと鬼だあれは」


「鬼?」


「うん、鬼コーチ。ヤクザみたいな人なんだ。それに俺、そのコーチのせいで1回死にかけた事あるし」


その言葉にさすがに驚いた。


「死にかけた?ほんとにそこまでやるものなの?」


「ごめん。コーチのせいって言うのは大げさだけど、この話聞きたい?」


夏騎はものすごく嬉しそうな声で聞いてきた。


今日の笑った顔を思い出した。


話をしたいようだ。


「うん、聞きたい」


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