044 裏話〜怖い人〜
喫茶店で須藤と相馬が合流し、料理と真壁を待っていた時。
「あ、ねえねえ、今日はあれやらないでよ」
「あれ?」
「あっちでやってたじゃん。なんて言うかマインドコントロール?みたいな」
「やってないだろそんなこと!」
「やってるよ!凛ちゃんも透くんも、翔太の言葉で急にヤル気になっちゃってさぁー。怖いんだよあれー」
「いやいやいや、本人の意思だろ。俺のせいかあ?」
「『お前が助けるんだ。キリッ』みたいにやられたらそりゃその気になっちゃうってぇ」
ようやく須藤の言っている事が理解できた。
意識して操っているつもりは全く無い。
むしろ本人達の心につっかえていて、しかしそれをうまく言語化できていない事に対して、手を差し伸ばしているような感覚だった。
「いや分かるよ?それが翔太なりの他人への寄り添い方だし、本人達も望んでいるってのは。でもなーんか怖いんだよなぁー」
「よく分からないけど気をつけるって・・・」
良い香りがして、コーヒーが先に運ばれてきたので一口飲む。
須藤も機嫌良さそうにカップを持ち上げ、香りを楽しんでいる。
その動きがピタリと止まり。
「はっ、よく考えたら私にも?」
「やってません」
「そういえば『二人でなんとかしよう。キリッ』ってやってたぁぁ」
「キリッってやってないです」
「信じてたのにぃぃ」
「それ酒?」
「とんだぬか喜びだよ。基本的には冷たいくせに、人たらしめっ」
(真壁透・・・早く来い・・・)
抵抗を諦め、窓の外を見やる。
行き交う人々はまだまだ忙しそうで、足早だった。




