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033 現実にて


現実で目を覚ました。

頭は重く、もう一度瞼を閉じてしまいたい。

寝ぼけた頭を軽く振り、スマホを手に取る。


「西岡雄二・・・」


検索すると、とあるホームページに行き当たった。

ウェブデザイン会社の代表取締役にその名前があった。

小規模の会社のようだが、デザインを仕事にしてるだけあって凝ったデザインのページに仕上がっている。

トップページには、社員であろう人物達の集合写真があり、五人のスーツを着た男女が並んでいた。

その中央にいて、自信たっぷりな笑顔の西岡。隣には長谷川と名乗った女もいる。

ひとまず、電話番号が載っている会社概要の部分のスクリーンショットを保存し、出社することにした。

西岡にコンタクトを取るなら、あの二人にも話をしないわけにはいかない。


通勤電車の中で、メッセージアプリを開くと、すで須藤と凛から昨夜の報告が入っていた。

結論は夢を見なかった。


(すげえ、成功だー)


思わず口元が緩む。

やや強引な、当てずっぽうとも言える自分達の考察が見事にハマれば、気分も高揚するというものだ、

しかし、新たな問題も出てしまった。

あの世界にいた自分達以外の人間。

なんと報告したものか悩んだが


『俺はダメだった。夢を見た』


とりあえず必要最低限の報告をした。連続でスマホが震える。グループ内では、まだ会話が続いているのだろう。

暗い画面のスマホを眺めながら、二人にどう説明したものか考える。

どう考えても、文字で伝えられる気はしない。

深いため息を吐きながら、画面をタップする。


『話したい事があるから、今日は早めに眠ってくれ』

『了解!いつでも眠れそうなくらい眠い・・・』

『私も了解です!たくさん寝たいです〜!』


特に返信はせず、再びスマホを暗転させる。

目を閉じて思案する。西岡のこと、長谷川のこと、やつらの言う仲間のこと。

自分達以外の意識ある人間の存在を、考えなかったわけではなかった。

実際に須藤も、タケさんという人物に会っている。

須藤があの世界に踏み入れたのは、自分達より早いらしい。正確には、相馬はいつからあの世界に落ちていたのか分からない。

須藤と会って、初めて自分以外の存在を確認した瞬間からだったとすれば、割と最近のことだ。

三人共、圧倒的に経験も知識も不足している。


新しい情報は欲しい、だが西岡に言われた『チーム』の全容が分からないので、判断はできない。

チームというものに参加せず、協力しあうという選択肢があるならいいが、もしチームへの加入を条件にされたなら、慎重にらならなければいけない。


(人数がいたら効率が上がるのは確かなんだけどな。なんか胡散臭いんだよな)


一度、理不尽に絡まれたせいで、苦手意識もある。

でもそれとは別に、自分とは反りが合わないような感覚。思い過ごしであればいいが。


(あいつらを頼るか・・・)


自分でも自然とその考えに至った事を驚き、そして嬉しかった。

昨日の食事会を思い出し、満たされたような気持ちで仕事へ向かう。


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