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リンの気持ち

気が付くと俺は全裸でベッドの上に寝ていた

胸元にはリンが身を寄せて寝ている

見た感じ俺はリンと致したようだ

はっきりと覚えているのはリンが【バーサーク】という魔法を使ったことだ

おそらく対象の理性を無くし、衝動に駆られるがままに行動させる魔法なのだろう

俺の価値観ではリンのとった行動は普通の恋愛のそれとは違う気がする


「おはよう、リン」

「ん…おはようございます…」


まだ少し寝ぼけているようだった

俺はリンに調教のスキルを使用した

するとすぐに屈服モードになった、昨夜と同じだ


「リン、俺の質問に答えて」

「はい」

「昨夜俺に使った呪文はなに?」

「理性を無くし欲求を満たそうと行動する呪文です、ジン君の性欲を煽って私を襲うように仕向けました」


予想通りの効果だった


「なぜ使った?」

「私は全てを支配してほしいと思っています、でもジン君は遠慮したり、我慢したりするので」

「昨夜はどうだった?」

「最高の夜でした、ジン君が無理矢理私の中に入ってきて、押さえつけて、容赦なく暴れて、何度も何度も私の中に精を放ってくれて、幸せでした」


俺にはその記憶がない

だとすればそれは俺だと言えるのか?

いや、別の何かにリンの純血は奪われたと言った方が俺にはしっくりくる


「理性を無くした俺には昨夜の記憶がない、リンは初めてを最高のシチュエーションで過ごし幸せだった、自分が気持ちよくなれればそれでいいと思ったの?」

「ジン君に支配されたいとしか考えていませんでした」


口では襲ってほしいと過去に言われたことがあるが俺は本気にしなかった、本気にしたくなかったのかもしれない


「今屈服させて聞いたことは全部忘れるように、もう一度眠るんだ」

「はい」


そう言ってリンは目を閉じてすぐに寝息を立て始めた

どうするのが1番いいのか分からないがリンのとった行動を反省させたい気持ちはある。

昨夜の俺には意思がなかったからだ

リンを別の何かに奪われた、そんな虚無感が離れない

始めたのリンの暴走に戸惑ってもいる

リンと付き合ってから一度も喧嘩をしたことがないからこそ、こういう時どうしたら良いかわからない


「えへへ、ジン君おはようございます…」


目をこすりながら俺にくっつくリン

こんなに朝から上機嫌なリンを見るのは初めてだった


「おはよう、俺も今起きたところなんだけどなんで裸なんだろ」

「昨夜ジン君が私をたくさん愛してくれたからですよ」

嬉しそうにリンは言うが俺は面白く無い


「ああやっぱり、そんな気はしてたんだ」

「…そんな気?」


俺はベッドから出て着替えを始める


「昨夜リンが魔法を使ってからの記憶がほとんど無い、でも分かるんだ、リンと初めてのエッチをした、リンは嬉しそうにしているから最高の夜を過ごせたんだろうね、でも僕には記憶がない、だとしたらリンの純血は別の誰かに奪われたのと同じなんだ、わかる?」

「私…そんなつもりじゃ…」

「リンが自分の快楽を優先したその気持ちは少し分かる、でも理性と感情がない僕は僕じゃない、だからリンの初めては知らない誰かに奪われたのと同じなんだ、こんな虚無感は初めてだよ」


そう言い放って部屋を出て下の階に行く

許す気にはなれなかった、裏切られた気持ちでいっぱいだったからだ


「おはようジン、お前がリンより早いなんて珍しい…」

「今日の買い物が楽しみだった…って感じじゃ無いわね、ひどい顔よ、喧嘩でもした?」


2人は席に座って朝食の注文をする


「喧嘩…ね、俺はリンに裏切られた、そう思ってるよ」

「穏やかじゃないな、何かあったのか?」

「バカ、こんなところでできる話じゃ無いわよ」

「それもそうか」

「いやいい、昨夜リンの純血が知らない誰かに奪われた」

「「はぁ!?」」


2人は大声を出して身を乗り出す


「落ち着けよ、みんなが見てる」

「落ち着けるわけないでしょ!おばちゃんごめん、朝食キャンセル!お代は置いておくね!」


イールとラメラは無気力な俺を引っ張って部屋に入るとベッドの上で泣くリンが居た、まだ服を着ていない


「あんたはあっちを見る!」


グギッと音がしてイールの首が180度捻じ曲がった、生きてるかな、死んだかも

ラメラはパジャマをリンに渡し着替えさせた。


「何があったのか聞かせて」


ラメラは椅子に座って真剣な顔をしている

イールは自分で首を戻して床に座っている、こいつ本当に人間か?

普段なら笑ってしまうところだが、今はそんな気も起きない


「昨夜リンが俺に魔法をかけた、理性を飛ばして衝動的に欲求を満たそうとする魔法らしい、その魔法がかかっている状態でリンは服を脱いで避妊魔法も覚えましたと言った、俺に記憶があるのはそこまで、朝目が覚めたら2人とも全裸、だからリンとエッチをしたんだなってすぐに分かった、でも俺には記憶が無い、だから別の誰かに奪われたのと同じだって話だ」

「…声は聞こえなかったけど」

「結界魔法でサイレントっていうの、一定範囲に音が漏れないようにする魔法」


そんな魔法があるのか


「リンはなんでそんなことをしたんだ?」

「…私ジン君に支配されたい、心も体もジン君にめちゃくちゃにされたい、必要とされたいの…」

「支配されたいって気持ちはわからなくもないわ、でも結果的にリンがしたことはジンを支配して無理矢理支配させた、そこにジンの意思はない、であれば裏切られたと言われても否定できないんじゃないかしら」


リンは何も言わない


「リンのことはまだ好き?」


当たり前だ


「好きだ、でもこの虚無感のままどう察したらいいか分からない」

「あんたたち喧嘩しなさそうだもんね、喧嘩慣れも大事よ?」

「俺たちなんかしょっちゅう喧嘩するもんな、だからこそ相手の方がわかるってこともあるし」

「たまにはいいこと言うじゃない」


確かにリンとは喧嘩することがなかった

お互いをよく知っているからだと思っていたが、違うみたいだ

喧嘩することが怖かったんだな

リンが口を開く


「ジン君、ごめんなさい、ヒュプノスリープ」


突然の睡魔で俺は意識を失った



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