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運命の日

「これより加護の授与を行う、名前を呼ばれたら前に出てくるように」


ここはアラド領の首都タルマ

15歳で成人となる子供達で冒険者を目指す人は、1年に1回取り行われる【聖人の儀】に参加する。

冒険者にならない人は【成人の儀】を受けるのだがそれは別の話

俺たちアラド領のアトラ村で生まれた幼馴染の4人は冒険者になるべくタルマを訪れていた。


「イール、前へ」

「呼ばれたな、言ってくる」


イールは祭壇にある水晶玉に手をかざす

水晶玉は小さく、そして黄色く光った


「戦士ランクF、これから精進したまえ」

「ちぇ、ランクFからか、ありがとうございました」


そう言ってイールは戻ってくる


加護にはランクとレベルがある

ランクはS〜F、レベルは各ランク50が上限らしい

レベルが50にならなくてもランクは昇格するし50になってもランクが上がらない人もいる、条件があるらしい

それが経験なのか、時間なのか、はっきりとしたことはわかっていないらしい

未知だからこそ、俺たちは冒険者に憧れているのだ

次々に呼ばれていく


「ラメラ、前へ」

「行ってくるわね」


幼馴染の1人、ラメラが水晶に手をかざす、赤色だ


「おお、これは珍しい魔術師ランクEだ」


周りからどよめきが聞こえる

最初からランクEの加護を与えられるのはアラド領で1年に1人いるかいないかくらいらしい


「やったな!」


そう言ってイールとラメラはハイタッチする

この2人は恋仲なのだ


「次、リン、前へ」

「行ってくるね、ジン君」

「ああ、行ってらっしゃい」


俺はリンと恋仲だ

家も近所だしイールとラメラと仲良くなる前からしょっちゅう遊んでいた

昔は泣き虫だったなぁ

水晶は水色に光った


「これはすごい、僧侶のランクEだ、1年で2人もEランクが出るとは今年は恵まれているな」

司祭様も驚いている、というか俺の順番は…?


「ジン君やりました!」

「おめでとうリン、すごいじゃないか!」

「ランクEが2人もいるのかよー、おいジン!お前はランクFで頼むぞ!」

「そう簡単にランクEなんて引けないよ、っていうか俺の順番いつ?」


順番は五十音順のはず、司祭様に余計なことを言わないようにしていたがさすがに不安になってきた

これ忘れられていないか?


「今年はこれで全員…すまない1人抜けていた、ジン、前へ」


やっぱり忘れられていた

俺は水晶玉に手をかざす

戦士、魔術師、僧侶とバランスよくきているから武道家か、盗賊あたりだといいなぁ

目を瞑りながらそんなことを考えていたが司祭様が一向に教えてくれない


「おい、目を開けないか」


聞きなれない声がする

目を開けるとそこには大きな生き物が4匹いた


「うわわわわ!」


あまりの強大さに尻餅をついてしまった


「ほら驚いてる、だから小さくなって会ったほうがいいって言ったじゃない」

「わしもそのほうがいいっていったぞぃ」

「私もだ、相変わらず気遣いができないな」

「ええい、やかましい!おい人間、名前は何という」

「ジ、ジンって言います」

「我は聖獣フェンリル、お前に話があってな」

「今の聞いた?我ですって、カッコいいと思ってるのかしら」

「ええい、茶々を入れるな話が進まんではないか!」


一体なんなんだこの状況は…


「脱線ばかりしてすまんのぉ、わしは聖獣リヴァイアサンじゃ、こっちの偉そうな犬が聖獣フェンリル、こっちの鳥っぽいのが聖獣フェニックス、こっちの馬っぽいのが聖獣ユニコーンじゃ」


雪のように白い狼、フェンリル

魚のような蒼いドラゴン、リヴァイアサン

炎のように赤い鳥、フェニックス

ツノが生えた馬のような、ユニコーン

ここはどこでなんで俺はここにいるんだ?


「ちょっとお願いがあって来てもらったのよ」

「おい、我が話すと言ってあっただろう」

「気にしぃのわんちゃんねぇ」

「あのうるさい鳥は無視して話を続けるぞ、お前にはビーストテイマーの才能がある」


ビーストテイマーは動物や魔物を使役することができる

しかし、使役する条件が厳しく、手間もかかるためパーティにいれてもらえることが少ない

大体は1人で活動して薬草採取などのクエストを受けていると聞いたことがある


「ビーストテイマー…」

「そんなお前に頼みがあってな、我々の子供の面倒を見てほしいのだ」

「え?」

「私たち聖獣は神の使いでな、現世に出向くことが禁じられているのだ、だからこそ特別な才能を持つ人間に預けて世の中を見て回らせ見聞を深めさせている、というわけだ」

「そこの馬の言うとおりじゃ、わしらは数千年ほど前に人間に預けられそれからはほとんどずっと一緒なんじゃよ」


数千年の友人、いや友獣ってことか、規模が違うなぁ


「頼みを聞いてくれるかしら?」

「あの、才能があるって言われても俺がビーストテイマーになるとは限らないんじゃ…神様の加護が何になるかはわからないので…」

「問題ない、人間の言う【聖人の儀】とは神の加護ではなくその者が持つ才能で1番優れているものを示すだけだからな」


ということは俺がビーストテイマーになることは確定ということなのか

ビーストテイマーだと皆の足を引っ張るかもしれないがずっと友達なんだ、多分大丈夫だろう


「ぬ、もう時間だな、返事を聞かせてもらっても良いか?」

「俺の才能がどんなものかわかりませんが、やってみます。」

「感謝する、我らの子供達は自然と主の元に行くようになっているからそのうち近くにいるだろう」


なんで大事な説明が大雑把なんだ

もう少し話を…と思ったが瞬きすると目の前に水晶玉があり手を翳していた


「これは…なんだ…ランクD、いやCか!?わしも生きてきて見たことがないほど光っておる!」


緑色に光る水晶は強い光を放っていた。


緑の光はビーストテイマーの証


「すごいことなのだろうが…しかしビーストテイマーか…苦労するとは思うが頑張るのだ」


これがこの世のビーストテイマーの評価だ

これが他の才能だったら今頃大騒ぎになっていただろうな

俺はみんなの元へ戻る


「ビーストテイマーだってさ」


俺はバツの悪い顔で言う

「不遇加護なんて言われてるけど関係ねえよ!俺たち仲間だろ!」

「すごい光だったわね、なんか体に変化とかある?」

「大丈夫です!怪我しても私が治しますから!」


俺はいい仲間をもったなぁ


「みんなとりあえず宿に戻ろう、話したいこともあるし」


そうして一度みんなで宿に戻るとにした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] まあ、異世界である以上は魔物も動物に含まれる場合もあるだろうし、魔物に襲われたりした人もいるだろうから、嫌られるのが自然な流れでしょうね…そういうハンディキャップに対し主人公がどう接するの…
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