家と家族と別れ 2
「二人は双子なの?」
みんなと屋敷の談話室に行き最初に話をすることにした
「はい、元気のいい方が姉、落ち着いてる私が妹です」
「名前は契約書で確認したけど簡単に自己紹介してもらえるかな?」
「はいご主人様!姉のマリア、14歳です、明るく元気が良いのが取り柄です!仕事は覚えながらになりますがよろしくお願いします!」
「妹のマリ、13歳です、姉妹一緒に雇っていただけたことを感謝します、夜の奉仕でも命じられれば何でもするつもりです、よろしくお願いします」
そう言えばそんなこと言ってたな
「あれ嘘だから気にしなくていいよ、俺もイールも相手がいるし、ってそう言えば俺たちの自己紹介がまただったね、この背が高いのがイール」
「イールだ、美味い飯を期待しているぜ!」
「こっちの目つきが鋭いのがラメラ」
「悪かったわね、ラメラよ、よろしくね」
「怒らせると1番怖い可愛い天使がリン」
「よろしくお願いします、私怖いですか?」
「「「怒ったらね」」」
「怒ったら怖いのは普通だと思いますが…」
「俺はジン、リーダーじゃないのに人と話すときは全部俺の仕事になっている可哀想な男だ」
「だってあんたしか出来ないじゃない、イールはバカ、私は顔に出るからダメ、リンはあんたが嫌なんでしょ?」
「絶対ダメ、相手が色目使ってくるやつだったら何するか分からない」
「でしょ?だからあんたなのよ」
俺もワガママを言っている以上納得するしかない
「皆さん仲良しなんですね」
「幼馴染だからな、俺とラメラが恋人で、ジンとリンが恋人だ」
「2人は何でメイドに?」
「昨年姉が事故で亡くなりまして、身寄りがなかったので私が預かる事になりました、私の仕事に興味を持ったのがきっかけで、2人を派遣商会で訓練させていたのです」
「そうだったのですね…」
「ここでルールを発表します!3人は復唱するように!」
少ししんみりした空気になった所をイールがぶち壊す
ナイスだ
「私たちは家族!」
「「「私たちは家族!」」」
「それだけだ!敬語は使わなくて良い、食事はみんなで食べること、家のことは全部任せるからよろしく!」
行きの馬車の中でみんなと話したことだ
ご主人様だの、〇〇様だの慣れていなさすぎて違和感しかない、だからやめてもらおうと言う事だ
「あと契約にもあったように屋敷に住み込みで働いて貰うけど嫌だったら大丈夫ですよ?」
「いえ、助かります」
「私たち叔父さんの泊まっていた宿に転がり込んでいたから周りの目が…」
「子供を連れたお父さんというよりは幼い姉妹を買う男性扱いされて嫌な目でよくみられました」
「周りの目を気にしないと言っても辛いですよね」
「私はそういう人を相手にしないので良いですが、この子達に不憫な思いをさせてしまいました」
また空気が重くなってしまった
「屋敷の中見て回って来て良いよ、俺たちは今後どうするか少し話をするから」
「お願いします!」
3人は屋敷の中を見に行った
ロイドンさんがいるから大丈夫だろう
「じゃあ今後どうするか話し合うか」
「3人には明日荷物を持って移動して来てもらう、俺たちは今日中に荷物を持ってくる、家のことは全部任せて俺たちは冒険に専念する、ここまではいいか?」
「ああ、問題ないぜ」
ラメラとリンも頷く
「次にランクだ、ギルドにカードの更新に行った時にランクの変動はあったか?」
「俺はFからEに上がってたぜ?スキルも増えてたし武器も新調したしすぐにでもダンジョンに行きたいぜ」
「私はEからDに上がってたわよ」
「私もです、最初は上がるのが早いと言ってもさすがに早すぎると思いますけど…」
イールはドヤ顔をしていたが2人の話を聞いて呆気に取られている
「ジン…お前は?」
「俺も上がってたな、今はBだ」
「なんだよみんな上がってたのかよ」
「でもみんな上がってるならもっと深い階層のあるダンジョンに潜っても良いかもしれないわね」
「そうだな、最初は数にびびってたけど慣れた俺たちなら何でもいける気がするぜ」
「私戦闘中、結構手が空いてましたよ、戦闘が始まったら支援魔法をかけて周りに注意をしながらヒールを使うタイミングを見てるだけでしたから」
「周りを警戒してくれるから前だけ見て戦えるんだ、感謝してるぜ」
「今後強い敵がいても大丈夫そうね」
「次に行くダンジョンの当てはあるのか?」
「もちろん、こんなに順調に戦闘できるなら数年経ってるダンジョンも良さそうね」
「よーしじゃあそこに行く準備をするぞ!」
「「おー!」」
みんな乗り気だが俺はイマイチ乗れなかった
「あのさぁ…」
「ん?どうした?」
「俺ビーストテイマーなのに何一つテイムしてないんだけど、どうなんだ?」
「別に良いんじゃないか?普通に戦えてるし」
「それはそうなんだけどテイムできれば戦略の幅も広がるんじゃないかなって思ってさ」
「卵も時期に孵化するって言ってましたけどいつかわからないですしね…」
「じゃあ明日は俺とラメラで屋敷をどうするか説明するからジンとリンで、テイムして来たらどうだ?」
「えーあたしもタイムしてる所見てみたいー」
「私はジン君と一緒じゃないと嫌ですからイールに任せてしまってはどうでしょうか」
「え、俺1人で?うーん…一個貸しだぞ?」
「いつも私たちがしてるようなことに貸し付けるなんて最低ー」
扉が開き3人が帰って来た
「すごい広くて綺麗なお屋敷ですね!」
「夜のご奉仕も頑張る」
頑張られたら俺とイールに危険が迫る可能性があるから頑張らないでほしい
「では今日は失礼して明日の朝荷物を持って参ります」
「ロイドンさんには鍵渡しておくから自由に入って荷物片付けててもらって良いですよ、あと金貨も渡しておきますから足りない物の買い出しとかもお願いします。」
そう言って3人は屋敷から出て行った
俺たちは宿に荷物を取りに戻り、再度屋敷に戻って来た
「思ったより距離あったわね」
「もう夜だし夕食どうするか」
「たまには男同士で食べに行かないか?」
「私たちも女同士で食べに行きましょう」
「いいわね、たくさん話したいことあるし!」
瞬間的にリンに調教スキルを使う
服従を確認して…と
「リン、恥ずかしい話はダメだぞ、イール行こうぜ」
「お二人とも、いってらっしゃい」
一応スキルも使ったし余計なことは言わないだろう
商業エリアをしばらく歩き、俺は足を止める
「で、目的は何だ?」
「バレた?まあ食べながらゆっくり話そうや」
イールは「あったあった、ここだここ」と言って店に入っていく
見た感じ普通の飲食店、少し大きいか?
名前は…タフボーイ?スタミナ系の食事かな?
入ると2階まであってはなり繁盛しているようだ
給仕は女性が多く服装がバラバラ、少し際どすぎないか?
男性も多少いるが、かなりゴツい人が多い、こっちは服装がきっちりしている
「おーい席確保してあるぞ」
はえーよ
「そんなに話がしたかったのか?」
「とりあえず食べてからだ、すいませーん」
給仕を呼んで日替わり定食を二つ頼んだ
俺の分を勝手に頼むな、メニューも見てないんだぞ
「これが美味しいって有名でさ!」
どこで聞いたんだそんな情報
「お待たせしました、日替わり定食です」
女性の給仕が2人、俺とイールの分を持ってくる
目の前に出されたプレートは確かに美味しそう、鳥の唐揚げ、豚バラのニンニク炒め、牛レバー
「確かに美味しそうだな、あえ?」
女性の給仕が俺の横に座る、なんで?
イールの横にも座っている
「お客さん初めてでしょ、見ない顔だもん」
「そうだけど何で横に?」
「看板見てないの?」
「タフボーイだっけ?」
「それお店の名前ね、入り口の横の看板」
俺はダッシュで表の看板を見に行った
「食事処兼娼館」
「はあああああああああ!?」
ダッシュで中に入ってイールの胸ぐらを掴む
「お前なんて店に連れて来たんだよ!」
「落ち着けって、他の人も見てるから、な」
お客さんも男性の給仕(強面)も見ている
俺は大人しく椅子に座った
「なにー?私たちいても良いの?」
「まずかったら席離れようか?」
「大丈夫大丈夫、座ってて良いよ、少し話させてね」
「説明」
「そうだ聞いてくれよ、あ、食べながらで良いぞ」
この態度に少し腹が立つけど取り敢えず話を聞くとしよう
「実は俺ハーレム作りたいんだよね」
「…は?」
「ラメラのことは好きだよ?でもいろんな女の子と関係を持ちたい、色んなプレイをしたい、全員を幸せにできる甲斐性のある男になりたいんだよね」
真面目な顔でバカなことを言うな
「男の夢だろ!ハーレム!」
「わからん事もないけどラメラはなんて?」
「そもそも、話をしてない」
なんでだよ…
「なんで娼館なんだ、ハーレムが作りたいならナンパしたら良いだろ」
「わかってねえなぁ、いろんな女の子とエッチしたいんだよ」
それが本音っぽいな
「お前それラメラに許可取ってからだろ、無許可だと殺されるぞ」
「まあ大丈夫だろ」
こいつ…性欲が入ると頭バカになるタイプか?俺も人のことは言えないけど…そんな野望抱いてたのか
「ってことで俺は先に行ってくる、今日のことは黙ってろよ、しゃべったらリンにバラすからな!」
俺がラメラにバラすけどな
黙っていても仕方ないし
イールは横にいた女性の腰を抱き2階に上がっていく
2階は個室じゃなくて致す部屋か
「で、お兄さんはどうするの?」
「悪いけど俺には大切な恋人がいるんだ、だから帰るよ」
食事も終わったし大人しく帰るか
「少しだけお話ししよ?ノルマもあってお客さん取らなきゃいけないから…」
どうやら気に入らない相手だったら断ることもでき、代わりの人と交代するシステムらしい
この子は可愛いが小さく胸もない、人気がないのだろうか
「話だけならいい、でも個室には行かないぞ、俺も男だし欲情くらいする」
「幼児体型だって結構避けられちゃうんだよね」
「魅力は感じるよ」
「優しい!いーなー彼女さんが羨ましいよー」
「…お節介かもしれないけどちゃんと彼氏を探すならこの仕事はやめた方が良いと思うよ?」
「稼ぎが少ない時にちょこちょこ働いてるんだ、1日で2人がノルマだからさー」
どうやら副業らしい
それでも彼氏が欲しいなら辞めるべきだと思う
「良い人が見つかると良いね」
「お兄さんが二股しても良いんだよ?さっきの人もハーレムが男の夢って言ってたし」
「仮にハーレムを作りたいって思うなら付き合う人に納得してもらってからだろうね、あのバカは話もしてないからな」
「やっぱり良い人だね」
その後もたわいもない話をした
彼女はキャロと言うらしい、普段は商業ギルドの見習いをしているらしい、嘘をついている素振りもない
「そろそろ行くよ、お代はこれで足りるかな?」
俺は金貨を二枚置いた
「わ、私の4ヶ月分の稼ぎですよ!多すぎます!」
「普段の金額だけお店に渡して残りはチップとして君が貰うといい、商業ギルドの見習いなんでしょ?だとしたらここで働くと印象を悪くするかもしれない、他の仕事を探すことをお勧めするよ、あと彼氏できると良いね」
そう言って俺は席をたって店を出た
後ろから「あ、あの…」と聞こえて来たがスルー
良い人に出会えれば良いなと思いながら後にする、そして店を出た俺の前にラメラとリンが待っている…こともなく、屋敷に戻った
「お帰りなさい、遅かったですね」
「ちょっとな、ラメラはいるか?」
「部屋にいると思いますけど…」
「俺たちの部屋まで呼んできてもらえるか?話があってさ、リンにも聞いて欲しい」
俺はイールの野望を全部話した、2人と別れた後のことを全部
ラメラは泣きながら「ごめん」と繰り返し言う
リンは抱きしめて背中を撫でている
俺たちに対して謝る必要はない
そもそもあいつが悪い
「イールがどう言うつもりなのか帰って来たら聞こう、それまで待つか」
「その必要はないぜ」
イールが部屋に入ってくる
いつの間に帰って来ていたんだ
「言わない様に釘を刺したつもりなんだけどな」
「そもそもお前のハーレム計画の中にラメラが入ってるならはじめに許可を取れよ、それからだろ」
「ラメラのことはよく分かってるから大丈夫だと思ったんだけどな」
「今のラメラを見てよくそんな言葉が言えるな」
さすがに不愉快だった
ハーレムを作りたいなら自由にすれば良い、だが複数の女の子と関係を持っても良いという女の子じゃないと泣かせるだけだ
そんなこともわからないほど馬鹿じゃなかったと思うんだけどな
「…お前には関係ないだろ」
少し響いたみたいだ
目つきが変わった
「いや?【俺たち】には関係あるね、パーティだぞ」
「リン、こいつはカッコいいこと言ってるけど俺と同じで娼館に入ってる、こいつも浮気してるぜ」
「…3ついいですか?」
「なんだ?」
「1つ、ジン君が他の女の子とエッチなことをしてもジン君を責めません、私に魅力が足りなかったのを反省してその女性を処します」
「2つ、先程娼館に入ってもお話ししただけだと、ジン君から聞きました、だから私はそれを信じて疑いません、だから浮気ではないです」
「3つ、【こいつも】という言い方をするということは、イールは浮気をしていると言う自覚があったのではないですか?」
鋭い指摘だ
しかしイールは何も言わない
「お前何がしたいんだよ」
「もういい、俺はパーティを抜ける、理解されないだろうな」
「急すぎるだろ、話し合うつもりはないのか?」
「話をしたって無駄だろ、俺はハーレムを作りたい、ラメラが嫌だと言うなら別れる、つまりパーティを組み続けることはできない」
「本気か?」
「ああ、俺はリンみたいに何をしてもついて来てくれる女がいいからな」
俺の中でプツンと糸が切れる音がした
今、遠回しにリンを侮辱しなかったか?したよな?なんで侮辱した?何か関係あるか?
「イール、表に出ろ」
「なんだ?お前俺に喧嘩で勝ったことないだろ」
「だからなんだ、リンを侮辱されて黙っていられるほど人間はできてないぞ」
「ジン君、私侮辱されたと思ってませんよ」
「リンは黙ってろ、俺が思うかどうかの問題だ」
「違うの!私が悪いの!」
大声で会話に割り込んできたのはラメラ、だが
「ラメラ、黙ってろ」
イールはラメラに冷たく言い放った
ラメラはさっきよりも声を殺す様に泣き出した
「お前さ、言葉選べよ」
我慢の限界だった
素早くイールに近づき、首根っこを掴んで床に押し倒した
「っぐ」
そのまま窓まで引きずって行き、窓を開けてそこからイールを投げ捨てた、下は庭だ
2階だが問題ないだろう
窓飛び降り下に降りる
「うおおおおおおお!」
イールは殴りかかってくるが、俺には当たらない
喧嘩で強かったのは昔の話だ、今の俺はイールに負ける要素が見当たらない、と思っている
「もう俺には勝てねえよ」
殴り続けてくるイールの連撃を避け、大振りの一撃を躱し、足払いをして転ばせる
転んだイールの鳩尾に重い1発を叩き込むと苦しそうな、悔しそうな顔で俺を見る
なんとか起き上がったイールは落ちて来た窓の方を見る、そこにはラメラとリンがこっちを見ていた
「…俺は出て行く、じゃあな」
「まてよ」
歩き出したイールに、アイテムボックスから金貨が50枚入った袋を取り出して投げつけた
アールの背中に当たって落ちた
「持ってけよ、手切れ金だ」
「…さんきゅ」
イールは拾って歩き出し、立ち止まることなく門から出て行った
感情に任せて行動してしまったけど本当にこれでよかったのだろうか、後になって少し後悔する
もっと上手いやり方はなかったのか、本当に喧嘩別れしか無かったのだろうか
屋敷に入ると2人がいた
「2階から見てました、イールは出て行ったんですね」
「ああ、3人になってしまったな…」
俺たちは俯いて言葉を発せなかった
「リンに話さなきゃいけないことがあるの」
静寂を断ち切ったのはラメラだった
「部屋で話して来てくれ、俺はイールの荷物を片付けてくる」
2人は俺とリンの部屋へ、俺はイールとラメラの部屋に行った
ラメラの荷物は一目で分かったがイールの荷物が見当たらない
まだ持って来てなかったのか?
いや、みんなで荷物を持って来た時、イールは確かに荷物を持っていた
探しているとベッドの上に封筒が置いてあった
「ジンへ」
俺宛ての封筒だ
こうなることを予期していたかの様な感じだ
俺は部屋を飛び出した
走って屋敷出てイールが歩いて行った方向に全力疾走した
まだそう遠くへは行っていないはず
時間的にも外を歩く人は少なくなって来ている、見つけやすいはず
俺は【サーチ】を使った
ランクが上がり、スキルも強化され、1キロ以内にいる生物を特定することができるようになった
しかしイールらしき人はいない
その後も走り回ったがイールを見つけることはできなかった
屋敷に帰り、部屋に戻ろうとドアを開けようとした時に伝言が貼ってあった
【今日はラメラと寝ます、おやすみなさい】
俺はドアを開け部屋に入った
色々あって疲れたのか、走り回って疲れたのか、俺は瞬く間に眠りについた




