let's go dungeon
「で、いきなりダンジョンなんだ?」
こっちこっちとラメラ案内されてついた先はダンジョンの前
「まずは腕試しだろ!」
イールの言うこともわかるがちゃんと説明をしてほしい
「理由を聞いてもいいですか?」
さすがリン、俺と同じ思考で嬉しいよ
「まず、採取依頼は基本ソロが受注するものだからパーティーの私達がやると奪っちゃうことになってしまうわ」
「なるほどです」
「次に討伐依頼は私たちが倒せるかどうかも分からない相手だから安易に受けられないわ」
確かに、言われてみればそうだ
「そうなると残っているのはダンジョンで手当たり次第に戦って自分たちの限界を知ること、もちろん無理はせずね」
「俺はテイムからだし、迷惑かけそうだな」
「何言ってんだ、鞭使って攻撃できるだろ、Cランクなんだし俺より強いと思うぜ?」
「まぁスキルも試したいし実践あるのみよ、行くわよ」
イールを先頭に俺たちは中に入る
今回俺たちがきたのは【森の遺跡】
街を出て東の森に古い遺跡がある、2ヶ月前にダンジョンが出現したと報告が入ったらしい
このダンジョンは常に構造を変化させているらしく、mapを作成することもできず、まだ誰にも攻略されていない
それもそのはず、迷宮化したダンジョンは盗賊やビーストテイマーの探索能力が非常に相性がいいからだ
しかしどちらも良く思われていない職のため、編成が難しく攻略が滞っていると言うわけだ
ダンジョンに入ってすぐにスキルを使う
【サーチ】
俺の脳裏に今いま階層の構造が浮かび上がる
「前方に敵だな、数は12」
「いきなり12体もかよ!」
「支援魔法は既にかけてあります、様子を見ながら戦ってください」
イールと俺は最前列に出て後衛の壁になる
ラメラとリンは後ろで様子を窺っている
「あれはゴブリンとホーネットね、ホーネットは私が処理するから近づかないようにお願い」
敵が見えラメラが指示を飛ばす
イールは1人でゴブリンの群れの中に飛び込み、ヘイトを買っている、防御に専念しているからかキツくはなさそうだ
俺はホーネットに遊撃をさせないために鞭を振り回して追い払う…つもりだった
思ったより速く鞭を振り回すことができ、それが当たった全てのホーネットが真っ二つになって床に落ちる
「あれ、倒したのか?」
「あんたの鞭どんな威力してんのよ!イール下がって!」
イールが戦線を離れラメラが魔法を使う
「ファイアレイン!」
杖から出た炎がゴブリンの頭上に留まり、四方八方から降り注ぐ
あっという間に敵の殲滅が終わった
「みんなすごいですね!」
「それぞれ強みを活かせたんじゃないかな、っていうかジンの鞭の威力強すぎないか?」
頭をかきながらイールは言う
「リンの支援魔法があったからじゃないか?」
「筋力性の魔法は使ってないですよ、機敏性と耐久性の魔法は使いましたけど」
これがランクCか、ビーストテイマーといえどそこそこ強いらしい
「まだまだ戦闘にも連携にも慣れが必要だしもっと進みましょ」
その後戦闘を重ねながら階層を進んでいき、今は地下7階を散策している
遭遇した魔物はゴブリン、ホーネット、フォレストウルフ、マリッジスライム等、主に小型の魔物だった
地下5階で中型のフォレストベアが出た時は少し戸惑ったが見掛け倒し、イールが守って俺とラメラで攻撃、リンが後ろからイールに支援魔法をかけてあっさり倒した
「今何階だっけ」
「地下7階よ、出来たばかりのダンジョンだしそろそろダンジョンの核があると思うのだけど…」
「ダンジョンの核ですか?」
「なんでもダンジョンの最奥地には核があってそれを破壊すると自然にダンジョンが無くなるらしいわ、最初核は小さいのだけれど時間とともに大きくなってダンジョンも合わせて大きくなるらしいの、なんで核が生まれるのかとかは謎みたい」
詳しい、さすが勉強していただけのことはある
好奇心の塊のラメラには頭が上がらない
「まだ見えないのよね?」
「ああ、この階層はまだ下がある」
「もう5時間くらいは降りてるんじゃないですか?」
「次の階層でまだ下があったら一度テレポートスクロールで戻りましょ」
前日武器防具を買った後、道具屋に寄って買った物だ
なんでも移動魔法を持ち合わせていないパーティー用にある物らしく、使った場所を記録して外に脱出する物らしい、再度の使用でスクロールがなくなりまた中に飛ばされる物らしい、探索系のスキルがないとどこに飛んだのか分からなくなりそうだ
「次の階段が見えてきたぞー」
次の階層に降りて俺は【サーチ】を使う
「この階層が最後だな」
狭い階層だし探索はすぐに終わりそうだ
「じゃあサクッと核を壊して帰ってご飯にしませんか、少し疲れました」
初めてのダンジョンで5時間近くも潜っていることが普通なのか分からないが,命のやり取りをしているから尚更疲労がたまっているのかもしれない、俺も少し疲れている
「俺もこの探索で剣がボロボロだ、もっといい物買わなきゃなぁ」
イールの剣もところどころ刃こぼれが見える
「明日は道具屋だな、とりあえず狭い階層みたいだしサクッといこう」
俺たちは先に進む
ダンジョンの壁はまるで人が作ったようにきれいだ
「ダンジョンの核を壊したパーティーって少ないのよね」
「へぇ、なんで?」
「ギルドの人が言うには育ったダンジョンは深すぎて最深部に到達できないかららしいわ」
2ヶ月で8階層ってことは1年で48階層、10年で480階層か、放っておけば大迷宮の完成だ
「到達できない、魔物は深い階層ほど強くなっていく、高ランクはみんなお金稼ぎのために奥までいかずに程よい場所で狩りをしているらしいわ」
俺たちも倒した魔物の素材はスキル【収納BOX】に保管している
討伐した魔物はなぜか素材となって床に落ちる
ゴブリンだと【ゴブリンの耳飾り】
ホーネットだと【ホーネットの尾棘】
といった具合だ
「生まれたばかりのダンジョンは稼ぎにならないって誰も引き受けてくれないから、なかなか核を破壊できないんですって」
「お金稼ぎのために冒険者になるのはよくわからねえな、冒険しない冒険者って何なんだよ」
「家庭を持ったら死ぬわけにはいかない、でも稼がなきゃいけないからそういう生活をしなきゃいけない人たちもいるのよ、あたし達だっていつまで冒険を楽しめるかわからないわよ?」
「そういわれるとな…」
話をしながら探索を続け、最奥地手前まで来た
「この先が最奥地なんだが・・・」
目の前に土壁
「ここまで一本道だよな?」
「ああ、他に道はなかった、何か仕掛けでもあるのか?」
改めて【サーチ】を使ったがやっぱり一本道
「仕掛けで扉が開く・・・でもヒントもないとなるとわからないですよね」
「もしかしたらこの壁を突き破れってことなのかもしれないぜ?」
「ダンジョンの壁を破壊するのはお勧めしないわね、崩落でもしたら終わりよ?」
あーでもないこーでもないと話をしていると後ろから魔物が出てくる
「ああもう面倒くさいわね、ファイアレイン!」
しかし魔法は発動しなかった
「え、ちょっとなんで!?」
「最深部だから何かあるのかもしれない、イール二人を守っててくれ」
俺は前に出て魔物たちを処理する、数体しかいなくて助かった
「さて、戻ってギルドに報告するか、もう少し粘ってみるか」
「座標記録スクロールは結構高いのよ、できれば核を割って帰還スクロールで帰りたいわね」
「と、なると何かいい方法を考えないとな・・・」
「「「うーん」」」
「あのー・・・」
リンが不思議そうに発言する
「今まで石の壁だったのにこの階層だけ土の壁なの変じゃありませんか?」
「新しく生成された階層だからじゃないのか?」
「そうだとしたら入り口が新しくて最奥地が古いんじゃないでしょうか」
「確かにそうね・・・」
ということはわざと土壁にしてあるってことなのかもしれない
「もしかしたら・・・イールその剣ダメになってもいいか?」
「ああ、どちらにしてもこの剣じゃもう魔物は切れないからな」
俺は剣を借りて壁に突き立てた
「ちょっと、無茶しないでよね」
「大丈夫だ、壁は薄そうだし人が一人通れるくらいの穴しかあけない」
人が通れるくらいの楕円を作って蹴り飛ばすと土壁は簡単に壊れた
「壁は見せかけか、リンよく気が付いたな」
「今まできれいな遺跡だったのに最奥地だけきれいな炭鉱みたいだなって思って違和感があったんです」
「お手柄よ!核を破壊してさっさと帰りましょ」
「そうはいきませんねぇ」
壁の向こうから声がする
「誰だっ!」
イールが先に壁の向こうへ行き俺たちもあとへ続く
部屋は薄暗いが松明があって少し明るく、奥には台座があり青白く光る球が浮いている、あれがダンジョンの核か
その手前に誰かいる、人か?
「私はホビヨン・ド・ラースというしがない魔族でございます」
魔族、聞いたことはあるが初めて見る
目が三つ、腕が三本、角と翼も生えている
「ダンジョンメイカーとしての制約のため、私はあなたたちを攻撃することはできません、あなたたちから攻撃されれば話は別ですが・・・」
「それ、バラしていいのかよ」
イールは呆れた顔で言う
「それを言わないと反撃できないのですよ、制約もめんどくさいものでしてねぇ」
「どうしてダンジョンを作っているですか?」
「おっと質問には答えませんよ、あなたたちの選択肢は私と闘って死ぬか、コアを諦めて大人しく帰還するかの二択です」
「魔法が使えないから戦うのは不利ね・・・魔族がどれほど強いのかもわからないし・・・」
「数千年前の人魔大戦では魔族は戦闘に秀でていたと御伽噺で読んだことがあります」
「だとしたら今の俺たちじゃ難しいのか?」
「みんなは待機してここは俺に任せてくれ、敵が攻撃する素振りを見せたら帰還スクロールを」
「わかったわ」
「ジン君無茶しないでくださいね」
俺は魔族に向かって歩き出す
「あなたはビーストテイマーですね、我が子を誑かす忌々しい泥棒が・・・」
「まだ何もテイムしていないから泥棒じゃないぞ」
ホビヨンは鼻で笑い俺を見下ろす
「よく言う、お一人でどうなさるおつもりで?私と闘うとでも?」
「俺に戦闘の意思はないよ」
「では何を?」
「話をする気はないんだよな?」
「ええ、人族とは相入れないと理解しているので」
「なるほどな、俺たちは魔族のことをあまり知らないから教えてほしいと思ったんだけど、な!」
俺は鞭を勢いよくダンジョンコアに叩きつける
ダンジョンコアは粉々に割れた
「貴様っ!」
魔族は声を荒げるが攻撃のそぶりを見せようとしない、予想通りだ
「お前は制約のせいで攻撃できないのだろ?」
「・・・人間にも頭の切れるものはいるのですね」
「ここは俺達の勝ちだな、情報を得られないのは残念だけど一つダンジョンを潰すことができてよかったよ」
「いやはや、制約は考えないといけませんね、参りました完敗です」
ホビヨンは両手を軽く上げる
「その一言が聞けるとは思わなかったよ、ありがとう」
その瞬間俺のスキル【調教】が【服従】になった
「しまっ・・・」
さて、話を聞かせてもらおうか




