男性が何かに目を奪われているとき、女性はそれをしっかりとチェックしています(注)
「明、おまたせ~」
「今ドアを開けるね~」
ドアを閉めると同時に美華が俺の胸元にいきなり抱きついてきた。まぁこれはお約束みたいなもので、個室で2人っきりになったときには他の知人には信じられないくらいに甘えてくる。決してプロレスラーの羽交い絞めのようなものではなく、まるで大量の桜の花びらに包まれるような錯覚に陥るくらいに心地よい抱きごこちである。あれ、美華の頭からは彼女のお気に入りで今や廃盤となったフレグランスの香りが漂ってくるが、ここは異世界、常に持ち歩いてるのであれば俺らと共に持ち込まれたのはわかるのだが、これから一緒にお風呂に入る予定だし、使い方がもったいすぎないか?
「ん~明の匂いや感触、超久しぶり。クンクンすりすりクンクンすりすり」
「このにおい、フレグランスの『レディードール』だよね。持ち歩いている分しか残ってないのにもったいなくない?」
「大丈夫。ローゼさんに相談したら女性陣総出協力してくれて、エリス界で売られているもので香りが一番近い既製品と、オリジナルに限りなく近いかたちで再現した試作品と、さらにオリジナルや試作品、既製品をベースにわたしの印象や要望を取り入れた試作品2号を今現在作ってもらってるの。既製品も試作品1号もオリジナルと同じくらい気に入ったし、試作品1号も鼻がきく動物くらいしか区別がつかないだろうと思われるレベル。それも一瞬でほとんどの成分を的中させて最初の実験でつくった試作品の試作品の配合率みたいなものの精度もかなり高かったし。彼女たちは『著作権ゲットして一攫千金ゲットだぜ!』とか言いながらかなり意気込んでる感じだった」
「すごいというかここまでくると恐ろしいね。エリス界に彼女たちみたいなのがゴロゴロいると思うだけでも」
「ほんとだよね~」
じっちゃんばっちゃんから、絶対音感だけでなく『絶対嗅覚』も持っていると評される美華も経験と環境が整えばできるとは思うんだけどね。さらに、鰻の蒲焼きとか焼き鳥のように一つ一つの素材に応じた串刺しのスキルや『焼き』に関する感性、焼き調理中のにおいによって具材の位置を微調整する技術が要求される料理は俺よりはるかに上手いし。俺との料理勝負で美華が勝ったとき、『わたしでも明の料理に貢献できる~』って半べそをかきながら喜んでたっけ。負けたけど美華の様子をみてこっちも嬉しくなってしまったなあのときは。ちなみに美華愛用のレディードールはピンク色のフレグランスで終始ナチュラルで優しい香りで、最初はグレープフルーツの香りで中盤はローズ系、終盤はピーチとザクロの香りががするといった可憐な乙女の恋の三部作を見ているような一品であった。今でもネット通販で売られているものの、廃盤になったときは相当落ち込んでいたっけ。
「お風呂どうする?」
「もう少しこのままでいたい」
無言で優しく抱きしめ返す。流れに任せてお互いの唇を深く味わうように長めのキスを何度も交わした。
「明、華澄ちゃんのことなんだけど、実はわたしたちの間で話し合ってたことがあって、もし明がわたしたちふたりとも受け入れてくれたら、明のはじめてはぜひわたしがお先にって譲ってくれたの。明の彼女になれる機会を作ってくれた感謝の意味もあって、今までの長い間の苦しみにくらべたらほんの数日、明と結ばれる日を楽しみに待つことができるからなんだって。その間、身体のコンディションや部屋のインテリアを仕上げたいともいってたし。華澄ちゃん、完璧主義なところがあるといってて、自分に納得がいくまで明と鉢合わせにならないように中三まで水泳大会を避けてたんだって」
「そうだったんだ。それで華澄ちゃん、俺たちに気を使って」
「うん。でね、わたしたちが召喚された日もエリス界の曜日も月曜日だったでしょ。まさか翌日の今日、明が告白してくれたのは予想外だったけどね。それでわたしからの提案なんだけど、エリス界も土日が授業が休みだっていってたじゃない。だから明日、『金曜日の夜にでも』とお誘いをしたほうがいいと思う。あと華澄ちゃん、体力が尋常じゃないって自分でもいってるから、明も毎日のトレーニングをかかさずにコンディションとか気をつけてね」
「色々とありがとう。ホントは俺が気を使わなければならないところなのに」
「いいっていいって。明も明でいっぱいいっぱいだったから。それじゃ一緒にお風呂に入ろ。この日のために鍛え上げた明の大、大好きなお尻と太ももの筋肉を見てもらいたいし」
「やっぱ俺の好きな女性のパーツ、見抜かれてたか」
「もちろんよ。女の子は男の子が何を見ているかということにはすごく敏感なの。明が格闘ゲームをやるとき、Tバックをはいた足技の多い女の中国拳法家をよく使ってたことも調査済みだし。アーティスティックスイミングで下半身を鍛えまくっている華澄ちゃんまでとはいかなかったし。でも見た目はゲームの拳法家に匹敵するくらいには引き締まってるでしょ?さすがに逆立ちして両足を竹トンボのように回転させて空を飛ぶことはできないけど」
浴槽にお湯をためるセッティングを終えて部屋に戻ると、美華はジャージのズボンだけ脱いでおり、下には俺の好きな色で、かつ格闘ゲームで俺が多用する女性キャラと同じ明るい青系のTバックを履いていた。
「ホントは一緒に寝るときにお披露目したかったんだけどね。ちなみにこれは新体操のサポーターがわりにしてるやつ。これを履いてると部活中でも明にいつも見られているような気持ちになれるし、限界以上に体を動かしたくなる気分になるの。おっぱいの大きさは華澄ちゃんに勝てないし鍛えようがないのにくらべれば、、鍛えようがあるだけはるかに希望があったっけ。ただ下半身も普段からハイレグの競泳水着を着て過酷なトレーニングを長年やってる華澄ちゃんの筋肉量には負けるけど、脂肪率の低さは断然わたしのほうが上よ」
「マジかよ。ちなみにどんな運動をしたらそんな風になるんだ」
「色々と工夫しながらだよ。たまに真理の家に設置してあるポールでポールダンスをしたり、部活が終わったあととかに床体操をやったりしてる。あと、真理は昔から器械体操を習ってたりとかポールダンスに力を入れたりしてるといってたね。礼央って腹筋、くびれフェチなんでしょ?だから真理はそっち系にかなり力を入れてる。今頃礼央は、真理の怒涛の攻めにタジタジになってると思うわ。ちなみに奏風はおっぱいフェチだって華澄ちゃんがいってたし。レイナさんが水着姿になったときの明たちの視線、三者三様違ってて、見てて面白かった」
「女性陣にはかなわないな・・」
「あと、明日あのトレーニングマシーンをみれば男性陣もうかうかしてられないから頑張んないとヤバいと思う。あれは女性にたいしてのほうが劇的だし。それじゃ、そろそろ久しぶりに洗いっこしましょ!そのうち湯船がたまるだろうし、2人一緒に入るからお湯の量はそんなにいらないし」
「だね。それじゃ一緒に入ろうか」
「うん。それじゃあレッツゴーーー!」
昔はお互いに湯船の中ではしゃぎすぎて一緒に風を引いてしまい、じっちゃんやばっちゃんに叱られたっけ。今となってはいい思い出だね、そう話しながらシャワーで互いに表面の汚れを洗い流し、湯船につかるのだった。
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