ずっと3人で...
夕食後、俺と美華と華澄さんで俺の部屋に直行した。ワンクッションおいて10分後に俺の部屋に集合するのを提案したのだが、2人ともそのまま直行したいといったので部屋までついてきてもらった。ちなみに今いる建物の部屋はすべて縦長の2DKになっており、北口の玄関から入って左側がトイレとその奥に簡易的なキッチン、右側が脱衣室兼洗面台とその奥に浴室、そこを抜けると6畳の部屋(縦1.5畳、横2畳の長さ)が縦に連なるつくりとなっていた。洗濯機に冷蔵庫、ガスコンロに電子レンジ(それぞれに水魔法、氷魔法、火魔法、雷魔法の魔石が内臓されているとのこと)は標準装備で、ベットがダイニングに面している洋式の部屋に置かれており、ベランダ側の部屋は基本は洋室、希望があれば和室にもすぐに変更できると言われていたので不在の時に和室に変更してもらっていた。ちなみに和室を選択したのは俺と華澄さんである。畳のある部屋って落ち着くよね。彼女たちには先に和室にある座布団に並んで座って待ってもらい、冷蔵庫に作り置きしてある麦茶を3人分用意してテーブル(6人座れる横長のコタツつきのタイプ)に置き、彼女らの対面に腰をおろした。
「それじゃ落ち着いたところで今から本題を話すね。いくら鈍感な俺でも2人が早く答えを聞きたがってる風なのがわかるから結論から先に言うね。美華に華澄さん、生涯夫婦として一生を共にする前提で俺と付き合ってください」
「はい、喜んで!明に華澄さん、改めてよろしくね!」
「こちらこそよろしくお願いします。美華さん、ホントにありがとうございます。うっ、うっっ、、」
「よかったね華澄ちゃん。ここまでくるのに今まですごい頑張ったもんね。一緒に幸せになろうね」
「はい。もし明くんが美華さんを傷つけるようなことをしたら、明くん自身の時が止まるまで『オラオラオラオラー』と叫びながら殴りまくりますから」
華澄さんが赤子のように美華の胸の中で号泣し、美華が母親のように泣きながら華澄さんをあやしていた。源氏物語の主人公の最愛の女人である紫の上と、そのライバルの明石の上が育んだ女の友情以上のものが目の前に展開されて思わずもらい泣きしてしまいそうではあったのだが、『オラオラオラオラー』という一言で突然背後にアサシンが背後に現れたような恐怖を感じて泣くに泣けない状況になってしまったじゃないか。何はともあれよかったよかった」
「ごめんね明、長い時間2人で泣き続けて」
「全然大丈夫だよ。言い方はおかしいかもしれないけど、『俺の願いが叶った』ということよりも『美華や華澄さんが喜んでくれた』ということのほうが嬉しかったし、お互いに泣きながら喜びを分かち合って抱き合ってるのにびっくりしてたから。あと、ここからの話は少しだけ長くなるんだけど、あっ、ちょっと待ってて、今ふたり分のタオル持ってくるから。あと、あったかい飲み物とかもだせるけどリクエストある?一応、コーヒーに紅茶、お茶にほうじ茶、ココアなら用意できる」
「じゃあいつもの(紅茶に角砂糖2つ)で」
「わたしはココアをお願いします」
「りょ」
2人にタオルを渡しキッチンに向かった直後、美華が目元を拭ったあとにスマホにメールを打ち始めた。
「ねぇ明、今真理にメールを送ったら、礼央がみんなでプロージットやりたいって駄々こねてるらしいけどどうする?
「ん~10分後くらいに俺の部屋にドリンクとかお菓子とか持ってきてと伝えといて。グラスは人数分あるというのもついでに」
「「「「ウィームッシュ(はい、かしこまりました)!!!」」」」
やっぱり玄関前で聞き耳を立てていたのね。だからあえて大きな声で答えてみたんだけれども。でも玄関前から駆け足の足音が響いてこない。すでに用意してるだろうね。天才軍師の真理さんもいることだし。玄関のレンズを覗くといつものメンツの他にレイナさんもいた。美華と華澄さんに紅茶とココアを出したついでに2人に確認をとってみた。
「わたしはかまわないんだけど、明はそれでいいの?」
「同じく」
「みんなには悪いけど少し待ってもらって、2人にはこれだけは聞いてほしい。俺にとっては華澄さんだけでなく、今現在つきあってる美華にさえも女神みたいな存在のように感じてたんだ。美華の演奏や新体操の演技、華澄さんの歌やアーティスティックスイミングの演技を遠くから見れるだけでも幸せと思うくらいに。それが俺が原因で目に見えないところで死に物狂いで努力した結果だと美華に聞かされたときには頭がフリーズしたり色んな感情が同時に湧いたりしてどうしていいか分からなかったりもしたんだ。でも礼央達やアスタさんが背中を押してくれて何とか一歩を踏み出すことができたんだ。改めてありがとう美華、そして今まで苦しい思いをさせてごめん、華澄さん」
「わたしはいいんです。でも一つだけお願いが。これからはわたしのことを美華さんみたいに『華澄』と呼び捨てにしてもらうか、『ちゃん付け』で読んでください。『ちゃん付け』の理由は、今のわたしには『明くん』のほうが呼びやすいので」
「了解。じゃあ、今からみんなを部屋の中に入れるね」
2人に確認を取り、玄関を開くのだった。
実は牡蠣フライを含む牡蠣がキラいな著者への心優しい感想をお願いします。




