(幕間)みにくいアヒルの子②(華澄 視点)
「おぉ、清さん久しぶり、よく来たのぉ。かすみちゃんもだいぶ大きくなって。少しほそくなったかの、だんだんお母さんに似てきたのぉ」
あれから1年近くの時がたち、幼稚園でわたしをイジメていた悪ガキ3人組はいつの間にか幼稚園からいなくなっており、その後は何事もなく卒園、小学校に入学した。幼稚園時はわたしの内向的な性格と常に悪ガキにからまれていたせいで友達はできず、小学生になって、気の合う女の子の友達は少しはできたものの、男性恐怖症というわけではないが、男の子には自分からは距離を置きがちになっていた。あきらくんいるかなぁ。また会いたいなぁ。久しぶりに会えるかもしれないと思っておじいちゃんに連れてってもらったのだが、あいにくあきらくんはいなかった。
「あきらくんのおじいちゃん、お久しぶりです。あのあと、運動をするようになったんです。あ、あの、あきらくんはいらっしゃいますか」
「あぁ、あきらくんか。あきらは今、スイミングスクールに通っておっての、この時間はだいたい家にはおらんのよ」
「すいみんぐすく~る?」
「そっかそっか。説明が必要じゃな。学校がおわったあと、水の中で体を動かしたり泳いだりして体を鍛えとるんじゃ。水の中で自由に動けるようになれば魚をいっぱい捕まえられるし、あきらは魚が大好物だから、『海の中の魚をいっぱいとって、魚を腹いっぱい食べるんだ』と息巻いておるんじゃ。おまけに水の中では疲れやすくなるからダイエットにもいいし、汗をかいても水が流してくれるから体がベトベトにならずにすむんじゃよ」
「あーー!!、もしかして去年プールに連れてってもらったときに、床に足をつかないで、イルカさんみたいに泳いでたひとたちのこと~?」
「おぉそうじゃそうじゃ。かすみちゃんも行きたくなったんか」
「うん!水の中にいるだけでなんか楽しくなるし、プールからあがったあと、そんなに動いてないのにおなかがペコペコになったから、泳ぐともっと痩せれるのかぁ~」
「泳ぎはじめたらかすみちゃん、もっともっときれいになるぞい!あと、こんなのもあるから一緒に見てみるかの」
その後、アーティスティックスイミング女子団体の動画を見せてもらい、みんな人魚のようにすごくキレイで感動したのを今でも覚えている。いつかわたしも人魚のようにキレイに踊りたい、あきらくんと一緒に泳いだり、選手のような綺麗な体型になって、ダンスがうまくなったらあきらくんに見てもらうんだ。家に帰ったあと、おじいちゃんと一緒にパパやママにお願いしたら喜んでスイミングスクールに通わせてくれたときはホントうれしかった。でもそのときは知らなかった。人魚姫の悲恋の結末、そして幾重にも苦しみや悲しみの波が襲い掛かる航海の始まりであることに。




