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(幕間)みにくいアヒルの子①(明 視点)

 「ただいま~。じっちゃん、あれ、お客さん?」


ばっちゃんと一緒に幼稚園から帰ってくると、珍しくお客さんが来ており、じっちゃんと年が近い男の人と、明と同い年ぐらいの女の子が居間でくつろいでいた。


 「おぉ、あきら、帰ってきたか。ちょうどよかった。今、大切なお客さんがきてるから、よかったらかすみちゃんと一緒に遊んでおくれ」


 「うん、わかった。よろしくねかすみちゃん。今からお友だちのみかちゃんといっしょに公園で遊ぶ約束をしてるからいっしょにいこう!」


 「わたし、外で遊びたくない。同じ幼稚園の子に見つかったら、ブタとかデブとかいわれて、こっちくるなとかいわれてイジメられるから・・」


 「えぇ~、かすみちゃん、全然太ってないよ!ぼくの通ってる幼稚園にはかすみちゃんよりもっとふっくらしてる友達がたくさんいるし、そんな子がいたら、ボクとミカちゃんでやっつけてあげるから大丈夫だよ。おまけにかすみちゃんはかわいいし、公園でいっぱい遊んでいっぱい汗をかけば、もっともっと美人になるよ」


「かすみちゃん、あきらにまかしとけば大丈夫じゃ。なんせあきらとみかちゃんは『チート』じゃからな。わしが太らない、甘くておいしいお菓子を作っておくから遊びに行っといで」


 「よっこいしょ、と」


 「きゃっ!」


 「ほらね。かすみちゃんをだっこして持ち上げれるくらい軽いんだもん。このままお姫様だっこして、公園にいってくるね!」


 「あ、あきらくん、わたしも公園に行くから!、くつ、くつをはかないと足が汚れちゃう・・」


 「はははは、とんだプレイボーイじゃな、将来、何人の女の子を泣かせることやら」


 「まったく」



-それから約1時間後


 「ただいま~」


 「おかえ、って、ど、どうしたのあきら、そんなに泥だらけになって、しかもかすみちゃんにお姫様だっこされてかえってくるなんて。それにみかちゃんもかすみちゃんもこんなにボロボロになって」


 「ち、ちくしょう、あいつら、かすみちゃんと同じ幼稚園だったのか。ばっちゃん、ぼくがいつも話してる公園にいる悪ガキたち、いつもかすみちゃんをイジメてるやつらだったんだ。しかも今日はお兄ちゃんみたいな人2人と一緒で。かすみちゃんの悪口をいってきたからケンカになっちゃったんだけど、その2人には勝てなくてやられちゃって。そしたらかすみちゃんがすっごく怒ってあいつらに殴りかかって、悪ガキ3人組とそのお兄ちゃんたちの顔を、もう誰が誰だか分かんなくなるくらいグチャグチャになるまで周りが血だらけになるまでぶん殴って。それで騒ぎを聞きつけた大人たちがかすみちゃんを何とか押さえつけて、おまわりさんも来たり、救急車も来たりで・・」


 「よ~くわかったわ。おじいちゃんも清川さんも聞いてたでしょ~、わたしは孫たちを見てるから、『汚物処理』はお願いね~」


 「おぉ、わかっとる。清さんや」


 「あぁ、息子の嫁からは事前に悪ガキたちのことは聞いてるし、親の勤め先も把握してるから悪ガキ3人組のうち2人はうちのほうで何とかなる。あとの1人は星野さん、申し訳ないが」


 「おぅまかせとき。保護者が何かいってきたら、遠方でガキ共の再教育に専念してもらうとしようかの。もっとも、ご両親自体にも再教育が必要かもしれんがの」


 プルルルル・・・


 「あ、もしもし、かすみの件でクレームが来たって?あぁ、こっちはかすみの逆鱗に触れたクソガキ共全員が病院送りになったから全く心配ない。面倒なことはオレと弁護士にまかせて、ゆっくりと療養に専念してくれ。それじゃあまたな」


「みかちゃんにかすみちゃん、あきらが弱っちいせいで迷惑かけてゴメンね~。2人とも、大けがをしてないようでよかったわ~。あきらはそこら辺にぶん投げといていいから、みんなで一緒に『ヘルシーおはぎ』をいただきましょ~」


 「ひどいよばっちゃん。ぼくはケガして血が出てるのに・・」


 「あんたが弱っちいせいでしょ。それに女の子に仇をとってもらった挙句、逆にお姫様だっこされて帰ってきて恥ずかしくないの?まぁいいわ。特別にあきらもおやつを食べていいから、とっとと起き上がってそこに座りなさい」


 「は~い。あ、おはぎだ!」


 「さぁさぁ、みんなでおはぎをいただきましょ~。このおはぎはね、砂糖がはいってなくて『はっこう』という方法で甘くしてるから、すっごく美容と健康にいいのよ~。それじゃあいただきます」


 「いっただっきまーーーーす!!!」



 -物心がつく前に両親を事故で失ったからよくわからないけど、かすみちゃんに抱きかかえられたとき、母親に抱きあげられる感じってこういうもんなのかなぁと幼心に感じたものだった。それに俺が無事だとわかった時の泣きじゃくりながらの笑顔とおはぎを食べているときの満面の笑顔・・・あれ以来中学3年生になるまで再開することはなく、そんな幼き日の一ページも美華との楽しい日々を共に過ごす中で記憶の片隅に追いやられ、小学生になるころには再び思い出すことはなかった。華澄さんと再開するまでは。俺自身、俺の初恋は美華だと思っていたのに今さら思い出すなんて。奏風の知り合いというのにも驚いたけど、どっからどう見ても美男美女のカップルだろう、これ。今の俺には長年共に過ごした俺にはもったいないくらいの幼馴染の彼女、美華がいるし、今さら掘り返すことではないだろう。そう思っていた。



 

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