シンクロ(アーティスティックスイミングデュエット)のシンクロ率がやばすぎる①
「おっし、それじゃあ、ガイア界のプールとエリス界のプールの違いを説明するね。結論から言うと、エリス界の水質はガイア界のように、肌に害のあるものは入ってないから断然上だと思う。ただし、『基本は』水温を調整しないので、この時期はまだ寒いから、慣れるまでは準備体操が終わった後、プールサイドにあるお風呂に水着のまま入って温まってからプールに入ってくださいね。この時期だったら、泳いでるうちに体が熱くなって今の水温がちょうどよくなると思う。さっき、「基本は」といったのは、運動すると同時に『寒冷耐性』もつくから。エリス界では、「資源を使ってまで『寒冷耐性』がつく機会を失くさない」とか「冷たい湖や海では動けない」とかだと『もしもの時』には話にならないという考えが根付いてるからなの。オリンピックの時期は夏に行われるので心配ないけど、一番寒い時期に、北にあるノーズ王国で水着1枚のみ着用可の『極寒トライアスロン大会』があったり、一番熱い時期には、南にあるサーズ王国で『灼熱トライアスロン大会』があったりするの。スイムとランを交互にやって、10時間の間にどれだけ進めるかを競う競技なの。1時間の『昼食兼休憩タイム』と『15分のおやつ兼休憩タイム』は必須になってるから安心して!後者の大会の練習のときには水温をガンガン上げるから、エリス界の環境に慣れてきたらみんなで一緒に参加しようね!」
一体何を安心すればいいのだろうか。俺たち6人全員、そう思ったに違いない。とりあえず俺はこんなイカレた大会の参加はパスしたい。この世界やばい。俺たちを含め、ガイア界の住人がこれを知ったらほぼ全員、そう思うことだろう。
「で、あと10分くらいしたらプールに移動するけど、明日の予定はどうするか、23時まで決めといてくださいね~。ちなみに、明日みんながスマホの使い方の講義と、マッサージとメディカルチェックが終わったら、あさっては休みにするから。休みはみんなで一緒のほうがいいでしょ?あと、日課で寝る前の1時間の時間のマッサージは受けてもらうから。それじゃあ時間までゆっくり温まりますか」
ちょうどいい時間になったのでみんなでプールエリアに入ると、話にも出ていた100メートルプールが広がっていた。しかし話に聞くのと実際に見るのとではやっぱ違うよな。俺以外の6人もそんな印象を受けたと思う。ちなみにコースロープは張られていなかった。レイナさんの掛け声で準備体操が始まり一通り終わったあと、プールサイドにある長方形型のお風呂、正確に言うと横から泡が出ているジャグジーにつかった。
「それじゃあ、プールの説明をするよ。縦はさっきも説明した通り100m、幅は1コースと8コースが5mになってて、それ以外は2.5m、合計で25mになってます。ちなみに深さを調整できるリフト式の床なんだけど、縦横2.5mの正方形のパネル単位で調整できるようなってます。ちなみに高さは水面から1m上までなってまして、マーメイド族がプールの中心で体を休めたり、プールの中央で体操選手が演技をしたりピアノを弾いたり、まるで泉の真ん中で踊ったり演奏するといった体験を味わえる仕様となってます。また、コンサートにも対応できま~す。今夜は一応、手前の5コースだけアーティスティックスイミング用に深くしておきました。ただし、講師とアシスタントさん全員は、引き続きレベル1、防御系以外のスキル恩恵をロック状態での『トレーニングモード』でお願いします。あと、そこが浅いプールでは飛び込みの際に頭をぶつけて大怪我する場合があるから気をつけてね。以上!」
まぁこれは日本でも作ろうと思えば可能なのであろうが、コストや維持費がとんでもない金額になるよな。このプールの予算や仕様も使用用途の発想もだいぶイカレているのだが、この類のイカレ具合であれば賞賛に値する。ただ、水温をガンガン上げるのは勘弁してください。マジで。
ちなみに俺と華澄さん以外の4人も4泳法をマスターしている。一番難しいバタフライでさえも100mは泳げるようになった。俺や華澄さんがそれぞれ入れ替わり立ち代わり指導して4人がマスターし、共に喜びを分かち合ったのはいい思い出である(ちなみに練習に6人全員揃ったことは一度もなかった)。ちなみに俺にバタフライを教えてくれたコーチは教え方が非常にうまく、筋肉がつきにくい体質のうえに、喫煙で肺が真っ黒になっているせいで25mの潜水も『できなくなった』中年の生徒でさえも100mバタフライを泳げるように指導したくらい教え方がうまかったので、大いに参考にさせてもらいました。ちなみに俺のコーチ曰く『バタフライの指導力は金のなる木』らしい。
ジャグジーで十分温まった順に、各々プールに飛び込むのだった。




