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魔装機マナリリアン  作者: ロア
   character episode
96/120

ロニー・アバンタイトの章

とても長いシナリオになります。

他のシナリオを見てからこのシナリオをご覧になっても大丈夫な作りにしております。


話の区切りに5行の段落を使い

太字のケイセンで線を引いています

 重役者達との会議を終え

 私は自分の椅子に座り

 疲れを癒す様に天井を見上げた


 私の名前はロニー・アバンタイト

 アバンタイト家の長女で有り

 アバンタイト家2番目のクイーン級の魔女


 今は

 トパーズ隊と呼ばれる機士隊長をしているが

 昔は違った・・・・・


 そう・・・昔の事・・・過去・・・

 少しだけ私は昔の事を思いだしていた・・・



▶︎5年前


 私とキサラギは

 クイーン級の魔女として機士に選ばれ

 機士隊の仲間になった


 昔のローズストーン国の機士隊には

 四つの部隊は存在せず

 ローラン大佐を筆頭に

 階級を定め機士達をまとめていた


 階級順に

 大佐、中佐、少佐、軍曹

 兵長、一等兵、二等兵の役職が存在する


 軍曹と呼ばれる数名の人間が

 機士達を従え部隊を作り

 役職が上の少佐以上の者が

 軍曹に指示を出せる立場であった


 最上級でもっとも立場の偉いローラン大佐は

 私とキサラギを呼び出し

 2回級上の兵長にと任命した



ローラン

『クイーン級の魔女は君達だけだ、

 本来なら兵長の立場では無く

 軍曹として皆の手本になって貰いたいのだが

 20歳の君達が軍曹では

 他の機士達の立場も付かなくなるのでな』



 私とキサラギはローラン大佐に敬礼した


 アズマ中佐が大佐の元に近づき

 何かを耳元で話すと

「そうか...ロニーとキサラギは席を外してくれ」

 っと大佐は私達に言った


 部屋を出ると

 ウルバ軍曹が私とキサラギの顔を見て

 最年少で2回級を更新した事に

 腹を立てた様子で話し始めた



ウルバ

『学園上がりのガキが兵長かよ、

 大丈夫かよローズストーン国は

 こんなガキに上の役職を与えちまって』



 軽い挑発だ


 私は頭を下げ

「コレから機士として励む所存です」と

 言葉を返すが、キサラギは違った


 目付きの悪いウルバ軍曹を睨み

「実力を確かめますか」っと挑発を返した


 眉間のシワを寄せ

 自分達の立場を理解しているのかと

 ウルバ軍曹は私達を見下した



ロニー

『申し訳ありませんウルバ軍曹、

 キサラギには私から言い聞かせますので』


ウルバ

『クイーン級だかなんだか知らんが

 魔装機での戦いはマナ量だけが全てじゃ無い、

 それを教えてやろうかキサラギ!!』


キサラギ

『・・・・・』


ロニー

『私達はコレで・・・行くぞキサラギ』



 キサラギは名家クルセニアの産まれ


 クルセニア家の人間は高いマナを持ち

 ナイト級以上のマナを扱える者達が多い


 ローラン大佐もクルセニアの血筋だ


 クルセニアの血を受け継ぐキサラギには

 自分の役割と言う物が見えているのだろうか?



 いや違う・・・

 彼女はあの日から人との距離を経っている


 5年前

 キサラギは自分の母親を殺そうとしていた


 その理由は知らなかったが

 私はキサラギを止め

 母親殺しの罪人にはさせなかった


 後から知ったのだが 家の名誉を守る為

 昔の親友が国から追放されたそうだ...


 キサラギの親友だった子供は

 マナが低いと言う理由で

 名家クルセニア家から存在を消された


 友を失い

 その真実を知ったキサラギは

 クルセニア家の当主、

 母親を自らの手で殺そうとしたのだ・・・



 大丈夫かい?っと私はキサラギに言うと

 キサラギは不安な顔を浮かべ言った



キサラギ

『私が守ろうとしている国は

 私の友をこの世から消したこの国なのよ.....

 どうしてナインがあんな事に.....

 この国を守る事が正義だと私は思えない.....』



 キサラギの心は切り裂かれている

 今の彼女に

 機士としての職務は荷が重すぎる・・・


 私はアズマ中佐に頼み込み

 キサラギの心が回復するまで

 長い休息を取らせる事にした



▶︎3年前


 2年の月日が過ぎ

 マナの低下で大佐の地位を退いた

 ローラン大佐に代わり

 アズサ中佐が大佐に昇格し


 少佐を務めていた

 ディーヴァ少佐が中佐に昇格


 そして

 私は少佐の役職を任せられる立場になっていた


 キサラギは2年間部屋に閉じこもっている、

 彼女の心の傷は時間が解決してくれると

 私は思っていたのだが・・・そうでは無かった



 私とキサラギを目の仇にしていたウルバ軍曹は

 少佐と呼ぶ上の役職を奪われ

 怒りを剥き出しにしていた



ウルバ

『分かっているんだろうなロニー!!

 お前は俺より歳下、上の役職だからと言って

 俺に上から命令を言おうなんて..』


ロニー

『わかっていますウルバ軍曹』



 私とウルバ軍曹の話を聞き

 仲裁に入ってくれたのはディーヴァ中佐だった


 ウルバ軍曹を落ち着かせ

 中佐は私を庇ってくれた


 ディーヴァ中佐はとても優しいお方だ、

 誰よりも機士の事を考え

 誰よりも国の事を思っていた



ディーヴァ

『気難しい人間も多いが

 ロニーならこの国をもっとより良くできる、

 そう私は思っているよ』


ロニー

『ディーヴァ中佐のありがたい言葉に

 いつも機士の皆は助けられています』



 私は中佐に連れられ

 新型魔装機が作られている場所にと案内された


 目の前には

 フィブラルと呼ぶ魔装機学者が設計し開発した

 クイーン級の魔女が動かせる魔装機が

 4機並んでいた


 ローズストーン国では

 今までソーダストと呼ぶ魔装機しか

 作られていなかった


 いくつもの試作品魔装機が作られたが

 利便性やコストを考えると、ソーダストが

 1番便利だと言う理由で使われていた


 私は新しく開発された新型魔装機を見て

「コレは?」っと私は中佐の顔を見ると



ディーヴァ

『キサラギやロニーが乗る

 クイーン級の魔女が乗る魔装機、

 女帝機と呼ばれる魔装機だよ』


ロニー

『女帝機・・・・・』



 女帝機の奥に

 もう一つ魔装機の姿が見えた


 アレは何かと私は尋ねると

「アレは・・・」っと中佐は言葉を詰まらせていた


 今は説明できないと言った様子だ


 後に知ったのだが、

 女帝機と同時期に開発された魔装機

 ドラグーンと呼ばれる

 ローズストーン国最強の魔装機である事を

 今の私は知りもしなかった



ディーヴァ

『こっちも見てくれ』



 そう言って私を連れ

 別の場所に中佐は案内した


 そこにも

 見た事の無い魔装機が2機並んでいた


 明らかにソーダストとは系統が違う

 しかも

 その魔装機は完成されていた



ディーヴァ

『コレはローズストーン国の

 新型魔装機リーンパルシオン、

 試作品だが既に完成されている魔装機だ』



 ローズストーン国には

 他国とは違い強い魔物が多く出没する


 ローズストーン国の近くにある

 グレートホールからは多くの魔物が現れもする


 ローズストーン国は

 他国より魔装機技術が劣っていた、

 リーンパルシオンを使い

 魔物の恐怖を払い他国との戦力差を

 ローズストーン国は埋めようとしていた


 近年

 他国との抗争が激化しつつある


 強力な兵器を作り出すレインオラクル国が

 いつ我々の国に脅威をもたらすか分からない、

 国の兵力を広げるには新たな力が必要だった



ディーヴァ

『昨年、我々機士隊の情報がレインオラクル国に

 流れていたのを覚えているかい?』



 そう、何故かレインオラクル国は

 ローズストーン国の動きを全て知っていた


 部隊の配置場所や魔物との戦闘の全てを....

 もしその事を悪用されたら

 策略で我々は敗北する可能性も存在する


 私は中佐に聞いた、

 どうして私達機士隊の動きが

 レインオラクル国が知り得ているのかと



 首を横に振り分からないと中佐は言い、

 私は新型魔装機のリーンパルシオンを見た


 確かに

 私達ローズストーン国には武器が必要だ、

 レインオラクル国やディナガード国が

 ローズストーン国の敵と成るなら

 強い魔装機が私達には・・・




 部隊を編成させ

 流れ魔物の討伐に向かい

 ローズストーン国から少し離れた土地に

 私は向かっていた


 流れ魔物とは

 魔物同士の縄張り争いに負け土地を離れた魔物、

 そのような魔物は自分の住処を求め

 遠い離れた場所にまで行動し町の人々を襲う


 魔物が多く出没する荒野に

 我々ローズストーン国機士隊のキャンプ地が

 建てられた場所が存在する。

 私は編成した部隊の者達を

 そのキャンプ地に配置させた


 その中でも

 新米機士のリニアは誰よりも働き

 部隊の指揮を率先して皆を動かしていた



リニア

『ロニー少佐、部隊の配置が完了しました。』


ロニー

『ありがとうリニア、

 魔物の様子はどうだった?』



 周囲に魔物の気配は無いと

 リニアは報告をしてくれた


 どうやら

 流れ魔物はまだ現れていない

 もしくは何者かに倒されたのか・・・


 この場所はレインオラクルの領土に近い、

 レインオラクル国の機士が

 魔物を倒していても不思議では無い


 私は辺りを見渡していると

 二等兵のリニアが私に言った


 この近くの村に

 ローラン元大佐が住んでいると聞きます

 ご挨拶に行かれないのですか?っと


 そう言えばそうだった

 魔物との戦いに成れば

 大佐の住む村にも被害が出る可能性もある


 私は部隊の兵長にこの場を任せ

 近くの村にと向かった


 荒野に広がる何も無い場所に

 少し大きめの湖をぐるりと囲む村が見えて来た


 屋根のある民家は僅か

 その中の1つにローラン元大佐は暮らしていた


 突然の訪問にも関わらず

 ローラン元大佐は私を歓迎してくれた



ローラン

『何も無い場所だろ?』


ロニー

『思ってたよりも・・・・・

 どうして大佐はこのような場所に?

 御実家のクルセニア家に

 戻られても良かったのでは?』



 もう大佐では無いとローラン元大佐は言い

 窓の外の何も無い広い荒野を見ていた


 何も無いからこそ私には落ち着く

 血族の風習には疲れてしまってね

 っと寂しそうに言っていた


 私は申し訳ありませんと謝罪すると

 ロニーが謝る事では無いと言ってくれた


 私は流れ魔物の事を説明すると

 ローラン元大佐は不思議そうに言った



ローラン

『そう言えば君は少佐に昇格したのだろ?

 どうして魔物の討伐なんかに参加している?』


ロニー

『まだまだ未熟者の私なので

 戦場で経験を積みたいと考えていたのです、

 魔物1つ戦うやり方を知らないようでは

 少佐としての立場も

 機士の人達に示しがつかないので』


ローラン

『良く言う、年間で魔物を

 1番討伐していたのは君だっただろ?

 半日で

 100体の魔物を倒したとも聞いた事があるよ』



 それはあくまで噂だった


 本当にそれだけ魔物を倒したのかも

 自分では分からなかったが

 誰よりも魔装機に乗り戦っていたのは本当だ


 キサラギが不在の今

 私がキサラギの分まで戦わなければならない、

 クイーン級の魔女として

 キサラギの友としても....



 ローラン元大佐は

 キサラギの事を私に尋ねた、

 キサラギの様子はどうなのか

 あの子は自分の心に立ち向かえたのかと


 私はゆっくりと首を動かすと

 寂しげな表情で「そうか」とだけ言った



ローラン

『キサラギの心は暗闇の中に取り残されている、

 自分自身で閉じこもったその場所で

 動けず苦しんでいるハズだ』


ロニー

『私には・・・・・どうする事も・・・・・』


ローラン

『違うな、キサラギに必要なのは・・・

 ロニー・・・君だよ・・・』



 私? どう言う意味なのだろうか?


 キサラギの心の傷は時間が癒してくれる

 そう私は思っていたが、そうでは無いと

 大佐は言っておられるのだろうか?


 私は深く考えていると、

 部隊のキャンプに戻った方が良い

 もう時期夜が来ると大佐は言った


 私は大佐に感謝し

 キャンプ地にと戻った



 夜が来る・・・・・

 夜は魔物が活性化して行動を始める・・・・・


 キャンプ地周辺から目視で

 ジャイアントオークの群れと

 アースゴーレムの群れの大軍勢の姿が・・・・



ロニー

『100・・・いや、200体は超えているか....』


リニア

『ロニー少佐、

 キングオークの姿も確認しました!!』



 キングオークはとても厄介な魔物だ、

 キングオークが従えて居る魔物は

 普通の魔物の倍以上凶暴で強い


 そんな魔物が200以上となると

 今の部隊だけでは倒せるのかも分からない


 兵長は撤退を提案するが

 近くにはローラン元大佐の住む村や

 敵国のレインオラクルの領地もある


 魔物をレインオラクル国に流れさせるだけで

 我々ローズストーン国の印象も悪化し

 向こうがローズストーンの領地を

 乗っ取る口述にも使われかねない


 この場で倒すと私は指揮を取り

 魔物の大群に部隊の魔装機を突撃させた


 無論私も指揮官用のソーダストに乗り戦った


 魔物の数をゆっくりと減らしていくが

 それでも我々は魔物に押されていた


 気がつくと

 レインオラクル領の森にと近付いていた



ロニー

『ダメだ、この先はレインオラクル領だ!!』


兵長

『しかしこのままでは

 私達の部隊が殺られてしまいます!

 森に入り、敵を分断させる他ありません!』



 周りの機士達は

 オークとゴーレムの群れに苦戦している


 やむを得ない、

 部隊長の言葉を聞き入れ

 レインオラクルの領地である森に

 私は部隊を避難させた


 森に入ると

 魔物には動きづらい地形で敵の行動は鈍り

 コレなら安全に魔物を討伐できる、

 この場所はレインオラクル領の端

 そう簡単に

 レインオラクル国の機士に見つかるとは思えない

 そう私は考えていた....



 1早く

 別部隊の魔装機反応の接近に気が付いたのは

 二等兵のリニアだった



リニア

『部隊とは別の魔装機反応!

 レインオラクル国の魔装機だと思われます!!』


ロニー

『なに!?』



 森に入るまでレーダーに注意を払ってはいた、

 さっきまで

 レインオラクルの魔装機反応は無かったのに

 私達が森に入ると

 レインオラクル国の魔装機は武器を構え

 私達の前にと現れた



レインオラクル国の機士

『この場所はレインオラクルの領地である、

 不法に侵入をしたお前達を

 私達は攻撃する権限を持っている!!』



 レインオラクル国の魔装機は

 目に見える範囲だけで10機以上、

 それ以上の数が控えているに違い無い


 私はレインオラクル国の機士達に謝罪し

 魔物の軍勢と戦っている事を主張した



レインオラクル国の機士B

『ジャイアントオークと

 アースゴーレムの群れが確認できました』


レインオラクル国の機士A

『コイツ達が魔物を誘き寄せたのか、

 構うな!魔物も侵入者もどちらも殺せ!』



 前からは魔物の群れ

 後ろにはレインオラクル国の魔装機


 私は部隊の者達に、魔物に突撃をして

 この場から離れるように指示を出す


 魔物と戦いながら

 レインオラクル国の魔装機から逃げた


 1人の機士が

 オークを倒す為銃を使い魔弾を放つと、

 魔弾は魔物に当たらず

 レインオラクル国の魔装機に当たってしまった


 その事でレインオラクル国の機士達を怒らせ

 2名の機士が乗る魔装機が

 レインオラクル国の魔装機に撃たれた


 兵長は皆を逃がそうと

 自らの魔装機を盾にして仲間を庇った



兵長

『ロニー少佐...私の判断ミスでした...

 申し訳ありません...』



 魔物の群れを倒す事ができたが

 兵長を含め、3人の犠牲者が・・・・・


 私はレインオラクル国の魔装機を

 攻撃しようかとも思ってしまっていた


 そんな時

 私の怒りを鎮めたのはディーヴァ中佐だった


 ディーヴァ中佐の部隊が現れ

 攻撃するレインオラクル国の魔装機を止めていた



ディーヴァ

『私はローズストーン国の

 ディーヴァ・トリストル中佐だ!

 ローズストーン国の責任者として

 そちらの代表と話がしたい!』



 ディーヴァ中佐の言葉を聞き

 レインオラクル国の機士達は攻撃を止めた



レインオラクル国の機士

『ローズストーン国のディーヴァ・・・・・

 わかった、

 プラクト隊長の場所まで案内しよう』



 私はディーヴァ中佐に謝罪すると

 中佐は優しく皆にキャンプに戻る様に言った


 中佐だけでは危険だ

 私も同行させて欲しいと頼んだが

 レインオラクルの機士はダメだと拒んだ



ディーヴァ

『安心してくれロニー、直ぐに戻るさ』


ロニー

『ディーヴァ中佐....』



 中佐の言葉通り 数時間後に中佐は

 私達が待つキャンプ地に戻ってきた


 ローズストーン国の3人の犠牲者は

 向こうの者達が処分すると教えられ

 私達は何も言えず歯を嚙み堪えた


 オークキングには逃げられたが

 当分は姿を現さないだろうと中佐は言った



 私の失態を知り

 この場所の責任者をウルバ軍曹に任す用

 中佐は私に言った



 翌朝にウルバ軍曹の部隊が現れ

 ウルバ軍曹は嘲笑うかの目で私を見て言った



ウルバ

『聞いたぜロニー、

 仲間の機士を3人も犬死にさせたらしいな?

 お前に従う機士は本当に可哀想だよな〜?』


ロニー

『・・・・・』



 私はローズストーン国に返され

 自分の失態を悔いていた






➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖






 ローズストーン国の女王

 アテナ女王に面会していた私に

 アテナ女王は有る頼み事を言ってきた



ロニー

『タケル殿に

 魔装機の操縦を教えてあげて欲しい?』



 この国にはマナの高い男性、

 ウィザードと呼ばれる者が存在した


 タケル・ヤマト

 アテナ女王が面倒を見ていた子供だ


 ウィザードの力は世界を変える

 勇者とも言われる特別な存在、

 この国にウィザードが居る事は

 ディナガード国もレインオラクル国も知り得ない



アテナ

『私はタケルに戦って欲しくは無い...

 だが、もし世界が魔の手に染まろうとした時

 タケルの力が必要になるのかも知れない』



 アテナ女王の言葉を聞き入れ

 私はタケル殿の家庭教師として

 魔装機での戦い方をレクチャーした


 一般の機士なら

 数ヶ月は特訓が必要なのだが

 流石はウィザードと呼ぶべきか

 17歳の彼は

 3日で魔装機での戦いを全て理解していた


 模擬戦を開始して5試合目

 私の訓練用ソーダストは膝を突かされていた



ロニー

『流石はウィザードの力、

 クイーン級の私が負けるなんて...』


タケル

『ロニーの教え方が上手だったからだよ、

 機士学園には

 もっと面白い子が居ると聞いたよ?』



 確かアズマ大佐が言っていた

 私やキサラギの時と同じく

 若くしてクイーン級のマナを持つ子供が

 機士学園に入ったと・・・


 名前はココ・フレデリカと言っていたな、

 彼女が機士隊に入れば

 この国はもっと強くなるだろう


 それに

 アズマ大佐の妹のアズサちゃんも

 クイーン級のマナレベルに近いと聞いた


 うかうかしていたら

 私もキサラギも超えられるかも知れないな


 ・・・・・キサラギ


 私は部屋に閉じこもる

 キサラギの事を考えていると

 タケル殿は不思議そうな顔をして私を見ていた



タケル

『どうしたロニー?』



 何でも無いと言葉にするが

 明らかに様子が変だと思ったタケル殿は

 城に置かれている聖剣の話をした


 ある日 聖剣が消え

 城の機士達が慌てていた時があった


 次の日 聖剣は元の場所に戻っていて

 城の機士達は一安心した


 その聖剣を隠したのは

 俺だったんだとタケル殿は私に教え

 私を笑わせようと思ってくれたらしい



ロニー

『女王にこの事は報告する』


タケル

『嘘だろ!?』



 アズマ大佐の元に戻ると

 部屋の中からアズサちゃんの声が・・・



アズサ

『私は隊長になる!!

 この国を背負う機士になるんだ!!』


アズマ

『お前には無理だ、

 お前は私の側近として側で私の仕事を支えろ』



 言い争っていたアズサちゃんは

 怒った様子で部屋を出て行った


 何が合ったのですか?と私は大佐に聞くと

 大佐は有る計画の事を話した



ロニー

『部隊を3つに別ける・・・・・』



 大佐は言った、

 クイーン級の魔女が隊長を務める

 大部隊を3チーム作るのだと


 この国にはクイーン級の魔女が複数人存在する。

 クイーン級の私やキサラギを部隊の隊長として

 1つの隊を作ると言う事だろう、

 後1つ部隊を作るそうだが・・・

 クイーン級の魔女に近い妹君のアズサちゃんを

 隊長にと選ぶのだろうか?


 アズマ大佐の言葉に私は驚いた


 大佐は学園の生徒

 15歳のココ・フレデリカを

 機士の隊長に選ぶと言い出した



ロニー

『本気ですか大佐!?

 学園の生徒・・・

 子供を機士隊長に選ぶなんて・・・』


アズサ

『ロニーは知らないだろうが、

 ココはお前やキサラギよりも

 魔装機での実戦を既に終わらせ

 大型の魔物も倒す凄腕だ、

 それに 直ぐにと言う話では無い、

 近頃レインオラクルの動きが少し気になる・・・

 部隊の強化を考え無ければならないのだ』



 確かに・・・

 最近のレインオラクル国は

 突飛で過激な動きを見せている


 だとしても

 子供に武器を持たせ戦場に向かわせるのは・・・


 大佐は窓の外を見て言った、

 いずれ学園の生徒達は魔装機に乗り機士になる

 遅いか早いかと言う話では無いが

 もしこの国が敵国に襲われ滅んだ時

 そんな事すら無意味だったと

 気付く事すら無く死んでいくかも知れない....


 機士隊に入った者は

 死を覚悟して魔物と戦っていた、

 選ぶ前に

 選ばされる未来を私は考えてもいなかった...


 妹君のアズサちゃんの事はと尋ねると

 彼女は私の側で働かせると大佐は言っていた


 先程アズサちゃんは私も隊長になると言っていた


 大佐の言葉を聞き私は思った、

 計画を知っていた彼女は自分の部隊を持ち

 機士として戦いたいと言う

 選択肢を選びたかったのでは?っと



ロニー

『家族の問題なので口出しするのは失礼なのですが

 大佐は妹君の事を心配しすぎだと思います、

 彼女ももう時期20、立派な大人です』


アズマ

『うむ・・・、ロニーは

 アズサの好きなようにさせろと言いたいのか?』


ロニー

『少しばかり....』


アズマ

『アズサは私の側で

 働いて欲しいと思ったのだが・・・・・、

 話は変わるのだがロニー、

 女性同士の結婚をどう考える?』



 唐突な変化球に

 私の心臓はドクドクと動きが早まっていたが、

 顔色1つ変えず

「どう言う意味ですか?」っと言葉を返した


 自分の妹と結婚して

 妹に近付く男を始末したいと大佐は言い出した


 コレは・・・・・重症だ・・・・・

 まさかアズマ大佐が

 ここまで妹君の事を愛していたとは・・・・・


 両親を早くに亡くし

 たった1人の家族だと聞く、

 肉親が姉妹しか居ないからこそ

 姉の愛はコレ程までに重くなるのだろうか?



アズマ

『アズサには私が必要なハズだ!

 たった1人の家族だからこそ

 私達は誰よりも繋がっているのだ!

 何処の誰だか知らない男が

 アズサを不幸にさせる可能性もある!

 私はそんな事を見過ごせない!!』



 力強い大佐の言葉に

 私はなんて言葉を返そうかと悩んだ


 アズマ大佐が婚約者の方を探さなかったのは

 まさかコレが原因なのだろうか?


 私が困り果てて居ると

 部屋の扉を強く叩き

 二等兵の機士が部屋に入ってきた


 その機士は焦っていた様子で

 私と大佐に言った



二等兵

『アズマ大佐にロニー少佐大変です!!

 ウルバ軍曹の部隊が未知の魔物に負け

 ディーヴァ中佐は魔物を追い

 連絡が取れなくなったとの事です!!』


ロニー

『なんだって!?』



 私は1人で荒野のキャンプ地に戻った


 キャンプ地の外には

 多くの破損した魔装機が並び

 医療テントの中には

 重症の怪我人が治療の順番を待っていた


 腕を怪我していたウルバ軍曹は

 私の顔を見て舌打ちをしていた



ウルバ

『チッ、笑いに来たのかよロニー少佐』


ロニー

『ウルバ軍曹大丈夫ですか!?

 いったい何が・・・・・』


ウルバ

『見た事も無い魔物が現れやがった、

 奴らはレインオラクルの領土から現れ

 俺達機士隊を次々に倒しやがった』



 その魔物にディーヴァ中佐は・・・


 魔物がどの方角に逃げたのを

 ウルバ軍曹は私に教えてくれた



ウルバ

『この近くに集落が合っただろ、

 奴と中佐はそっちに向かって行った....』



 まさか・・・・・ローラン元大佐の村!?


 私は立ち上がり

 直ぐに魔装機に乗り、村に向かおうとすると

 怪我を負っていなかった二等兵の機士

 リニアは自分も連れて行ってくださいと

 私の前に立っていた


 リニアの気持ちは嬉しいが

 軍曹や部隊の機士達の事も心配だ


 戦える者が何人かは残った方が良い、

 ありがとうと私はリニアに言い

 皆を頼むと言葉を返した


 私の目を見て何かを察したリニアは

「はい」っとだけ返事を返した



 魔装機に乗り

 ローラン大佐の住む村に向かうと・・・・・


 そこには

 村と呼べる物や人も建物も全て無くなっていた


 砂埃や木材の破片だけが風に飛ばされる光景に

 私は言葉を失っていた



ロニー

『そんな・・・・ローラン大佐・・・・』



 家や人の形を残していない残骸を

 魔装機の手を使い持ち上げた


「危ない!!」っと声が聞こえ

 私は魔装機を動かし

 後ろからくる何かの攻撃を避けた


 言葉を掛けてくれたのは

 指揮官用のソーダストに乗った

 ディーヴァ中佐だった


 中佐の乗った魔装機を確認して

 私の前に現れた正体不明の魔物に目を向けた


 4本の足に尾の長い魔物

 全体は黒い色をしている、

 こんな魔物は見た事も無い・・・・・


 魔物は口をパクパクと動かし

 何かを喋ろうとしていた


 ディーヴァ中佐はソーダストの剣で

 魔物の足に攻撃をする



ディーヴァ

『気を付けろロニー、この魔物が村を

 ローラン大佐を倒した犯人だ!!』



 私も武器を構え

 ディーヴァ中佐と共に魔物に攻撃をした


 私と中佐は機士隊の中でも

 魔装機を動かす操縦技術は誰よりも優れている


 中佐とは過去に 多くの魔物を倒した事も有る


 見事な連携で

 私は尾の長い尻尾を切り落とし

 中佐は魔物の手足を切断した


 首だけが残った魔物は

 口をパクパクと動かし何かを喋った



魔物

『キヲツケロ・・・・キヲツケロ・・・・』


ロニー

『ん?』



 ウルバ中佐は魔物の首に剣を刺し

 魔物にトドメを刺した


 さっきの言葉は・・・・・

 時に魔物は荒唐無稽な言葉を喋る個体も存在する

 意味の無い言葉だろうと私は思ったが

 何かが引っかかる気がした・・・・・


 それにしても

 とても強い魔物だった・・・・・

 中佐と一緒で無ければ

 勝てていたかも分からない・・・・・


 コレを見てくれと中佐に呼ばれ見てみると

 その場所には

 前の戦いで逃したオークキングが倒れていた


 オークキングの腹部は

 何かに噛まれた痕が残されていた・・・・・



ディーヴァ

『さっきの魔物、

 アレが私達の前に3体現れたのだ』



 3体!?

 今倒したのが1体だとすると

 残り2体がまだ何処かに居ると言う事なのか!!


 この周辺にはもう村が残っていない

 全部隊を撤収させ

 1度ローズストーン国に帰還しようと

 中佐は私に言った


 レインオラクルの領地から現れた未知の魔物

 凄く気掛かりだ・・・

 どうしてこんな魔物が突然現れたのか・・・

 レインオラクル国の策略なのか・・・

 それとも・・・・・






➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖






 ローズストーン国に帰還した私達は

 荒野での戦闘記録を大佐に報告していた


 レインオラクルの領地から

 突如現れた正体不明の魔物

 そして

 私達機士隊がレインオラクル領土に侵入した際

 直ぐにレインオラクル国の機士に見つかった事


 この二つは何かの関係を持っているハズだ、

 その事はアズマ大佐も考えていた



アズマ

『レインオラクル国に

 私達機士隊の動きが知られていた、

 機士隊の仲間の中にレインオラクル国と繋がり

 情報を流した者が居ると言う事になる』



 裏切り者の存在・・・・・


 腕を怪我して包帯を巻いていたウルバ軍曹は

 私が犯人だと声を大にして大佐に話した



ウルバ

『ロニーの奴が裏切り者だ!!

 コイツが先行して部隊を指示していた、

 兵長や仲間の機士を2人も殺したのは

 コイツなんだアズマ大佐!!』


ディーヴァ

『待ちたまえウルバ軍曹、

 私や君にも歴としたアリバイは存在しない』



 ディーヴァ中佐はとある仮説を話し始めた


 レインオラクル国に情報を流していたのは

 元大佐のローラン大佐だったのでは無いかと


 大佐はレインオラクル領に近い場所に

 1人で暮らしていた、

 用済みに成ったローラン大佐を

 魔物を送り始末させたのではないかと

 ディーヴァ中佐は話していた



ウルバ

『なるほど・・・』


アズマ

『だがその根拠も無い』


ディーヴァ

『あくまで仮説ですよアズマ大佐』



 ローラン元大佐がそんな事を・・・

 私はそうでは無いハズだと思っていた


 とにかく

 残った魔物は二体、

 その魔物が村や街に危害を加える前に

 私達機士隊が倒さなければいけない.....


 私や中佐の力を使いやっとの相手、

 機士の者達には負担が大き過ぎる・・・・・



 私はキサラギの部屋に向かい

 扉をノックする事なく部屋の前で話し始めた



ロニー

『私だよキサラギ・・・・・

 君の苦しみは私には理解できない・・・いや

 理解しようとしなかっただけなのかも知れない』



 キサラギは友を失い苦しんでいる....

 失った者はもう帰って来ない、

 その悲しみに

 私はなんと言葉を掛ければ良いのだろうか....


 キサラギの気持ちを理解してなかった事

 時間が解決してくれると思っていた事

 重い責任を押し付けてしまっていた事

 全てを私は謝罪した


 君の友じゃ無くても良い

 肩を預けられる者で無くても良い

 不幸や悲しみを

 分け与えれる存在にも成れなくたって良い

 それでも!私は信じる!!

 キサラギこそ真の友だと私は思っているから


 部屋の扉に話終えた私は

 ゆっくりと立ち上がりその場所を去っていた


 部屋の扉が開いていると気付かずに・・・



 機士隊本部に私は戻ると

 ディーヴァ中佐は私を呼び止め

 レインオラクル領から現れた

 残り2体の魔物の情報が入ったと言った


 1体はローズストーン国周辺の森に隠れ

 もう1体は

 ローズストーンとレインオラクルの

 国境が引かれた森に入って行くのを

 機士の者が目撃したそうだ


 2体とも別の方角だ・・・

 ローズストーン国に残っている

 機士の数も考えると

 大勢での部隊で動くより

 少数で魔物と戦うやり方を取るべきだろう


 私とロニーが二手に分かれ

 別方向の魔物を倒すやり方を

 ディーヴァ中佐は提案した


 あの強い魔物を二手に!?

 私が驚いていると、中佐は言う



ディーヴァ

『我が国には

 試作品だが新型の魔装機が2機存在する。

 ソーダストとは違う強力な力を使えば

 私とロニーであればあの魔物にも勝てるハズだ』



 試作品の魔装機・・・・・

 リーンパルシオンの事だろう・・・・・


 私とディーヴァ中佐は

 2機しか無い

 試作機の魔装機リーンパルシオンに乗り

 二手に分かれ魔物を探した



 ソーダストよりも性能の良い魔装機、

 魔装機を発見するレーダーとは違い

 熱源探知のレーダーが搭載されている、

 コレならば

 姿を見せぬ魔物も炙り出す事が可能だ.....


 早速、敵の反応を察知した!


 私はリーンパルシオンの武器を取り出し

 敵の方角に向け魔弾を放った


 普段扱う兵器とは違い

 リーンパルシオンの銃からは

 激しい音が鳴り響き

 高火力の魔弾が炸裂した


 魔物の首が私の目にも写り

 天高く悲鳴を上げる


 凄まじい兵器だ・・・

 コレがローズストーン国の新型機、

 いや・・・・・この力は・・・・・


 もう一度魔弾を撃とうとすると

 魔物はリーンパルシオンに目掛け

 飛びかかって来た


 リーンパルシオンの剣を取り出し

 魔物の胴体を切り裂いた、

 軽い・・・剣を動かす動作が物凄く軽く

 腕に掛かる抵抗が全く無い


 地面に倒れる魔物に

 最後の一撃を加えようとすると、

 魔物は口をパクパクと動かし

 また何かを話そうとしていた


 また意味不明の言葉の羅列を・・・

 そう思っていると・・・



魔物

『ワケ・・・セン・・・ロニー・・・サ・・・

 モウシワケアリマセンロニーショウサ・・・』


ロニー

『!!??』



 申し訳ありませんロニー少佐

 今そう言ったのかこの魔物は・・・・・


 どう言う事なんだ、

 どうして魔物が私の名前を!!


 困惑する私に

「ご苦労だったロニー少佐」っと言葉を発し

 ディーヴァ中佐の乗るリーンパルシオンが現れた


 中佐がどうしてこの場に!?

 もう1体の魔物を

 倒しに向かったのでは無かったのか?


 中佐と共に見知らぬ老人も現れた、

 老人は魔物を見て

 完璧に仕上がっていると言っていた


 誰なんだこの人は・・・

 どう言う事なんだこの状況は・・・

 私は全てを中佐に打つけ問いただそうとした



ディーヴァ

『あぁ、ロニーにはまだ教えて無かったね....

 もう1体の魔物なんて存在しない、

 この魔物は私と一緒に倒したのと

 君が倒したコイツだけだ』


ロニー

『中佐・・・何を・・・』



 その言葉だけで

 全てを私は理解していた


 中佐は目の前に居る老人を紹介した、

 この老人はレインオラクル国の科学者で

 リーンパルシオンを作った

 ゲイルン・ダットシー博士だと


 博士は私達ローズストーン国に

 手を貸してくれる事を約束した


 強い魔装機が手に入れば

 私達の国はもっと強くなる、

 被害を出し魔物を倒す事など無くなり

 ディナガード国やレインオラクル国とも

 戦える兵器を手にする事が出来るのだと...


 博士に魔装機開発を手伝って貰う為に

 いくつかの条件が必要だった・・・・・

 1つはレインオラクル国に

 機士隊の動きや情報を流す事・・・・・

 もう1つは

 博士に実験サンプルを用意させる事・・・・・



ロニー

『実験サンプル・・・・・』


ディーヴァ

『人を魔物に変える実験を

 博士はやりたいと言っていてね』


ゲイルン

『ディーヴァ君が用意してくれた

 死に掛けの3人のサンプルは役に立ったよ、

 1人は失敗して死んじゃったけど

 2人は成功してこの通りなんだからね』



 3人のサンプル・・・・・

 間違い無い・・・その3人は・・・



ディーヴァ

『ローラン元大佐にも私の考えを聞いて貰ったよ、

 だけど彼女は間違った返答をしてしまったから

 魔物の襲撃と言う事で消させてもらったよ』


ロニー

『ディーヴァ中佐・・・貴方は・・・』



 彼女は私に言った、

 分かるだろ?

 この国の機士は強くても魔装機の力が無い

 私達がレインオラクル国と並ぶには

 力を持つ兵器が必要なのだと



ディーヴァ

『アズマ大佐にも退場願おう、

 機士隊を分け武力の分散を考えている馬鹿な人だ

 私に、妹のアズサの

 面倒を見てくれと言っていたんだよ?

 私は彼女の子守では無いからね』



 薄々勘付いていた

 少し前・・・もっと前からかも知れない・・・

 そうでは無いと思っていた

 甘えた考えを持つ自分が邪魔をした



ディーヴァ

『ロニーは分かってくれるだろ?

 あのキサラギって女も君には必要無い、

 私と君の2人でこの国を守ろう』



 答えなら決まっている

 返事を返す事も必要無い


 私はリーンパルシオンを動かし

 剣をディーヴァの乗る魔装機に向けた



ディーヴァ

『・・・・・残念だよロニー』


ロニー

『ディーヴァァァァア!!!!』



 激突する2機の魔装機

 魔弾を撃ち地面が揺れ、剣の衝突で火花が散る


 ゲイルンと呼ぶ者は何処かに逃げ消えていた


 私の目に映るのは

 ディーヴァの乗る魔装機だけだった.....


 お互いの動きは全て知っていた

 次の攻撃の動きも、反撃の動作も、

 今まで戦ったどんな魔物よりも強く感じていた



ディーヴァ

『アズマ大佐が死ねば

 私の考えに皆賛同してくれるだろう、

 君には良い役職を与えるつもりだよ?』


ロニー

『この場で私がお前を倒す!!』


ディーヴァ

『君ってそんな声も出せるんだね、

 ちょっとビックリだよ』



 剣は弾き飛ばされ

 銃は地面に叩き落とされた、

 どうやらディーヴァの方が私より

 この魔装機を上手く扱えると言う事なのか....


 剣をコックピットに向けディーヴァは言った

「君は機士隊の中でも利口な機士だ、

 レインオラクル国との戦争となれば

 私達の国は必ず滅びる、

 私の考えも少しは分かってくれてるだろ?」



ロニー

『分かりません、私は愚かで

 機士の仲間を見殺しにする貴方とは違う』


ディーヴァ

『そうか・・・・本当に残念だ、

 ならば最後は私がこの手で!!』



 魔装機のマナを込めると

 私の魔装機から闇の刃が現れ

 ディーヴァの乗る魔装機を貫いた


 ディーヴァも私の魔装機に

 致命傷の一撃を加えていた



ディーヴァ

『なんだと!!魔装機で魔法を!?

 ・・・・・流石は

 クイーン級の魔女と言う事か...』


ゲイルン

『その魔装機じゃもう数分と持たん、

 一旦この場は引くべきじゃ!!』


ディーヴァ

『・・・・・良い事を教えてあげるよロニー、

 ゲイルン博士は既に

 人を魔物の姿に変える人魔(ジンマ)を

 数体作り上げる準備をしている、

 人魔を全てローズストーン国に放ち

 機士隊を解体させるよ』


ロニー

『ディーヴァ....』


ディーヴァ

『計画は全て君のおかげで失敗した、

 この国は君が滅ぼす事に成ったんだよロニー』



 2人は何処かに消えて行った・・・・・


 私は血を流しながら

 なんとか魔装機を動かし国に帰還した・・・・・


 魔装機から倒れながら降りると

 整備士達の声が聞こえ、意識が霞んでいった

「ロニー少佐が重症だー!!」

「タンカーを運べ!医療班も直ぐにだ!」

「ロニー少佐!!聞こえますかロニー少佐!!」






➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖






親しんだ声

『ごめんなさいロニー、私がもっと

 貴方の事に目を向けていれば

 こんな事には・・・・・

 ありがとうロニー、行ってくるわ』



 目を開けると病室の窓が見えた、

 どうやらこの国は

 まだ人魔の襲撃に染まっては無いようだ


 アレから

 数ヶ月か数週間は経過していないと言う事だ、

 私が目覚めると同時に

 アズマ大佐が現れ調子はどうだと聞いてきた


 何日経ったのですか?っと

 私は質問を質問で返した



ロニー

『1日ですか?2日ですか?

 まさか3日ですか?』


アズマ

『全て不正解だ、・・・・半日も経っていない』



 良かったと私は思っていた

 それより

 ディーヴァの事や人魔の事を報告しないと!!

 そう思いアズマ大佐に話がありますと私が言うと

 大佐は「知っている」っと言葉を返した



アズマ

『君の機士精神は凄い、タンカーに運ばれながら

 ディーヴァ中佐の計画を

 事細かに私達に説明していたよ』



 全く記憶に無い・・・・・

 私は気を失いながらも

 大事な事を伝えていたのか・・・・・


 アレから半日と言う事は

 今なら逃げたディーヴァを追う事ができる、

 私は立ち上がり魔装機倉庫に向かおうとした



アズマ

『何処に行く・・・・・

 その傷で無茶な事をするな、

 大佐の命令だ、ロニー少佐は・・』


ロニー

『私は彼女と決着を付けねばなりません』


アズマ

『君がこの国を離れれば誰が人魔と戦える!!

 人魔は強敵だ、戦える戦力は・・』


ロニー

『大丈夫です、この国には私より強い者がいます』



「では」っと話しを終え病室に廊下に出ると

 何かを持ったタケルが病室の前で待っていた


 何も言わなくても

 目だけで意思疎通を私とタケルはしていた


 納得した様子で タケルは私に何かを手渡した



ロニー

『コレは・・・・・』


タケル

『この国を守る聖剣だ、

 聖剣がロニーを守ってくれる』



 城から持ち出した聖剣を手に取り

 御守り代わりだと渡してくれた・・・


 ありがとうタケル

 私は行ってくる、彼女との最後の戦いに


 魔装機倉庫に向かうと

 整備班のリーダービドルさんが私に言った、

 ロニーが持って帰って来たリーンパルシオンは

 ディーヴァ中佐が持ち帰った魔装機で

 私達じゃ修理の方法も分からないと


 残った魔装機は

 指揮官用のソーダストしか無かった・・・・・



ビドル

『女帝機さえ完成していたら、

 こんな事になんか・・・』


ロニー

『大丈夫です、ありがとうビドルさん』



 私は指揮官用のソーダストに乗り

 ディーヴァと戦った森に向かった



 私が国を離れてから数時間後

 人魔の群れがローズストーン国に現れた



ウルバ

『クソ、とんでもない数だ.....

 もうこの国は滅びるだろうよ.....』



 機士の1人が

「アレは!?」っと大声を出すと


 1機の指揮官用ソーダストが

 人魔の群れに突撃した



ウルバ

『馬鹿かアイツ!?

 あの数を1人で倒せる訳ねぇーだろ!!』



 指揮官用のソーダストは

 次々と人魔を倒して行く


 凄まじい強さに

 機士の皆は言葉を失い

 あの魔装機に誰が乗っているのだと

 皆は思い言葉にした


 人魔を1人で全て倒した

 指揮官用ソーダストは天を見上げていた



キサラギ

『ありがとうロニー、私はもう迷わないわ』






 太陽が沈み

 森は暗く不気味な雰囲気を増していた


 微かだが魔装機の反応がある・・・

 私のマナ探知の魔法にも

 ディーヴァのマナを感じ取れていた



ロニー

『ディーヴァ!!姿を見せろ!!私はここだ!!』



 不気味で静かな森で私が叫ぶと

 ボロボロの魔装機

 リーンパルシオンが現れた


 どうやら、

 魔装機を修理する時間が無かったようだ


 リーンパルシオンから降りて来たディーヴァは

 私の乗る魔装機の前に立った



ディーヴァ

『どうやら私の計画は

 全て失敗に終わってしまったと言う事だね・・・

 あの博士はもうこの場所から去った、

 国に帰っても証拠を消され殺されるだけ

 私も同じだ、

 帰る国を失い全てを手放してしまった・・・』



 この結果に不満を持っているのかと思ったが

 そうでは無さそうだった・・・


 強い魔女が機士隊のトップに立つ、

 私やキサラギが部隊の隊長として

 ディーヴァは何もかも納得していなかった


 クイーン級と呼ばれる魔女が憎い

 産まれながらの才能と言う力を持つだけで

 努力を重ねた者の意味は全て無になる、

 夜空を見上げディーヴァはそう言っていた



ディーヴァ

『君が私を壊した・・・

 私は誰かに殺されるだろう、

 だが・・・この命が尽きる前に

 君の命も道連れにする!!』



 手に持っていた注射器の用な物を首に撃ち込み

 ディーヴァは苦しそうに地面に倒れた


 ディーヴァの姿は少しづつ形を変え

 人魔と呼ばれる化け物の姿に変わっていた



人魔ディーヴァ

『ロニー・・・

 お前の肉体を食い私はもっと強くなる』


ロニー

『人を辞めたかディーヴァ』



 人魔の姿になったディーヴァは

 鋭い爪や硬い尻尾を使い

 私のソーダストを攻撃した


 他の人魔より強い・・・・

 魔物の強さとそれ以外の強さを

 合わせ持っていると言う事なのか・・・・・



人魔ディーヴァ

『ロニー、君だけは絶対に殺す。

 ローズストーン国の機士達にも

 君と同じ目に合わせてやる!!

 君が機士の皆を殺すのだ!!』



 警告音が魔装機内に鳴り響き

 ソーダストの剣をディーヴァの首に刺し

 私は魔装機から脱出した


 首から血を流してはいたが

 それでもディーヴァは動き続けていた


 魔法を使いディーヴァに攻撃しても

 大したダメージを与えられない・・・、

 足に踏み潰されそうになり

 私は地面を転がりながら距離を取った


 魔装機を失っては

 魔物に勝つ事は不可能だ・・・・・

 私はこのまま殺されてしまうのか?


 ディーヴァの低い唸り声を聞き

 私は聖剣を取り出し

 ディーヴァの攻撃を聖剣で防いだ


 攻撃を受けた聖剣の剣先は折れ

 ディーヴァは笑いながら私に言った



人魔ディーヴァ

『聖剣の力はこの程度なのか、

 今度こそ終わりだロニー!!!!』


ロニー

『聖剣の力は失われてなどいない!!』



 折れた剣先から光が輝き

 その光はディーヴァの動体に突き刺さった


 聖剣の光はこの世界を守る聖なる輝き、

 光は私の想いと重なり合い

 正義の刃と形を変えていた・・・・・


 森を切り裂く雄叫びを上げ

 聖剣と魔物になったディーヴァは光に消えた...

 残ったのは

 破壊された魔装機と私だけだった




▶︎2年前


 アレから一年後

 機士隊を解体しアズマ大佐は四つの部隊を作り

 クイーン級の魔女達を部隊の隊長にと選んだ


 キサラギが隊長を務めるダイヤモンド隊

 ココ君が隊長を務めるアメジスト隊

 アズサ君が隊長を務めるガーネット隊


 そして

 私が隊長を務めるトパーズ隊


 アズマ大佐は四つの部隊を指揮する総隊長として

 私達の働きを見守っていた


 それに

 最近は生き残りのエルフの子供に

 魔装機での戦い方を教えていた



 そして現代

 レインオラクル国との戦いで

 多くの犠牲を出し沢山の死者が出たが

 私達はドルズと呼ぶ悪の親玉を倒し

 世界を平和にした



▶︎現代


 私は目を閉じ笑っていると

 部屋に入っていたアズサは

 気持ち悪そうに私の顔を見ていた



アズサ

『1人で変な顔して怖いわよ』


ロニー

『いや・・・昔を懐かしんでいただけだよ』


アズサ

『それより、

 西の地区からの報告なんだけど・・・・』



 この先の未来・・・この世界に・・・

 どんな過酷な試練が待ち受けているか

 私では想像もできない


 だけど


 アズサやココ君やリオンやアラン

 それにネル達がこの世界を守ってくれる

 それだけは確信できる・・・・

【ローラン・クルセニア】

 元魔装隊の大佐


【ディーヴァ・トリストル】

 機士隊の中佐


【ゲイルン・ダットシー】

 レインオラクル国の学者


魔装機 リーンパルシオン


魔物 キングオーク

   人魔(ジンマ)

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