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魔装機マナリリアン  作者: ロア
   WORLD of END 9章
91/120

9章 生まれたこの世界は 77話-汚された世界

〈77-1 boot十二宮〉


▶︎???


 何も無い白くて広い空間に

 白い大きなテーブルに白い椅子


 その場所には十二宮と呼ばれる

 未だ姿を見せない組織の者達が集まっていた



レオ

『久々に来てみたら

 まだリーダーが到着してないのかよ』


キャンサー

『レオうるさい、

 ネイル塗ってるんだから静かにしてよ』



 この2人はレオとキャンサー


 十二宮には産まれの順番が存在している


 レオは5番目

 キャンサーは4番目に産まれた


 元気が溢れていたレオは

 退屈で暇な時間を足をガタガタと揺らしながら

 待てない犬の様に待っち


 キャンサーは自分の爪にネイルを塗り

 オシャレに気を使っていた



アクエリアス

『キャンサーちゃんはオシャレが好きよね』


ピスケス

『それ変な臭いでイヤ〜』



 アクエリアスとピスケス

 十二宮のメンバー


 アクエリアスは11番目の産まれ

 ピスケスは最後の12番目の産まれ


 背が低く子供の様な行動を取るピスケスと

 大人の女性の風格を感じさせるアクエリアス


 この2人は

 以前 魔族のユーリム達と接触した過去がある



キャンサー

『可愛いっしょ!』


アクエリアス

『キャンサーちゃんはいつも可愛いわ』



 肌も少し黒くして

 指の爪も伸ばしネイルを綺麗に塗るキャンサー


 そんなキャンサーの相棒だったレオは

 キャンサーの何処がオシャレなのか分からず

 少しムカムカとした表情を見せていた



レオ

『ヴァルゴの奴は潜入して

 この場に居ないのはいいが、

 サジタリウスと

 カプリコーンの奴は来てないのかよ?』


アクエリアス

『2人なら居るじゃない、ほら』



 2人が何処に居るのか

 アクエリアスはレオに教えた


 無言のサジタリウスは

 自分の椅子に座り瞑想し

 カプリコーンは

 部屋の角でブツブツと何かを言っていた



レオ

『お前ら居たのかよ・・・ビックリさせんな』


サジタリウス

『お前ほど騒がしくないだけだ』


カプリコーン

『私なんて無価値で根暗で....

 十二宮の皆から不要と思われてるんです....』



 サジタリウスとカプリコーン

 十二宮のメンバーの2人


 サジタリウスは9番目

 カプリコーンは10番目の産まれである


 ブツブツと何かを言う怖いカプリコーンと

 寡黙なサジタリウスを見て

 どう反応しようかと悩むレオ


 この2人とは仲良くできそうに無いと

 レオは勝手に考えていた



 部屋の角でブツブツ独り言を言うカプリコーンに

 ピスケスは遊ぼうと元気良く誘ってみた



ピスケス

『まだ全員揃ってないし遊ぼうよカプリコーン!』


カプリコーン

『え!、本当ですか?』


アクエリアス

『ダメですよ〜、

 もうすぐ皆んな揃うから少し我慢してね』


ピスケス

『だってさカプリコーン』


カプリコーン

『どうせ私なんか根暗で意地悪で

 誰からも愛されない可哀想な存在なんです.....』


ピスケス

『あらら、また独り言始めちゃった』



 ブツブツと何かを言うカプリコーンを

 全く気にしていなかったキャンサーは

 リーブラとスコーピオに話を振った


 デッドデスターと接触した2人は

 この異世界を大きく行動していた


 何か面白い物などなかったのかと

 2人に聞いてみた



キャンサー

『でっ!!どうなのよ?』


レオ

『やめとけキャンサー、

 リーブラとスコーピオは任務を失敗したんだ、

 デッドデスターの仲間に入り

 そいつらを中から動かすって任務をな!』


リーブラ

『・・・・・』


スコーピオ

『私達を侮辱しているのか!!』



 リーブラとスコーピオ

 十二宮のメンバーの2人


 リーブラは7番目

 スコーピオは8番目の産まれ


 この2人は

 デッドデスターと呼ばれる山賊達に接触した


 本来の目的は

 デッドデスターの仲間に入り

 内部からデッドデスターを操る事だった


 しかし

 デッドデスターのボス

 ドライゴン・ビスチャリムは

 彼女達を最後まで不審に思い

 仲間の申し出を断った


 作戦は失敗したが

 結果は予定通りにデッドデスターは崩壊した


 しかしレオは

 作戦が失敗した事をリーブラとスコーピオに

 何度も言っていた



レオ

『もし奴らが俺達の事を話てたら

 それで全ての計画が無駄になっていたかもな〜』


スコーピオ

『貴様の任務は地形調査の楽な仕事だろ、

 人族に接触する私達とは任務の種類が違う』


レオ

『言うじゃねーか、

 魔装機無しの強さなら誰にも負けねーぞ』


キャンサー

『辞めてよ2人とも、

 リーブラもなんか言ってやって』


リーブラ

『・・・・・』



 レオとスコーピオの喧嘩を笑う者が居た


 ムカつく笑い声にレオは反応して

 そいつに言った



レオ

『何が可笑しいんだよジェミニ!!』


ジェミニ

『小物同士馬鹿見たいで笑える』


レオ

『上等だ!!スコーピオとリーブラの前に

 そのムカつく笑いを止めてやる!!!!』


タウラス

『それ以上大声で暴れるなら

 十二宮のリーダー代理として

 私が相手になるぞ!!』



 レオを嘲笑うジェミニと

 仲間の喧嘩を止めるタウラスも十二宮のメンバー


 タウラスは2番目

 ジェミニは3番目に産まれた


 タウラスとジェミニは

 魔業教団内部に入り込み

 ネルのマナリリアンと戦闘をした


 窮地を演じ、最後は

 ネルの前で自爆して死んだと思わせていたが

 タウラスもジェミニも死んではいなかった


 タウラスは十二宮のリーダーから

 私が不在の時は皆を任せると頼まれていた


 くだらぬ言い争いで

 神聖なるこの場所を汚す訳にはいかない、

 そうタウラスは考えていた



レオ

『・・・チッ、わかったよ』


ジェミニ

『素直な兵士は長生きするよ』


タウラス

『お前もだジェミニ!!

 勝手な行動で仲間を危険にさらすなら

 私がお前をこの場から追放する!!』


ジェミニ

『ハイハイ、そう怒んないでよ』



 仲間達の騒がしい声を聞きながら


 十二宮のリーダー

 アリエスが皆の場に現れた



アリエス

『皆さん待たせてしまいましたね』


レオ

『やっと来たかリーダー・・・・ん?

 おい、そいつらは....』



 十二宮皆の顔が強張り

 アリエスと一緒にやって来た者の顔を

 十二球達は見詰めていた



サジタリウス

『・・・・・』


キャンサー

『あらら』


スコーピオ

『どう言う事なのですかアリエス様!!』


ピスケス

『あれれ〜?

 どうして人間がこの場所に居るの〜?』



 アリエスと一緒にやって来たのは

 伝説の魔女のディナと

 レインオラクル国の元機士プラクトとバリル


 何故この場に人間が居るのだと

 十二宮達の目の色は変わっていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-2 割れる意見〉


▶︎???


 十二宮の集まる白い部屋に案内された

 ディナ プラクト バリルの3名


 神聖な十二宮だけが

 訪れる事を許されている場所に、

 ただの人間が現れ

 十二宮の皆はその者達の顔を睨んでいた


 歓迎されていない空気に

 気が短いバリルは十二宮全員を睨み言った



バリル

『なんだこのムカつく空気わ、

 新しい仲間がやって来たって言うのに

 歓迎もしてくれねぇのかよ』


レオ

『新しい仲間だぁ!人間見たいな

 知能の低い種族が何言ってんだ!!』


サジタリウス

『説明してくれアリエス』



 仲間達の反応を不思議に思いながら

 十二宮のリーダーアリエスは

 この者達の事を説明した


 我々十二宮は

 次のフェーズに移行する

 終焉の時までのカウントダウンは始まった


 十二宮を改めて

 ニューワールドとして

 この世界を終わりに導くのだとアリエスは言った



アリエス

『ニューワールドのリーダーを

 こちらのディナ様に任せるよう

 我らの主がお決めになりました。

 タウラスにはこの事を伝えたのですが?』


レオ

『どう言う事だよタウラスの姉さん!!』


キャンサー

『私達なにも聞いて無いんだけど〜』


カプリコーン

『良かった 私だけ仲間外れじゃなかった』



 額に汗を流すタウラス


 十二宮のリーダー代理として

 タウラスは皆を任せられていた立場であった


 無論、新しい組織のニューワールドの事も

 下等な人間と手を組み

 この世界を終焉に導く事も聞かされていた


 しかし

 人間の魔女が我らのリーダーを務めるなど

 皆が納得する訳ないと知っていたから

 タウラスは皆に話せずにいた



サジタリウス

『・・・・なるほど、状況は理解した』


アクエリアス

『あら!、サジタリウスちゃんは納得したの?』


スコーピオ

『我らの主様がそう言うなら仕方ない....』


リーブラ

『そうね』


キャンサー

『え!?2人も賛成な感じ!?』



 人間が

 自分達の仲間に入るのですら納得できてないのに

 更には

 人間が自分達のリーダーを務める事を

 一部の者達は納得していない様子だった


 このままでは

 組織の統率が低下すると感じたアリエスは

 多数決を取る事にしてみた


 人間の者達を歓迎するかどうか

 挙手生で十二宮の仲間に問うた


 アリエスを除く

 十二宮の者達は無言で手を挙げ

 自分が賛成なのか反対なのかを表した



 賛成派は

 ジェミニ リーブラ スコーピオ

 サジタリウス アクエリアス ピスケスの6名


 反対派は

 キャンサー レオの2名


 どちらとも手を挙げなかったのは

 タウラスとカプリコーンの2人


 潜入任務でこの場に居ないヴァルゴを含めると

 5名以上の者達は賛成かどうかも分からなかった



アリエス

『困りましたね』


タウラス

『申し訳ありません、私にはこの様な事

 決めるに難しいのです.....』


レオ

『カプリコーンはどっちなんだよ!!』


カプリコーン

『え〜っと・・・そのぉぉ.....』



 自分の考えが纏まらない

 タウラスとカプリコーン


 ディナは十二宮の者達に

 どうすれば私達を認めてくれるのかと

 反対派のレオとキャンサーに質問をした


 しかし

 その言葉にレオは激怒し、

 態度の悪い十二宮達にバリルは怒った



レオ

『人間がなに俺達に質問してんだよッ』


バリル

『なんだその態度わ!!

 テメェが1番ムカつくんだよ!!』



 衝突するレオとバリル


 手っ取り早く認めさせるには

 実力を示す方が早いとディナは考え

 反対派の者達に魔装機での決闘を挑んだ



レオ

『魔装機で?ハッ!

 人間が十二宮の俺達に勝てるとでも?』


バリル

『テメェのそのムカつく口を塞いでやるよ』


キャンサー

『丁度良いじゃん!

 レオと組むのはやなんだけど

 2対2のタッグバトルで白黒決めようよ!

 そっちのディナって人がリーダーに相応しいか

 実力を確かめる良い機会じゃん!』


アリエス

『分かりました・・・

 その条件で大丈夫ですかディナ様?』


ディナ

『ええ、構わないわ』



 勝手にタッグバトルの決闘を決められ

 内心バリルはムカついていた


 まだバリルは

 このディナと言う女を認めていなかった


 伝説の魔女と聞かされたが

 本当にこの女

 本物の赤の魔女ディナなのかも分からない


 十二宮のコイツらと同じ

 得体の知れない

 化け物共の仲間だとすら思っていた



バリル

『勝手に話を進めやがって気に食わないぜ..』


プラクト

『バリル無茶はするな

 この者達は私達の力を遥かに超えている、

 その気にだったのなら今頃私達は.....』



 プラクトはバリルを止めようとするが

 そんな親切心すらバリルは腹を立てていた


 いつからコイツは

 私の保護者に成ったのだと愚痴を吐き捨て

 魔装機で決闘ができるフロアに移動した



プラクト

『バリル・・・・・』



 バリルを気にかけるプラクト


 このままでは彼女は早死にする

 そうなれば私も・・・・・


 そう考えていたプラクトの側に

 無邪気なピスケスが近づきプラクトに言った

「ねぇねぇ、お姉ちゃんは試合観ないの?

 面白くなりそうだよ!!」



プラクト

『嬉しそうですね』


ピスケス

『だってだって、

 レオとキャンサーが戦うんだよ!!

 あのディナって人は分かんないけど

 バリルって女がどう死ぬのか楽しみなんだ!!』


プラクト

『・・・・・』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-3 赤の力〉


▶︎??? 決闘エリア


 魔装機での決闘ができる

 広い空間に足を踏み入れた

 レオとキャンサー、ディナとバリルの4人は

 用意された魔装機の前に立っていた


 用意されていた魔装機は

 魔業教団から奪っていた

 レインオラクル製の魔装機バスタード


 武器は大剣だけを使い戦うというルール



バリル

『使い慣れた魔装機だ、

 俺がこの魔装機で負ける事なんてねぇ』



 中立の立場から試合を見ていた

 十二宮のリーダーアリエスにレオは聞いてみた


 ルールは勝ち負けを決めるだけ

 相手の生死は問わないのだな?っと・・・



アリエス

『構いません。

 我々の仲間に成り得る者達なのです、

 このレベルの試練なら越えて貰わなければ』


レオ

『それを聞いて安心したぜ』


ディナ

『言ってくれるわね』



 アリエスの言葉を聞き

 少し疲れを見せるディナ


 一緒に戦うバリルに

「大丈夫?」っとディナは優しく言葉をかけた



バリル

『テメェはテメェの心配でもしてろ、

 俺はまだテメェを信じた訳じゃねぇぞ!!』


ディナ

『あら、一緒に戦う仲間に酷い言い様ね』



 バスタードに乗り込んだ4人


 ピスケスはワクワクと体を震わせ

 カプリコーンはブツブツと独り言を喋り

 リーブラとサジタリウスは

 赤の魔女ディナが乗る魔装機だけを見ていた


 アリエスは試合開始の合図を取ると

 先行して攻撃を仕掛けたのは

 バリルの魔装機だった!!


 ディナの魔装機は後ろで待機して動かない


 1人でレオとキャンサーに挑むバリルを見て

 キャンサーはどうするかレオに聞いてみた



キャンサー

『どうする?』


レオ

『ウルセェ雑魚から潰してやるか』



 レオの魔装機は前に出て大剣を構えた



 突撃してきたバリルの攻撃を受け止め

 蹴りで距離を空けるレオ


 同じ性能差のバスタード、

 レインオラクルで育った自分なら

 同じ魔装機で負ける事なんて無い!!


 そう思っていた・・・


 しかし

 レオのバスタードはバリルのバスタードより

 明らかに性能が違う火力だとバリルは分かった



バリル

『なんだこの威力わ!!!!』



 同じ魔装機なのに

 自分が乗る魔装機の方が明らかに弱い


 十二宮の者達が

 自分達に勝つ為にズルをした

 そうバリルは思っていた



バリル

『クソ野郎共ガァー!!

 こんな真似までして勝ちテェのかヨォー!!』



 なんだか様子が可笑しいバリルに

 レオは教えてやった


 何故自分の魔装機が

 そちらの魔装機より性能に差があるのかを



レオ

『教えてやるよ人間、

 俺達十二宮は魔石の性質を

 最大限覚醒させる事ができんだよ!!

 だからお前の魔装機より性能が違うんだ!!』


バリル

『っんだと.....』



 バリルの魔装機の両腕を落とし

 コックピット目掛け大剣を振り下ろし

 ミンチにしてやろうとしたレオ


 それを見たディナは呆れながら

 バリルの魔装機目掛け大剣を振り投げ

 コックピットだけを破壊して

 バリルをコックピットごと吹き飛ばし助けた



サジタリウス

『的確に狙いを定め武器を投げ助けたのか』


タウラス

『そんな事が人間に・・・・』


ピスケス

『えー!!、人間が死ぬの見たかったぁー』


プラクト

『・・・バリル....』



 レオとキャンサーは

 1人残ったディナの魔装機を見ていた


 相手は1人

 こちらは2人


 更にこっちは魔石の力を最大限に扱え

 向こうの人間にその力は無い


 勝負が付いたとレオとキャンサーは思っていた



キャンサー

『降参でもする人間さん?』


レオ

『って言っても、

 降参なんてさせねぇけどな!!』



 仲間は単独行動で早々と敗れ

 向こうは同じ魔装機なのに

 魔石の力を覚醒させる力を持っている


 また溜息をするディナ、

 今日はとても疲れる日だと感じていた


 魔装機の中からアリエスの顔を見ると、

 アリエスは無言で頷いていた


 自分の実力を見せて良い

 そう合図を送られたのだとディナは感じた



ディナ

『仕方ないわね、

 2対1だけどやってあげるわ』


レオ

『キャンサー手を出すな!!

 俺が1人でやってやる!!』


キャンサー

『私魔装機に乗ってるだけじゃん!』



 武器を投げ武器を持っていなかったディナは

 レオの魔装機の攻撃を避け続けた


 いくら攻撃しても

 ディナの魔装機には

 傷一つ付ける事ができなかった


 呆れたキャンサーはレオに加勢する事にした



キャンサー

『何やってんのよレオの奴・・・』


レオ

『おかしい・・・何か変だ・・・』



 2機のバスタードが

 ディナの乗るバスタードに攻撃する


 2人の攻撃を全て回避するディナ


 どうして自分達の攻撃が当たらないのだと

 レオとキャンサーは不思議に思っていた



キャンサー

『何なのよコイツ!!

 未来予知者かなんか!?』


レオ

『そんな非科学的な事、合ってたまるか!!』



 焦りを見せていた2人


 ディナは汗1つ見せず

 淡々と攻撃を避け続ける



ディナ

『貴方達も力の秘密を教えてくれたから

 私の力の秘密を教えてあげるわ』


レオ

『んだと!!』


ディナ

『秘密って言っても

 そんな大層な事では無いのだけど、

 この場の空気や流れ

 貴方達の性格や行動

 全てを読み取って動いてるだけなの。』


キャンサー

『運が良いってレベルを超えてる.....』


レオ

『エスパー野郎ガァ!!

 そんな嘘で俺達を騙そうってのカァァァ!!』



 何も考えず突撃するレオ


 そんなレオを止めようとキャンサーは叫ぶ

「勝手に行動すんな!!

 時間を掛けて一緒に戦わないと!!」


 その言葉は正解だった


 一心不乱に攻撃を繰り出す魔装機の隙の

 チャンスを見逃す事はなかったディナは

 レオの魔装機から武器を奪い

 レオの魔装機を破壊した



 それを見た十二宮の者達は驚かされた


 人間が我々を倒した

 あの女は我々の力をも凌駕する力を持つのだと...



アクエリアス

『あらら〜、レオちゃん負けちゃったわ〜』


タウラス

『アレが伝説の三人、赤の魔女の実力・・・』


スコーピオ

『・・・凄い...』



 ディナの力を知っていたアリエスは

 無言で試合を見続け


 赤の力を目にした

 リーブラとサジタリウスもまた

 無言で試合を観ていた



ディナ

『後は貴方だけね』



 レオを倒し

 レオの魔装機から奪った武器を構えるディナ


 もう勝てる見込みは無いと分かったキャンサーは

 降参降参と言葉を投げ捨て

 武器を捨て負けを宣言した


 人間の者が我々十二宮の新たな組織

 ニューワールドのリーダーに相応しいと

 皆は理解した


 プラクトは急いでバリルのコックピットに行き

 中で怪我をしていたバリルを助けた



プラクト

『大丈夫かいバリル?』


バリル

『クソォォォォ・・・・・』



 酷い怪我を負い手足も動かず

 口を切り上手く喋られないバリルは

 横目でディナの姿を見ると

 彼女は笑顔でこちらを見ていた


 その様子にバリルはまたムカついていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-4 学園の友人〉


▶︎ディナガード国 学園


 ディナガード国の学園に潜入していた

 十二宮のヴァルゴ


 十二宮の中では6番目に産まれた彼女は

 学園内部に潜入して

 我々と協力関係だった機士フタナの

 監視役を任されていた



ハルタン

『ヴァルゴ聞いてるのか?おーいヴァルゴー』



 瞑想していたヴァルゴは

 ハルタンの呼び掛けで目を開け

 目の前にいたハルタンとハヤトの顔を見た



ハルタン

『どうしたんだ?眠いのか?』


ハヤト

『疲れてるのですか?少し休まれた方が・・・』



 大丈夫だと返事を返すヴァルゴ


 時期この学園生活は終わる、

 機士の連中も

 マナの高い学園の生徒達も皆消える


 十二宮の使命を

 全うしようとするヴァルゴだったが、

 自分なんかに

 いつも優しくしてくれるハルタンとハヤトに

 消えて欲しく無いと考え初めていた



ハルタン

『明日からまたテストだぁぁああ、

 学校ってのは何回テストさせるんだよぉ〜』


ハヤト

『テストが終わればまた長い休みですから

 それまで頑張りましょう』


ハルタン

『今日はハヤトの部屋で勉強会だ!!

 ヴァルゴも来るよな?』



 どうして自分が・・・

 そう思っていると


 ハヤトとハルタンは言った


 私達は友達だと・・・・・


 友達・・・

 その言葉を聞くと

 無い感情が芽生え苦しくなる


 この感覚はなんなのだと

 ヴァルゴは悩み続けていた



ハルタン

『本当に大丈夫かヴァルゴ!?』


ハヤト

『保健室まで一緒に行きましょうか?』



 大丈夫だ、1人で行けると2人に言って

 ヴァルゴは教室を出た


 廊下を歩いていると

 仲間が近くに居る感覚を感じ

 ヴァルゴはその場所に向かった



 そこには

 仲間のサジタリウスがヴァルゴを待っていた



サジタリウス

『潜入は順調か?』


ヴァルゴ

『あぁ、お前がこの場所に来るのは珍しいな』



 サジタリウスは

 十二宮会議に参加出来なかったヴァルゴに

 ニューワールドの事やディナ達の事を話した


 近々我々の作戦が始まる

 準備に抜かりはないかと聞かれ

 ヴァルゴは悩んでいた事を話した



ヴァルゴ

『こちらの仲間に迎えたい者が2人居る』


サジタリウス

『仲間に?・・・・その物達は

 我々の障害にならぬ者達なのだろうな?』



 ハヤトとハルタンの顔を浮かべ

 問題無いとヴァルゴは返事を返した


 少し返事が遅かったとサジタリウスは感じ

 ヴァルゴに質問をした、

 本当にその者達は

 こちらの仲間に加入するのかと?



 無言で考えるヴァルゴに

 サジタリウスはヴァルゴ自身に聞いた



サジタリウス

『使命を忘れるな』


ヴァルゴ

『・・・・・』


サジタリウス

『もしその者達が

 我々の邪魔をする者達なら..』


ヴァルゴ

『分かっている・・・その時は

 私がその者達を始末する....』



 ヴァルゴの返事を聞き

 何も言わずサジタリウスは帰って行った


 もし

 ハヤトとハルタンが敵に回ったら

 自分は2人を殺せるのか?

 そうヴァルゴは悩んでいた


 2人の笑顔や楽しかった日々を思い出し

 ヴァルゴは胸を苦しめていた


 人間と同じ心臓を持たない私達なのに

 何故胸が苦しむのだと...

 ヴァルゴは理解できなかった



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-5 フィルプスの性能〉


▶︎レインオラクル国


 自分の研究を続けていたヌーア博士


 毎晩徹夜の研究で疲れたヌーアは

 助手のヒナイを呼び、肩を揉むように頼んだ


 助手のヒナイは少し呆れた様子で

 返事を返す事無くヌーア博士の肩を揉んだ



ヌーア

『あぁ〜、凄く気持ち良いわよヒナイ』


ヒナイ

『若返ったのに

 肩こりを良く起こすんですから先生は、

 魔装機の研究より

 肩こりを無くす研究でもしてください。』



 ヌーア・ロニアルダ

 ネルのマナリリアンを作ったビット博士と

 ナインのディアスカスを作ったイオン博士と

 一緒に同じ魔装機学を学んできた博士の1人


 ヌーアは若返りの薬を完成させ

 64歳の元の体から34歳の体に若返っていた


 ヒナイはヌーア博士の助手で

 ヌーア博士から

 魔装機学を教えてくれている先生でもある



 ヒナイは孤児だった

 身内の居ないヒナイを拾ってくれたのが

 ヌーア博士で合った



 数年前

 ヌーア博士の家を掃除していたヒナイ


 家事全般を熟すヒナイは

 いつも通り掃除をしていると

 ヌーア博士の部屋から爆発音が聞こえ

 慌てて博士の部屋に入った



ヒナイ

『大丈夫ですか先生!!』



 煙が立ち込める部屋の中に

 見覚えのない若い女のシルエットが見え

 ヒナイは持っていたホウキを構え

 不審者が博士の部屋に侵入したのだと警戒した


 貴方は誰ですか!!

 先生の部屋で何してるんですか!!

 そう不審者に警告すると

 不審者は「ちょっと待てヒナイ!!」っと

 何故か自分の名を叫んだ



ヒナイ

『私の名前を知ってる?』


ヌーア

『そうだ、私だ!、私はヌーア博士だ!

 若返りの薬で若返ったのだよ!!』


ヒナイ

『・・・・・』



 昔の事を思い出し

 クスクスと笑うヌーア博士


 あの時の助手の反応が好きで

 今でも思い出したら笑ってしまうのだった



ヒナイ

『またあの事を思い出して笑ってるのですか?』


ヌーア

『ごめんごめん、

 それより今日のご飯はシチューが食べたい、

 ヒナイ作ってよ〜』



 可愛く駄々を捏ねるヌーア博士


 ハイハイと返事をして

 今から買い出しに行ってきますとヒナイは言って

 研究室を出て行った


 ヒナイの手料理が大好きだったヌーアは

 嬉しくてクルクルと回転する椅子で回っていた



 そうだと何かを思い出したヌーア博士は

 研究室を出て、ある博士の元に向かった



オノマト

『え?フィルプスシリーズに付いて?』



 やって来たのは

 アケミも乗っている

 フィルプスシリーズと呼ばれる魔装機を作った

 オノマト博士の研究室だった


 フィルプスシリーズは

 一号機から四号機までの4機が存在し

 一から三号機は魔族に盗まれ

 四号機はアケミに手渡し実験記録を取っていた



ヌーア

『貴方の作った魔装機から

 何かヒントが貰えるのではと思ったのよ』


オノマト

『技術を盗む宣言を堂々と・・・

 別に構わないんだけどね』



 オノマト博士は

 ヌーア博士にフィルプスの事を話した


 元々フィルプスはプルネンに言われ

 マナを宿す者と

 魔力を宿す者が乗れる魔装機として作られた


 魔族が復活すれば

 人間と対等に戦える武器を

 プルネンは用意していたのだ


 フィルプスシリーズには

 変換機バッテリーが搭載されている


 変換機バッテリーは

 魔装機を動かすコア、魔石と連動させ

 魔力をマナに近い物に変換させ

 魔石を起動させるシステムになっている


 ただ変換機バッテリーを

 量産機に取り付けるだけでは

 面白く無いと考えたオノマト博士は

 魔力ならではの武器が使えると考えた



ヌーア

『マティリアラシステム.....』


オノマト

『そう!!、

 魔力の性質を具現化させるシステム!!』



 アケミとネルが戦った時

 魔力の翼を作り出し空を飛び

 魔力の剣を具現化させ出現させた


 適当に考え作ったシステムだったが

 まさか成功してるとは思わなかったと

 オノマト博士は言い


 それを聞いたヌーア博士は

 この人は別ベクトルの天才だと思っていた



 フィルプスシリーズには

 魔装壁を超える二双魔装壁や

 何重にも重ねた

 鋼のワイヤーを左手から射出可能


 これも全て

 オノマト自身が作り出した



ヌーア

『貴方凄いわね』


オノマト

『でも、誰1人として

 僕の魔装機を見てくれないんだよね』



 魔力でも動かせる魔装機と言われて

 普通の魔女なら興味が惹かれないのは当然だった


 魔装機のプレゼンが下手なのだと

 ヌーア博士は思ったが、口にはしなかった.....



 次は武器に付いて聞く事にした


 アケミの乗る

 フィルプス四号機の武器は両刃剣


 フィルプス三号機には

 盾と剣を合わせた盾剣に

 フィルプス二号機には

 銃と剣を合わせた銃剣を搭載していた


 そして

 フィルプス一号機は

 剣先が回転する回転剣を武器として持っていた



ヌーア

『回転剣って・・・・それ意味あるの?』


オノマト

『一号機には更に秘密があるんだ!!』



 一号機には

 国を滅ぼす威力の自爆スイッチが搭載されていた


 それを聞いたヌーア博士は驚いた


 もし

 魔族の連中がそれを使えば

 何処かの国が吹き飛び大惨事を招く


 だけどオノマト博士は

 そうはならないと言った



オノマト

『自分を犠牲に自爆する者なんていないさ』


ヌーア

『貴方ねぇ.....』



 何故そんな物を作ったのかと

 言おうと考えたが

 ヌーア博士は何も言わなかった



 もし

 ユーリムがそれを使えば・・・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-6 幸せのシチュー〉


▶︎レインオラクル国


 自分の先生であるヌーア博士に

 今晩のメニューにシチューを頼まれ

 博士の助手ヒナイはシチューの材料を買いに

 広場のマーケットに行っていた



店の店主

『ハイよヒナイちゃん!!

 今日も料理を作んのかい?』


ヒナイ

『はい』


店の店主

『この国で料理が作れる人間は希少だから

 俺みたいな店なんかに人が来ない、

 ヒナイちゃんが居て助かったよ』



 店の店主に頭を下げ

 お金を払い食材の入った買い物袋を手に取った


 ヌーア博士と一緒に住んでいたヒナイは

 そのまま家に帰ろうとしていると

 近くの屋台から騒がしい声が聞こえてきた


 コレでも機士の端くれ

 街で暴動が起きたのなら

 自分も解決の手伝いをしなければ!

 そう思い 騒がしい屋台に向かった



シャキャ

『あぁ!!だから

 肉がいつもよりチイセェって言ってんだ!!』


屋台の店主

『ですから、物価の上昇で

 肉の値段も変わってそうなったのです!

 それよりお金のお支払いを・・・・』


シャキャ

『私が馬鹿だからって

 金をふんだくろうとしてんだろ!!

 分かってんだよ!!!!』



 大声で暴れる者の正体は

 レインオラクル国の機士シャキャだった....


 その場に集まるギャラリーが増え

 市民達は機士の服を見て怖がっていた


 ヒナイは無言で屋台の店主に

 シャキャが払わなかったお金を支払った


 それを見たシャキャは

 ヒナイの登場に少し驚いた



シャキャ

『ヒナイじゃねーか、どうしてお前が?』


ヒナイ

『私がお金を支払ったので

 これ以上この場所で暴れないでください』


シャキャ

『・・・・・わかったよ』



 ヒナイと一緒にその場を離れ

 シャキャは屋台で勝った

 肉の丸焼きを食べ歩いていた


 ヒナイとシャキャは

 昔同じ部隊に所属していた事もあった


 昔馴染みのシャキャに

 少しは経済の勉強や

 世の中の事を知るように忠告した



シャキャ

『難しい話は嫌いなんだよ.....

 私ら機士は力こそが正義で

 その他の事なんてどうでも良かったからな』


ヒナイ

『時代が変わったんですよ、昔みたいな

 力で人々を支配する時代ではありません』


シャキャ

『頭の弱い奴が暮らし辛い時代だぜ今は・・・

 強さとマナの高さだけで生きられた時代の方が

 どれだけ暮らしやすかったか....』


ヒナイ

『今の時代になったからこそ

 そのような美味しい食べ物が

 食べれるように成ったんですよ?』


シャキャ

『確かにな・・・お前頭良いな』



 なんだか無駄に疲れたヒナイは

 シャキャに別れを告げ家に帰って行った


 買った食材を机に並べ

 今日使う分だけを台所に運び

 残りを冷凍保存庫の中にしまった


 調理を始めて数分後

 機士時代だった頃を思い出し

 ヒナイの顔色は悪くなっていた


 国に言われた事だけをやった


 国に逆らう者は殺し

 罪の無い市民達に罪を被せ殺し

 言われた事は正義の為と教えられた


 気がつくと

 食材が少し焦げてしまい

 ヒナイは慌てて火を止めた



ヒナイ

『しまった・・・・・』



 少し落ち込むヒナイ


 自分達レインオラクル国の機士が

 やってきた事を考え

 ヒナイの顔色は悪くなるばかりだった


 ヒナイは無言で調理を続けた



 数時間後

 帰宅したヌーア博士と

 ヒナイは一緒に食事を食べていた



ヌーア

『ん?なんだか少し苦いけど

 それでもとても美味しいわ!

 いつもありがとうヒナイ』



 とても喜ぶ先生の顔を見て

 ヒナイの表情は明るくなっていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-7 人生を決められるのは自分自身〉


▶︎ローズストーン国 病室


ウェルチ

『・・・ここは...』



 ウェルチ・アシャール

 アメジスト隊の機士


 ウェルチはネルとロニー隊長と共に

 伝説の魔道具 解放丸華を探し

 廃墟の屋敷で解放丸華を見つけた


 解放丸華を食べると

 秘められたマナが解放され

 強力な力が手に入ると言われていた


 ウェルチには強さが欲しかった

 皆を守れる強さが・・・・


 解放丸華には

 強い魔神の力が封じ込められていた。

 適性の無い者が口にすると

 魔神に体を支配されるのだった・・・


 解放丸華を食べたウェルチは

 魔神ディムロスに体を操られ

 ネルやロニー隊長

 部隊の仲間ソフランとチュラムを傷つけ

 迷惑をかけてしまった


 ネルとマナリリアンの力で

 一命を取り留めたウェルチ


 長い月日、意識を失っていたウェルチは

 ゆっくりと意識を取り戻し目を開けたのだった



 病室で

 機士のウェルチが起き上がってるのを

 看護婦は目撃して、

 慌てた様子でウェルチの病室に入った



看護婦

『目覚めたのですか!?』


ウェルチ

『貴方は・・・・・』


看護婦

『直ぐにドクターを呼んできます』


ウェルチ

『待って!!

 ・・・・私に何があったのですか?』



 看護婦は部屋を出ようとすると

 ウェルチに呼び止められ

 ゆっくりと後ろを振り返り

 深呼吸して話を始めた



 全てを聞かされたウェルチは

 また自分が皆に迷惑をかけたと知り

 大粒の涙を流した



 看護婦はそれ以上何も言わず

 ロニー隊長を呼びに行くのだった



▶︎トパーズ隊本部


 退院したウェルチは

 トパーズ隊本部に有るロニーの部屋に招かれた


 ロニー隊長に深く頭を下げ謝罪するウェルチ


 そんなウェルチにロニーは優しく言った



ロニー

『おいおい、

 頭を下げる人物が違うんじゃ無いかい?』


ウェルチ

『ロニー隊長達には多大な迷惑をお掛けしました、

 ウェルチ・アシャール

 この身で罪を償わせてください!!

 機士の称号も

 取り上げて貰っても構いません!!』



 コレほど皆に迷惑を掛けた

 機士を辞めさせられても不思議で無い


 自分から

 機士を辞めようとウェルチが口にすると、

 ロニーは椅子を立ち上がり

 ウェルチの側に近寄り優しく言葉をかけた



ロニー

『私は君の隊長じゃない

 機士の証も取り上げる権限なんて持ってないよ。

 でも機士を辞めたいと思うなら

 自分の部隊長

 ココ君に言った方が良いんじゃないかな?』


ウェルチ

『・・・・・わかりました』



 頭を上げ

 敬礼して部屋を出て行こうとするウェルチに

 ロニーは最後に言った

「君の人生は君自身で決められる、

 だけど

 君の事を信じてくれた人達を

 悲しませる真似をしてはいけないよ?』



 言葉の意味を理解できなかったウェルチは

 何も言わず部屋を出た



ロニー

『ふー・・・少し言い過ぎだったかな?』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-8 重役者の住む街〉


▶︎アメジスト隊本部


 アメジスト隊の本部に戻ってきたウェルチは

 ココ隊長に会いに

 隊長室の扉をノックして中に入った


 隊長室にはココ隊長は居らず

 ショコラ副隊長が部屋の中で作業をしていた



 病室で眠っていたウェルチが回復したと

 ショコラ副隊長はとても喜び

 体調は大丈夫なのかとウェルチの心配をしていた



ウェルチ

『えぇ...大丈夫です、

 ココ隊長は不在なのですか?』


ショコラ

『それがですね〜』



 今ローズストーン国では

 重役者達の開催した

 レインオラクルツアーで

 多くの機士がそのツアーを警護している


 機士の数が減り

 今は忙しくなっているとショコラは言った



ウェルチ

『大変な時期に

 眠っていて申し訳ありませんでした』



 深く頭を下げるウェルチに

 大丈夫だから顔を上げるようにショコラは言った


 まだ体が回復したばかり

 もう少し休む様ウェルチに言うが

 何か自分に手伝える事が無いか

 ショコラ副隊長にウェルチは聞いてみた



ショコラ

『嬉しいですけど

 ウェルチさんはもう少し体調の事を....』


ウェルチ

『もう大丈夫ですから

 私にも仕事を振ってください!!』



 圧に押され

 仕方なくウェルチに仕事を振るショコラ



 ローズストーン国の外には

 重役者達が住んでいる

 大きな街がいくつもある


 その中の1つ

 オランベリーと呼ばれる街に

 物資を届ける仕事を

 ウェルチに手伝って貰う事にした



ウェルチ

『コンテナを届ける仕事ですね』


ショコラ

『向こうに届けて

 向こうからの物資を持ち帰るだけです、

 人手が足りていなかったから助かりますよ』



 ココ隊長には

 いつでも機士を辞める事は言える


 今は目の前の事に集中しようと

 ウェルチは考えていた



▶︎オランベリー


 ソーダストに乗って物資を届けたウェルチ


 オランベリーに住む当主で重役者の1人

 ゴルド・ベリーは

 機士のウェルチに軽い挨拶をしにきた



ゴルド

『今日はありがとね』



 お腹が大きく膨らんでいたゴルドを見て

 ウェルチは頭を下げ

 仕事中ですのでと伝えこの場を去ろうとした


 しかし

 オランベリーから物資はまだ準備できていなく

 少し時間が掛かるので

 私の屋敷で待っていて欲しいと

 ゴルドは言ってきた



 断れば重役者を怒らせると考え

 ウェルチは素直に話を聞き入れた


 屋敷にやってきたウェルチを待て成すゴルド


 スラっとして顔立ちの良い彼女を見て

 息子の婚約者としてどうだと言い始めた



ウェルチ

『私は.....』


ゴルド

『重役者の跡継ぎだ、

 悪い話じゃあるまい』



 ゴルドは息子のケイリックを呼ぶと

 ドアの向こうから

 ゴルドと同じ体型をした男が現れた



ゴルド

『こちら機士のウェルチさんだ

 挨拶しろケイリック』


ケイリック

『むむ!!??』



 ケイリックは

 ウェルチの体と顔をねっとりとした視線で見て

 目を見開いた


 好みの女性だと思ったケイリックは

 汗ばむ手でウェルチの手を取り挨拶をした



ケイリック

『ケイリック・ベリーです!

 初めましてウェルチさん』


ウェルチ

『・・・はぁ....』



 無駄に良い声で挨拶をするケイリック


 ベットリとしたケイリックの手は

 ウェルチの指をサワサワと触っていた


 少しこの街を見て行くと良い

 気にいるだろうとゴルドは言った


 それを聞いたケイリックは

 僕が彼女をエスコートしますと言い出し

 ウェルチはケイリックと2人で

 オランベリーの街を散歩する事にした



 散歩を初めて数分


 美味しい料理や

 食べ物の事ばかり話すケイリック


 ウェルチは少し疲れ

 フラフラとしてしまった



ケイリック

『大丈夫ですかウェルチさん?

 近くの噴水広場で休みましょう』



 少し優しいケイリック


 機士を辞めこの人と

 この街で一生を暮らすのも悪くない

 そう思ったが


 全然好みじゃ無い相手と

 付き合うのは無理だとウェルチは思っていた


 ウェルチは嘘を吐いた


 自分はまだ機士の仕事を続けたい

 今回の話は無かった事にして欲しいと



ケイリック

『君の役職は1部隊の兵士だろ?

 僕と結婚すれば

 一生お金に困らなくなるんだぞ!!』


ウェルチ

『ですが私は・・・』



 ケイリックはイヤらしい手つきで

 ウェルチの体を触っていた


 この場でこの男を引っ叩いては

 市民の人達にも見られるし

 ローズストーン国の機士達にも迷惑を掛ける


 我慢をするウェルチ


 しかし

 その我慢が逆効果になった


 受け入れてくれたのだと勘違いしたケイリックは

 柔らかいウェルチのお尻をモミモミと触った


 尻を揉まれた事で

 我慢の限界を迎えていたウェルチは

 重役者の息子ケイリックを引っ叩き

 地面に倒れさせていた



ケイリック

『え?』


ウェルチ

『・・・あ!その...ごめんなさい!!』



 親父にも叩かれた事が無かったケイリック


 謝る彼女を見て頭に血が上り

 ウェルチの腕を掴み怒鳴った

「僕はゴルドの息子だぞ!!

 機士のお前が

 こんな事してどうなるか分かってんのか!!」


 謝り続けるウェルチと

 怒り続けるケイリック


 街の人達は2人を見てザワザワと騒ぎ始めた


 ウェルチは思った、

 またやってしまった

 機士の皆に迷惑を掛けた

 ロニー隊長にも

 ショコラ副隊長にもココ隊長にも・・・


 正気を失い

 目の輝きを失うウェルチ


 そんな時だった

 誰かがケイリックのお尻をキックして

 ケイリックはその場に倒れた


 誰がこんな事をしたんだと

 ケイリックは凄い剣幕で後ろを振り返ると

 アメジスト隊の薄い青紫の服を着た

 背の低い機士がその場に立っていた


 自分より背の低い子供に尻を蹴られ

 ケイリックはまた大声を出し怒った



ケイリック

『誰だお前!!僕はゴルドの息子

 ケイリック・ベリーなんだぞ!!!!』



 倒れた体勢で

 後ろを振り返り怒るケイリック


 ケイリックを蹴った機士は

 またケイリックのお尻を蹴った



ケイリック

『あう!!』



 変な声を出すケイリック


 ウェルチはその機士を見て

 隊長と言葉を発していた



ケイリック

『隊長?』


ココ

『迎えに来たよウェルチ』


ウェルチ

『ココ隊長・・・・・』



 涙を浮かべ

 隊長のココに抱き付くウェルチ


 なんだか自分が悪者だと思ったケイリックは

 何も言わずその場を離れた



ココ

『帰ろう、皆んな待ってる』


ウェルチ

『・・・はい』



 屋敷に帰ってきたケイリックは

 ココ隊長に蹴られたお尻を見て

 あの時の何とも言えない感触を思い出し

 父のゴルドに聞いてみた


 アメジスト隊の隊長を

 オランベリーにまた呼んで欲しいと


 アメジスト隊の隊長?

 そうゴルドは考えていた


 確かアメジスト隊の隊長は

 最年少で隊長を任せられ

 小さな子供見たいな背丈の機士だったよな....

 そうゴルドは思っていた


 息子の顔を見ると

 うっとりとした変な顔をしていて

 少しゴルドは引いていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-9 選ぶ自由〉


▶︎ローズストーン国 アメジスト隊本部


 ココとウェルチが帰ってくると

 ウェルチの帰りを待っていた

 ソフランとチュラムは泣きながら喜び

 ウェルチに抱き付いた



ソフラン

『姉さぁぁん!!』


チュラム

『私達ズッと心配してたんですぅぅぅ』



 2人を心配させていたのだとウェルチは知り

 素直に謝った

「ごめん、もう大丈夫だから」


 仲間の喜ぶ顔に

 副隊長のショコラは微笑んでいた


 ウェルチはソフランとチュラムを離れさせ

 ココ隊長と話がしたいと言い出した



 数分後

 話を終えたウェルチの言葉を聞き

 副隊長のショコラはショックで気を失い

 ソフランとチュラムの表情は

 喜びから絶望の顔に変わっていた



ウェルチ

『身勝手な事を言ってるのは承知しています!!

 ですが、これ以上私は皆に

 迷惑をお掛けする訳にはいかないのです!!』



 ウェルチの言葉を聞き

 隊長のココはいつもの無表情な顔で

 分かったと返事をした


 それを聞いたソフランとチュラムは

 待ってくださいと叫んだ



ココ

『ウェルチが決めた事だから

 私はそれを受け入れるだけ』


チュラム

『そうですけど.....でもそんなの.....』


ソフラン

『私は絶対反対だ!!

 姉さんが.....姉さんはそれで良いのかよ!!』



 真剣なウェルチの表情に

 ソフランとチュラムは悲しい表情になっていた


 ウェルチは言った

 機士を辞めさせて欲しいと・・・


 すんなりそれを受け入れたココは

 ウェルチを引き止める事はなかった


 最後にココはウェルチに言った



ココ

『いつでも戻って来て良いから』


ウェルチ

『・・・・・今までお世話になりました。』



 深く頭を下げ

 アメジスト隊本部から出て行くウェルチ


 ソフランとチュラムは

 嬉しさの涙から悲しさの涙を流し

 ココは無表情で自分の椅子に座った



▶︎数時間後


 ソフランとチュラムは仕事を終え

 悲しみを忘れる為に

 馴染みの店でやけ食いをしていた



 姉と慕う人物が

 自分勝手に機士を抜け

 私達を見捨て何処かに行ってしまった


 その事でムカムカとソフランはしていた



ソフラン

『あんな奴もう姉さんじゃねぇ!!

 私達がどれだけ心配したと思ったんだ!!』



 怒っていたソフランは

 散らかす様に食べ物を食べ続ける


 チュラムは多少ムカついていたが

 姉さんが選んだ事なんだ

 自分達がとやかく言うのは間違っているのかも

 っと考えていた



チュラム

『姉さんの言い分も少し分かる.....

 迷惑を背負って生きて行くのは

 とてもツライ事だって事も.....』


ソフラン

『アイツの味方をするのかチュラムわ!!』


チュラム

『姉さんも考えて言った事なのは分かるけど.....

 わかるけど...うぅぅ.....』



 悲しくて涙を流すチュラム


 それを見たソフランも悲しかったが

 やけ食いをしながら涙を堪えた




▶︎ローズストーン国


 ローズストーン国の機士を辞め

 1人だけに成ったウェルチは

 この事を

 幼馴染のピニャラに報告しに行こうとした


 ピニャラの居場所を

 ピニャラと同じ部隊の

 トパーズ隊の機士に聞いてみた



トパーズ隊の機士

『ピニャラ?・・・あーそうだ、

 確か今はツアーの護衛で

 レインオラクル国に行ってるよ』


ウェルチ

『レインオラクル国・・・』



 レインオラクル国で

 向こうの機士のシャキャと決闘して

 負けた事を思い出し

 ウェルチは少し嫌な顔になっていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-10 楽しいツアー....〉


▶︎レインオラクル領


 レインオラクルの絶景スポットを回る

 レインオラクルツアー


 多くの

 ローズストーン国民達がツアーに参加し

 ガーネット隊機士隊長アズサは

 ツアーの護衛役として機士の皆を束ね

 指示を的確に送っていた



アズサ

『え〜っと次は近くの村で食事して

 花が多く咲く水辺に行くんだったわね・・・

 あ〜もう疲れる!!』



 副隊長のダンは

 ツアー客達が皆喜び

 機士の護衛も完璧だと隊長に報告をする


 ハイハイと軽い返事で流し

 そう言えばと

 リオンとアランは何処で何をしているのかと

 アズサはダンに聞いた


 世界をドルズの魔の手から救った3英雄、

 リオンとアランが

 このツアーの護衛役として

 同行する事になっていた


 英雄の2人と世界を守った魔装機が有るならと

 参加者の人達は安心しきっていたのだ



ダン

『一緒に連れて来た女の子と

 ツアーを楽しんでますよ?』


アズサ

『遊びに来た訳じゃないのに・・・・・

 まーイザって時に

 動いてくれれば良いだけだけど・・・』



 一方のリオンとアラン達は

 ローズストーン国から付いて来た

 ミムジィと一緒に

 宝石洞窟の景色を楽しんでいた



ミムジィ

『見てみてアラン!!

 向こうも凄くピカピカしてる!!』


アラン

『勝手に動くな、迷子になるぞ』



 数日前

 ツアーの護衛役で

 国を離れると聞いたミムジィは

 大泣きしてリオンとアランを困らせていた


 ミムジィの父は

 貯めていたお金を使い

 ミムジィを1人でツアーに参加させる事にした


 その際

 リオンとアランに

 ミムジィの面倒を見て欲しいと頭を下げ頼んだ



 宝石洞窟で大はしゃぎするミムジィと

 ミムジィの世話を完璧に熟すアラン


 子供の面倒見が良いアランに

 リオンは微笑ましくて顔がトロけていた



アラン

『何してるアラン、置いていくぞ』


リオン

『とても幸せそうな2人を見て、

 僕も嬉しいんですよ』


アラン

『あ?』



 気持ちの悪いと思いながら

 アランは無視して

 ミムジィと一緒に洞窟の奥に行った


 洞窟ツアーを終え

 近くの村で食事を取る一同


 しかし

 そんなツアーをしていた者達に

 闇の魔の手が近付いていた・・・・・



???

『準備は良いな』


???

『大丈夫だよ!!』


???

『・・・貴方の進む道に

 私達は着いて行くだけです・・・』



 ツアーを楽しむ一同を尾行していた者の正体は

 フィルプスシリーズに乗る

 魔族のユーリム達だった・・・・・


 ユーリムは

 リーネアのペンダントを握りしめ

 同じ魔族のアランを見ていた



ユーリム

『アラン・・・・・お前は俺達の障害となる、

 俺達と共に来ないのなら、俺がお前を殺す』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-11 魔族の仲間〉


▶︎レインオラクル領


ピニャラ

『えーっと、

 こちらが花と湖が綺麗に見える

 絶景スポットになります〜』



 ツアー客達は

 綺麗な湖にやって来ていた


 レインオラクルにも

 こんなに美しい景色が有るのだと

 ローズストーンの人々は知らなかった


 綺麗な花を見たミムジィは

 前にアランに作ってあげた花冠を作り

 もう一度アランにプレゼントした



ミムジィ

『アランアラン!!』


アラン

『・・・あぁ』



 アランの名前を何度も呼ぶミムジィの手には

 小さくて綺麗な花冠が・・・・・

 アランは頭を下げ

 ミムジィの作った花冠を頭に乗せた


 ミムジィはとても喜び

 大好きなアランに抱きついた


 何か様子が変だと思ったアランは

 どうしたのかとミムジィに聞くと

 ミムジィは不安そうに言った


 魔装大会の最後

 アランが魔族に攫われた、

 その事はミムジィも聞かされ知っていた


 悪い魔族が何かを企んでいる

 もしかすると

 その魔族達の元に行ってしまうのではと

 子供のミムジィは思っていたのだった


 その事を言い

 何処にも行かないでとミムジィは言うと

 アランは少し笑い言った



アラン

『俺は俺だ、

 くだらん奴らの仲間に成るつもりは無い』


ミムジィ

『うん!!』



 花冠が風に飛ばされ

 湖の上にプカプカと浮く


 それを取りに行こうとするミムジィ


 その時

 近くに魔弾が直撃して地面が爆発する


 何事だとアズサは

 慌てた様子で周りを見渡すと

 遠くの岩陰から

 魔族の乗るフィルプスシリーズが3機佇んでいた



アズサ

『見た事無い魔装機!?』


アラン

『魔族の乗る魔装機だ!』



 それを聞いたツアー客達は

 慌て混乱する姿を見せていた


 副隊長のダンはアズサに言った、

 レインオラクル国まで避難すれば

 客達の安全を守れますと



アズサ

『この場所からじゃ遠すぎる!

 村の人達には悪いけど

 さっきの村まで避難して

 そこで防衛を固めるわよ!!』



 アランはミムジィを抱き上げ

 近くに居たピニャラにミムジィを任せる事にした



アラン

『ドラグーンに乗れリオン!!

 俺達で奴らの相手をするぞ』


リオン

『わかりました』


ミムジィ

『アラン!!』


アラン

『皆と一緒に避難していろ、直ぐに会える』



 リオンはアズサ隊長に言った、

 魔族の人達は僕とアランで相手をします

 その間に皆さんの避難を!!


 それを聞いたアズサは

 2人に任せたわよと言い残し

 客達を集め村まで避難して行く



アリスシア

『残ったのはアランのガンドリアと

 リオンのドラグーンだけです』



 ユーリムは

 仲間のアリスシアとマリイズに

 移動するぞと言い その場を離れた


 何処かに逃げていくフィルプスに

 追いかけるぞとアランはリオンに言い

 ガンドリアとドラグーンは

 魔族の乗るフィルプスを追っていく



アズサ

『アイツら何処に行くのよ!!』



 アズサは少し混乱していたが

 今は避難を優先させ

 部隊の機士達と連携を取っていた



▶︎沼地


 フィルプスを追いかけていると

 足場が泥濘む沼地にやって来ていた


 その場所でフィルプス達は停止して

 振り返り

 アランのガンドリアと

 リオンのドラグーンを見ていた



 オープン回線を繋ぎ

 魔族のユーリムは

 同じ魔族のアランに呼び掛けた



ユーリム

『聴こえるかアラン』


アラン

『ユーリムか』


ユーリム

『俺とお前だけで話がしたい』



 嫌な予感を感じたリオンは

 話を聞いては駄目だとアランに言った


 しかし

 アランはその言葉を聞き入れなかった



アラン

『いいだろう』


リオン

『アランさん!!』



 ニヤリと笑うユーリム


 ユーリムの乗るフィルプス一号機は

 アリスシアとマリイズを残し奥に進んで行く


 それを追いかけるガンドリア


 リオンはアランを止めようと

 ドラグーンを動かすと、

 アリスシアとマリイズの乗る

 フィルプス二号機と三号機がそれを阻止した



マリイズ

『行かせないよエルフ君!!』


アリスシア

『我々の邪魔はさせません』



 2人を倒さなければ

 この場から動けそうに無い


 リオンは仕方なく武器を構え

「通してくれないのなら貴方達を倒します!!」

 っと忠告した



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-12 世界を滅ぼす念〉


▶︎滝の流れる場所


 大きな滝が音もなく流れ落ちる場所で

 ユーリムはフィルプス一号機を止めた


 フィルプス一号機の後ろを歩いていた

 アランのガンドリアもその場で足を止めた


 大自然の美しい景色を見て

 ユーリムはアランに言った



ユーリム

『この場所には多くの魔物が住みつき生きていた、

 だが・・

 身勝手な人間達の力で魔物は滅び

 他種族の血まで流しこの世界を汚した』



 人は愚かだった


 魔装機と呼ぶ力を手にして

 魔族や魔物だけでなく

 他種族を滅ぼし

 自分達だけが暮らす国を作った


 しかし

 魔王や他種族を滅ぼしても

 人同士での争いで

 この世界の自然や生態系を破壊する


 身勝手な人族がこの世界を独占して

 本当に良いのかとユーリムはアランに問う



 確かにアランもそう思っていた

 俺も妹のアイナも人に捕まり

 暗い牢に何年も閉じ込められた


 母も父も人に殺され

 復讐だけを考え生きていた


 しかし.....



アラン

『くだらん』


ユーリム

『なに?』



 ドルズやプルネンに良いように駒として使われ

 人間達と戦った自分だからこそ分かった


 くだらない正義の為に

 多くの血を流そうとするユーリムの考えは

 あの時のドルズやプルネンと変わらない、

 お前達魔族の戦う意味は

 数年前に滅び死んでいるのだと教えた



ユーリム

『お前は

 身勝手な人間達の行いが正義だと言うのか?』


アラン

『正義も悪も無い、

 歴史はどうやっても塗り替えられない

 だからこそ

 俺達はふざけた歴史を繰り返させないだけだ』


ユーリム

『詭弁だな』



 アランの言葉を聞き

 人間達に毒されているのだと

 ユーリムは思っていた


 もし魔族の皆が殺されたあの悲惨な光景を

 見ていたので有れば

 その様な事は言えないだろうと思った


 ユーリムは教えた


 自分が見てきた事や 多くの魔族が

 人族に殺られ死んでいった時の事を....


 あの日

 人間達に殺されたリーネアの事も・・・



アラン

『お前は

 見なくて良いその女の亡霊の影を見ている、

 目を覚ませ』



 その言葉を言うと

 フィルプス一号機は剣を構え

 ガンドリアに攻撃を仕掛けた!!


 刀のライキリを取り出し

 フィルプスの攻撃をガンドリアは防いだ



ユーリム

『お前はこの偽りの平穏が

 真の平和な世界だと思っているのか!!』


アラン

『お前がやろうとしている事は

 世界を破滅に向かわせようとしているだけだ』


ユーリム

『滅ぼし続けた人間達の罪を

 俺が粛清してやろうとしている!!』


アラン

『誰もそんな事望んでいない』



 ゼロ距離から

 魔力放出レーザーを放つガンドリア


 レーザーが直撃した

 フィルプス一号機は吹き飛び

 滝の中に隠れる


 追い討ちをするかのように

 ガンドリアは水平ミサイルを撃ち

 ライキリの電撃をフィルプスに放った



アラン

『お前がこの世界を滅ぼすのなら

 俺がお前達を消し去るだけだ』



 ユーリムの乗るフィルプス一号機を

 撃破したと思っていたアランだったが、

 滝の裏から

 二双魔装壁を展開して

 攻撃を全て防ぐフィルプス一号機が姿を現した


 ガンドリアはもう一度武器を構え

 目の前に立つフィルプス一号機と

 女の亡霊に取り憑かれたユーリムを見ていた



ユーリム

『良く分かった、

 お前は俺達魔族を見捨てたのだと....

 人間と共に死ねアラン!!』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-13 マティリアラシステム起動〉


▶︎魔族と戦うリオン


 フィルプス二号機と三号機の攻撃を受け止め

 2機の動きを止めようと

 リオンはドラグーンの力を使った


 スサノオの剣から放つ光の攻撃を

 フィルプス二号機と三号機は

 二双魔装壁で防いでいた



リオン

『ドラグーンの攻撃が!?』


マリイズ

『こっちの魔装機も弱くないよ!!』


アリスシア

『新型機として作られたフィルプスが

 1世代古い魔装機に

 負けると思っているのか!!』



 マリイズの乗るフィルプス三号機は盾剣を使い

 ドラグーンの剣を受け流し攻撃を繰り出し、

 二号機は銃剣を使いマリイズのサポートをした


 2機のフィルプスを相手に

 リオンはソードビットを使い反撃する



マリイズ

『こいつ強い....』



 魔装機を動かす特訓は

 しっかりと毎日やってきた、

 なのに

 たった1機の魔装機相手に苦戦する

 コレが英雄リオンの力なのかと

 アリスシアは驚かされた


 後方に下がった三号機は

 マリティアラシステムを使い

 魔力の銃を作り出し

 二号機と共に中距離での射撃をした



アリスシア

『魔弾の威力を上げろ!!

 コイツをこの場所から

 進ませる訳にはいかない!!』


マリイズ

『おりゃおりゃおりゃああ!!』



 フィルプス二号機と三号機の魔弾を

 アマテラスの盾で防ぐドラグーン


 彼女達が何故こんな事をするのか

 そう思い

 オープン回線を繋げアリスシアとマリイズに

 リオンはどうしてなのかと問うた


 平和な世の中を暮らして今の人達を

 貴方達は何故困らせるのか、

 どうして

 魔業教団と手を取り

 アランさんを付け狙うのかと



マリイズ

『私はユーリムの考える未来を

 見てみたいだけ!!』


リオン

『ユーリム?・・・その魔族の方が

 貴方達に命令をしているのですか!?』


アリスシア

『・・・・・』



 アリスシアはエルフのリオンに言う


 この世界は偽りの世界

 人族が他種族を滅ぼし血塗られた歴史の上に

 皆平然と何食わぬ顔で日々を過ごしている


 魔族の私達やエルフの貴方も

 本来なら殺されていても不思議では無い


 力を行使する人族を

 私達他種族が止めなければいけない!!

 そうユーリムから教えられた事を

 アリスシアは同じ事をリオンに言った



リオン

『ですが今は違います!!

 今を生きる人々は

 そんな愚かな歴史を繰り返させません!!』


アリスシア

『何故そこまで人間の肩を持つ!!

 貴方も私達と同じ

 人とは違う種族の者でしょ!!』


リオン

『この目で見たから知っているんです!!

 絶望の状況でも諦めなかったネルさんや

 世界を平和にする為に戦った機士の皆様も!!

 敵だったアランさんも自分の生き方を変え

 今の世界を信じてくれています!!

 貴方達だってこの世界を知れば.....』


マリイズ

『信じられるか!!

 幼かった私は今でも覚えている・・・

 人間達が魔族の皆んなを

 殺ろす光景が今でも!!』



 リオンの言葉を聞いたアリスシアは

 魔弾を撃つ手が弱まっていた


 自分でも分かっていた

 こんな事は馬鹿げている、

 だけど

 愛した男が歩む道を

 自分も歩いてるだけだった...


 私やユーリムがどうなっても構わない

 マリイズは・・・マリイズだけは

 私達と同じ道を選ばせる訳にはいかない

 そうアリスシアは思っていた



マリイズ

『どうしたのアリスシア!!

 手が止まってるって!!』


アリスシア

『私は・・・私は・・・』



 自分の心と葛藤するアリスシア


 その時だった


 フィルプスの中に有るマティリアラシステムが

 アリスシアの脳にダメージを与え暴走させた


 正常な考えができなくなったアリスシアは

 マリイズの乗る

 フィルプス三号機の足を撃ち身動きを封じた



マリイズ

『アリスシア!?』


リオン

『味方を攻撃した?』



 感情を抑えられなくなり暴走したアリスシア、

 その状態のアリスシアは

 マティリアラシステムを最大限に使う事が

 可能に成っていた


 フィルプス二号機から

 魔力の渦のような物が溢れ

 地面を揺らし 黒い電流を放っていた



アリスシア

『私は・・・私が・・・

 マリイズも・・・ユーリムも・・・』




▶︎ユーリムと戦うアラン


 フィルプス一号機の攻撃を防ぎ

 ガンドリアの攻撃を浴びせ続けるアラン


 攻撃を避け

 何処かに逃げていく様にフィルプスは移動する



アラン

『逃がす物か』



 ガンドリアは

 ユーリムの乗るフィルプス一号機を追う


 木の後ろに隠れるフィルプスに

 アランはミサイルでの攻撃を放つ


 その場所が爆発すると

 フィルプスは先程までに持っていなかった

 レインオラクル製の銃火器を手に持ち

 魔弾をガンドリアに向け撃ち放ってきた



アラン

『なに!?』



 魔装壁で魔弾を防いだが

 フィルプス一号機はまた何処かに姿を隠し

 次に現れた時には

 また違った武器を手に持ち

 ガンドリアに攻撃をしてきた



 どうやって奴は武器を取り替えているのだと

 アランは考えていると、

 足元に無数の武器が置かれているのを目撃した


 そう

 この場所にユーリムは

 魔装機の武器を隠し置き

 アランのガンドリアと戦おうとしていた


 武器には認証ロックが使われていて

 ガンドリアでは扱う事ができない、

 まんまと敵の策に

 アランは掛かってしまったのだ!!



アラン

『なるほど、コレで

 俺とガンドリアを倒そうと考えたのか....

 だがな!!』



 大樹に隠れるフィルプス一号機


 アランのガンドリアから

 強い魔力のエネルギーを感じ

 ユーリムはガンドリアを確認した


 ガンドリアは両手から

 回転する魔力の刃を作り出し、

 その丸いカッターの形をした刃を

 ガンドリアは放った



ユーリム

『なんだと!?』



 2つの魔力の刃は無数の木を切り払い

 辺り一面にあった木は斬り倒された


 フィルプス一号機は体勢を低くして

 ガンドリアの攻撃をかわしていた



ユーリム

『驚かされる力だな・・・・・』


アラン

『ガンドリアの力はこんな物では無いぞ』



 魔力を高め続けるガンドリア


 分が悪いと感じたユーリムは

 その場を離れ

 ガンドリアから逃げる事にした



アラン

『また逃げるのか』


ユーリム

『俺は目的を果たす為、

 こんな場所で死ぬ訳にはいかない』



 逃げるフィルプス一号機を

 追い続けるガンドリア


 ユーリムは仲間のアリスシアとマリイズは

 無事リオンを倒せているのかと考えていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-14 魔石を破壊する〉


▶︎避難場所の村


 ツアー客を皆避難させていたアズサは

 一安心して副隊長のダンに

 客達の数を確認するように頼んだ


 アランと離れ離れになったミムジィは

 涙を浮かべ悲しそうな表情をしていた


 それに気が付いたピニャラは

 どうしたの?っと優しくミムジィに話を掛けた



ミムジィ

『アランに作った冠を落としちゃった、

 アレはアランに必要なのに.....』



 さっきの湖に

 花で作った冠を落としたとミムジィは言い

 その事で涙を流していた


 どうしようかと思ったピニャラは

 アズサ隊長やダン副隊長の様子を確認すると

 2人とも忙しい様子だった・・・


 ピニャラは優しくミムジィに言った



ピニャラ

『では探しに行きますか〜?』


ミムジィ

『え!?』



 ピニャラとミムジィは

 こっそりと避難所から抜け

 ピニャラのソーダストに乗り

 さっきの湖に戻る事にした




▶︎魔族と戦うリオン


 マティリアラシステムの影響で

 暴走するアリスシア


 仲間のマリイズは

 アリスシアの様子が変だとしか分からず

 魔装機を止めるように何度も言うが

 アリスシアの耳に

 マリイズの言葉は届いてはいなかった



マリイズ

『どうしたのアリスシア!!ねぇてば!!』


アリスシア

『私が皆んなを守らないと・・・・・

 マリイズもユーリムも・・・私が・・・

 うあああああああ!!!!』



 魔力の粉塵を拡散させ

 辺りいったいを吹き飛ばすフィルプス二号機


 フィルプス三号機が危ないと思ったリオンは

 ドラグーンを盾にしてマリイズを庇った



リオン

『クッッ!ソードビットが破壊された!』



 ドラグーンのソードビットを全て破壊した

 フィルプス二号機は

 魔力で作られた翼を出現させ空中に飛んだ


 空中に飛ぶフィルプス二号機は

 爆発エネルギーを持つ魔力の玉を作り出し

 辺り一帯を爆破させ続けた


 このままでは

 避難した皆の場所にも被害が出る

 フィルプス二号機を破壊しなければ

 そうリオンは考えていると

 魔族のマリイズは涙を流しながら言った



マリイズ

『アリスシアを助けて!!お願い!!』



 あそこまで暴走する者を

 殺さず助け出すのは困難だと知っていたリオンは

 返事をせずドラグーンを飛ばせた



マリイズ

『アリスシアを助けてよ!!

 英雄なんでしょ!!』



 自分勝手な事を言うマリイズ


 しかし

 リオンの気持ちもマリイズと同じだった


 フィルプス二号機を破壊して

 中に乗るアリスシアを助け出す


 前に

 アランの妹アイナを助けたネルと同じように

 自分にも出来るはずだと考えていた



リオン

『答えてくださいドラグーン、僕の想いに!!』



 能力を解放させ

 金色に輝くドラグーンmk-2


 眩しく輝くドラグーンを見たアリスシアは

 アレが私達を脅かす敵だと認識した



アリスシア

『お前が私達を不幸にさせる敵かぁぁぁあ!!』



 無数の魔力玉を作り出し

 リオンの乗るドラグーンに放った


 ドラグーンは翼を大きく広げ

 翼の先端からマナのエネルギーを高めた



リオン

『爆発する魔力を地上に落とす訳には・・・・

 無数の光で貫く!!レーバレイ!!!!』



 翼の先端から放たれた無数のマナの光は

 魔力の玉と衝突して空中で爆発を起こした


 残ったマナの光は

 フィルプス二号機の手足を切断した



アリスシア

『私が皆んなを!!私がぁぁぁあああ!!』



 手足を切断されたフィルプス二号機は

 魔力を魔石に溜め

 空中で爆発しようとしていた


 爆発の規模が

 どれ程の物か分からなかったリオンは

 スサノオの剣を取り出し

 魔石を破壊しようと考えた


 しかし

 フィルプスの魔石がある場所は

 コックピットの直ぐ隣に位置している


 魔石を破壊しても

 パイロットの者はタダでは済まなかった



マリイズ

『やめてリオン!!』


リオン

『クッッッ・・・・!?』



 魔石が有る動力炉を剣で破壊しようとした時

 何故かリオンは位置をずらし

 別の場所を剣で突き刺していた


 マリイズは驚き固まった


 アリスシアが殺された

 そう思っていた



リオン

『・・・・・』


アリスシア

『・・・・・ここは....』



 しかし

 アリスシアは死んではいなかった


 ドラグーンが攻撃した場所は

 魔石と繋げられていた

 変換機バッテリーが搭載されていた箇所だった


 もし魔石を狙っていれば

 アリスシアは死んでいた



 ゆっくりと

 破壊したフィルプス二号機を

 地上に降ろすドラグーン


 地上に降りると

 マリイズは泣きながらアリスシアに抱きついた



マリイズ

『良かった!!良かったよアリスシア!!』


アリスシア

『そうか・・・私は助けられたのか・・・』



 アリスシアはドラグーンを見て

 完全に敗北したと思っていた


 ユーリムの野望を叶えられず

 自分は未熟だと思ってもいたが


 泣いて喜ぶマリイズを見て

 コレで良かったのだと考えていた



アリスシア

『私達の負けだ・・・投降する』


リオン

『・・・・・』



 リオンは不思議に思っていた


 フィルプス二号機の魔石を破壊しようとした時

「こっちよ!!」っと声が

 何処からか聴こえていた


 言われた場所を攻撃して

 結果的にアリスシアを救う事ができた


 もしあのまま魔石を破壊していたら・・・



リオン

『・・・・あの声は・・・シャロ....』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-15 復讐に燃える眼〉


▶︎湖


 逃走するフィルプス一号機を

 追いかけるガンドリア


 気がつくと

 ツアーでやって来た湖にまで戻ってきていた



アラン

『逃げ足の早い奴だ』



 このままでは

 フィルプス一号機が破壊されてしまう、

 残った魔力の残量も僅か・・・

 ユーリムは足を止め

 持っていた銃をガンドリアに向け魔弾を放った


 ガンドリアは魔弾を切り裂き

 フィルプス一号機にミサイルを放つ


 二双魔装壁で防ごうとするが

 魔力の残量が少なく

 ミサイルを防ぎきれなかった


 攻撃が直撃した事が分かり

「その魔装機もそこまでのようだな」っと

 アランはユーリムに言った



ユーリム

『俺は負ける訳にはいかない、

 あの日死なせてしまった

 リーネアの想いを背負っている俺は・・・』



 魔力を高めようとするが

 思っていたより

 フィルプス一号機の出力が上がらない


 誤算だった


 まさかこれ程までに

 アランとガンドリアが強いとは

 思ってもいなかった・・・・・


 トドメを刺そうとライキリを構えるガンドリア

 すると・・・



リオン

『待ってくださいアランさん!!』


マリイズ

『ユーリム!!死なないで!!』



 攻撃を止めるアランと驚くユーリム


 ドラグーンに乗っていたリオンは

 アランとユーリムの戦いを止め、

 ドラグーンの手に乗っていた

 アリスシアとマリイズは

 ユーリムの心配をしていた



ユーリム

『・・・・・そうか・・・』



 2人が負けたのだと知り

 フィルプス一号機の

 操縦レバーを握る手を緩めるユーリム


 アリスシアはユーリムに謝っていた


 アリスシアはユーリムの計画や

 私達のせいで殺されたリーネアの事も

 全てリオンに教えていた


 それを知ったリオンはユーリムに言った、

 貴方は人間達を恨んでいる訳では無く

 殺してしまったリーネアさんの事で悩み

 どうしたら良いのか

 分からなくなっているだけなんです!!

 貴方は誰も殺したくなんて無いハズです!!

 その証拠に

 この場で多くの人間を殺す機会が合ったのに

 貴方はそうしなかった!!

 貴方は!!自分の考えを

 誰かに認めてもらいたいだけなんです!!


 感情を熱くさせるリオン、

 それを聞いていたアランは

 ガンドリアの武器を下に向けていた



ユーリム

『俺が悩んでいる?

 何をふざけた事を・・・』


リオン

『僕には分かります!!

 貴方の心に残る深い闇が!!

 その闇を晴らしたいだけな事も!!』


アラン

『・・・・・』



 アランも知っていた、

 誰かを思う気持ちは時に自分自身を壊す事を


 もし

 妹のアイナが人間達に殺されたのなら

 自分も人間達を許す事はできなかったと.....


 あの日リーネアが死んだあの時・・・

 ユーリムの心は既に死んでいた・・・

 フィルプス一号機の魔力が高まらないのも

 自分自身を失っていたからだった・・・


 マリイズは言った

 もうこんな事止めて私達だけで暮らそうと


 アリスシアは言った

 貴方には私達が一緒に居る、

 ユーリムは1人では無いと・・・


 皆の言葉を聞いたユーリムは

 アランのガンドリアに銃を向けていた



ユーリム

『私はまだ負けてはいない!!

 この場でコイツを殺し!!

 その魔装機を奪い世界を滅ぼす!!』


アラン

『やめておけ、

 お前では俺に勝てない』



 フィルプス一号機の銃を持つ手は震えていた

 残りの魔力が少ないのだと見て分かった



▶︎ピニャラとミムジィ


 ミムジィは

 大好きなアランの事をピニャラに教えていた


 アランはとても優しく

 1番のヒーローなのだと


 それを聞いたピニャラは

 アランさんは凄いんですね〜っと

 楽しそうに笑っていた


 ミムジィとピニャラの乗るソーダストは

 湖に戻ってくると・・・そこには

 アランのガンドリアと

 リオンのドラグーンが立っていた


 ガンドリアの視覚で

 ユーリムの乗るフィルプス一号機が

 見えなかったピニャラは

 戦闘が終わったのだと勘違いして

 ミムジィに言った



ピニャラ

『リオンさんとアランさんです〜、

 戦いが終わったのですかね〜?』


ミムジィ

『アラン!!』



 喜ぶミムジィだったが

 2人が乗るソーダストがやってきた事を

 知ったアランは2人に言った



アラン

『何をしている!!直ぐにこの場を離れろ!!』



 ガンドリアが隙を見せた


 ユーリムは魔弾をガンドリアに向け放つが

 手ブレを起こしていたフィルプスは

 別の方角に魔弾を放っていた


 魔弾が直撃したのは

 ピニャラとミムジィが乗る

 ソーダストにだった・・・


 2人からの通信が途絶え

 アランは絶望の顔を浮かべ

 燃え続けるソーダストを見ていた



ユーリム

『私は・・・・・なぜ・・・・・』



 初めて人を殺した事で

 ユーリムの心は揺らぎ始めていた


 リオンやアリスシア達も

 声にならない声を上げ驚いていた



 目の色を変え

 アランはユーリムの乗る

 フィルプス一号機を見ていた


 魔力を解放させるガンドリア

 悲しみのオーラを纏うガンドリアを見たリオンは

 アランの名を叫んだ



リオン

『ダメですアランさん!!!!』



 ガンドリアはライキリをフィルプス一号機に向け

 最大火力の雷撃を放っていた・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈77-16 枯れた花〉


▶︎湖


 ライキリの電撃が直撃して水飛沫を上げる湖


 リオンやアリスシア達は

 ユーリムが殺されたと怯えていたが

 フィルプス一号機には

 ガンドリアの攻撃は当たっていなかった



ユーリム

『・・・・・生きているのか.....』



 ユーリムに駆け寄るアリスシアとマリイズ


 2人の哀しげな表情を見て

 ユーリムはガンドリアを見上げた



リオン

『アランさん・・・・・』



 掛ける言葉が分からなかったリオン


 ミムジィを殺され

 ユーリムを殺してしまうと思っていたが

 そうはならなかった



アラン

『消えろ・・・・・

 二度と俺達の前に姿を現すな』



 アリスシアはフィルプス一号機に魔力を与え

 ゆっくりとフィルプス一号機は立ち上がった


 仲間のアリスシアとマリイズは言った

 帰ろうと・・・


 ユーリムはアランとリオンに何も言わず

 アリスシアとマリイズを連れその場を去った


 もうユーリムさん達は

 僕達の前に現れないのだとリオンには分かった



 数分後

 駆けつけて来たガーネット隊の機士達が

 ピニャラとミムジィが乗る

 ソーダストの残骸を調べると、

 大怪我をして負傷してた物の

 息をしていたミムジィが発見される


 機士のピニャラが

 自分の命に替え守っていたのだった...


 ピニャラは命を落としたが

 ミムジィは寸前の所で助かっていた



 気を失い目を開けないミムジィを

 急いでレインオラクル国に連れて行き

 治療室に運ばれるミムジィ


 ミムジィはあの日以降目を覚さない


 ミムジィの事を父親に話したリオン、

 リオンとアランの前で泣き崩れる父親を見て

 アランは歯を食いしばっていた



 リオンとアランが住む家に戻ってきた2人


 リオンはアランに話しかけるが

 アランからは何も反応が無かった



リオン

『・・・・・アランさん』



 アランは自分の部屋に帰り

 ミムジィが作ってくれた

 萎れた花の冠を机に置いた


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