9章 生まれたこの世界は 72話-力を扱う者
〈72-1 現代の魔王〉
▶︎ネル
アケミがガンドリアに乗っていた事も驚いたが
まさか
アケミがリオンやキサラギ達を助け
魔業教団の親玉を倒したなんてな
ミムジィも
アランが帰ってきて凄く喜んでたし
リオンや他の機士達も皆んな無事で安心した
逃げ出したデッドデスターの山賊達は
魔業教団に洗脳され
強制的に戦わされていたらしい、
気の毒な事だ
魔装獣と呼ぶ機械の化け物も
魔業教団の連中が召喚の魔法を使い
何処かから呼び寄せていたらしい。
魔業教団を倒したって事は
もう魔装獣は現れ無いって事なのか?
ロニーはその事について
まだ注意しておいた方が良いと言っていた
囚われたアランは俺達に、
同じ魔族のユーリムと呼ぶ3人組に捕まり
魔業教団に引き渡されたと言っていた。
引き渡された後は、ユーリム達が
何処に行ったのかも分からないそうだ
アラン
『ユーリムの仲間、
アリスシアと呼ばれていた女は
俺に生きろと言った』
リオン
『その人達は敵なのですよね?』
アラン
『・・・・・わからん』
敵なのか味方なのか読めない奴らって事か、
とにかく注意しろって事だな!!
俺もロニーやキサラギ達に
魔業教団を名乗る白い魔装機と戦った事を教えた
謎の魔装機 メルクリウスとヴェヌス
無から魔弾を作り 攻撃する変な連中だ
ココ
『多分そいつらなら戦場で戦った』
キサラギ
『手を抜いていたと感じたけど、
まさかそんな力を持っていたなんてね』
アズサ
『でも、
どうしてそいつらは手加減なんてしていたの?
本気で戦えば
私達を倒せていたかも知れないのに』
ジェミニもタウラスも自爆して死亡した
その謎が明かされる事はもう無いだろう
とにかくだ!!
今はその魔族のユーリムって奴らの事が気になる
レインオラクル国で作られた
魔力で動かす魔装機をそいつらが盗んだのなら
次の被害が出る可能性だってある!!
俺達は
ユーリムと呼ばれる魔族の事で話し合っていると
アランは唐突に言い出した
アラン
『俺が魔王の眷属だと聞かされて
お前らはどう思った....』
俺やリオン
ロニーやキサラギ達は無言でアランを見た
そんなの決まってる!
俺や皆んなの答えが同じなのだと
俺は皆の顔を見て直ぐに分かった
ネル
『お前はお前だろ、魔王の血がどうとかで
お前を恨んだり怖がったりする奴なんて
ここにはいねぇよ』
笑顔の俺達の顔を見て
アランも少し笑ったような顔をしていた
魔装機大会も終わり
俺はアケミやナナミが待つ場所に戻り
ディナガード国に帰る事にした
ネル
『・・・・・ん?
そう言えば何か忘れてる気が・・・』
何か忘れてる気がしたが
忘れるって事は大した用事じゃ無いと考え
俺はアケミとナナミをマナリリアンに乗せ
ローズストーン国を離れた
俺が忘れていた事とは
決勝戦で戦うアランとマナブの賭け試合
全財産をアランが勝つのに賭けていた俺は
勝ち分の金を受け取りに行く事を忘れていた
その金は
思わぬ形で俺の前に現れるのだった
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-2 認める〉
アケミとナナミをマナリリアンに乗せ
ディナガード国に帰ろうとしていた道中だった
俺はアケミの顔を見て
何かを考えていた
アケミ
『何よ気持ち悪い、こっちミンナ!!』
アケミはガンドリアに乗り
リオンやローズストーン国の機士達を
戦い守った、
魔業教団を倒す程の力を持っている
アケミには
俺と同じ世界を守る強さも優しさも有るだろう、
アケミに魔装機を与えても
あの時のような暴走は起こらないハズだ
ネル
『アケミ・・・お前も魔装機に乗って
皆んなと一緒に戦って見ないか?』
アケミ
『は!?、どうしたのよ急に....』
アケミが魔装機に乗って
好き勝手しないか見張るように
レインオラクル国のナインや
ディナガード国のデルク司令に言われたが
コイツはもうあんなバカな真似はしない
俺や機士の皆と同じく
この世界を守る助けになってくれるハズだ
デッドデスターと戦った時も
今回の魔業教団の戦いの時だってそうだ
もし魔族のユーリムって奴が悪さをするなら
アケミの力も必要になるかも知れない
ネル
『認めるよ、
お前の事をお荷物だと思ってたけど
お前は頼りになるし強い、
俺や皆んなのピンチを救ってくれた
・・・・感謝してる』
その話しを聞いていたアケミは
顔を逸らし赤くなっていた
ナナミは俺やアケミの顔を見ながら
認めてもらい良かったと喜んでいた
ネル
『だから一緒に戦ってくれないか?
魔装機に乗ってさ・・・』
アケミ
『・・・・・別に良いけど』
そうと決まれば話しは早い
まずは魔装機の入手だ!!
アケミは普通のマナで動く魔装機には乗れない
アランのガンドリアを扱えるが
アランがガンドリアを
アケミに譲る事は無いだろう
だとすれば答えは1つ!!
やる気を出す俺に
アケミは不安そうに何処に行くのか聞いてきた
ネル
『レインオラクル国だ!!』
アケミ
『え・・・・』
ナナミ
『レインオラクル国ですか?』
嫌そうな顔をするアケミと
どうしてレインオラクル国に行くのか
分かっていなかったナナミ
レインオラクル国には
アケミが動かせる魔装機がある
そう!!
フィルプス四号機がな!!
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-3 二つ返事〉
▶︎レインオラクル国 ネル視点
ナイン
『駄目だ』
怖い顔で俺とアケミの顔を見る
レインオラクル国の機士団長のナイン
俺はナインに
どうして駄目なんだと声を荒げた
俺はアケミとナインを連れ
レインオラクル国にやって来ていた
レインオラクル国にはアケミが乗れる魔装機
フィルプス四号機って奴が存在する、
その魔装機の力を借りれれば
魔族との戦いで役に立つハズだと俺は
機士団長のナインやオリーブ博士に言った
しかし
ナインの野郎は俺達の話に聞き耳を持たず
駄目だの一点張りだった
ナインの言いたい事もわかってる
だけど
アケミは必ずこの世界を守る力になる
その事をナインだって理解してるハズだろ!!
オリーブ
『僕はネル君の言い分もわかるけど
アケミさんには前科があるし
フィルプス四号機はオノマト博士の所有物だ、
僕やナイン団長が賛成しても
彼がどう思うかは別だろ?』
ネル
『それもそうだな...』
ナインとアケミの様子を見てみると
あの時からこの2人には亀裂があり
顔も見合わせず喧嘩しているかの様だった
オリーブ博士は
人型アンドロイドのナナミをじっくり眺め
興味深そうに観察していた
ナナミ
『なっ何ですか?』
オリーブ
『本当に機械なのかい?
本物の人間と変わらない...凄い技術だ』
ここに居ては
アケミとナナミが2人に何されるか分からない
俺は2人を連れ
オノマト博士の研究室に向かった
▶︎オノマト博士の研究室
オノマト
『う〜ん・・・駄目』
ネル
『何でだよ!!』
オノマト博士にフィルプス四号機を
譲ってくれないかと言っては見たが、
答えはナインの奴と同じだった
オノマトが言うには
フィルプス一号機から三号機を取り返したら
四号機を貸してあげても良いと言っていた
だから!!
それをやる為にもアケミに力を与え
魔族との戦いに備え
魔装機も探せば良いだろうが!!
オノマト
『彼女は僕の魔装機で暴れ
機士の人達に怪我を負わせた、
そんな危険な人に魔装機は渡せないね』
ネル
『アケミはもうそんな事しない!!
信じてくれよ!!』
オノマト博士はアケミの顔を見て
「君は何のために魔装機を扱う?」っと質問をした
俺は黙って
アケミが何を言うのかを
心配しながら待った
アケミ
『わからない...けど、
ジッとしてヤラレルなんて嫌
コイツや他の機士って人達が戦ってるなら
私だって何かできるって思ってるだけ...』
オノマト
『なるほどなるほど』
俺もオノマト博士に言った、
魔装獣や魔族の連中だっていつ現れるか未知数だ
オノマト博士が作ったフィルプス四号機が有れば
盗まれた魔装機だって見つかるかも知れないし
レインオラクル国を
助ける事に繋がるかも知れないと
腕を組み悩んでいたオノマト博士は
アンドロイドのナナミを見て
別の提案を持ち出した
オノマト
『じゃあ彼女の体を調べさせてくれたら
フィルプス四号機を使わせてあげても良いよ』
ナナミ
『え!?』
アケミ
『は?』
ナナミは震えながらアケミに抱きつき
アケミはゴミを見る様な目でオノマトを見ていた
怪しく手を動かしながら
痛くしないから、体の中身が見たいだけだと
オノマト博士はナナミに言った、
まるで変態見たいだ
俺はナナミに頭を下げ、アケミの為だと言うと
アケミはナナミを庇い
仲間を売る様な事を言った俺に檄を飛ばした
アケミ
『アンタ最低ね!!友達を売ってまで
私は魔装機なんか欲しく無いから!!』
ナナミ
『アケミさん....』
ネル
『大丈夫だって、
痛くしないってオノマト博士も言ってるし
先っちょだけ!先っちょだけだって!!』
アケミ
『キモイ!!』
騒がしくする俺達の前にナインの奴が現れ
もう諦めて帰れと言った
アケミは鋭い目付きでナインを見て
貴方には関係無いでしょと
強い口調でナインに言う
バチバチと
目線で火花を打つけ合うアケミとナインを見て
俺は二人の間に入り
仲良くしたらどうだと言うと
ナイン
『お前には関係無い!!』
アケミ
『アンタには関係無い!!』
ネル
『・・・・・何かごめん』
2人に怒られてしまった
ん?あれ? なんかデジャブを感じる
前もこんな事が合ったような気が・・・・・
ナインは指を向け俺達に言った
その女が私に勝てたら
魔装機を使わせてやっても良いと
勝手に話が進み
オノマト博士は困り顔でナインに言った
「ナナミって子の体を調べさせて貰えれば
僕は魔装機を貸してあげてもいいんだけど」
ナイン
『それは気持ち悪いから却下だ』
オノマト
『あ....そうですか....』
ナイン
『どうする、私と決闘するのかしないのか?』
アケミ
『・・・やってやるわよ』
何だか良く分からんが
アケミがナインに勝てば魔装機を貰えるらしい
コレはチャンスだ!! 頑張れアケミ!!
俺はナナミと一緒に
アケミの応援をしていた
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-4 力を扱う力〉
突如始まったナインとアケミの決闘
ルールはお互い魔装機に乗り、
剣のみを使い
相手に攻撃を3回当てた方が勝利
アケミは
通常のマナで動かす魔装機が使えないので
オノマト博士が開発した変換機搭載型の魔装機
フィルプス四号機を使う事に
ナインの奴は
ディアスカスに乗って戦うみたいだな
アケミが勝てば
フィルプス四号機を貰えるらしいが
ナインが勝てばどうなるか聞いてなかったぞ?
ナイン
『私が勝てば、もう2度と
レインオラクル国にその女を連れてくるな』
アケミ
『こっちから2度と来ないわよ!!』
オノマト博士は
魔装機が戦える場所を用意してくれ、
ナインとアケミが乗る
ディアスカスとフィルプス四号機は
訓練用の広いスペースで互いに剣を構えていた
武器は訓練用の模擬刀を使っている
試合を見られる観覧席には
多くのレインオラクル国の機士達が
ナイン団長の応援をしていた
シャキャ
『ナイン団長そんな女ぶっ殺してください!!』
レインオラクルの機士
『負けないでください団長〜』
俺とナナミは
不安そうにアケミを見守っていた、
何だかこの場所で
アケミの応援をするのはアウェーな感じがするな
俺は心配になりアケミに聞いた
魔装機での戦闘回数も少ないし
試合形式の戦いなんて1度もしていない
それに
前にフィルプスに乗った時は
アケミは暴走して
レインオラクル国で暴れた過去がある
アケミ
『大丈夫、あんな馬鹿な事はしないから』
ナイン
『馬鹿な事?
あの事故で幸いにも死者は出なかったが
数名の機士を怪我させて馬鹿な事だったと?
お前のような子供には魔装機に乗る資格も
それを使い誰かを守る資格も無い!!
分かったら大人しく元の世界に帰れ!!』
アケミ
『アンタはイチイチウルサイのよ!!』
ナインとアケミを見て思った
この2人は一生相容れぬ存在なんだなと...
2人の試合が開始すると
ナインのディアスカスが先制攻撃をして
アケミのフィルプス四号機に大きな一撃を与えた
アケミ
『ちょっと!!卑怯でしょ!!』
ナイン
『試合は始まっているのだぞ、
卑怯も何も無いだろ?』
アケミ
『この女は!!』
フィルプス四号機も剣で攻撃をするが
ガムシャラな攻撃や動きで
ディアスカスには全て通用していなかった
観覧席から俺は叫んだ
集中しろ!!相手の動きを見ろ!!と
ナナミも精一杯の応援を俺の隣でしていた
ナイン
『フィルプス四号機やガンドリアを扱えても
訓練試合でその程度なら
本当の戦いで役に立つかは疑わしいな』
アケミ
『そんなのアンタに分からないでしょ!!』
ナイン
『分かっている、
お前が甘い考えの子供で
誰かに守られないと生きて行けない
ただの子供だと言う事がな!!』
アケミ
『絶対に許さない!!』
駄目だ、アケミの奴完全に頭に血が昇っている
コレではナインに動きを読まれるぞ!!
落ち着けと何度叫んでも
もうアケミには届いていない、
このままじゃアケミは負けてしまう...
フィルプス四号機の攻撃は全て防がれ
ディアスカスの攻撃をまた
フィルプス四号機は受けてしまった
コレで2撃目
次の攻撃を受ければアケミの負けだ・・・
俺とナナミは絶望的な状況に
何も言えなくなり 黙ってしまった
ナイン団長を応援する声は
さき程よりも大きく膨れ上がっていた
ナイン
『お前のようなワガママで自分勝手な子供が
魔装機を扱い 生や死を甘く考え
この世界を破滅に導く存在に成り得る』
ネル
『言い過ぎだろナイン!!』
ナインの罵声は続き
アケミは頭を抱え魔装機の操縦を止めていた
終わりだと言わんばかりに
ディアスカスは剣を向け
フィルプス四号機に最後の一撃を決めようとした
アケミ
『私は・・・私は・・・』
しばらく動かなかったフィルプス四号機だったが
アケミの苦痛の叫びと同時に
フィルプス四号機から魔力が溢れ出し
魔力のソードを魔法で作りだし
ディアスカスの腕を切り裂いていた
ネル
『アケミ!?』
ナナミ
『アケミさん!?』
俺とナナミは叫んだ
まさか、またあの時見たいに
アケミが暴走したのかと俺は思っていた
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-5 必要に成る力〉
魔力のソードで
ディアスカスの腕を切り裂いたフィルプス四号機
ネルとナナミの叫び声を聞き
気を失いかけていたアケミは正気に戻り
「駄目!!」っと叫びながら
フィルプス四号機の動きを止めた
2人の試合を見ていた機士達は
無言でその光景を見つめていた
▶︎オノマト博士の研究室 ネル視点
ナインとアケミの試合は終わった
結果はアケミの反則負け、
模擬刀以外の武器を使用したのだから
仕方ない事なのだが・・・
ナインの奴に
好き勝手に言われたアケミは
自分の感情をコントロール出来ず
暴走してしまったのだ
無言で落ち込むアケミと
落ち込むアケミを慰めるナナミ
俺はレインオラクルの人達に謝罪して
アケミに魔装機を渡す事を諦めた
試合が終わった後
口を開かなかったナインは
アケミの前に立ち喋った
ナイン
『先程までの失言悪かったな、だが
お前はあの程度で魔装機を暴走させ
誰かを傷付ける可能性が有ると言う事だと
理解出来たハズだ』
ネル
『ナインお前!!』
ナイン
『大きな力を使い、自分の感情を抑えられない者は
戦いの中で1番危険な存在になる。
お前も分かっているだろ?』
ネル
『それは....』
俺は何も言い返せなかった
アケミにあんな事を言ったナインに
魔装機をあんな風に使ったアケミにも
暗くて思い空気が立ち込める中
オノマト博士は満面の笑みで言い始めた
オノマト
『素晴らしい!!素晴らしいよ君は!!
コレなら僕のフィルプス四号機を
貸してあげても構わない!!』
ネル&ナイン
『は?』
オノマトはペラペラと喋り始めた
自分の感情をコントロールできず暴走させ
アレ程の力を使えるアケミに
フィルプス四号機を扱う実験対象として
完璧だと言った
感情のコントロールは直ぐに出来ていたから
誰かを傷つける可能性は少なく
怒りの感情を高めれば
更に強力な力を扱える可能性があると
オノマトは嬉しそうに言っていた
ナイン
『オノマト博士!!何を考えて!?』
オノマト
『僕は普通の機士より
少しミステリアスで可笑しな子の方が
実験対象として完璧だと思ってるんでね』
ありがとうと言いながら
オノマトはアケミの手を握り感謝していた
それ褒めているのか?
馬鹿にしてるとしか思えないんだが....
無言で落ち込むアケミは
オノマトの言葉も耳には入っていなかった
オノマト
『そうと決まれば
フィルプス四号機を君達に渡そう!!』
ナイン
『ちょっと待て!!
そんな勝手な真似が許されるか!!』
オノマト
『アレは僕の魔装機だ、
どう使おうが僕の勝手だろ?』
ナイン
『幹部会のメンバーにこの事は報告させて貰う』
オノマト
『え!?、それはちょっと・・・』
俺もナインに頭を下げ頼んだ
アケミはこの世界に来て日が浅い
魔装機を扱う力はまだまだ不慣れで
自分の気持ちだって内に閉じ込め
心を俺達に開いてくれてはいない
ネル
『だから頼む!! 力を暴走させてしまって
自分を情け無く思い落ち込む
まだまだ子供のコイツだけど、
必ず俺が皆んなの役に立つ存在にしてみせる!!
絶対に俺達には、アケミの力が
必要になる時が来ると思うんだ!!』
アケミ
『ネル....』
ナインは無言のまま部屋を出た
アイツがあんな態度を取るって事は
目を瞑るって意味だと俺は知っている
俺の必死な説得を聞いていたナナミは
やる気を出しオノマト博士にある話を持ち出した
ナナミ
『お願いがあります!!』
オノマト
『ん?何だい?』
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-6 楽しいパーティー〉
まさかナナミがあんな事を言うなんてな
ナナミはオノマト博士にお願いして、
フィルプス四号機に後部席を作り
一緒に戦う時のサポートをしたいと言った
ナナミは魔装機に乗るのが怖く
戦闘なんて持っての他と
ライル博士は言っていたが、
アケミの為に恐怖を克服して
アケミと一緒に
フィルプス四号機に乗ると言ったのだ
アンドロイドのナナミが
友情や愛情のような感情で動く事があるんだな
オノマト博士は
数日中にはフィルプス四号機の
サポート席を用意して
ディナガード国に届けると約束してくれた
俺達はマナリリアンに乗り
ひとまずディナガード国に帰る事にした
ネル
『良かったなアケミ、魔装機を借りられて、
お前も俺達と一緒に戦えるぞ』
ナナミ
『頑張りましょうアケミさん!!
私も精一杯サポートを頑張ります!!』
アケミは顔を赤らめ
俺達の顔を見る事なくありがとうと言った
照れているアケミを横目に
俺とナナミは嬉しそうに笑った
そう言えばアケミの奴は
どうやって魔装機の操縦を理解したんだ?
俺もマナリリアンの操縦は何でか知らないが
頭の中で理解していたが
アケミの奴はどうなんだ?
マナリリアンの操縦以外は
俺は全くと言っていい程分からなかったし
アケミはフィルプス四号機も
ガンドリアだって動かしていた
俺より動かせる魔装機多くないか?
俺は1つ質問を打つけてみると
アケミ
『何となく、魔装機が動かし方を教えてくれてる』
ネル
『は!?、何だそれ?』
オイオイ
俺がマナリリアンを動かせたのは
異世界に飛ばされた特典だと思っていたが
アケミの方が俺より良くないか?
俺が動かせる魔装機は
マナリリアンとライル博士が作ってくれた
賢者の石を使った俺専用の訓練用魔装機だけ
アケミは魔力で動かせる魔装機なら
何でも扱えて 操縦だって簡単に成し遂げる
なんだか俺より
アケミの方が優遇されてると感じるぞ?
少し悲しくなった俺は
お前だけは俺の仲間だと
マナリリアンを抱きしめた
アケミ
『何やってんのコイツ?』
ナナミ
『アケミさんもネルさんも元に戻りましたね。』
▶︎ディナガード国 ネル視点
ディナガード国に帰ってきた俺達は
デルク司令に
ローズストーン国で何があったのかを伝えた
魔業教団の事や魔族の事も...
既に情報が流れ
その事を知っていたデルクは
ディナガード国に何があったのかを
ネルに伝えた
魔業教団が村で暴れた情報も
ネル専用魔装機を何者かが奪った事も...
ネル
『え!?俺の訓練用魔装機が奪われた?』
レイナ
『とんでもなく強い相手でした、
訓練用魔装機で
アレ程の操縦技術があるなんて...』
マル
『きっと魔族の仕業だよ、
特殊な魔法を使い魔装機を強化させたんだ』
アランが言ってた
ユーリムって奴らの仕業なのか?
でも
どうして俺の訓練用魔装機を盗んだ?
そうでなくても
訓練用魔装機なんかじゃ
大した力には成らないだろうに....
謎は深まったが
とにかく今は長旅で疲れた。
俺は寮に戻りゆっくりと休む事にした
デルク
『そう言えばネル、お前宛に
ローズストーン国から手荷物が届いているぞ』
俺宛に?
何だろうと思い
俺は大きな布袋の中身を確認した
周りにいた司令のデルクや
機士の人達もその光景を見ていた
中を開くと俺は驚き
周りの人間も凄く驚いていた
レイナ
『何コレ....』
ノノカ
『眩しくて直視できません』
俺の手は震えていた、
ローズストーン国で
何かを忘れていた事を思い出し
今こうして、結果だけが俺の手に渡ったのだ
そう
アランとマナブの賭け試合の賞金
俺の全財産をアランに賭けた賭け分の金が・・・
フタナ
『うげ〜こんな沢山の金貨初めて見た、
何枚あるのコレ?』
サラサ
『アンタ何しでかしたのよ!?』
俺はデルクや皆に正直に説明した
賭け事で儲けたと言えば
普通の人間なら嫌な目で見る人も居るが
この世界の人間なら普通だと考える人も多いし
マルはザッと見て
金貨が五千枚以上あると言っていた
やった!!コレで俺も貴族の仲間入り
エレノアに相応しい花婿になったんだ!!
喜ぶ俺の前でフタナやマル達は
今日はご馳走だねと言い出し喜んでいた。
ご馳走?何言ってんだ、コレは俺の金だ
お前達にご飯を奢る金じゃ無い!!
俺はフタナやマル達に犬の様に警戒していると
サラサが呆れながら言った
サラサ
『そんな賭けで勝ったお金で貴族になって
エレノア姫は喜ぶと思う?』
ネル
『グッッ!!』
レベッカ
『そうですわ、ネルさんの事を好きで居てくれてる
エレノア姫様に失礼ですわ』
ネル
『ウヌッッ!!』
ナラ
『私はどちらでも構いませんが、
ネルさんはコレで良いと思うのですか?』
ネル
『グハッッ!!』
冷たい・・・床ってこんなに冷たかったんだ
気がつくと俺はその場に倒れていた、
確かにサラサやレベッカの言う通りだ
俺は目の前の金に目が眩み
大事なエレノアの気持ちが
何も分かっていなかった
俺はゆっくりと立ち上がり
このお金で皆様をご馳走しますと言っていた
喜んだフタナやマルは
学園の生徒達に美味しい食事を
提供できると言っていた
サラサ
『せっかくだからアケミやナナミも呼んだら?』
レイナ
『そうですね』
俺は肩をガックリと落とし下を向いていた
デルク司令は何も言わず
俺の肩をポンポンと2度叩いた
良く決断した それでこそだ
そう言っている気がした
その日学園の食堂では
大きなパーティーが開かれ
機士や学園の生徒達は
贅沢な料理の数々を楽しんでいた
勿論
アケミやナナミもパーティーに参加していた
俺は
ヤケ酒ならぬヤケジュースをガブ飲み
その夜を過ごした
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-7 カッコイイ女性〉
それから数日が過ぎていった
俺は盗まれた俺の訓練用魔装機を探したり
魔族や魔装獣について調べた
魔族の目撃情報も
魔装獣の目撃情報も無く
あのローズストーン国での1件から
何事も無く平和な日々が続いていた
アケミやナナミも
泊めてもらってる宿の仕事を手伝い
忙しそうにしていた
暇だった俺の元に
俺宛の依頼が来ていると
ディナガード国大臣であり
機士団司令のデルクは教えてくれた
ネル
『俺に?』
デルク
『レインオラクル国の研究者で
ヨツヤと呼ぶ人物から
お前宛に依頼が届いている』
ヨツヤ・・・聞いたことの無い人だな
依頼を行う上で
アランのガンドリアと
リオンのドラグーンの強力が必要なのだとか
2人を連れレインオラクル国の
ヨツヤ博士が居る研究室に行けば良いって事か?
何だか話が見えないな、それに
どうして
アランとリオンの力も必要なのだろうか?
とにかく
その人物の場所に行けば分かる事か...
俺は依頼を引き受け
まずはリオンとアランの居る
ローズストーン国に向かった
ローズストーン国に到着すると
2人の元にも
ヨツヤ博士から依頼の手紙が来てたらしく
俺が来るのを待っていたらしい
それを知った俺は
何故2人が俺を迎えに来ないのだと文句を言った
ネル
『お前らが俺を迎えに来いよ』
アラン
『お前なら
黙っていても来るだろうと思ったからな』
リオン
『入れ違いになる可能性もありましたし....』
何だか2人に馬鹿にされてる気がする
とにかく
俺達はレインオラクル国に向い
ヨツヤと呼ぶ謎の人物の場所に向かった
▶︎レインオラクル国 ネル視点
レインオラクル国に到着すると
俺達を待っていた
白衣を着た高身長の女性が立っていた
女性は口に何か白く細長い物を咥え
俺達の魔装機を見ていた
目はキリッとしていてスタイルも良く
顔立ちもカッコイイ感じの
イケメンと思える女性は
自分がヨツヤだと言う事を俺達に言った
ヨツヤ
『初めまして、私がヨツヤ博士だ...よろしくね』
ネル
(何だかカッコイイ人だな、
口に咥えてるのは何だろ?)
ヨツヤは異世界人の俺や
エルフのリオン
魔族のアランの顔をじっくりと見た
俺やリオンは顔を赤らめ
アランは無言のまま前を見ていた
ヨツヤ
『早速だが、君達の子種を貰おうか?』
ネル
『は?』
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-8 調査に向け〉
モデル見たいでカッコイイ女性は
俺達にとんでもない事を言ってきた
ネル
『子種!?』
ヨツヤ
『そうだよ、
コレからの調査で必要になるからね』
ヨツヤが言うには、俺達の魔装機を使い
ローズストーン国にある
グレートホールを調査すると言っていた
グレートホールには
濃い魔物の魔力が充満していて
中に何があるのか
誰も調査をしていないのだと言った
ローズストーン国の人々は
昔グレートホールに調査隊を送り込んだが
その中から帰って来る者は誰も居なく
深い穴の調査は
魔装機では不可能だと思われていた
しかし
俺達の空を飛べる魔装機でなら
グレートホールを調べられるのではと
ヨツヤ博士は考えたのだ
ヨツヤ
『私の得意分野は
魔物全般の生態系やアルゴリズムの研究、
って言っても
魔物が絶滅した今の世界では
私の役目も薄れてはいるがね』
ネル
『それで、何で俺達の・・・
アレを必要としてんだよ?』
ヨツヤ
『良くぞ聞いてくれた!!』
グレートホールの中では
身体に害をなす魔力が溢れているそうだ
毒に近い魔力を体に取り込むと
生きている体でも
魔物化を発生させる可能性があるのだと言う
ヨツヤ
『魔力を抑制させる薬を作れるんでね
その為に君達のDNAが必要になるのさ』
ネル
『別の箇所からDNAを採取出来ないのか?』
ヨツヤ
『できるよ....だけど
異世界人や他種族の子種が
どんなものか調査したいじゃないか!!
リオン君、君の子種を私の体・・・じゃなかった
瓶にサンプルさせてくれよ!!』
とんでもなく危ない人物だ!!
見た目は良いのに中身はある種のクレイジー
こんな奴に捕まったら
何されるか分からないぞ!!
リオンは怯えながらアランの後ろに隠れていた
それもそうだろう
コイツに何されるか分からないからな
エルフの貴重なサンプルだとか言って
自分の体内に取り入れようと
考えてても不思議じゃ無い
ネル
『もしかして、人間とエルフの
ハーフを作ろうとか考えてます?』
ヨツヤ
『面白そうだね。
私が被検体になって調べてみようか』
リオン
『助けてーーー』
スッカリ怯えたリオンは
地面に塞ぎ込み丸くなってしまった
仕方ないと思ったヨツヤは
君達の血でワクチンが作れるから
それで構わないと言った
最初からそうしろ
▶︎ヨツヤ博士の研究室 ネル視点
ヨツヤ博士が注射器を取り出し
俺とアランから血を採血した
次はリオンの番で
ヨツヤ博士は注射器を構えリオンに向けると
リオンは凄く怯えながら注射器から逃げていた
ネル
『オイオイ、それじゃあ血が取れないだろ?
グレートホールには
毒に近い魔力が有るらしいから
ワクチンが必要だって言ってたし』
リオン
『だって、そんな危ない物を
体に刺すなんて怖いじゃないですか!!』
はは〜ん
さては注射が怖いんだな
まだまだリオンも子供だな〜、
痛いのなんて一瞬
数秒後には痛みなんて忘れてると
俺はリオンに教えても、
リオンは怯えながら怖いとしか
言わなくなっていた
ヨツヤ
『仕方ない、
それじゃあ君の子種でワクチンを作るか』
リオン
『それはもっと嫌です!!』
ヨツヤ
『だって気になるじゃないか
エルフのチン◯ンがどんな形なのかって?』
ネル
『女性がチン◯ンとか言うなよ』
確かに
エルフや魔族の体がどんな形なのか気になるな
俺とヨツヤ博士は
目を輝かせながらリオンを見詰めると
リオンは無言で腕を差し出した
3人の採血が終わり
薬を作るまで時間が掛かると
ヨツヤ博士は言っていたので
俺達はする事がなくなり暇になった
アランは立ち上がり
妹のアイナに会いに行くと言った
ネル
『あらあら、
アランお兄ちゃんはシスコンなんだから〜』
リオン
『いけませんよネルさん!
アランさんを馬鹿にする発言わ!』
アラン
『お前らも来い、
アイナもお前らに会いたがってるだろうしな』
確かに、
日頃マナリリアンに魔力を分けてくれてる
アイナに感謝の言葉を言わないとな
リオンはアランの妹と会うのは初めてなのかな?
アイナの奴喜ぶだろうな
俺達は世界を救った英雄なんだから
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-9 男の背中〉
▶︎アイナの部屋 ネル視点
俺達はアランの妹アイナに会いに行くと
アイナはレインオラクル国の姫
リューネ・レディアント様と一緒に遊んでいた
アイナとリューネ姫は歳が近く
良く一緒に遊んでいるそうだ
アイナが14歳で
リューネ姫が12歳って言ってたかな?
エレノアとアイナは
歳が同じだと聞いていたが
アイナの方が少し身長は高そうだ
アイナ
『お兄様!!ネル様!!会いたかったですわ!!』
リューネ
『ネルさんにリオンさんまで!?
お久しぶりです!!』
喜ぶ2人は兄の元では無く
俺の元に走り抱きついて来た
アイナ
『リューネ様!?、リューネ様は
ネル様の事を何とも思ってないでしょ!!』
リューネ
『世界を救い戦った英雄を
どう思っても私の勝手だ』
アイナ
『酷いです、私の気持ちを知りつつ!!』
リューネ
『誰にでもチャンスわ有ると言う事、
それなら私が選ばれる可能性だってある』
アイナ
『むぅぅー』
アイナとリューネは
力強く俺に抱きついてきた
何でか知らないけど
子供にはモテるんだよな俺って・・・
力強く抱き付く2人
その時気付いてしまった
リューネ姫は子供の体で何とも思わなかったが
アイナの体から
同世代のエレノアからには感じなかった
少し膨らむ柔らかい感触が・・・・・
俺は顔を赤くさせていると
異変に勘付いたアランは
怒った口調でアイナから離れるように言ってきた
アラン
『貴様!!アイナから直様離れろ!!』
ネル
『ちっ違う!?不可抗力だ!!』
2人を離れさせ
俺はさっきまでの感触を思い出し
よからぬ事を考えてしまっていた
俺がオッパイ好きだと分かったリューネ姫は
成長したら私だって大きくなると文句を言い
それを聞いていたアイナは
ネル様が宜しければ
私の体を好きにして良いと顔を赤らめ言っていた
なんて事を言うんだ!
今の子供は随分とお盛んなんだな。
アランの睨み付ける目線を感じ 俺は皆に言った
俺が好きなのはエレノアだけだ!!
だから他の女性を好きになる事は無い!!
そう力強く
リューネ
『でもオッパイは好きなのだろ?』
ネル
『・・・・・そんな事は無いですよ』
俺は嘘を吐いた
自分の心に嘘を吐くのも
今の状況を丸く収めるのに
時には必要な事なのだから
カッコ良く否定する俺の後ろ姿には
情け無い男の背中が映っていた
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-10 グレートホール〉
薬が完成し
俺達はグレートホールがある
ローズストーン国に向かった
ヨツヤ博士を誰の魔装機に乗せるのかで
少し揉めたが、結果的に
魔装機内が広い
俺のマナリリアンに乗せる事になった。
▶︎グレートホール ネル視点
グレートホールの近くに到着すると
ローズストーン国の機士
トパーズ隊のロニー隊長と
ダイヤモンド隊のタナミア副隊長が待っていた
どうやら
グレートホールを調査する事を
機士の人達は聞かされていたらしい
ロニー
『グレートホールの調査は
私達ローズストーン国の機士では不可能でした。
どうか宜しくお願いします』
ヨツヤ
『任せてくれたまえ、私が開発した薬が有れば
濃い魔力の毒素を防ぐ事が出来ます』
ロニーは頭を深く下げ
ヨツヤ博士に調査を宜しくと言っていた
タナミアが俺の側に近より
小さな花束を渡してきた
何だ? どう言う意味なんだ?
タナミア
『下でソーダストを見かけたら
この花束を添えて欲しい』
物悲しくそう言う彼女に
俺は「どうしてだ?」とは言わずに
花束を受け取った
準備を済ませ
俺達は魔装機に乗り込み
グレートホール内部に入って行った
▶︎グレートホール内部 ネル視点
ヨツヤ博士の開発した薬を飲むように言われ
俺達は
白い小さなチップの形をした薬を飲み込んだ
薬を口に入れた時に少し違和感に気付いた
薬とは美味しく無かったり
無味無臭だったりするのだが.....
ネル
『ん?何だコレ?、お菓子みたいな味がするぞ?』
リオン
『本当ですね?しかもとても美味しいです』
ヨツヤ
『そうだろうとも、お薬を美味しく作ったからね!
不味くて吐き出されたりしたら困るのでね。』
アラン
『チッ・・・余計な事を....』
こんな薬が日本で作られたのなら
世の子供達は喜んで薬を飲めるだろうな
さておき
俺達はグレートホールの中を
ユックリと降りて行った
中は暗く
ドラグーンの光魔法で辺りを照らすが
下までは光が届かず
どのくらい
穴の下が続いているのかも分からなかった
リオン
『どれぐらい降くだったのでしょうか?』
ネル
『本当に深い穴だな....この場所から
あんな化け物が出てきたと思うと少し怖いな』
俺とリオンは
グレートホールから出てきた
目玉の化け物と戦った事がある
確かマザーブレインって呼ばれてたかな?
アイツは多くの魔物を従え
ローズストーン国の機士達を苦しめていた、
アイツレベルの化け物がこの下に居るとすれば
・・・・・考えたくも無いな
深く深く下まで降りて行くと
周りの空気が変わり
赤い霧に包まれ始めていった
ヨツヤ博士によれば
魔物の死骸から出る濃い魔力が充満して
毒素として空気に漂っているそうだ
毒素の魔力を防ぐ薬を飲んでいなければ
数秒であの世に行っていたらしい
ヨツヤ
『注意してくれたまえ、
何が起こるか分からないからね』
リオン
『地面が見えて来ましたよ!!』
グレートホールの最深部に
俺のマナリリアン
アランのガンドリア
リオンのドラグーンは到着した
地面に着地した俺達は
辺りをぐるりと見渡した
赤黒い霧が濃く
見渡せる程視界は良くなかった
ヨツヤ
『周りを調べてくれ、
何か見つかるかも知れない』
周りを調べる事数分後
俺とリオンは
ボロボロになったローズストーン国の魔装機
ソーダストを見つけた
穴に落ちて死亡した機士の魔装機なのだろうか?
タナミアに言われた花束を
マナリリアンの手に固定させていた俺は、
その花束をソーダストに置いた
俺やリオンは
そのソーダストを見て 目を閉じ祈った
安らかな眠りを・・・・・
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-11 赤黒い霧〉
グレートホールの調査を続け数十分が過ぎた
ヨツヤ博士は
グレートホール最深部で
どのように魔物が誕生したのか
興味深そうに調べていた
ヨツヤ
『魔物同士で魔物を喰らい
更に強い因子だけを残し成長させる、
逃げ場の無いこの場所では
弱い魔物は強い魔物に一方的に食われ
更に強い個体の身が増え続ける....
なるほど!!コレは面白い!!』
興奮して
テンションを上げ続けるヨツヤ博士とは別に
俺やアランにリオンは
何も起きない暇な時間が過ぎ退屈していた
ネル
『シリトリでもする?』
リオン
『シリトリって何ですか?』
ネル
『・・・・そっか・・・』
向こうを見せて あっちに行って
さっきの所に戻ってとヨツヤ博士に言われ
俺はマナリリアンを動かし続けていた
まだですか?と聞いても
もう少しだけと同じ言葉を繰り返す
数分前も同じ事言ってたのに...
それから更に時間は過ぎ
俺は違和感に気付き 辺りを見渡した
どうやら
リオンやアランも何かに気付いたようだ
リオン
『ネルさんも気付きましたか?』
ネル
『あぁ....嫌な匂いがプンプンとな』
アラン
『近くに潜んでいる、気を付けろ』
ヨツヤ
『ん?どうしたんだい君達?』
赤黒い霧が更に濃くなり
俺達の魔装機を取り囲むように
グルグルと霧は渦巻いていた
武器を構え警戒する俺達、
ヨツヤ博士は何も感じないのか
キョトンとした顔で俺の顔を見ていた
アラン
『右だ!!』
俺はマナリリアンを動かし
剣で敵の攻撃を防いだ
霧の中から
目には見えないが何かが攻撃をしてきた
アランやリオンもそれに気付き
その場所に攻撃をした
・・・しかし
霧の中には何も居ない
何処から攻撃されたのか分からず
俺達は辺りを見渡すしか無かった
ヨツヤ
『なっなっ!!なんなんだ!?』
ネル
『大人しくしておいてください、
コイツはとんでもなくヤバイ相手だ!!』
目には見えない何かは
マナリリアンや
ガンドリアとドラグーンを攻撃した
攻撃を防ぐ事はできても
反撃する事ができない...
霧の中から
斬撃だけが姿を現し俺達を攻撃していたのだ
リオン
『うぅ・・・体が・・・』
ネル
『なっ何だ....思うように体を動かせない....』
ヨツヤ
『ま....まさか....
薬の効果を跳ね除ける毒素を撒いているとは....』
俺やリオン
ヨツヤ博士は体を自由に動かせなくなり
魔装機の中で倒れてしまった
このままでは
何処かに潜む何かに殺されてしまう
また斬撃が霧の中から現れ
俺は攻撃を防ぐ事ができず苦しんでいた
目の前に立っていたガンドリアは
俺のマナリリアンと
リオンのドラグーンを守っていた
アラン
『コイツは俺が倒す』
ネル
『うっ....動けるのかアラン....』
アランには毒素が効いていなかった
魔族のアランには
毒素の魔力に耐久でもあったのか?
何もできない俺やリオンの変わりに
アランのガンドリアは
目に見えない化け物と戦い続けた
数分後
ヨツヤ博士は何かに気付き
俺達に言った
霧の中に居る化け物の正体は
この場所で死んでいった魔物達の怨念
悪霊の類だと
ネル
『く....どうすればそんな奴倒せるんだ....』
アラン
『駄目だ、実態の無い魔物は魔装機では倒せん』
リオンとヨツヤ博士は毒素にやられ気絶した
俺も・・・意識が遠のく・・・
すまんアラン・・・後は任せた・・・
▶︎白い空間 ネル視点
白く何も無い空間
この場所は・・・・・
確か俺がピンチの時に・・・・・
懐かしく久しぶりの空間で
俺は目を覚ました
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈72-12 魂の欠けら〉
▶︎白い空間 ネル視点
懐かしく久しぶりのその場所で
俺は目を覚ました
この場所で死者の魂と出会い
俺は何度も窮地を助けられた
今回も
そうなのだろうか?
目の前に現れたのは
ローズストーン国に居る学生の亡霊だった
学生の亡霊
『貴方達が戦っているのは
この場所で生まれた霧の魔物、
姿なき魔物は
魔装機の力を持ってしても倒せません』
ネル
『ん?貴方は確か・・・』
この人に俺は会った事がある
確か
タケルとの試合の時
マナリリアンに力を与えてくれたような?
俺はその事を教えると
覚えていてくれて嬉しいと
学生は笑っていた
モネ
『私はモネ、ローズストーン国の学園で
副会長をしてたんですよ』
嬉しそうに笑うモネの姿は
とても可愛く 美しかった
モネは自分の名を名乗ると
顔を曇らせ
自分を殺したユナハや
生徒会長だったタナミアの事を話した
ユナハの事は恨んではいない
彼女に罪を着させ
こうなったのも自分の責任だと...
だから
2人に心配させたくないから
私の事で悔やまないでと伝えて欲しい
そうモネは俺に言った
ネル
『あぁ、分かった』
モネ
『ありがとう』
彼女には
ユナハが死んだ事を俺は伝えなかった
・・・・・大丈夫
彼女もタナミアも大丈夫 そう俺は思った
モネ
『私の残された魂のカケラを使い
霧の魔物を実体化させます』
ネル
『それじゃあモネは・・・』
モネ
『魂がこの場所に取り残されていたので
私はあの世にも行けずヒトリボッチでした、
私の魂を探してくれてありがとうございます』
ネル
『・・・・そうか・・・・じゃあなモネ、
向こうには他の人達も沢山いるから
俺の事を知ってる奴が居たら
宜しく伝えておいてくれ』
モネ
『はい』
こんな事を思うのは不謹慎だろうが
彼女の笑顔は
今も生きていると感じさせる
喜ばしい笑顔に感じた
▶︎グレートホール最深部 ネル視点
目を開けた俺はマナリリアンを動かし
霧の中に魔法の光を放った
光を吸い込んだ霧の魔物は
姿を実体化させ ガンドリアの前に現れた
ネル
『今だアラン!!』
ガンドリアはライキリを振るい
実体化した霧の魔物を切り裂いた
霧の魔物を倒すと毒素の霧は消え
気を失っていた
リオンやヨツヤ博士の2人は目を覚ました
一安心した俺は
次の異変に気付いた
ネル
『ん?何かさっきまでの匂いとは別に
変な匂いがするぞ?』
ヨツヤ
『ごめん、それは私だ....』
最悪だ・・・・・
気を失っていたヨツヤ博士は
マナリリアンの中で漏らしてしまったらしい。
いい歳した大人が何やってんだよ...
異臭の臭いで
気絶しそうになりながら
俺達はグレートホールから脱出した
ヨツヤ
『ほら...こんな経験滅多に味わえないだろ?
良かったじゃないか!!』
ネル
『良くねぇーー!!』
グレートホールの外には
ロニーやタナミアが待っていてくれた
俺は急いでマナリリアンから降りると
不安そうな顔をしたタナミアは
下に魔装機は合ったかと聞いてきた
多分、モネのソーダストの事だろう...
俺は
あの白い空間で会った事は言わず
ソーダストに花束を置いた事だけを伝えた
・・・・・大丈夫だモネ
タナミアは今も頑張っている
お前の事で悔やんだり泣いたりしていない
真っ直ぐダイヤモンド隊の副隊長として
前を向き続けている
タナミアは笑顔で
「そうか」っと喜んでいた
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