1章 マナリリアン 4話-ベルナンデス三姉妹
〈4-1 魔竜〉
ディナガードの機士
【レイナ ビショップ級】
【ノノカ ビショップ級】
【マル ビショップ級】
この3人の機士は司令の命令を受け
滅びた村の情報と注意喚起をしに北東の村々に
タレントと呼ぶ魔装機に乗り歩き回っていた
その道中
機内の無線を使いレイナは2人に話しかける
レイナ
『ノノカはどう思う?村を襲った犯人
アースゴーレムとかジャイアントオークとか』
ノノカ
『分かんないですよ、
もしかしてレインオラクルの連中だったりして...
この方角だとレインオラクルも近いし』
レイナ
『あのねノノカ、
他国の連中が条約違反をして暴れると思う?
村人襲ったって何にもなん無いでしょ』
ノノカ
『前の村で聞き込みをしてた時、
3人の魔装機乗りを見かけたって言ってたし』
レイナ
『機士団の他のメンバーでも見たんでしょ、
マルはどう思う?』
マル
『眠い』
レイナ
『緊張感が無いなぁ、任務中だよ 起きろ!』
3人は移動しながら仲良さそうに話し合う
レイナ達は同学年の親友だった、
機士になってもそれは変わらない
ノノカは気晴らしに話しを変える為言う
ノノカ
『そう言えば
デルク司令って結婚してると思います?』
レイナ
『興味ない、マルは結婚とか興味あるの』
マル
『子供20人ぐらい欲しい』
レイナ
『アンタそんなに産むつもりなの?』
マル
『えっ?子供って
鳥さんが運んで来てくれるんじゃ無いの?』
ノノカ
『えっとねマルさん・・・それはなんか違うかな』
レイナ
『鳥が運んでくるって
どんなデカイ鳥が20人も運んでくんのよ』
たわいもない話で3人は笑っていた・・・すると
移動していた3人の目の前に
空から魔竜がドシンっと地面を鳴らし落ちて来た
魔竜はタレントと目が合うと
3機を威嚇した
ノノカは怯えながら言う
ノノカ
『デカイ鳥!?』
レイナ
『違う、コイツは魔竜よ』
レイナとマルは銃を構えた
ノノカは怯え ただ立ち尽くしていた
前の魔竜に気を取られた3人は
後ろを警戒していなかった
後ろから飛んで来た火球にマルのタレントが直撃
なんと後ろにも魔竜は居たのだった
魔装機が動かなくなったマルは
棒読み風に叫ぶ
マル
『ヤラレター』
レイナ
『マル!?大丈夫!!』
マル
『動けなーい』
レイナ
『ノノカは!?』
ノノカ
『無理です戦えません』
レイナはクソっと吐き、コックピットを開き
外に出て魔竜に向けて閃光の魔法を放つ
眩しい光に魔竜は悲鳴をあげると
2体の魔竜はどこかに羽ばたいて行った
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〈4-2 作戦〉
3人はタレントを茂みに止め
マルが乗っていた破損したタレントの回路を
ノノカは調べた
ノノカは機士であり
魔装機にも詳しい才能があった
ある程度調べ終えるとノノカは言った
ノノカ
『ダメですね、完全に回路が故障してます
直すなら専用の道具とパーツが必要ですよ』
レイナはノノカの話しを聞き考えた
数秒だけ目を閉じ
考えを終えると目を開け
ノノカとマルに作戦を伝える
レイナ
『マルって速度上昇の魔法使えたよね?』
マル
『使えるよ』
レイナ
『なら今すぐ王都に帰って
司令官にこの事を伝えて』
レイナは持って来た無線機をマルに渡す
レイナ
『王都に近づくと無線が繋がるはず
今の状況だから
司令部には夜遅くても誰かが居ると思う』
ノノカは焦り
もしかしてっと思いレイナに質問する
ノノカ
『まさかとは思いますが
2人で魔竜を追いかけるつもりじゃ・・・』
ノノカがそう言うと
魔竜の雄叫びが辺り一面に響く
耳を抑え顔色が悪くなるノノカ
レイナは魔竜の雄叫びを聴き
決意を決めたように言った
レイナ
『あんな魔物放っておいたら他に被害が出る
私達2人でアイツらを食い止める』
レイナがそう言うと
ノノカは更に顔色が悪くなった
ノノカはマルにしがみ付き言う
ノノカ
『私が王都に帰っちゃダメなんですか』
レイナ
『ノノカは速度上昇の魔法使えないでしょ?
それにマルなら
タレントで走るより早く王都に行ける』
マルはノノカの肩にポンっと手を置き言った
マル
『屍は拾ってやるよ』
ノノカ
『冗談でもそんな事言わないでください!!』
ノノカは泣きながら膝から崩れ落ちた
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〈4-3 信頼〉
2人はマルを見送った後
タレントに乗り込み
魔竜が飛んで行った方向に向かった
数分 数十分 数時間が経過したが
2人は魔竜を見つけられず
一日中無駄に移動をしていた
ノノカ
『レイナさん、私もうマナが尽きました
一歩も動かせないですぅ』
ノノカのタレントは
女の子座りをするように膝から崩れた
レイナは考えた
このまま無理に捜索して
マナを無駄に消費するより
王都から応援が来た後に動いた方が賢明だと
レイナとノノカはタレントを森に隠すように止め
マナを回復させる為外で暖を取った
レイナは辺りにある
食べれそうな木の実や山菜、キノコを取ってきて
食べ物と持ってきた水の入ったボトルを
ノノカに渡す
レイナ
『はいコレ、
いつまで野営をする事になるか
分からないから水は大切にしてね』
ノノカは美味しいそうな木の実を一口食べ
少しだけ水を飲んだ後言った
ノノカ
『レイナさんは凄いですね、
私なんて機士になれたって言うのにダメダメで
レイナさんが羨ましいです』
レイナ
『ノノカはノノカのやれる事がある
私とマルはそれを1番知ってるから』
ノノカは顔を赤らめた、
焼いていた食べ物を何も見ずに取り
誤魔化す感じでパクリと食べた
ノノカ
『うえぇ、キノコです
私キノコだけ苦手なんです』
レイナ
『好き嫌い言わない、
こんな状況で食べ物があるだけ幸せなんだから
・・・食べ終わったら少し寝たら?
だいぶマナが減ってた見たいだから』
ノノカはありがとうございますっと言い
食べ終わったのか
倒れるように目を閉じ眠りに入った
「はや‼︎」っとレイナは小さな声でツッコム
レイナは焚火の火を絶やさないよう
木の枝を焼べ続けた
火を眺めていると
ゆっくりと目蓋が落ち、レイナは眠った
レイナはゆっくりと瞳を開き
辺りを見渡した
気がつくと
夕暮れの時間帯になっていた
しまった眠ってしまったか、と言うと
森の奥から
魔竜の雄叫びのような声が辺り一面に鳴り響く
レイナは直ぐに反応し
近くで寝ていたノノカを起こした
レイナ
『起きてノノカ!!魔竜が現れた』
ふえっとした顔でノノカは目を覚まし
そのままタレントに乗り込んだ
2人は声の方角に直ぐに向かった
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〈4-4 三姉妹〉
ディナガード領 北東
夕日が沈む時間
レインオラクルの魔装機が
魔竜に大きな大剣を突き刺し 魔竜を倒していた
ブリタン
『たく、ディナガード領はいつから
化け物の巣窟になったんだい
コレで2体目だよ』
彼女の名はブリタン・ベルナンデス
レインオラクル国のナイト級の機士
ブリタンは魔装機の手を素早く動かし
魔竜の血がベッタリと付いた大剣の血を振るった
ブリタン
『返すよアモ、
中々切れ味の良いバスターソードだったよ』
アモタン
『流石姉さんです、見惚れる戦いでした!』
彼女の名はアモタン・ベルナンデス
レインオラクル国のビショップ級の機士
ブリタンの妹
アモタンが武器を受け取ると
ブリタンは倒した魔竜をじっくりと見た
ブリタン
『たくなんなんだい、このデカイトカゲは?』
ハルタン
『ブリ姉さんに掛かればこんな魔物の
10匹や100匹赤子も同然だよ!!』
嬉しそうに姉を褒めるのは
ハルタン・ベルナンデス
レインオラクルのビショップ級の機士
ブリタンとアモタンの妹
彼女達はベルナンデス三姉妹と呼ばれ
とある任務でディナガード領にやって来ていた
アモタンは大剣をしまい 話し出す
アモタン
『それにしても
ビットと謎の魔装機見つかりませんね姉さん』
ハルタン
『アモ姉・・・
もしかして私達ナインのバカに騙されたんじゃ』
ブリタンの魔装機は
死体の魔竜に腰を下ろし話し出す
ブリタン
『それは心配ないよハル、
アイツは優等生の子だからね
上層部に嘘の申告をするほど
肝が据わっちゃいないさね』
次女達はあははっと笑った
ん?っとブリタンは
正面から何かが来る事を感じ取る
ブリタンは次女達に何か来るよっと言うと
森の奥から
ディナガード国の魔装機が2機
ブリタン達の前に現れた
ノノカ
『レイナさんアレって!!』
レイナ
『レインオラクルの魔装機!?』
現れた魔装機はレイナとノノカのタレントだった
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〈4-5 知略〉
レイナは倒れている魔竜に目を向け
コイツらがやったの?っと頭で考えた
直ぐ様ノノカに機体情報を教えてっと言った
ノノカは魔装機に詳しく
他国の魔装機でも
どんな性能や戦い方をするのか
武器や機体のパワーも知っていた
3機ともバスタードと呼ぶ魔装機で
ビショップ級以上が扱える
レインオラクル国の魔装機、
真ん中の機体だけ
だいぶカスタマイズされている、
左の大剣を背負っているバスタードの武器は
バスターソードと言う武器で
並の魔装機の装甲なら簡単に切断できる、
右のデカイ銃を背負っているバスタードの武器は
バスターライフル
ラピットと同じ魔弾も射つ事ができ
チャージする事でアダマンタイト鉱石すら
一瞬で溶かす出力がある
ノノカは
相手の機体情報を事細かにレイナに伝えた
ノノカの話しを聞き レイナは言う
レイナ
『て事はあの3機のパイロットは私達と同じ
ビショップ級かそれ以上のパイロット
そして真ん中の奴がリーダー機に違いない』
レイナは真ん中のバスタードに回線を繋げ
自分達が誰なのか伝え
どうして貴方達がこの場所に居るのか質問をした
レイナ
『私はディナガード国の機士レイナ
この場所はディナガード国の領地である、
何故レインオラクルの魔装機が
ディナガード国の領地にいる?』
3人の姉妹は話しあっていた
アモタン
『どうします姉さん?』
ハルタン
『ブリ姉さんディナガード国の連中に
手を出すのは不味いんじゃ...』
ブリタン
『わかってるよ、
それに丁度良い展開だよ』
そう言うとブリタンは回線を繋げた
ブリタン
『オヤオヤ、
こんな怖い化け物を倒してあげたのに
感謝の一つも言ってくれないのかい
ディナガード国の機士ってのわ』
レイナは安い挑発に乗らず
黙々と質問をする
レイナ
『名前と所属を言いなさい、
返答次第では攻撃する』
ブリタン
『イヤだねぇ、
感謝の代わりにアンタ達は
私達に鉛玉をプレゼントするのかい?』
ブリタンは敵に聞こえないよう
小さな声で次女達に言った
ブリタン
『アモハル、
武器を直ぐに使えるよう準備しときな!
アイツらから情報を聞き出したら始末するよ』
ハルタン
『でもブリ姉さん!!』
ブリタン
『大丈夫さね、このデカイトカゲと
相打ちになった事にしときゃ良いのさ』
アモタン
『流石姉さん』
ブリタンはレイナに質問した
ブリタン
『違うんだい、
私達はビットって博士と
その魔装機を探しているだけなんだい、
そしたら偶々化け物に襲われちまって
こちらもダメージが酷くて動かすのがやっと、
もう散々さね』
レイナは3人の魔装機を瞬時に観察し
嘘である事を見抜く
ブリタン
『そうだ!
アンタら変わった魔装機を見なかったかい?
なんでも小さな女の子が乗ってるらしくてね』
ノノカはわかった顔をしてレイナに話す
ノノカ
『それってもしかして最近噂の転校生じゃ!?』
レイナ
『わかってる、アイツ達に情報を与えちゃダメ
何か裏があるかも・・・』
レイナは辺りを見渡すと
壁の上に大きな岩を見つける
レイナ
『ノノカ聞いて、
私が合図をしたらアレを銃で攻撃して』
ノノカはえっ‼︎と
レイナの顔をモニター越しに見た
痺れを切らしたブリタンは言う
ブリタン
『どうしたんだい?
返事が帰って来ないよーだけど?』
何か知ってるねっと察したブリタンは
次女達に殺さず生け取りにしなっと伝える
次女達は了解っと返事を返す
ブリタン
『それより手を貸してくれないかい?
マナが尽きちまって魔装機を動かせないんだよ』
レイナはゆっくりと
そちらに向かう素振りを見せた
それを見たブリタンは今だ‼︎っと次女達に言うと
アモタンは武器を構えレイナに飛び掛かる
瞬時に察知したレイナはノノカに撃ってっと叫ぶ
ノノカはラピットを近くの大きな岩に連射し
岩はブリタン達の前に落ちた
岩が落ちた衝撃で辺りに砂埃が舞い
何も見えなくなる
ブリタンはアモタンに無事かいっと聞くと
無事です姉さんっと返事が返ってくる、
アモタンは当たる寸前で回避をしていた
砂煙りが収まると
レイナとノノカの魔装機は姿を消していた
ブリタンは怒りをあらわにした
ブリタン
『アイツら』
ハルタン
『ヤバイよブリ姉さん!!、
夜になるとアイツらを探すのが困難になるよ』
ブリタン
『わかってるよ!!』
ハルタンの言葉に怒りながらブリタンは言った
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〈4-6 裏目〉
レイナとノノカは
レインオラクルの魔装機から逃げる為
ディナガードに向けて南に移動していた
ノノカはレイナに質問した
ノノカ
『ディナガード国の方角は南西ですよね
なんで南に移動しているんですか』
レイナ
『あのまま真っ直ぐ南西に移動してたら
追いつかれてしまうかも知れない
それに こっちの方角なら
他の場所に向かった機士団の仲間と
鉢合わせになるかも知れない』
ノノカはレイナの冷静な判断に感心する
ノノカ
『流石ですレイナさん、レイナさんが居なかったら
私あそこで死んでました』
レイナ
『何言ってんの?
ノノカの情報が無ければ私も死んでたよ』
レイナは後ろを確認しノノカに聞く
レイナ
『王都までどれぐらい?
多分もうマルが付いてる頃だと思うから』
ノノカ
『えっと、遠回りしているから
このままタレントを走らせても
半日以上は掛かります』
ノノカは不安そうに質問した
ノノカ
『でも大丈夫なのかな、
もし向こうも南に移動して来ていたら』
レイナ
『多分大丈夫だと思うけど、
それに暗い夜だと
向こうもこっちを探すのが大変だと思う』
とにかく急ごうと
レイナはスピードを上げノノカに言うと
ノノカもスピードを上げた
しばらく移動すると
木と岩の多いエリアに入った
移動していたノノカの魔装機の足に
遠くの岩影から何かが飛んできてソレは命中した
ノノカの乗っていたタレントは頭から崩れ落ちた
レイナ
『ノノカ!!』
大声でモニター越しに叫ぶレイナ
ノノカからの返事は返ってこなかった
レイナは何かが飛んできた方角を見ると
岩山の上にバスタード3機を発見した、
そう
さっき逃げたはずの3人に
先回りされていたのだ・・・
レイナは絶望した表情を見せ
言葉を震わせながら言った
レイナ
『・・どうして』
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〈4-7 賭け〉
レイナとノノカに逃げられたブリタン達は
バスタードを密着させ
降りて話をしていた
ハルタン
『どうするんだよブリ姉さん
このままじゃ私達、
国に帰ってもどうなるか分からないよ!』
アモタン
『静かにしなハル‼︎姉さんが考えてんだろ‼︎』
ハルタン
『でもアモ姉』
ハルタンは焦りながら戸惑う
アモタンはブリタンに言った
アモタン
『すいません姉さん、私がとちったばっかりに』
ブリタンはアモタンの顔を見て言った
ブリタン
『私達が最後に行った村の場所は?』
唐突な姉の質問に
次女達は頭に?を浮かべた
ブリタンの質問にアモタンが答えた
アモタン
『確かネイラッドだから
ココから南東にある村です』
ブリタンは笑みを浮かべ
胸元に隠してあった羽を取り出した
その羽を見て次女達はビックリした
ハルタン
『ガルーダの羽⁉︎しかもかなりの大きさ‼︎』
アモタン
『転送アイテムなんて
レア度Sの魔法アイテムじゃないっすか!!』
ビックリした次女達にブリタンは言う
ブリタン
『この羽は一度使うと無くなっちまうが
最後に訪れた村にワープできる優れものさ
このデカサだ、
人間なら50人は同時に使える代物さね』
アモタンは閃いた顔で言う
アモタン
『なるほど、
コレなら私達3人と
バスタード3機ぐらいなら飛ばせるはずですね』
喜んでいるアモタンを横目で
悲しそうにハルタンは喋った
ハルタン
『でもアモ姉、
ブリ姉さんは気付いていると思いますが
奴らはディナガード国がある南西に向いて
逃げていったんですよ、
ワープできたとしても追いつける訳が・・』
アモタンはハルタンの言葉を聞き
喜ぶのをやめた
ブリタンは目を閉じて大きな声を出し笑った
その様子を見た次女達は
何が何だか分からない顔をした
ブリタン
『確かに普通だったらそうさね
だけどあのレイナって女は知略に長けていた
私の考えを超えて来たんだからね。
だけどあの女は普通じゃないのさ
真っ直ぐ逃げれば
私達に追いつかれてしまうかもしれない、
だからこそ道を外れ、遠回りで移動しているはず』
ハルタン
『でも、もし西に移動していたら⁉︎』
ブリタン
『西にはディルゴ火山がある、
夜間のあの道は魔装機に乗ってても危険さね』
ハルタン
『って事は?』
ブリタン
『コレは賭けだよ、でもあの女は普通じゃないなら
私と同じ考えをしているはずだよ』
長女の話しを聞き終わると
次女達は
バスタードの周りを円で囲い魔法陣を書いた
ブリタンは羽を握りしめ
呪文を唱えると
3人と3機は南西の村にワープした
魔装機ごと転送できた事に気づいた3人は
すぐさま乗り込み、そこから西に向かって移動した
ブリタンの賭けは成功だった
逃げているレイナとノノカのタレントを捉えた
ハルタンはバスターライフルを構え
少しチャージしてノノカのタレントに撃つ
見事タレントの足にヒットし、倒れる
ブリタンは少し口を緩ませ嬉しそうに言う
ブリタン
『残念だったね、天才軍師ちゃん』
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〈4-8 絶望〉
レイナは絶望していた
完璧な作戦だと思った案が
意図も容易く無になり
仲間のノノカまで危険な状況に追いあった
なんとかしなくちゃ
なんとかしなくちゃ
レイナは自分に言い聞かせるが
時間は待ってはくれなかった
オープン回線が繋がり
敵の顔がモニターに映る
ブリタン
『どうするんだい天才軍師気取りの嬢ちゃん?
もうアンタ達を
生かして返す訳には行かなくなっちゃったねぇ』
偉そうにほざく
敵の顔を見たレイナは怒りを覚えた
だめだ、冷静を取り乱したら敵の思うツボだ
私が仲間を守らないと
必死に頭を回転させるが
この状況をなんとかする術は無かった
焦っていたレイナに
仲間のノノカの回線が繋がる
レイナはノノカの名前を叫んだ
ノノカは頭から血を流し、
顔は血で真っ赤に濡れていた
ノノカは最後に振り絞るかのような声で喋り始める
ノノカ
『に、逃げて下さい…レイナさん』
レイナは頭の血が切れ
タレントに搭載されているナイフを取り出し
叫びながら敵に突っ込んだ
レイナ
『クソガァァァァ』
ブリタン
『馬鹿な子だよ
でも仲間を見捨てず戦う覚悟は認めてやるさね』
ブリタンのバスタードは
蛇腹の形をした剣を取り出した
レイナのタレントを
バスタードの蛇腹剣は意図も容易く
両腕両足を切断した
手足を失ったタレントは地面に落ちる
その光景を薄れゆく目でノノカは見た
ノノカ
『……レイナ…さん』
ノノカは気を失ってしまった
アモタン
『姉さん、私に止めを任せてよ
人を殺す感触を初めて味わってみたいんだ』
アモタンは大剣を取り出し
レイナのタレントに振りかぶる構えを見せた
ブリタン
『勝手な子だねぇアモは、好きにしな
但し死者に敬意を示さなきゃなんないよ』
長女の言葉を聞き
次女は分かっているよ姉さんっと言うと
大剣を
レイナのコックピットに向けて振り下ろそうとした
その時
どこからともなく魔弾が駆け抜け
アモタンの乗っていたバスタードに
大きな穴が空き倒れた
ブリタンは魔弾が飛んできた方角を見た
そこには
銃を構えたサラサのテイムライトと
ネルのノーネームがいたのだ
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〈4-9 逆転〉
アモタンのバスタードを撃ち抜いた
サラサは倒れているタレント2機に通信を送った
サラサ
『2人とも無事⁉︎』
サラサの声を聞き
レイナは通信を返した
レイナ
『サラサさん……、
ノノカは気を失っていますが無事です』
サラサ
『ありがとレイナ、休んでて』
サラサは
他の2機のバスタードにオープン回線を繋いだ
サラサ
『こちらはディナガード国の機士サラサ
ディナガードのタレントを攻撃していたのを
目撃した為攻撃させて貰いました、
所属機からレインオラクルの機士とお見受けします
武器を捨てディナガード国に投降して貰います』
サラサの声が
ブリタンとハルタンのコックピットに流れる
ハルタンは
今にも泣き出しそうな声でブリタンに言う
ハルタン
『ブリ姉さん、
アモ姉が……アモ姉からの通信が帰ってこない』
ブリタンは焦りを見せたが
直ぐに冷静を取り戻し力強く言った
ブリタン
『ハル‼︎魔装壁を展開させな
直ぐにコッチから撃ってでるよ』
2機のバスタードは魔装壁を展開した
物影から見ていたライルは言った
あれが魔装壁かネルくんから聞いていた通りだ
ブリタンは落ちていたバスターソードを構え
三女に伝える
ブリタン
『ライフルのチャージをしな‼︎
私が2機を足止めする』
ライフルのチャージをしている敵を見て
サラサはクラスターラピットを放つ
しかし
魔装壁に弾かれ、弾が通らなかった
サラサは驚いた
サラサ
『嘘でしょ‼︎』
ブリタンは大剣を構え
2機に突っ込んだ
ネルは剣を取り応戦した
2機は鍔迫り合う形でお互いを見合わせた
ブリタンはネルに回線を繋いだ
ブリタン
『やるね、この剣を止める武器があるなんてね』
ネル
『どうも』
ブリタン
『ん?子供? その機体その見た目、
アンタがビットの魔装機に乗ったガキかい?』
ネル
『ビットを知っている?』
ブリタン
『博士は何処だい坊や』
ネル
『ビットならもう死んだよ』
ブリタン
『なんだって!?』
横からサラサのテイムライトが
剣を持ち攻撃をしてきた
ブリタンはネルのノーネームを蹴り飛ばし
サラサの攻撃を避けた
ハルタンは姉がピンチだと感じ
魔装壁を消し
チャージが不十分なライフルを
サラサのテイムライトに放つ
サラサは直ぐに反応し
攻撃を交わし クラスターラピットを構え敵に撃つ
ハルタンのバスタードの片足にヒットし崩れ落ちた
その光景を見たブリタンは叫ぶ
ブリタン
『ハル‼︎‼︎』
好きを見せたブリタンにネルは攻撃し
片腕を破壊し
ブリタンのバスタードは大剣を落とした
ブリタン
『ちっっぃ』
ブリタンは後ろに下がり
ハルタンが倒れたバスタードの近くに行く
サラサ
『勝負あり見たいね』
サラサがそう言うと
ネルはゆっくりと剣をしまった
ブリタン
『ふふふふ、あはははは』
不気味にブリタンは笑い始めた
サラサ
『何がおかしいの?』
ブリタン
『何勝った気でいるんだい、
勝負はまだ終わっちゃいないねぇ』
ブリタンがそう言うと
ブリタンのバスタードからアンテナが飛び出し
謎の電波を回りに飛ばした
サラサはヤバイと察知し直ぐに防御を取る
しかし、何も起こらなかった
サラサ
『って、何も起きないじゃない』
そう言った瞬間だった
テイムライトは動きを止め起動しなくなった
サラサ
『嘘⁉︎なんで⁉︎』
サラサは必死にマナを送るが
テイムライトは動く気配すら見せない
ライルはまたしても驚かされた
魔装壁以外にもこんな技術まで
レインオラクルは開発していたのかっと
ブリタンのバスタードは片腕で
バスターライフルを拾いチャージを始める
ブリタン
『終わりだよ』
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〈4-10 勝敗〉
ブリタンはバスターライフルを構えた
足元を見ると
ハルタンは気絶しているアモタンを抱き抱え
手を振っていた
少し笑みを見せたブリタンは
直ぐに冷静になり
バスターライフルをテイムライトに放つ
ブリタン
『終わりだよガキども』
放たれた光線を
ノーネームが防いだ
ブリタンは動ける魔装機を見て驚いた
ブリタン
『なんだってんだい!!』
ノーネームは片腕を広げると
手の先から大きな魔法陣を出現させた
何かをされる前にブリタンは銃を構えた
2発目を放とうとしたが遅く
ノーネームから放たれた青い光の攻撃を受けた
ブリタンのバスタードに大きなダメージをくらい
バスタードのアンテナから
放たれていた電波は治った
サラサは直ぐに起動できる事に気付くと
マナを送りテイムライトを起動させる
ブリタン
『ふざけんじゃないよ』
鳴り響く警報にブリタンは怒りをあらわにする
ノーネームはまた魔法陣から何かを放とうとする
このままじゃヤバイと思ったブリタンは
次女達をコックピットに乗せ、ブーストを吐き
全速力で逃げていった
サラサは追う事無く
直ぐにレイナとノノカの元に向かった
サラサ
『2人とも大丈夫!?』
コックピットを手動で開くと
2人は眠るように気を失っていた
良かったっとサラサは胸を撫で下ろす
ネルもお疲れ様
っと言うとネルから返事が返ってくる
ネル
『あの〜、なんだか動かなくなったみたいです』
サラサはえっ?と顔を傾けた
next▶︎5