7章 異世界転移 53話-闇の商人
※注意
この話数には気分を害する様な性的表現が含まれます
読みたく無いって方は文章の最後にどう言った話だったのかを簡略化して書いておきます
〈53-1 逃げた博士と生き残った魔女〉
▶︎レインオラクル領
レインオラクル国から遠く離れた何処かの研究室
そこは
レインオラクル国の機士すらも知らない
プルネンが極秘裏に作らせた魔装機工場
その場所に
レインオラクル国から逃亡した魔装機学者と
1人の機士が居た、その機士は・・・
逃亡した魔装機学者
『今日で3ヶ月か、おい!!起きてるのか!!』
眠っていた機士の女性は
大きな声で起こされ 不機嫌そうな顔をしていた
機士
『起きてるって、大きな声出さないでよ』
逃亡した魔装機学者
『起きてたら返事をせんか、危機管理の無い奴じゃ』
機士
『だからしたじゃん、今返事』
グチグチとお互いに口を開き
機士は2階の窓から飛び降り科学者の元に向かった
良い匂いを感じ
機士は何を作ったのか科学者に聞く
機士
『何作ったの?』
逃亡した魔装機学者
『ジャガイモを買った、
それにチーズを乗せて焼いた』
機士
『え!!ジャガイモを!!』
レインオラクル国では
野菜や乳製品などの食べ物の物価は
他2国より遥かに高い
魚や肉などが食卓に並ぶ事など
滅多にどころか ほぼ無かった
機士はそのジャガイモやチーズを
何処で手に入れたのか聞くと
科学者はローズストーン国から来た
商人から買ったと言った
機士
『ローズストーン国の?』
逃亡した魔装機学者
『今のレインオラクル国には
ディナガード国の人やローズストーン国の人まで
簡単に足を運ばせに来とる
少し値はしたが、買う事ができたのじゃ』
ふーん、っと返事をして
機士は焼かれているジャガイモを見た
ヨダレを流す機士を見て
科学者は汚い者を見るような顔をして
ジロジロ見るなと怒った
焼けたジャガイモを皿に乗せ機士に手渡すと
少し不安そうな顔をして機士はソレを見ていた
中々食べ出さない機士を見て
まさかと思い、科学者は聞いた
逃亡した魔装機学者
『早よ食べろ、まさか?初めて食べるのか?』
機士
『野菜やそれ以外の食べ物なんて食べた事無いから』
逃亡した魔装機学者
『栄養チップしか食っとらんかったのか...』
栄養チップとは レインオラクル国が
作物が育ちづらく海に面してなく魚も取れず
動物すらも居ない土地で食べ物に困っていたので
研究者が栄養のある食べ物を
小さなビタミン剤のような形の物を
作ったのが始まりである
改良が重ねられ
小さなクッキー型の食べ物になったが
味もなく余り美味しい物ではない
機士はひと口焼かれたジャガイモを食べると
熱かったのか、口をモゴモゴとさせ微笑んだ
あっという間に食べ終え
機士はもう一つのジャガイモを見て言った
機士
『そっちのも食べていい?』
逃亡した魔装機学者
『こっちのはワシのじゃ!!
お前のはさっき渡しただろ!!』
機士
『あぁ〜、こんなじゃ力出ないな〜
魔装機も動かせないかも』
やる気のない あからさまな言葉に
科学者は少し不機嫌になり
自分の分の食べ物も渡した
やった、と小声で喋り
機士はもう一つのジャガイモも美味しそうに食べた
逃亡した魔装機学者
『それを食い終わったら
今日は魔装機を二機運んでもらうぞ』
機士
『ハイハイ』
聞いてるのか聞いていないのか
分からない返事をして 機士は軽く手を振った
機士はジャガイモを食べ終え
科学者の顔を見て何かを考えていた
機士は自分の事を考えていた
自分のコレまでの生き方や
ここまで生きていた事
そして
この人に拾われた事
この科学者は自分の私情も知らず拾ってくれた
そんな科学者に 機士は不安そうに聞いて見た
機士
『私の事...何にも聞かないんだね
機士なのにどうしてあんな所に居たかとか』
逃亡した魔装機学者
『そんな事、どうでも良い
ワシがソオジで
お前がレイって名前さえ知っておれば
それ以外は知らなくてもどうでも良い』
科学者のソオジがそう言うと
機士のレイは少し笑った
ソオジ
『それに、何故ワシがレインオラクル国から逃げて
こんな事をしてるかなんて お前も知らんだろ』
ソオジとレイは
闇の商人と言う名前を使って
魔装機を定価以下の値段で誰にでも売っていた
機士に足が付かないよう 慎重に行動しながら
確かにレイは分からなかった
どうしてソオジが魔装機を安い値段で売り
こんな事をしているのか
だけど
そんな事は彼女にはどうでも良かった
生きてさえいれば
生きてこの世界に存在さえしているだけで良かった
死んだ仲間達の為に それだけで
彼女は、オドマンに作られた量産魔女だった
優秀な魔女と男の遺伝子を掛け合わせ
ゼロから産まれた存在
3000人以上作られた量産魔女の1人
レインオラクル国 ナンバーズのキラと同じ存在
その最後の生き残りだった
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-2 20年前の私〉
私はレイ 今は闇の商人として
魔装機を売っている1人の機士
でも私は レイなんて名前じゃない
名前なんて無い 名前なんて存在しない
私自身が 存在しなかった存在
▶︎20年前のレインオラクル国
レインオラクル国の近深くの研究室
何処かも分からない暗い暗い部屋の中で
私は産まれ育った
私には仲間が居た
3000人の量産魔女の仲間が
皆同じ親の遺伝子で作られていたが
個性は色々違っていた
私は比較的お喋りな性格では無かった
だから、誰とも話さず
隅っこでひっそりとしていた
ここでの私の名前は0819番
コレが私の本当の名前だ
1399番
『ねぇ1601番ちゃん 知ってる?
この上には広い広い世界が広がってるんだって』
1601番
『え?そうなの?』
1399番
『うん!!そうなんだって!!
早く私達も上の世界に行きたいね。』
1399番と1601番が
仲良さそうにまた話をしている
2人はとても仲が良くていいなっと私は思っていた
だけど
決して私は2人に近づこうとはしなかった
研究者の人が部屋に入ってくると
マナ測定機を使ってマナを測定し始める
マナの低い子は
外の世界に連れて行くと言われ
何処かに連れて行かれる
本当は外の世界になんか行けない
何処かで処分されるのだから
私の近くで研究者は足を止め
0819番‼︎っと名前を呼び
私の手を掴み連れて行かれた
周りからは
良かったねとかおめでとうとか
そんな声が聞こえる
部屋の外に出ると
研究者の2人が私の近くで話を始めた
研究者B
『その子どうすんだ?
また売りに行くのか?』
研究者A
『せっかく稼げるやり方を見つけたんだ
みすみす殺すのも勿体無いだろ
それに、俺今月困ってたんだよな』
研究者B
『手引きしてやるから、分け前少しは寄越せよ?』
研究者A
『分かってる分かってる
こんな事がオドマン博士にバレたら
俺達殺されちゃうもんな』
6歳だった私は何が何だか分からず
その研究者達に黒い袋の中に入れられ
車に乗せられた
何処に運ばれているのかもわからず
私は袋の中で怯えていた
気がつくと車は止まっていて
誰かとさっきの研究者が話している声が聞こえた
最後に研究者は
「良かったな、本当ならお前死んでたんだぞ
外に出れて幸せ者だよお前は」
そう言った
誰かが袋を開け
私を外に出してくれた
小太りの男
『よしよし、怖かったね
もう大丈夫だからね、今日からここが君の家だ』
0819番
『叔父さん誰?、ここは何処なの?』
そいつの名はバドリック・フィブラス
人売りを生業にしている貴族の男だ
バドリックは私の手を優しく取り
家の中に連れて行った
みすぼらしい服を着ていた私に
バドリックは可愛くて素敵な服を着せてくれた
ありがとうっと私は喜ぶと
バドリックは私の顔に顔を近づけ
汚い下で私の顔を舐めてきた
何をされたのか分からない私だったが
バドリックはそのまま続けた
可愛い 素敵だ 安心して っと呼びかけ
その日私は初めて体や心の痛みを知った
知らなくてもいい痛みを
バドリックは子供の私を存分に扱った
そんな地獄のような生活が
その日から始まったのだ
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-3 生き抜く術〉
それからと言う物
私は常に服を着せて貰えず
バドリックが満足するまで好き勝手に使われた
子供だったので
抵抗しようにも抵抗なんてできない
嫌でも何もできない ただ
我慢をしなければならなかった
食事は安い栄養チップ
バドリックは美味しそうな肉を食べていた
バドリック
『お前も食べたいか?』
0819番
『.....た....べ..たい』
私は小さな声でそう言うと
バドリックは履いていたズボンを脱ぎ
「咥えてろ」っと言った
咥えたら肉を食べさせて貰えるのかと思い
私は汚いソレを口に咥えた
嫌だった、死ぬほど嫌だった
でも、肉が食べられるのなら そう思っていたら
バドリック
『人間でもない奴隷のお前が
高価な食べ物を食べれると思うなよ!!
お前なぞ 安いチップで充分だ!!』
その言葉に 私は怒りを見せた
こんな事をしてまで そんな事を言われて
私は何のために産まれたのか
私はどうして息をしているのか
自分の存在意味すら分からなくなった
私は咥えていた物を噛むと
バドリックは痛みを感じさせ叫んだ
バドリックは私の髪を引っ張り、投げた
さっき咥えていた場所から
バドリックは血を流していた
バドリック
『コイツ!!飼い主に反抗しやがって!!
もういい!!、お前も不要だ!!殺してやる!!』
バドリックは私の首を両手で掴み
本気で首を絞めて殺そうとした
私は体の痛みをここで知ったが
死を感じる恐怖と痛みをその時しった
その時初めて分かった
死にたくない事を
死にたくない 死ぬのが怖い
生きたい まだ生きていたい
首を絞められ 声も出しづらかったが
私は掠れる声を振り絞り言っていた
ごめんなさい もうしません
生きたい 死にたくない っと
それを聞いて バドリックは私の首を離した
直ぐにでも私を殺しそうな剣幕て
バドリックは私を見ていた
私は必死に謝った 死にたくない
生きていたいから
でも バドリックの顔は元に戻らなかった
血を流すソレを見て
私は舌を出し 拭き取るように舐めた
それが良かったのか
バドリックの剣幕は何処かに消え
私の頭を撫でていた
バドリック
『分かれば良いんだ 分かれば』
死にたくない その一心で
私はそこでの生き抜く術を身につけていた
その日は
私は沢山バドリックに可愛がられた
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-4 同じ日々を〉
それから数年が経ち 私は11を超えていた
バドリックの行為は日に日に激しさを増し
私はソレを耐える事しかできなかった
▶︎ギシギシと音を響かせるバドリックの部屋
バドリック
『お前にも名前が必要だな』
0819番
『あ......あ......』
バドリック
『0819番は言いづらい、
そうだな、存在価値が無い人間
存在してもしなくても変わらない
人間ですら無いお前の名前は..!レイだ!!』
レイ
『ん...あ...』
バドリック
『ホライクゾ』
▶︎台所
私はバドリックが食べた食器を洗い
部屋の掃除をしていた
バドリックは人売りと呼ばれる仕事をしていて
沢山のお金を持っていた
この時の時代は人売りや人買いは
レインオラクル国では当たり前だった
そんなある日
バドリックが2人の子供を連れて来た
エレチアとテミレイと呼ばれる子供
私より5歳ぐらい歳が離れていた
私はこの子達は?っとバドリックに聞くと
売り手が直ぐに見つかり
数日間この家で面倒を見る事になったらしい
2人の子供は凄く怯えていた
どんな事情があったのか私には分からない
可哀想だとも思ってなかった
子供達にも私と同じ栄養チップを出し
3人でそれを食べた
その夜
レイ
『待って、あの子達が見てる!!』
バドリック
『見せてるんだ、アイツらも誰かに買われるんだ
勉強しておいた方がこの先役に立つ』
私は2人の子供達の前で
恥ずかし目を受けさせられた
怯えながら私を見るその子達の目を見て
私は見て欲しく無いと思っていた
誰かに見られると言うのが
こんなにもツライのだと知った
数日間そんな日々が続き
子供達は新しい飼い主の家に連れて行かれた
2人が居なくなっても
私の生活は変わらなかった
来る日も来る日も
朝から晩まで私はバドリックの相手をさせられた
知らない男がやって来て
2人でやられた時もあった
その男は
ソルリオと言う 何処かの貴族らしい
私は恥ずかし目を受けながら
その男の顔を覚えた
ある日の行為中の時 バドリックが言った
量産魔女は子供を産めないから
いくらでも楽しめると
その時知った
私が普通の人間じゃなく作られた人間だったのだと
いや、人間かどうかも怪しい
それから数年の月日が流れ 13歳のある日
屋敷の中に動いて無い古い振り子時計があった
私は掃除をしようと振り子時計を触ると
ギギっと木が軋む音が鳴り
振り子時計の奥にある隠された扉が開き
地下へと続く階段が現れた
私は恐る恐る 階段を見ると
奥は暗く 何も見えなかった
この事を主人のバドリックに聞くのが
奴隷としての最善策だったのだろうが
私はその階段を下りていた
地下に着くと
周りには何かが転がっていた
私は目を凝らしその何かを確かめるように見ると
そこに居たのは
私達量産魔女の亡骸だった
5体の量産魔女の子供達が死んでいる
私がこの屋敷に来る前に
この子達はバドリックに買われ殺されたのだろう
私は驚き 声を押し殺していた
すると 地下の照明が点き
背後にバドリックが立っていた
私は恐怖に怯え
立ち上がる事すら出来なくなっていた
バドリック
『見ちゃったんだ、そうだよ
コイツらはお前が来る前に買った量産魔女達だよ
君の姉妹だね』
私は動けないまま バドリックに謝った
ごめんなさい 死にたくないです
そう言って
バドリック
『コイツらは僕に逆らったからこうなった
だけどお前は忠実で物分かりが良い
コイツらより利口だ
この事は僕達だけの秘密だ、イイネ?』
私は必死に首を縦に振った
バドリックは何も言わず階段を上がって行った
私も直ぐにこの場を去ろうと立ち上がった
私は後ろを振り返り
仲間の死体を見た
この子達は生きる術も分からず殺された
私は運が良かった
バドリックの機嫌を取るのが上手だったからでも
体を使って楽しませるのが上手かったからでも無い
ただ運が良く生きていただけだった
私もここで死んでいたのかも知れない
私は仲間達にごめんなさいと謝り
地下の扉を閉めた
そして気づいた
私もいつ あそこに並んでてもおかしくない
行動しなければ 私もいずれ
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-5 生きる為に〉
▶︎バドリックの部屋
バドリックがベッドで眠っていると
部屋の扉がゆっくりと開いた
バドリックは目を覚まし
誰が入って来たのか見ると
この前レイに買った
肌面積が少ないブラウスを着たレイが
手を後ろに組み立っていた
ソレを見たバドリックは目を覚まし
そう言う事かと理解した
バドリックはレイの名前を優しく呼び
こっちに来いと命令した
レイはゆっくりと近づいて来る
そそられるような仕草でバドリックは興奮し
背を向け服を脱ぎ始めた
その時だった
レイは後ろに隠し持っていた
大きな石でバドリックの後頭部を叩き
ポケットに潜ませていたフォークで
バドリックの目や首 顔全体を刺し始めた
バドリックはもがく様に レイに言った
バドリック
『止めろレイ!!何をするんだ!!』
レイ
『私はお前の奴隷でも家畜でも無いんだ!!
私は私だ!!生きている人間なんだ!!』
バドリックの言葉はレイには届いてなかった
レイは泣きながらバドリックを刺し続けた
手が痛もうとも フォークが折れようとも
そして
気がつけばバドリックは動かなくなっていた
ベッドの上は血で赤く染まり
レイの体もバドリックの血で真っ赤になっていた
▶︎バドリックの部屋
気がつくと バドリックはとっくに死んでいた
私の持っていたフォークは何処かに消え
手の痛みも感じてきた
私は初めて人を殺してしまった
こんな奴 死んでも当然だと思っていた
コイツを殺せば
私は解放されると思っていた
でも
私の涙は止まらなかった
嬉しくて泣いてたんでも
悲しくて泣いてたんでも無い
心の痛みが私を泣かさせていた
私は時計を見て
ここに居ては時期誰かにこの事がバレる
私は屋敷の鍵を奪い 屋敷から初めて外に出た
近くの茂みに入り
誰にも見つからないように走った
小さな洞穴を見つけ 私はそこに隠れた
疲れていたのか
私は安全だと理解すると倒れるように眠った
外は寒く 私は丸まっていた
次の日
私はお腹が空き目を覚ました
こんな事なら
あの屋敷から食料を奪って来るんだった
私のお腹が強く鳴り
しょうがないと思い 私は立ち上がった
バドリックの屋敷に戻り
何か食べ物を探しに行こうと考えた
だけど
屋敷に戻ると 多くの機士と男達が辺りにはいた
私はどうしようと考え
茂みの中で隠れていた
辺りを見渡すと
私をここに連れて来た研究者の2人と
オドマンがそこには居た
その人達は何か叫んでいた
研究者A
『すいませんオドマン博士!!
もうこの様な事はしません!!』
研究者B
『私には妻も子供も居るんです!!
どうかもう一度チャンスを!!』
オドマン
『もういい、君達には失望したよ
代わりの者はいくらでも居るからね』
オドマンは機士に命令して
私をここに連れて来た研究者達を殺した
私は叫びそうになり 必死に声を堪えた
オドマンは機士を呼び 何かを言い出した
オドマン
『逃げた量産魔女を探して』
機士
『わかりました、見つけたらどうしましょうか?』
オドマン
『殺しちゃってもいいよ、失敗作なんだし』
殺される!?私の存在がバレると
私はこの人達に殺される!!
私もバドリックを殺したんだ
殺されても何の文句も言えない
必死に命乞いをしても
この人達は必ず私を殺す
逃げなきゃ 何処か遠くに逃げなきゃ
私は足音を消し
ゆっくりとその場を離れた
さっきより遠くに 誰にも見つからない場所に
私は必死に逃げた
アレから何日か経った
私は川を見つけ 水を飲んだ
生きる為に
どのぐらいあの屋敷から離れたかも分からない
でも
ここまで逃げればもう追っても来ないハズ
そう思いながら
もう一度川の水を飲むと
下流の方角に何かの建物が見えた
何だろうと思い 私は建物に近づくと
そこは
もう誰も使ってなかった廃墟だった
中に入り そこを調べると
部屋もあるし 毛布もある
ロッカーには栄養チップも沢山合った
栄養チップは腐らない
コレで食料には困らなくなった
私は笑みを浮かべ 他のロッカーも調べると
古い機士の服を見つけた
私はボロボロのブラウスを脱ぎ
ブカブカの機士の服を着た
13歳の子供の私には この服は大きかった
私はその廃墟をネグラにする事に決めた
そんなある日
川の水を飲みに行こうと水を飲んでいると
近くで弱った魚がぷかぷかと浮いていた
栄養チップにも私は飽きていた
この魚を食べようと 私はその魚を取ろうとすると
死んでいた仲間達や
殺したバドリックの事を思い出した
私は その魚を食べなかった
後日 私はその魚を見に行くと
その魚は他の魚に食べられていた
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-6 生活〉
忘れ去られた廃墟に住み始め 数年が経った
18歳になった私は ひと目の付かぬよう
水を溜めるタンクを作り
シャワーを浴びれるよう工夫したり
木のお皿やコップをナイフで作った
ここに来て ナイフの扱いが上手くなった
最初はブカブカだった服も
今ではピッタリになっていた
廃墟の中には沢山の本も合ったので
退屈はしなかった
恋愛系の本は苦手だが
このガレーディアス戦記って本は面白かった
ある日 川の水を汲みに行くと
そいつはいた
私は気づかず 水を汲んでいると
川の反対側に 大きなトガケのような化け物が居た
初めて見た魔物に 私は驚き
水を汲んでいた容器を地面に落とした
容器を落とした音で
魔物は唸りを上げ 私に襲いかかった
私は常に持っていたナイフを取り出し
私より大きな魔物にナイフで攻撃した
でも
ナイフは堅い皮膚を通らず 直ぐに弾き飛ばされた
魔物の手で私は押さえつけられ
食べられそうになった
このままじゃ死ぬ
ここまで来て こんな最後なんて
私は嫌だった
死ぬ事も食べられる事も
生きる為にここまで生きていたんだ
私は叫びながら魔物の口を押さえ生きる努力をした
それでも 魔物の力は強く
私の力じゃどうしようも無かった
私は叫んでいた
死にたく無い 食べられたく無い
そう何度も
すると 手に暖かい何かを感じ
私は無意識にそれを使った
私の手から
雷のような電撃が飛び出し魔物の口の中に入った
魔物は悲鳴を上げ
私はその隙に魔物から距離を取った
今のは? そう私は自分の手のひらを見ていた
魔物は体制を戻し また襲い掛かって来た
私はさっきの感覚を思い出して
もう一度電撃を放った
さっきの電撃より強い電撃が魔物に命中する
魔物は黒く焼けこげ 地面に倒れた
私が使ったのは魔法だった
私は魔女の素質を持っていた
私は怖くなり 直ぐに自分の住処に戻った
毛布に包まり 自分の手を見た
この力を使えば 私を作った人間達に復讐できる
そう考えていた
でも
そんな事をしても何の意味があるの?
危ない事をしてまで する事なの?
そんな事を考えるのを辞めた
生きているだけで充分
復讐や贅沢なんて要らない
私はこの世界で生きて行ければそれでいい
そう思っていた
ある日 ナイフで自分の手首を切ってしまった
血が溢れ出て 痛みを感じた
でも それを見た私は
生きている実感を感じた
血も出るし 痛みもある
って事は 私は人間なんじゃ?
人間かも分からない私だけど
その瞬間だけは人間を感じた
そんな事があり
自分の腕を傷つけ血を流すのを
私は趣味になっていた
▶︎数10年後
26歳になった私
私は今も廃墟で暮らしていた
何十年もこの場所に居たから 愛着も湧いていたし
この場を離れようとも思わなかった
でも、食料が付き栄養チップはもう無くなっていた
森の中には魚や魔物の肉だってある
でも最近は魔物も見かけないし
何より生き物を食べるのが私は嫌だった
生きる為に食べるのがこの世界の常識
食べなければ死んでしまう
それでも、私は食べられなかった
味が分からないとか
調理の仕方が分からないとかじゃ無い
口に運ぶと気分が悪くなる
殺している行為や殺された仲間の事を思い出すから
とにかく食べ物を探さないとダメだ
廃墟の外に出て 私は他の廃墟が無いのか探した
町に行けば私が食べられる物があるかも知れない
でも
今でも私を探している機士が居るかも知れない
誰にも見つかる訳にはいかない
私は森の中をさ迷いながら歩いた
歩き続けて半日が経った
空腹で私は目眩を感じ 近くの木に寄りかかった
少しだけ寝よう 疲れているんだ
そう思い 目を瞑ろうとすると
近くに人の気配を感じ 私は直ぐに立ち上がった
私の目の前に年寄りの老人が立っていた
老人は何も言わずコチラを見ていた
やるか?この場で?
私の存在を知られたからには殺すしかない
私はそう思いながら老人を見た
老人
『お前機士か?』
レイ
『え?』
老人は私の服を見てそう言った
確かに私は機士の服を着ていた
廃墟で見つけた服だったが
老人
『魔装機を動かせるな?』
レイ
『・・・どうして』
老人
『魔装機を動かせるなら力を貸せ
お前もレインオラクル国から逃げて来た身だろ?
ワシもそうじゃ』
レインオラクル国から逃げて来た?
力を貸せ? どう言う事か分からない
私は常に警戒をしていると
お腹の音が鳴り 老人は言った
「近くに奴らも知らない工場がある
そこで栄養チップなら食べられる物があるぞ」っと
私はその言葉を信じ 老人に付いて行った
それが私とソオジの出会いだった
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-7 許せない者〉
ソオジに連れられ魔装機の工場に来た
私が食べれる食べ物をソオジは出してくれ
ソオジは早速と言わんばかりに私に話をかけた
ソオジ
『生きるのに金が要る、ワシに協力して
一緒に魔装機を売ってくれ』
ソオジはそう言ったが
何故そんな事を?っと思った
でも
確かに私もあんな場所に居ても
いつかは食べる物が無くなり死んでしまう
私は言った
魔装機を動かせるか分からないと
ソオジ
『お前、機士じゃ無いのか?』
レイ
『・・・・・』
私は黙った
でもソオジは私を問い詰めようとはしなかった
私の知っている男どもは
私を物の様に扱っていた男達とはソオジは違った
ソオジは工場の中にある魔装機の場所に案内した
そこには
色んな種類の魔装機が置かれていた
乗ってみろと言われ
私は初めて魔装機に乗った
手をかざすと 魔装機は起動した
ソオジ
『動かせるじゃ無いか』
レイ
『・・・でも、動かし方が分からない』
ソオジはやれやれとして
魔装機の動かし方を1から教えてくれた
上手く動かすのに数週間は掛かったけど
私は魔装機を動かす力を得た
そんなある日の事だった
私が魔装機に手をかざすと
自分で傷つけた腕の傷にソオジは気づき
私の腕を掴み怒った
ソオジ
『何じゃこの傷は!!』
レイ
『触らないで!!』
私はソオジの手を振り解いた
ソオジ
『すっ済まん...、じゃが
自分の体は大切にしろ』
自分の体を大切にしろ?どうして?
人間かも分からないのに
死にさえしなければ、私はどうなってもいい
そんな事もあり
魔装機を動かす力、強力する代わりに食事を貰う
私とソオジの奇妙な関係が始まった
ソオジは闇の商人と名乗り
魔装機を安く色んな人達に売った
私が魔装機を運び ソオジが購入者を探す
そんな生活をしていた
次の購入者を見つけ
私とソオジはその人の元に向かった
バスタードと呼ばれる量産型に乗り
もう一機のバスタードを運んだ
魔装機を買う客の屋敷に着くと
その人物は私達の前に現れた
私はバスタードの中で退屈そうに待っていた
客の顔をチラリと見ると
私の神経にビリリと痺れる感覚で
昔バドリックの屋敷にいた頃を思い出した
その客の顔は忘れもしない
あの男と2人で私を好き勝手にした男だ
確か名前は ソルリオ
私は魔装機を動かし ソオジに退いてと言った
ソオジ
『ん?どうした?』
ソルリオ
『コレが商品のバスタードですか
新品みたいに綺麗だ』
ソルリオは触ってもいいかとソオジに聞き
バスタードに近づいて来た
私はバスタードの足を動かし
ソルリオを踏み潰し殺した
ソオジはビックリして私に言った
ソオジ
『何をしてるんじゃ!!大事な客だぞ!!』
レイ
『ごめん。でも、この人は私の敵だから』
ソオジは訳も分からない様子で困っていた
それもそうだ
私は自分の事も過去もソオジには話していない
混乱するのも当然だ
ソオジは私に言った
購入者のコイツはもう1人
魔装機を買わそうと誰か呼んでいたらしい
その人物が来る前に
私にソルリオの後始末をするように言う
私は何も言わず
ソルリオの死体を運び 森の何処かに捨てた
その日は
もう1人の客に バスタードを二機売り
アジトに帰った
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-8 闇と闇〉
▶︎現代のソオジとレイが住処にしている魔装機工場
私は昔の事を思い出し 少し悲しくなっていた
もしあの時 ソオジに出会って無かったら
もしあの時 バドリックに殺されてたら
もしあの時・・・
考えれば考える程
嫌な事ばかりが頭に浮かぶ
ソオジは心配そうに「大丈夫か?」っと聞いて来た
レイ
『大丈夫、ソオジこそ歳なんだから
無茶しちゃダメだよ』
ソオジ
『お前程無茶なんてせんわ』
ソオジの冗談に少し笑っていると
私は誰かの気配を感じ ナイフを構えた
誰!!っと叫ぶと ソオジも警戒した
私の声を聞いて そいつらは現れた
ジェミニ
『ここが闇の商人達が寝座にしている魔装機工場か
思ったより薄汚い場所なんだね』
タウラス
『初めまして、私達は魔業教団の
ジェミニとタウラスと名乗っている機士です
今日は闇の商人のお二人に相談に来ました』
魔業教団!?
白い服を着た機士の2人は私達にそう言った
私はナイフを構え続け 常に警戒していた
ソオジ
『その魔業教団さんがワシ達に何の用だ?』
タウラス
『貴方達を魔業教団に取り込みたい
そう教主様はおっしゃってます』
私達を取り込む? 冗談じゃ無い
そんな勝手な事許さない
ジェミニ
『この場所を機士の人達に通報しても良いんだよ?
それじゃあ貴方達が困るでしょ?』
そんな事をしてコイツらに何のメリットが
コイツらだって 私達と関係を持った事を
知られるのはマズイんじゃ無いの?
それに魔業教団が生きてると知られれば
そっちの方がマズイでしょ
私はその事を 脅す様に言った
ジェミニ
『確かに、マズイかもね』
タウラス
『NOと答えるなら
貴方達を始末しなければならない』
レイ
『何ですって!?』
向こうは2人 ソオジは戦えないし
私1人じゃこの2人に勝てるかも分からない
私はソオジを逃がそうと言った
「ソオジだけでも逃げて」っと
ソオジ
『その心配はいらん』
レイ
『え?』
ソオジ
『どの道ワシ達はいつか機士達に見つかる
それなら
隠れる場所を変えるだけだ』
って事は...
ソオジはジェミニとタウラスの話を呑み
闇の商人は魔業教団の仲間になると言った
タウラス
『懸命な判断だ』
ジェミニ
『そう言う事なら 私達は今日から仲間ね』
よろしくっと言って
ジェミニは私に握手を求めて来た
私はジェミニの手を取り
自分の名前を名乗った
レイ
『レイよ、変な事はしないでよ』
ジェミニ
『ふーん、そんな名前なんだ。覚えとく』
何なのコイツ? 変な奴
コイツなら私でも倒せそうだ
でも向こうのタウラスって奴は
強そうな気がする 何となくだけど
早速彼女達は言った
私達を教主様の場所に案内すると
私とソオジは言われるがまま彼女達に付いて行った
私は私専用のカスタムされたバスタードに乗り
ソオジを手の平に乗せ外に出ると
彼女達の魔装機が外で待っていた
真っ白い魔装機
塗装もされていない感じの魔装機を見て
それは何?っと聞いてみた
ジェミニ
『気にしなくていいよ 私達の魔装機だから』
レイ
『そんな見た事ない魔装機を見て
気にするなって言われても』
タウラス
『魔業教団のアジトはここから遠い
直ぐに向かうぞ』
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-9 教主様〉
薄暗い祠の中に魔業教団のアジトが会った
祠の中に魔装機を止め
私達は教主様と呼ばれる人物の元に歩いて向かう
祠は広く 色んな道に枝分かれをしていた
地面に塞ぎ込み 何かを唱えてる人
壁に文字の様な何かをひたすら書く人
それ以外にも 独特な変な臭いがした
私は鼻を摘み この臭いは何?っとジェミニに聞く
ジェミニ
『人の腐った臭いだよ
魔物寸前の人を捕えて実験をしてるんだって』
レイ
『何よそれ!?』
ジェミニ
『魔業教団は魔族を神と称えてる
魔王が生きていた時代は人の争いも無く
他種族とも平和に暮らしてた。
でも魔王が死んでから
人は人同士と争いをし、他種族をも滅ぼした
魔王と呼ぶ世界のバランスが消えたから
争いの種が産まれたと思わない?』
そんな意味不明な理由で
この人達は魔族を崇拝してるの?
イカれてるんじゃないの?
私達が奥の部屋につくと
部屋の扉が開き 教主様と呼ばれる女性が現れた
部屋の中には裸の男や女達が集められ
教主様も服を身につけず 玉座に座っていた
部屋の中に入ろうとすると
タウラスが私達に言ってきた
タウラス
『この部屋は神聖なる間、衣服の着用を禁じている』
は?何よそれ
ジェミニとタウラスも衣服を脱ぎ
ソオジも言われた通り服を脱いだ
私も恥じらいながら服を脱ぎ
ソオジに見ないでよっと顔を赤くして言った
ソオジの体を見るとお腹はプックリと出ていた
ソオジは何も言わず 私を見る事なく
教主様の元に歩いて行った
私も直ぐに服を脱ぎ 後に付いて行く
教主様
『ご苦労だった ジェミニ タウラス
お前達は引き続き世界復刻の為頑張るがよい』
ジェミニとタウラスは頭を下げ
部屋を出て行った
残された私とソオジは
教主様に頭を下げ 自分達の自己紹介をした
ラプラス
『私の名はラプラス、世界の始まりを作る者』
教主様と呼ばれる女性はラプラスと名乗った
コレが彼女の本当の名前?
いや、多分コレは偽りの名だ..
ラプラスは私の手首を見てニヤリと笑った
私は自分で傷つけた傷を隠し
何?っとラプラスに聞いた
ラプラス
『人間が憎いか? 体の傷は心の傷
ここまで歩んだ貴方の運命を表している』
レイ
『別に、私は私よ』
部屋の中には 薄いピンクのような煙で充満していて
独特な匂いまでしていた
その匂いを吸い過ぎたせいか
私とソオジは気分が悪くなった
ラプラス
『この香りにはまだ慣れないか?
コレは幸せの香りなのだが』
ソオジ
『要件があるなら、早く教えてくれ』
ラプラス
『ふむ、仕方ない
お前達の魔装機を全て我々にくれぬか?
そうすれば、お前達を正式な仲間に加えてやろう』
何よそれ、無茶苦茶じゃない!!
でもここで断っても
ロクな事にならなさそう
ソオジはソレを承諾し
魔装機工場に残っている魔装機を
全て魔業教団に渡すと約束した
ソレを聞き ラプラスは私達を解放してくれた
部屋の外に出ると
匂いがキツかったのか
私達は部屋の外で吐いた
ゲホゲホとむせていると
ジェミニが私の服を地面に落とし
「服着ないと風邪ひくよ?」っと言ってきた
▶︎魔業教団のアジト
私は魔業教団のアジトを
ジェミニとタウラスと一緒に見て回った
1つの部屋を見つけ
窓があったのでソレを覗くと
レインオラクル国の機士の身なりの女性達が
天井から吊るされた手枷を付けられ
捕えられていた
レイ
『何なのよアレ?』
タウラス
『レインオラクル国から逃げ出した機士を捕え
私達の仲間になるよう説得している』
部屋の中は さっき教主様が居た部屋と同じ
ピンクの煙が立ち込めていた
しかも、さっきより色は濃く感じる
レイ
『あの煙なんなの?』
ジェミニ
『脳の神経をおかしくさせる薬なんだって
吸いすぎると頭がパーになっちゃうらしいよ』
レイ
『そんなのって!!拷問じゃ無い!!』
捕えられた機士達は何処か空な目をして
口を開け 舌を出し 唾液まで垂らしていた
酷い、酷すぎる
こんなのなら、死んだ方がマシかも知れない
レイ
『こんな状態で仲間にして
魔装機に乗れるの?』
タウラス
『さあな、盾ぐらいにはなるだろう』
レイ
『・・・もしかして
私達も利用しようとしてる?』
タウラスは黙った って事はやっぱり
「そんな寂しい事言わないでよレイちゃん」
そう言いながら ジェミニは抱きついて来た
この人達を信用していいか 私は分からなくなった
ジェミニ
『それに、私達も最近ここに来た新入りなんだよ?』
レイ
『え!?そうなの?』
タウラス
『そうだ、だからそんなに警戒するな』
ジェミニ
『似た様な仲間なんだから』
似た様な仲間 か
でも私は 人間かどうかも分からない
誰かに作られた存在 母も父も存在しない
この人達とは違う
レイ
『私は人間じゃないから』
私は下を向き そう言った
ジェミニは私から離れ
「貴方は人間だよ」っと言った
え? どうして?
そう思い
何故そんな事を言ったのかジェミニに聞いた
ジェミニ
『私達の方こそ、人間でも何でも無いから』
レイ
『だったら、貴方達は何なのよ?』
そう質問すると ジェミニは少し考え
悪魔 っと彼女は答えた
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-10 女山賊〉
▶︎ローズストーン領 荒野
広く長く続く荒野 その道を通って
街に物資を届けるローズストーンの機士達が居た
ローズストーンの機士A
『この道はまだ開拓されて無いのか』
ローズストーンの機士B
『ここにもいずれ、街を作ると
アテナ女王が言っていたよ』
ローズストーンC
『そうなんだ、早く出来たらいいね』
3人の機士はソーダストに乗り
食料のコンテナを運ぶ
砂煙が辺りを包み
風が強くなったなっと誰かが言った
1人の機士がレーダーを見ると
レーダーに自分達とは違う魔装機の反応を見つけた
ローズストーンの機士B
『レーダーに魔装機の反応、数は三機』
ローズストーンの機士A
『警戒しろ!!山賊の奴らかも知れない!!』
砂煙の中から
三機の所属不明のソーダストが現れた
ローズストーンの機士達は
同じソーダストが現れた事に驚く
バーナビー
『使えそうな魔装機が3機も
頂いて行こうぜダミリア、ザシャータ』
【バーナビー】 女山賊デッドデスターの魔女
年齢24歳 マナ量461 ナイト級の魔女
デッドデスターの中では自称最強を名乗っている
デッドデスターとは
ローズストーン国の機士を襲い
魔装機や食料を奪う
魔女だけを集めた山賊の組織
ソーダストに乗ったバーナビーは
他のソーダストに乗っている仲間にそう言った
ダミリア
『コレでママも喜ぶね、今週で6機目だっけ?』
【ダミリア】 女山賊デッドデスターの魔女
年齢22歳 マナ量417 ナイト級の魔女
のんびりしてそうな口調で喋り
3人の中では1番のんびりしている
ザシャータ
『喜ぶのは早いよダミリア、まだ勝った訳じゃない』
【ザシャータ】 女山賊デッドデスターの魔女
年齢19歳 マナ量432 ナイト級の魔女
冷静な性格で、あまりお喋りではない
バーナビー ダミリア ザシャータの3人は
デッドデスターの中でも3強と呼ばれる魔女
ローズストーンのいくつもの機士を
彼女達が倒して来た
バーナビーはローズストーン国の機士に回線を繋げ
持っている食料と魔装機を差し出せば
痛い目は見なくて済む事を教える
もちろん そんな事を受け入れる訳も無く
ローズストーン国の機士達は
ソーダストを戦闘体制にした
ローズストーン国の機士A
『向こうは3機、こっちも3機
負ける訳にはいかない!!』
ローズストーン国の機士B
『お前達が最近噂になっている山賊達だな!!
ここで仕留めてくれる!!』
バーナビー
『言われた通り 言う事を聞いてれば良かったのによ
ダミリア、ザシャータ!! お前らは手を出すな
コイツらは俺1人で十分だ!!』
バーナビーがそう言うと
ダミリアとザシャータは軽く返事をして
その場を離れた
残されたバーナビーのソーダストを見て
ローズストーン国の機士達は舐められたと思い
感情を剥き出しにして
バーナビーのソーダストに攻撃を仕掛けた
だが
バーナビーは強く
3体1でも彼女には勝てなかった
ボロボロになった仲間のソーダストを見て
1人の機士は怯えていた
ローズストーン国の機士C
『嘘...3機のソーダストを
たった1機のソーダストで...』
バーナビー
『お前も痛い目見たいか?』
ローズストーン国の機士C
『ヒィィィ』
機士は魔装機を降り 逃げ出した
他の2人も魔装機を降り降伏していた
バーナビーは1人で3人の機士を倒した
戦いが終わった事が分かり
ダミリアとザシャータはバーナビーの元に近寄る
バーナビー
『見たか!!俺様の強さが!!』
ザシャータ
『アホ、せっかくの魔装機を傷つけてどうする』
ダミリア
『ママに言われたでしょ
なるべく無傷で魔装機を手に入れろって?』
バーナビー
『1機は無傷だ!』
バーナビーの言い訳で
ダミリアとザシャータは呆れた
ダミリアとザシャータは2人で
食料のコンテナを運ぶ
それを見たバーナビーは 驚き
2人を呼び止めた
バーナビー
『おい待てよ!!こっちの魔装機も運べよ!!』
ザシャータ
『アンタが壊したんだ、アンタ1人で運びなよ』
ダミリア
『ママに怒られるのヤダモン』
ザケンナ!! 止まれ!!
そうバーナビーは1人で叫ぶ
だが
2人は止まる事は無かった
▶︎女山賊デッドデスターのアジト
身長247センチ 体重280キロ越えの
大きな女が 大きな椅子に座り
バーナビー達の帰りを待っていた
その人物は
女山賊デッドデスターのリーダーで
仲間達からはママと呼ばれる愛称で呼ばれている
本当の名は【ドライゴン・ビスチャリム】
ビスチャリム家の一族で 元クイーン級の魔女
ローズストーンでは有名な一族
あのクルセニア家と並ぶマナ量の持ち主で
昔はビスチャリム家とクルセニア家が
ローズストーン国を牛耳っていた
ビスチャリム家は昔
レインオラクル国に魔装機を横流しで貰い
それを知った女王が
ビスチャリム家をローズストーン国から追放した
ドライゴンは
最後のビスチャリム家の生き残りだった
ドライゴンの目的は 多くの魔装機を集め
我が一族を追放したローズストーン国民の復讐
ノウノウと暮らすローズストーン国の人々を
私と同じ 屈辱を味わせてやろうと考えていた
大きなワイングラスを片手に
酒を食らうドライゴン
デッドデスターのアジトに客が来ていた
それは 白いローブで顔を隠した2人の女性
仲間に入れて欲しいと 彼女達はドライゴンに言う
ドライゴン
『お前ら、名は何てんだ?』
白いローブの女性A
『私達は貴方の忠実な部下になる事を約束します』
白いローブの女性B
『私達は必ず貴方達に幸福をもたらします』
2人の回答に ドライゴンは怒りを感じた
持っていたワイングラスを投げつけ
「私は名前を聞いたんだ!!」っと怒る
白いローブの女性の1人にグラスは直撃して
綺麗なローブはワインの赤で汚れた
片方の仲間が
もう片方の仲間を心配そうに見る
ドライゴン
『名前も名乗らない、顔も隠す
そんな怪しい奴らを仲間に入れろ?
冗談じゃないね!!顔を洗って出直しな!!』
2人の女性は立ち上がり
ワインで汚れた方がドライゴンに近づく
ドライゴンは 舐めた真似をしたら
酷い目を見させてやろうと思っていたが
怪しい女性は近づき
1枚の紙をドライゴンに手渡した
ドライゴンは受け取り その紙を見ると
それは何処かの地図だった
地図には赤いマークも付けられていた
ドライゴンは顔を隠した女を見て
コレが何なのか質問する
ドライゴン
『コレは?』
白いローブの女性A
『レインオラクルの地図です、そこの印には
レインオラクル国の機士も知らない
魔装機工場があります
そこには、まだ沢山の魔装機が保管されています』
白いローブの女性B
『お詫びの品という訳では有りませんが
どうかお役立ててください』
怪しい彼女達はそう言った
確かに ドライゴンには沢山の魔装機が必要だった
だが
こんな事をしてコイツらに何のメリットがある?
その事だけが気がかりだったドライゴンは
どういうつもりなのか彼女達に聞く
白いローブの女性A
『私達はローズストーン国も
レインオラクル国も嫌いなのです』
白いローブの女性B
『だから貴方に、国を滅ぼして欲しい』
ドライゴン
『・・・・・、言っとくが
私はレインオラクル国なんかに興味は無い
私の狙いはローズストーン国だけだ』
怪しい彼女達は頭を深く下げ 帰った
不気味な奴らだと思いながら
ドライゴンは貰った地図を見た
しばらくすると 仲間の山賊が
ドライゴンの元にやって来た
女の山賊
『ママ!!バーナビー達が帰って来たよ』
ドライゴン
『丁度良い、バーナビー達に伝えな
この地図に記された場所に迎えってな!!』
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-11 魔業教団VS女山賊〉
▶︎レイとジェミニ達
私はジェミニとタウラスと一緒に
隠れ家の魔装機工場に戻って来た
魔装機工場の中にある魔装機を
全て魔業教団のアジトまで運ぶらしい
3機の魔装機で運ぶにしても
かなりの時間が掛かる
私は他の機士は居ないのかタウラスに聞くと
魔業教団には手の空いた機士は少ないらしい
って事は 私達3人で
この工場にある魔装機を全て運ぶのか
嫌だなぁ、と私は思いながら
自分の乗ったバスタードを動かした
レイ
『何処から始めるの?近くにある魔装機から運ぶ?
・・・ねぇ!聞いてる?』
私はジェミニとタウラスの白い魔装機を見ると
2人は別の方角を見ていた
もしかしてサボリ?
タウラス
『3機か』
ジェミニ
『だね』
2人は無線越しでそう言った
3機?私達の事?
何を言ってるの?っと私は2人に聞こうとすると
森の奥から ソーダストが3機現れた
見たことも無い魔装機!!
レインオラクル国の魔装機じゃない
って事は
ディナガードかローズストーンの魔装機?
私は咄嗟にそう判断した
バーナビー
『ここが噂の工場か
んで、アイツらがここの持ち主って訳か!!』
ダミリア
『1機はカスタムされたバスタードだけど
白いの2機は何だろ?見た事ないや』
バーナビー
『レインオラクル製の新型機か?
おもしれぇ、俺が相手になってやるぜ!!』
ザシャータ
『アホ、バスタードはソーダストより性能は上
普通にやり合ったらソーダストじゃ勝てないだろ』
バーナビー
『相手が強けりゃ強い程、俺は燃えんだ!!』
敵の声が回線越しに聞こえてくる
私はバスターソードを構え
ジェミニとタウラスに言った
戦はないとやられるよ
こっちも3人 向こうも3人
仕掛けるなら早い方が良い と
だけど ジェミニ達は違った
白い魔装機は戦う構えを取るどころか
何もせず棒立ちになっていた
もしかして怖気付いたの?
こんな時に何やってんのよ!!
レイ
『聞いてるのジェミニ、タウラス!!
戦わないと殺されるかも知れないんだよ!!』
ジェミニ
『いや〜、私達 戦い向きじゃ無いんだよね』
タウラス
『この魔装機は戦闘には不向きだ』
は!? 何よそれ!!
ジェミニ
『向こうの人達強そうだし
ここは逃げた方が良いかも』
レイ
『ちょっと待って!!この工場はどうすんのよ!?
魔装機を彼女達に取られるかも知れないのよ!!』
タウラス
『それならそうで好都合だな
私達が逃げる時間を作れる』
本気で言ってんの!?
でも
向こうの出方も分からないし
ジェミニとタウラスが戦えないなら
私1人じゃ勝てるかも分からない
仕方ないと考え
私もジェミニとタウラスと逃げる選択肢を選んだ
タウラスの掛け声で
私のバスタードと
ジェミニとタウラスの白い魔装機は
その場から全速で逃げた
バーナビー
『オイ!!逃げるつもりだぞアイツら!?
追いかけるぞダミリア、ザシャータ!!』
ザシャータ
『アホか、わざわざ追いかける必要も無いだろ』
ダミリア
『お〜い、こっちに沢山魔装機があるよ
私ソーダストに飽きてたんだよね
どれに乗ろうかな〜』
バーナビーはクソっと吐き捨て
工場に合った魔装機を
デッドデスターのアジトまで運ぶ事にした
3機では全ての魔装機を運ぶ事が出来ず
仲間の応援を呼び 数回に分けて運んだ
ソオジとレイが隠れていた工場の魔装機は
女山賊達によって全ての魔装機が奪われた
◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉
〈53-12 弱い2人〉
▶︎魔業教団の隠れ家
私達がおめおめと魔業教団の隠れ家に帰還すると
教主様は私達に罰を与えた
キズの残らない程度のムチを打たれ
頭の神経が無くなるぐらいの麻酔を打たれた
こんな屈辱 死んだ方がマシじゃない
私は薄れゆく意識の中 そう思っていた
罰が終わり 私は地面に倒れていた
ジェミニ
『大丈夫レイ?しんどかったね』
レイ
『アンタ達は平気そうね...』
タウラス
『平気ではない、魔装機を奪われ逃げ帰ったのだ
コレぐらいの罰で助かったな』
コレぐらいの罰?
冗談言わないでよ 私は死を感じたわよ
ジェミニは優しく私の体を起こし
「本当に大丈夫?」っと声を掛けてくれた
この人達は本当に弱いの?
私は嘘をついてるのでは無いかと思い
探りを入れた
レイ
『何故あの時戦わなかったの
貴方達、私より先に向こうの魔装機が
来るのが分かってた見たいだけど?』
ジェミニ
『言ったじゃん、私達弱いって』
タウラス
『広範囲のレーダーがあの魔装機には搭載されている
だから接近にいち早く気づいた』
戦闘機じゃ無いって事?
でも あの白い魔装機は誰かと戦った傷が合った
やはりこの人達は嘘をついてる
この人達自身の実力も分からない
それなら、試すしかない
私は隠し持っていた愛用のナイフを取り出し
ジェミニの首を切ろうと動いた
私の動きに追いつけなかったのか
ジェミニの背後を簡単に回り込め
体を押さえ 喉にナイフを突き立てれた
こんな簡単に? 機士なら
今の動きぐらい対処できるでしょ!!
ジェミニ
『怖いよレイ、仲間の私を殺すつもり?』
レイ
『・・・・・』
私はナイフを下ろし ジェミニを解放した
ジェミニは怖かったとタウラスに言い
タウラスは無言で私を見ていた
本当にこの人達は弱いの?
私の攻撃も見切れなかったし 本当に・・・
でも何故だろう
この人達からは、何処か余裕を感じる
私はその感覚が何なのか分からなかった
でも
今はこの人達を信用するしか無いのか?
あの時
私とソオジの前に現れたジェミニとタウラス
私が抵抗して この人達と戦ったら
私は簡単にこの人達に勝てたのだろうか?
そんな事は もう知る由もなかった
next▶︎54
レインオラクル国から逃げ出した魔装機学者ソオジ
そしてその仲間の機士レイ
2人は闇の商人として魔装機を売っていた
そんな2人のもとに魔業教団を名乗るジェミニとタウラスが現れる
ソオジとレイは2人に脅され魔業教団に手を貸す事になる
魔業教団の教主と呼ばれる女性ラプラスに力を貸す事になり
2人が所有する魔装機工場の魔装機を全て魔業教団に渡す事に
しかし、魔装機工場が女山賊デッドデスターに襲われ全ての魔装機を奪われたのだった




