1章 マナリリアン 2話-ディナガード国
〈2-1 別れと出会い〉
しばらくして
ビットが死んだ事は村人達の耳にまで届いき
ビットの体は村の広場で燃やされ
灰になり土に埋められた
コレがこの世界の葬い方なのだろうか..
人の死を実感する事ができず
死はもっともツラい事だと思っていたが
ビットの死に顔は笑っていたんだ...
何かを成し遂げた男の顔をしていた気がした
その日の夜は
俺はまたエンギルさんの家で
一晩を過ごす事になった
次の日の朝
村の中をブラブラと歩いていると
村人達のヒソヒソと喋る声が聞こえてきた
村人A
『おい、昨日の魔装機騒ぎを知って
ディナガード国から
ナイト級の機士がこの村に来るらしいぞ』
村人B
『マジかよ!、
まぁレインオラクルの連中が
ここで暴れたらしいからな、来て当然か』
村人の声に耳を傾け考える、
どうやら国同士のイザコザ見たいな物が
この世界でもあるのだろうか?
少しすると村に馬車が現れ
馬に乗っていた女騎士の姿をした人物は
村人全員に向け喋り始めた
ナラ
『私達はディナガード国から来た
ナラ・シェッツバルグと呼ぶ者だ、
昨日あったと言う
魔装機同士の対決に付いて話を聞きたい』
見るからに王族風の騎士と馬車に
異世界に来たという実感が
今更ながらに俺は湧いて来ていた
ナラの話しを聞き、村人達は俺の顔を見ていた
視線に気付き、あっ俺か、っとなった
ネル
『はいはーい、俺が魔装機で戦いました』
そう言うと
馬車から1人の可愛らしい女性が降りてきた。
降りてきた女性はまるでお人形のように可愛く
今まで感じた事が無かった気品ってやつを感じた
降りてきた女性を見て村人達は少し騒めく、
騒めく村人達を見て
俺は不思議そうな顔をしていた
馬車から降りて来た女性は
俺に近づき 話す
エレノア
『初めまして、
私はエレノア・デュスタークと言います。』
彼女の名を聞いた村人達は更に騒めく
デュスターク家の子、ディナガードの王妃様
っと聞こえてくる
女騎士のナラは
俺に昨日の出来事に付いて尋ねて来たので
俺は昨日の事を話す事にした
レインオラクルと戦った事
ビットの事
ビットが作った魔装機の事も・・・
話しを全て終えると
ナラは口を開いた
ナラ
『なるほど、レインオラクルの人がここに...
それに最新技術の魔装壁と言う技術ですか』
エレノア
『ナラ、とりあえずビットさんが作ったと言う
魔装機を見た方が良いのでは?
私も気になります』
エレノアは何処となく嬉しそうだった
何故だか分からんが
この姫様からは俺と同じ匂いを感じる
ナラ
『そうですねエレノア様、
ネル殿
場所の案内を頼んでもよろしいですか?』
ナラの言葉に、二つ返事で了解し
2人を
ビットが作った魔装機がある倉庫まで案内した
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〈2-2 特別な魔装機〉
ナラとエレノアを連れ
ビットの魔装機がある倉庫に案内をした
倉庫に付くと
エレノアは満面の笑みを見せ 魔装機に近づいた
エレノア
『凄くカッコイイ子ですよナラ!!
あの肩にある部分から剣が飛び出すのですね』
ナラ
『しかも見た事ないモデルですね・・・、
我が国の物でもなくレインオラクル製
ローズストーン製でも無いようです..
まさか他国家の秘密裏に作られた物?』
2人ブツブツと喋っているのを横目で見て
俺も魔装機を見ていた
魔装機を見ると昨日の戦いを思い出していた
昨日の戦闘が
さっきまであったかのように感じ
俺の心は胸踊る感覚になっていた
エレノア
『お名前は?
この魔装機さんのお名前は何なのです?』
エレノアは満面の笑みを浮かべたまま
俺に近づきそう言う
そう言えば
この魔装機の名前を聞きそびれた事を思い出し
俺は分からないとエレノアに伝えた
エレノアはソレを聞き、「そうですか」っと
ガッカリした表情を見せた
ナラ
『ネル殿、私がコレを
少し操縦してもよろしいですか?』
俺は思った、
別に自分の魔装機でも無いから
自分がどうのとか言う資格がないのでは?っと
「大丈夫ですよ」っと伝えると
ナラは魔装機に乗り込んだ
ネル
『でも大丈夫かな?
ビットは他の魔女を乗せたけど
動かせなかったって言ってたけど・・・』
俺が呟くと
エレノアは「大丈夫です、
ナラはナイト級ですから」っと言った
ナイト級・・・
そう言えば村の人達も言ってたな、
ナイト級と言う言葉に反応し
それが何なのか尋ねてみた
エレノアは優しく俺に教えてくれた
エレノアの話しによれば
魔女にも階級が存在するらしく、
自身が扱えるマナが
高ければ高いほど階級が上がるそうだ
階級の無い一般的な魔女、
魔女より少しマナが多いビショップ級、
ビショップ級より強いナイト級、
ナイト級より強いクイーン級、
以上の3つの階級が有るらしい
階級の称号見たいな物は
ビショップ級から付けられるらしく、
ナイト級レベルの強い魔女は
ディナガード国にも数名しか存在しないらしい。
クイーン級レベルの魔女は
滅多に拝めないぐらい凄い存在なのだとか...
階級を持たない者は魔女と呼ばれ
階級持ちのマナの高い魔女でしか
動かせない魔装機もあるんだとか
ナラの階級はナイト級、
だからほぼ全ての魔装機を動かせるそうだ
しばらく経つとナラの声が倉庫に響く
ナラ
『おかしい、全く反応しない
マナを送り込んでも動く気配も無い』
そう言うとナラは魔装機から降り
エレノアは壊れてるのかしらっと呟く
試しに俺も乗り込んでみた
俺が乗り込みレバーを握った瞬間
魔装機内のモニターが映り
さっきまで動かなかった魔装機は動き始めた
それを見たナラとエレノアは驚いていた
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〈2-3 マナを測定〉
魔装機を動かすと2人は心底驚いていた
ある程度、手を動かしたり足を動かした後
俺は魔装機から降り
ナラ達に魔装機を動かせる所を見せると
エレノアが俺に近づき言ってきた
エレノア
『どこかゆっくり話せる所で色々話しましょう』
そう言われたので
唯一の知人であるエンギルさんの所に
俺は2人を案内した
エンギルさんは最初こそ
女王様が来た事に驚いていたが
エレノアが駄目ですか?
っと言うと顔色を変えて家に招いてくれた
俺達が席に付くと
エンギルはナラとエレノアに水を用意した
ナラ
『さてネル殿、まずは貴方が何者なのか
階級持ちの魔女なのかを教えて下さい』
ナラがそう言ったので、俺は
「記憶喪失で...」そう
ありきたりな誤魔化し方をしたが
ナラとエレノアはすんなり信じてくれた
エレノア
『なるほど、そうだったんですね...
とにかくネル殿が魔女なのは分かっているので
階級を調べた方が良さそうですね』
ネル
『魔女って言うかウィザードなのか?俺男だから』
男である事を伝えたらまた2人は驚いていた
ってコレ何回目だよ!
そう心の中でツッコミを入れた
驚いた表情をしていたエレノアは正気に戻り
喋り始めた
エレノア
『とにかく測定した方が早いですわね
ナラ、アレを』
そう言うとナラは頭を下げ外に出ていった
何でも人のマナが
どれだけあるのか測定する機械を
エレノア達は持っているそうだ
俺はウィザードにも階級があるのか尋ねると
エレノア曰く、
ウィザードはそもそも存在すら見た事ないらしく
御伽話によればクイーン級か
クイーン以上なのかもとエレノアは言ったが
会ったことも無いので
よく分かりませんっと笑いながら言った
因みに一般的なマナの量は
普通の人で1〜50 魔女が51〜100
ビショップ級が101〜300
ナイト級が301〜500
クイーン級が501以上らしい
ナラのマナ量は471っと
エレノアが何故か自信満々に言っていた
そうこうしてる内にナラが戻ってきた、
手には四角い箱のような物を持っている
それを見たエンギルは
何故だか少し寂しげな表情をしていた
エレノア
『測定機は色々あるんですが
今はコレしか持ってきて無いのです、
因みに昔は魔法の道具の水晶とか
最近では眼鏡の測定機も有るそうですよ』
エレノアさんの話しを聞き
眼鏡型って
スカウター見たいな物なのかな?
っと俺は考え 苦笑いをしていた
ナラが測定機を机の上に置き
箱の上に手を置いて欲しいと言ったので
言われるがまま俺は手を置いた
しばらくすると測定が完了したのか
俺から見て向かい側に 数字が現れた
エンギル ナラ エレノアは
その数値を見て驚いていた
良い表情では無く不穏な表情で...
俺も数値が気になり、数値を確認すると
そこには数字が浮かび上がっていた
0の数字が
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〈2-4 ゼロ〉
俺のマナ測定が0だった事に
一同は顔色を変えていた
前にビットから
マナを持たない人間は殺される
それがこの世界のルールだと聞かされていたので
俺は不安な気持ちになっていた
エンギルは血相を変えて
おどろおどろ喋った
エンギル
『って事はコイツは・・・悪魔の子・・・』
エレノアとナラはお互いの顔を見合わせ
俺の顔を凝視した
その光景を見たエンギルは
席を立ち上がり声を大にして叫ぶ
エンギル
『まっ待ってくれ!!、コイツは....』
ナラ
『わかっています、マナを持たぬ人が
魔装機を動かせるはずがありません...
なんらかの理由があるのだとは思いますが』
ナラはエンギルの言葉を遮った
冷や汗を流していたエンギルは
ナラの言葉を聞き 安心したのか
ゆっくりと椅子に座った
俺は
必死に庇ってくれたエンギルに
「ありがとう」っと礼を言った
エンギルは優しそうな俺の表情を見て
少しだけ笑顔を見せた後
悲しげな顔を見せ、喋り始める
エンギル
『・・すまん、昔の事もあってな・・、
俺には妻がいたんだ お腹には子供もいた
・・・ある日
妻がほんの少し村の外に出た時があったんだ
たまたま運が悪く
魔物の群れに襲われてしまってな・・・、
それを見つけた村の連中が妻を助けてくれが
俺が駆けつけた時には既に息を引き取っていた、
俺は絶望したさ
世の中の全てがどうでもよくなった
でも神さんは俺を見捨てていなかったと思った、
運が良くお腹の子供は生きていたんだ』
エンギルはゆっくりとした口調で言う
エンギル
『あん時は悲しかったけど
俺達の宝が無事で嬉しかったよ、そん時誓った
妻のメイの為に
この子だけは何としても守るってよ
・・だがそんな時だった、
産まれた子は
マナを測定するのがこの世界の常識だ
それは皆んなわかってる
・・・だがよ 出ちまったんだよ、
俺の俺達の未来を壊される数字がよ』
俺達はエンギルの話しを聞き下を向いた
エンギル
『俺は何度も言ったんだ、
測定機の故障だ もう一度測定してくれってよ!
でも測定は変わらなかった・・・
悪魔の子と呼ばれてよ
その後すぐに俺達の子は殺されたよ、
でも仕方ねぇ それが理だって知ってる
けどよ..だけどよ...
心の何処かに納得できてねぇ自分がいたんだ』
エンギルの言葉に
ナラとエレノアは何も言えなかった
仕方ない事などと、
誰も思ってはいなかったのだろうか?
俺も小さな拳を強く握りしめていた、
何故マナが無い人間が
殺されなきゃならないのか尋ねた
悲しげな顔をしたエレノアが話し始める
エレノア
『マナを持たない人間は
闇の魔力を吸収しやすい体になり、
人ならざる姿 魔物になってしまうんです。』
俺は自分の体は無事な事を主張すると
ナラが個体差が有り遅いか早いかっと述べた
俺はこの世界に少し恐怖を感じ
少し悲しくなった
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〈2-5 旅立ち〉
ナラは謎の魔装機やネルに付いて調べるなら
一度王国に戻った方がよいとエレノアに告げる
エレノアは
ネルにディナガード国に来てもらうよう
ネルに言うとネルもそれを承知した
色々あったが
俺達はエンギルさんの家を出るのであった
ネル
『色々世話になったねエンギルさん』
エンギル
『おうよ、お前さんも元気でな』
ネル
『お前さんじゃなく、ネルな!!』
エンギル
『・・そうだったな、またなネル』
俺はエンギルに別れの挨拶をし
ビットの作った魔装機に乗り込み
エレノアが乗った馬車の後ろをついて行き
ディナガード国に向かう事にした
しばらく移動すると日が暮れてきた
ナラがここで野宿しようと提案して来たので
俺は近くに魔装機を止め野宿する事にした
ナラは馬車に積んであった食料を出し
その場で調理し始めた
俺とエレノアは
ナラが作ってくれた料理を食べ
焚き火を囲い話しをしていた
ネル
『ディナガード国は遠いの?』
ナラ
『2つ村を超えた先なので、
明日の昼には付くかと』
魔装機を見ていたエレノアがネルに問いかける
エレノア
『お名前はどうします?あの魔装機さんの』
確かに魔装機に名前が無いのは不便だ
かと言って
何か良い名があるかと言われれば無いし
もしビットが名前を付けていたとしたら、
改名するのは申し訳ないっとネルは頭を悩ませる
ナラ
『名前って重要でしょうか?』
ナラがそう言うとエレノアは顔をプックリとさせ
重要である事を強く主張する、
確かにロボットに名前は重要だとネルも頷く
俺達がワチャワチャ話していると
ナラは真っ先に何かいる事に勘付く、
それを察知し
ネルとエレノアも警戒した
茂みからホーンウルフの群れが現れた
数は4匹、
ネルがこの世界に初めてやって来た時に
襲われた魔物だった
ナラ
『この辺りには
魔物が出ないと聞いていたのですが』
ナラはネルに
「エレノア様を任せます」っと言うと
ホーンウルフに向かって歩いて行った
武器も無く挑むなんて無茶だと
ネルは思ったが、
ナラは謎の詠唱を瞬時に唱えると
右手から炎の玉が現れ
ホーンウルフ4体を倒した
一瞬すぎてネルは唖然としたが
この世界には魔法もある事は聞いていたので、
アレが魔法かぁ、と興味を示す
ナラ
『ネル殿、エレノア様ご無事ですか?』
ナラは心配しながら2人に聞いて来たので
エレノアは無事である事を俺は伝えた
ナラ
『そうですか..
夜も遅いので明日に備えて今日は寝ましょう、
魔物の番は私がしますので
2人はゆっくりお休み下さい』
男である俺が
女性にお守りをしてもらう事が
少し小っ恥ずかしくなりナラに言った、
俺も見張りをするので交代で寝ようと提案する
ナラはネルの言葉を酌み
交代で魔物の番をする事にした
その夜
ネル達は交代で見張りをし翌朝を迎えた
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〈2-6 ディナガード国〉
翌朝 ネル達はディナガード国に向けて出発した
しばらく移動すると
大きな門が見えて来た
更にその向こう側には
ゲームとかで見た事があるような
城や街が見える、
俺はワクワクしながら馬車を追い越し
門の前まで魔装機を走らせて向かった
すると門の向こう側から
兵士の身なりをした女が慌てて飛び出して来た
ディナガードの兵士
『駄目駄目!!
魔装機は正門じゃ無くバンカーから入ってよ
って見た事無い方式だな?
ライルさんが作った新型機か?
とにかくバンカーから入ってくれ』
兵士の言葉を聞き、
バンカー?っとネルは首を傾けると
ナラが説明してくれた
済まない 言うのが遅れていたな
魔装機はバンカーからしか城内に入れないんだ
バンカーは北東の方角にある、
向こうの道を進めば見えてくるから
そちらから入ってはもらえないか?
っと言った
俺は言う通りに北東に向かう道に進むと
バンカーらしき建物が見えて来た。
中に入ると整備士らしき人物が何人かおり
ネルの魔装機に気がつくと、
向こう側に止めてくれっと
整備士から案内を受ける
魔装機をバンカー内に止め
ネルは外に出ると整備士の声が聞こえて来た
整備士A
『見たことない魔装機だな?』
整備士B
『ライルさんの新型か?』
整備士A
『ライルさんの?そんな訳無い
あの人は新型機を作らないだろ、
それより敵国の新型機じゃ無いのか?』
整備士B
『敵国の?まさかレインオラクルの奴らか
アイツらの技術は凄いらしいからな』
ネルは整備士の話しを聞いていたら
扉の奥からナラと見知らぬ男が現れた
ナラの存在に気がついたネルは側に近寄る
「ナラさんどうも、そちらの方は」
っとネルは尋ねると
ナラ
『紹介させてくれ、こちらは
我が国の唯一の魔装機学者のライル博士だ。』
ライル
『初めましてネル君、
ナラ君から話しは聞いているよ
コレがビット博士の魔装機か、興味深いね』
ライルはネルに軽い挨拶をすると
ビットの魔装機を観察し始めた
ライルはビットに付いて
何かを知ってそうな口振りだったので
ネルは何かを知っているのか聞いてみた
ライル
『もちろん知っているよ、
同じ魔装機研究を
レインオラクルにいた頃にしてたんでね』
どうやら同じ研究者仲間だったらしい
ビットもライルも
元々はレインオラクルに居たんだっと
ネルは考えていた
兵士の身なりをした人がネル達に近づき
ナラとネルに向かって喋り始める
隊長がお呼びです、直ぐに来られるようっと
話しを終えると兵士は
ナラに敬礼しナラも兵士に敬礼した
ネル達は隊長がいると言う部屋まで案内された
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〈2-7 偉い人?〉
豪華そうな内装の
広い部屋に通されたネル達は
部屋に入り席に付くと、
案内をしていた兵士は
敬礼をして部屋の外に出て行った
しばらくすると部屋の奥から
ナラに似た騎士の身なりの女性と
立派な身なりをした男性が部屋に入って来た
2人が現れるとナラは立ち上がり敬礼をした
男性は座るように指示をし、ナラは席に付く
ナラは俺の方を向き話す
ナラ
『紹介します、私と同じ服を着た方は
私達 機士団の隊長、
セリア・フォンバース隊長
向こうの方がディナガード国の大臣、
司令官でもあるデルク司令です』
ネルは2人にペコリと頭を下げた
ネルが頭を下げるのを見たセリアは
ニコリと笑い小さく手を振った
何故だか分からないが、
ネルは少し胸がキュンとなった
2人が席に付くとデルク司令が話し始める
デルク
『ナラ、大体の話しは聞き及んでいるが
もう一度君の口から説明してくれ、
そこの少年の事もな』
ナラは敬礼し デルクとセリアに
一連の出来事を事細かに説明した
説明を終えるとデルクはネルの顔を見て話す
デルク
『なるほど、悪魔の子か』
ネルは不安そうな顔をして手を挙げて喋った
ネル
『あの〜、もしかして僕 処刑されるんですか?』
ビットやエンギルの話しを聞いてたネルは
自分が殺されるのでは無いかと
内心ヒヤヒヤしていた
正直、
さっきまでゲームで見た城や街で興奮していたが
それどころでは無い事実に
直面している事を思い出した
デルク
『大丈夫だ、
魔装機が動かせるという事は
少なからずマナを所持していると言う事だ、
それに道中魔物に遭遇しているなら
マナを持たぬ人間が正気でいられるはずが無い
遅かれ早かれ魔物化する兆候が
見られるはずだ、見たところ君は元気そうだな』
デルクの言葉を聞き ネルは自分の体を見て
両手で力コブを作り元気であるアピールをした。
それを見たセリアは少し笑った
セリアの顔を見たネルは少し照れ臭くなり
ゆっくりと手を下ろした
デルクは
態とらしい咳をすると続けて2人に言う
デルク
『とにかく、この件は他言無用にする様に。
ライル博士には私から話しを通しておく、
ネル君には色々実験台になって貰うかもしれんが
協力を頼む』
なんだか恐ろしそうと思い
ネルは苦笑いをした
その後デルクは小声で
「もし悪魔の子ならあるいわ」っと言った
デルクは席を立ち何処かに行った
その後セリアも立ち上がり
ネルとナラの元に近づく
ネルとナラも立ち上がりナラは敬礼をした、
それを見てセリアが言う
セリア
『改めて自己紹介させて貰う、
機士団隊長をさせてもらっている
セリア・フォンバースだ、
ネルくん宜しく頼むよ』
ネルはセリアと握手をした
セリアはナラを見て
「御苦労だった、
引き続きエレノア様の警護をするように」
っと述べると、ナラはもう一度敬礼して
ネルに別れの挨拶をして部屋を出て行った
美しいセリアさんと2人きりになり
ネルはなんだか緊張していた
セリア
『さて、夜も遅いし
今日は機士の学園にある寮に泊まってもらうよ』
そう言うとセリアは
何も言ってないネルを連れ外に出て行く
強引だな〜、と思ったが
優しそうな人だと勝手に思ったので、
言われるがままついて行った
長い廊下をいくつか渡ると
大きな西洋風の建物が見えて来た
ここが機士の学園かぁー
っとネルは周りを見渡す
綺麗な花や噴水
木の下で本を読む女子生徒
こんな綺麗な学園で
生活出来る人を少し羨ましく感じた
学園はかなり広く
学園の敷地内に寮が建てられていた
寮に入ると
ネルが使って良い部屋とトイレの場所と
皆が使う入浴場をセリアは案内した
入浴場に着いた時
ネルはひとつの疑問が浮かびセリアに質問した
ネル
『男の入浴時間はいつなんですか?』
普通の表情のネルに対し
セリアはキョトンとした顔で話す
セリア
『男の?何を言ってる?
この学園は女性しか居ないから安心しろ
それに道中、殿方を見掛けなかっただろ?
生徒も教師も食堂のオバチャンも清掃員の人も
皆女性だ、だからネルも安心してくれ』
ネルは数秒固まり
とんでもない事になっているのでは?っと気づき
ビックリして声を出していた
ネル
『えぇぇぇえ』
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〈2-8 女性だらけの学園〉
ネルは思った
自分が男性である事をセリアに伝えていなかった
もし
男である事がバレたらどうなるかわからない、
言うなら早い方が良いっと思ったや先
入浴場から2人の裸の若い女性が現れた
女生徒A
『隊長も入浴ですか?』
女生徒B
『今日は
ミントの香りのお風呂で気持ち良かったですよ』
ネルは直ぐに女性に背お向け見ないようにした
セリア
『安心したまえ、もし男がこの学園に侵入したら
処刑より苦しい罰を与える覚悟だ』
セリアはそう言うとネルは焦った
とりあえずこの場から逃げるしかないと考え
長旅で疲れているので今日は寝ますといい
脱衣場から出て すぐさま自分の部屋に逃げた
ネルは部屋に逃げると
ベッドが2つある事に気づくが
そう言えばさっきセリアが
誰も使ってない部屋と言っていたので
誰か来る事はないと安心した
ネルはベッドに横になった
お腹すいたなぁ、っと思いながら眠った
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〈2-9 食堂〉
翌朝、ネルは美味しそうな臭いに目が覚め
目を閉じたまま
フラフラと臭いがする方角に歩いていた
気がつくとネルは食堂に来ていた
ハッ‼︎っと正気に戻ると、
奥からふくよかな女性が現れた
見る限り食堂のおばちゃんって感じがした
食堂のおばちゃん
『アンタが昨日来た新入りかい?
待ってな
直ぐに美味しい朝食を持って来てやるよ』
女性はそう言うと、厨房の方に行った
ネルは近くの椅子に座り 待つ事にした
数分後、
ネルの前に美味しそうな朝食が運ばれて来た
その美味しいそうな朝食を見て
昨日から腹ペコだったネルは
ムシャムシャ行き良いよく食べ始めた
しばらくすると 汗だくの
まるで朝の部活練習を終えたかのような
凛々しい感じの女性が現れた
汗だくの女生徒
『パンとミルクをください』
そう言うと女性はネルに気づいた
汗だくの女生徒
『子供?なんで学園に子供が?』
ネルは口一杯にご飯を入れながら
誰?っと言うと
食堂の入り口から女子生徒が沢山入って来た
女生徒A
『ママ〜、お腹すいた〜』
女生徒B
『ママ、私今日は野菜ジュースだけで良い、
ちょっとお腹の肉が気になって来ちゃって』
どうやら さっきのふくよかな女性は
生徒達からママと呼ばれているみたいだ
女子生徒達はネルに気がつくと、
嬉しそうな感じの表情を見せ近づいて来た
女生徒A
『えっ⁉︎なんでココに子供がいるの?可愛い〜』
女生徒B
『ほっぺもぷにぷに、赤ちゃん見たい』
女生徒C
『誰の子かな、もしかしてママの子?』
奥から、「違うよー」っと聞こえてきた
ネルは女子生徒達にオモチャ見たく触られた
デルク
『ここに居たのかネル、直ぐに来て貰うぞ』
食堂にデルクが現れ、ネルの腕を取り
スタスタと何処かに連れて行かれた
デルクは男なのに
学園に入れるんだっとネルは思った
女生徒A
『あぁ、司令 まだ触り足りないのに』
女生徒B
『司令の子ですか、一体誰との子なんですかぁー』
女生徒C
『えっ?
司令って女生に興味あったんだ 私てっきり』
生徒達は騒ついていた
ネルはまだ食べたかったのか、
食事を見ながら手をパタパタさせていた
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〈2-10 注射怖い〉
デルクに連れて来られた場所は
研究所ぽい場所だった
SF見たいな自動ドアが開くと
ライルと奥のガラス越しに
ビットが作った魔装機があった
デルクはライルに近づき言った
デルク
『ライル博士、
魔装機について異常性ありましたか?』
ライルは何かの紙を見ながら
坦々と喋り始めた
ライル
『魔装機自体には変わった事がありません。
寧ろ驚かされる技術ですよ
流石ビット博士です...
考えもしなかった
単純且つ素晴らしい技術と感心させられました』
デルクは魔装機以外では?っと言うと
ライルは持っていた紙をデルクに渡した
ライル
『魔石です、変わった魔石を使っています
そもそもソレが魔石なのかもわかりませんが
エレノア姫が使っているアレと似ているのかも』
デルクは一通り目を通すと
資料をライルに返し
ネルの背中を押しライルの前に立たせた
デルク
『わかった、次はこの子供を調べてくれ
私は次の仕事があるので後は任せた』
そういい終わると
デルクは何処かに行ってしまった
ネルは嫌な予感を感じ
ライルの顔を見ると
見た事の無い注射の様な物をライルは持っていた
ネルはビビりながら聞く
ネル
『な!っ何ですかそれ、まさかとは思いますが』
ライル
『大丈夫だよネルくん、
ちょっとチクっとするだけだから』
ライルは怖い顔をしながら近づいてくる、
ネルは心底怖かった
別に普通の世界の注射は何とも思わないが
異世界の注射と聞くと話しは変わってくる
ネルは変な叫び声をあげた
それから数時間
レントゲンを撮られたり、
体に謎の液体を塗られたりと
よく分からない実験をされた
➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖
〈2-11 変わった点〉
ライル
『お疲れ様ネルくん、これで検査は終了だよ』
ライルはネルに紙パックに似た飲み物を手渡した
ネルは飲み物を受け取り一口飲み ライルに聞く
ネル
『っで?何か分かりました?
あと体を調べる時は
女性の方に弄られるのは不快です、
俺も男なんですから』
ごめんごめんっとライルは言い
色んなカルテを見て喋り始めた
ライル
『変わった点は1つだけあったけど
それ以外は普通の人と同じだったよ』
変わった点とは?っとネルが言うと
ライルはネルの顔を見て言った
ライル
『確かに聞いていた通りマナは0だった...
ただそれだけじゃ無く、魔物のマナ
通称闇の魔力を君の体に注入したが
魔物化する症状が見られなかった、
しかも注入した闇の魔力が
体の細胞から分解され消滅していたよ』
注入? ネルは少し震えながら言った
もし魔物化したらどうするつもりだったのか
するとライルは笑いながら言う
「その時は処分させてもらったよ」っと
ネルはコイツがヤバイ奴だと確信した
次は体を調べられる時は逃げようとも思った
ライルは魔装機に付いて
ビットから何か聞いていないか
何処で操縦を覚えたのか聞いてみた
ネルは魔装機が光り始めると
何故か動かし方を理解していた事を言う
ライル
『あまり現実味の無い話しだけど
君が言うと嘘では無い事はわかるよ』
ライルは立ち上がり、冷蔵庫に似た箱から
同じような飲み物を取り昔の話しをし始めた
ライル
『ビット博士は変わった人だった、
この空の上に
見た事ないような世界が存在すると、
しかも
その空の上には命を持った生物が存在するって、
そんな馬鹿な話し研究者の全員
勿論僕も信じなかったよ..
もしかすると君はこの世界の住人では無く
空の上の住人なのかもね』
ライルは飲み物を一気に飲み干し
まさかねっと呟く
自動ドアが開くと、セリア隊長が現れた
セリアは大きな声で喋り始めた
セリア
『ネル‼︎ココに居たのか、
もう取り調べは終わったのであろう?
なら直ぐに来てくれ、皆んなが待っている』
セリアは無言のままのネルを担ぎ部屋を出ていく
あははっとライルは困惑しながら笑った
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〈2-12 模擬戦〉
ネルはセリアに担がれ
学園のグラウンドに連れて来られた
グラウンドには何人かの生徒と
少し小さめの魔装機が2機置かれていた
ネルを生徒達の前に立たせると
ネルを見た生徒達がざわつく
「ねぇーあの子って?」
「今朝の食堂にいた子だー」
「隊長の隠し子?」
「禁断の恋の予感!!」
ネルは女子生徒達にマジマジと見られ
少し恥ずかしかった
そんなネルの気を知らずセリアは喋り始めた
セリア
『紹介しよう、
こちらはレインオラクルの魔装機と戦い
初の魔装機戦で
レインオラクルの魔装機に勝利した
南東の村から来たネルと言う子だ』
生徒達は更に騒めく
「凄い!」
「あんな小さいのに」
「めっちゃ可愛い」
色んなガヤを聞き
ネルは少し照れながらどうもっと言う
セリア
『さて早速だが、ネルと君達の誰かで
模擬戦をしてもらいたい。
そうだな、ハヤト、君が相手になってくれ』
「ハイ!」っと1人の生徒が立ち上がる
その生徒は朝食堂で出会った
汗だくのクールな女生徒だった
女生徒A
『ハヤトさんがやるんだ、
コレは凄い模擬戦になるね』
女生徒B
『ハヤトさんって
今1番ナイト級に近いビショップ級なんでしょ』
女生徒C
『2人とも頑張れ〜』
生徒達はハシャグ
ネルはセリアに「聞いてないぞ!」っと言うと
ネルの耳元で小声で話しだす
セリア
『大丈夫だ、それに
私も君の実力を見てみたいのだよ』
ネルは「何が大丈夫なんだよ!!」っと言い
言われるがまま訓練用の魔装機に乗せられた
生徒達の視線を感じる
セリアが2機の魔装機の真ん中に立つ
セリア
『それでは始めようか、模擬戦開始‼︎』
合図を終えると
ハヤトが乗った魔装機は戦闘体制の構えをとる
ネルが乗った魔装機は棒立ちしていた
しばらくその様子が続いて
生徒達は騒めく
「どうしたんだろう?」
「新しい構えかな?」
セリアは異変に気づき
ネルが乗る魔装機のコックピットを開け
「どうした?」っと言った
ネル
『うっ動きません』
ネルは涙目でそう話した
それもそのハズである、
マナを持たないネルに
魔装機を動かす事はできないのだから
セリアはやはり駄目かっと言い
ネルが乗っている魔装機のコックピットを
おもいっきりグーで殴った!
コックピット内に電気が走り煙をあげる
セリアは生徒達に向けて喋り始める
セリア
『どうやらこの魔装機は壊れている見たいだ
模擬戦はまたの機会にしよう』
生徒達はえーっと残念がる
セリアはネルがマナを持たない事を知っていて
この茶番をやらせたのかっとネルは疑った
この人もヤバイ人だと思った
ネルを生徒達の前にもう一度戻し
セリアが喋る
セリア
『トラブルは合ったが
今日からこの学園に転入する事になったから
皆んな宜しくしてやってくれ』
ハッ⁉︎とネルは叫ぶ
生徒達はキャーキャー騒ぐ
「えっうそ〜」
「あんな可愛い子と一緒に暮らせるんだ」
「この学園って15歳〜19歳までだよね?」
「どう見てもあの子12歳ぐらいなんだけど」
セリアはネルの顔を見て言う
セリア
『そう言えば年齢を聞いていなかったな
ネルは何歳なんだ?』
ネル
『・・・・15歳です・・』
ネルは目線を逸らし、適当に答えた
生徒達はキャーキャーまた騒ぎ始める
とんでもない事になったと ネルは思っていた
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