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魔装機マナリリアン  作者: ロア
    魔王復活編 1章
4/120

1章 マナリリアン 1話-巨大なロボ

〈1-1 ココって異世界?〉


 眩い光の後

 俺が目を開けると

 草木の生い茂る広い場所で倒れていた



田中

『ココって...』



 独り言を呟くと異変に気付いた


 自分の声がいつもの声じゃない!

 視線も低い気がするし手も一回り小さく見える。


 自分の変化に動揺していた時

 足元に紙が落ちていた事に気づいた。


 落ちていた紙を拾い

 折り畳まれている紙を広げ

 中に書かれていた文字を読んだ



            ★


 ヤッホー田中さん、元気にしてる?

 今貴方は異世界に居ます (すっご〜い)

 自分の姿も声もこの世界に

 適用した見た目になったから驚かないでね?

 それはそうと、

 貴方は新たな人生を送るのだから

 名前を変えなくちゃ駄目よ!! (ここ重要)

 私が良いのを考えといたわ (えっへん!)

 その名も「ぺぺプー」喜んで使ってね♡

                  by女神様


            ★



 全て読み終えると紙は消滅した


 ぺぺプーって....そう思いながら

 俺は自分で自分の新しい名前を考える事にした



田中

『名前かぁ、なんか無いかな・・・

 カッコよくゼロとかアイク...

 見たいな感じが良いのかなぁ?』



 その場をグルグル回りながら考えた

 あーでも無いこーでも無いと言いながら


 少し経って次の異変に気付いた


 茂みの向こう側から

 角の生えた狼の姿をした何かが現れた。


 何だか良く分からんが

 本能が逃げろと指示を出している!!

 俺はそう感じていた


 数秒後、化け物は

 俺に向かって襲い掛かろうとしてきた!!

 俺は走った....

 どっちに逃げたらいいのか分からないが走った


 森の中をどれくらい走ったのかは分からない

 いくら走っても化け物は追いかけてくる...

 俺は後ろを振り返ったその時

 足元の木の枝で転んでしまった



田中

『うわぁぁぁあ』



 叫んでいた、せっかく助かったのに

 また死ぬんだ・・・そう感じた


 その時


 ビュンと何処からとも無く矢が飛んできて

 化け物の頭にソレは命中した


 化け物は動かなくなった

 それを見た俺は一安心したのか

 横になり目を閉じていた


 遠くから声が聴こえる

「おーい、大丈夫かぁ」っと


 俺は気を失っていた


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-2 重大な事〉


 気がつくと俺は知らない場所に居た


 壁や天井が木造なのを見て

 何処かの部屋なのだと直ぐに理解した



田中

『知らない天井』



 ポツリと呟くと

 部屋の奥からガタイの良い男が現れた



ガタイの良い男

『おっ目が覚めたみたいだな、

 薪割って風呂沸かせたから入ってこい

 泥だらけだぞお前』



 確かに俺は泥だらけだった

 俺は脱衣所見たいな場所に案内された



ガタイの良い男

『服はそこの棚の中にあっから自由に使ってくれ』



 男はそう言うと何処かに行った


 俺は良く分からんまま立ち尽くしていた


 辺りを見ると鏡らしき物がある、

 この世界にも鏡があるんだなぁ

 そう ボケーと頭の中でそう考えていたその時

 俺は肝心な事を思い出し鏡の前まで走った


 そう!!

 まだ俺はこの世界に来た時の

 自分の姿を見てないのだ!!


 鏡の前で自分の姿を見ると

 泥だらけの可愛らしい子供の姿をした人物がいた



田中

『コレが・・俺?』



 普通に可愛いと思った


 歳は小学生高学年か中学生ぐらいだろうか?

 身長は低く かなり童顔の顔をしている


 とにかく可愛い、アイドル系に近い顔と感じ

 照れ臭くなりモジモジしながら

「やだなぁ〜」と声に出し言っていた


 数秒後俺はとんでもない事に気付いた!!



 俺は恐る恐る

 下に履いていたズボンの中を確認しようとした


 そう!!、

 俺はまだ男か女か確認していなかった


 容姿だけ見ると女の子ポイ感じだが

 男と言われたら男の見た目なのかも知れない


 いやそんな事はどうでも良い

 俺は今まで男として生きていたのに

 いきなり女で生きろと言われたら

 戸惑うに決まってる

 今すぐに男か女か確認する方法は決まっている



         そう、見るのだ‼︎



 俺は恐る恐る目を開け確認した



田中

『………………ふぅ』



 良かった、俺は俺だった


 俺は服を脱ぎ、

 五右衛門風呂みたいな見た目の風呂に入った


 なんだか凄く落ち着いた



田中

『あの女神、こんな美少年に

 ぺぺプーって名乗らせようとしてたのか、

 趣味悪いなぁ』


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-3 名前は〉


 風呂を出て体を拭き

 棚にあると言う服を借りる為

 服を見てみた


 服は可愛らしい女性物の服しかなかった

 俺は引きつった顔をして服を取った


 まぁ無いよりマシか、っと思い

 可愛らしい服に着替えて鏡の前に立った



 余りの可愛らしさに俺はニヤけていた

 こんな可愛い子、現実の世界にいないぞ


 鏡の前でキャピキャピしていると

 ハッ!!っと我に返った


 いかんいかん 俺は男だぞ 男

 それにコレじゃ

 ロリコンだぞ、いやショタコンか?

 ってそんな事今はどうでもいい!!


 アタフタしていた時

 奥からさっきの男の声が聞こえた

 飯の準備が出来たので、お前も食えっと


 俺は言われるがまま その男の元に向かった



ガタイの良い男

『おっ服似合ってるじゃねーか、

 お前さんに似合うと思ったんだ』


田中

『俺男だよ?』



 さっきまで笑っていた男が、

 えっ?みたいな顔をして

 また笑い出した


 女見たいな男だなぁーと言いながら


 なんだか複雑な気持ちになったが

 こんな可愛らしい男の子を見たら

 そうもなるのかも知れない



ガタイの良い男

『まま、いいから食え

 今日は新鮮な肉が手に入ったからな』



 俺は椅子に座りテーブルの上を見ると

 パンにスープに野菜

 そして美味しそうな肉が置かれていた


 俺は無言でフォークに手を伸ばした時だった

 男は喋り始め 自己紹介をして来た



エンギル

『俺はエンギル、

 狩をして暮らしてる普通の人さ、お前さんわ?』



 俺は取っていたフォークを置き

 目を見開いて言った


 この世界で生きる名を、

 コレから始まる新しい人生を告げる名前を



ネル

『俺はネル、ロボット乗りになる男さ』


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-4 無理〉


ネル

『俺はネル、ロボット乗りになる男さ‼︎』



 そう言うとエンギルはポカンとした顔をして

 その後笑いだした


 笑いながらエンギルは言った



エンギル

『ロボット?、魔装機(マソウキ)の事かい?』



 エンギルは腹を抱えて笑った


 俺は魔装機と言う謎のワードにワクワクしていた

 やはりこの世界にはロボットがあるんだ

 俺は色んな妄想をした

 陸で戦い空で戦い 宇宙でも戦い

 そしてデカイ隕石を押し返したりする妄想を...


 この時だけはあの女神に感謝した



ネル

『そう!魔装機!それに乗りたいんだよ!!』


エンギル

『じゃあお前さんはウィザードなのかい?』



 ウィザード?

 俺は頭の上に疑問符を浮かべていた


 ウィザードを知らない俺に

 エンギルは説明した



エンギル

『ウィザードでもないなら

 お前さんに魔装機が乗れる訳無いね、

 それにウィザードだったら

 ホーンウルフも1人でやっつけれるはずだしな』



 エンギルは喋り終えると、食事を食べ始め

「お前さんも食え」っと言われ俺も食べ始めた


 ホーンウルフってのは

 さっき俺に襲い掛かってきた奴か?

 ウィザードってのはなんだ?

 魔法使い見たいな事か?

 俺は良く分からんまま肉を食べた


 美味しい!!なんてうまい肉なんだ!!

 俺は美味しさの余り 顔がトロけていた


 美味しそうに食べる俺を見て

 エンギルは嬉しそうに言った



エンギル

『美味いだろ、

 やっぱ取れたてのホーンウルフの肉は絶品だな』



 えっ!?


 俺はフォークを落としていた、

 この肉はさっきの化け物の肉だったのか...

 見た目は狼に近かったから

 俺は犬の肉を食った事になるのか?

 っと考えていたが


 美味しいので そんな事はどうでもよくなった

 俺はホーンウルフの肉をパクパク食べた


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-5 ごちそうさま〉


 俺は食事をしながら尋ねてみた

 どうして女性物の服があるのか、

 エンギルには家族は居ないのかっと


 エンギルは

「色々あってな」っと言い食事を進めた



エンギル

『お前さんどこから来たんだ、

 ディナガード国から来たのか?』



 エンギルからそう言われると俺は焦った、

 ここに来た理由や説明を何も考えてなかった

 アワアワした俺を見てエンギルは口を開いた



エンギル

『ま、俺にも秘密の1つや2つある..

 言いたく無いならお互い言わない方がいい』



 悲しげな表情のエンギルを見て

 俺も食事を進めた


 エンギルは何か隠している、

 それが(やま)しい事じゃ無い事だけはわかった


 食事を終えるとエンギルは

「寝床が無いなら家に泊まりな」と言ってくれた

 俺は言葉に甘えてエンギルの家に泊まった


 その夜

 俺は魔装機に付いてエンギルに尋ねると

 エンギルはこう言っていた、

 魔装機の事なら

 少し歩いた村の外れの小屋に

 変わり者のオッサンがいるから

 ソイツに聞けば良いと


 俺はワクワクしながらその日は眠った


 巨大ロボットを(おが)めると喜び

 あわよくばロボットに乗れるんじゃないか

 そう考えていた



 ウキウキの少年の様に俺は寝た


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-6 変わり者のオッサン〉


 翌朝 俺はエンギルに礼を言い

 すぐに魔装機に詳しいオッサンの場所に向かった


 聞いた道を歩いて行くと

 大きな倉庫の様な建物が見えてきた。


 俺は「あのー」っと言いながら建物に入ると

 そいつは目の前にいた!


 大きさは8mぐらいか?

 色はシルバー

 スラっとした見た目の巨大ロボットが

 俺の瞳には映っていた



ネル

『うひょ〜、カッコいい』



 俺は近付いてロボットに触った、

 ペタペタ触りながら色んな事を言っていた

 ビームは出るのか、腕は飛ぶのか、とか


 興奮していたから

 後ろに誰かが立っている事に気が付かなかった



爺さん

『コラー!、勝手にワシの魔装機に触るな‼︎』



 俺はビックリして飛び跳ねる


 後ろにいた

 背の低い(すす)だらけのオッサンに謝罪した



ネル

『すっすいません、

 貴方が変わり者の叔父さんですか?』


ビット

『誰が変わり者じゃ!!

  まぁ村の連中からしたら

 ワシは変わり者じゃろうが・・・、

 ワシはビット、

 魔装機を作る事に人生を掛けとる』



 ビットはそう言うと俺を押しのけて

 魔装機を触り始めた



ビット

『変な事はしてないようじゃな』



 俺は興奮しながらビットに喋りかけた



ネル

『それが魔装機ですか?

 乗ってみても良いですか?』



 飛び跳ねながら俺は尋ねると

 ビットはネルをじっくりと見てこう言った



ビット

『お主魔女か?』



 魔女?

 また聞き慣れないワードだ



ビット

『魔女も知らんのか、

 魔女は魔法が使える女子の事じゃ』



 俺はホウホウと言いながら

 すぐにツッコミをした



ネル

『って俺は女じゃなくて男だよ男』


ビット

『何?って事は坊主はウィザードか!?』



 少し驚いた表情を見せたが

 ビットはすぐに「そんな訳がない」と言い

 近くの椅子に座った


 この際だと思い

 俺はビットに色々聞く事にした


 この世界の事 ウィザードの事

 そして魔装機について


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-7 この世界の説明〉


 ネルはビットに異世界から来た以外の事を話した

 自分が何も知らないと言う事を


 ビットは本当にネルが何も知らない事に驚いたが

 すぐに色々教えてくれた この世界について



ビット

『・・・・っとまぁ、大体こんな感じじゃな』



 なるほど、何となく理解は出来た


 簡単に説明すると

 この世界には3つの大きな国が存在するらしい

 赤の国 ディナガード

 青の国 レインオラクル

 黄の国 ローズストーン


 そしてマナと呼ぶ特別な力が存在するらしく

 その力を使って魔法を使ったり

 魔装機を動かせられるらしい。


 魔装機を動かすには一定以上のマナが使える

 魔女と呼ばれる女性にしか動かせなようだ


 一般の人間はマナが少なく

 魔法も使えないし魔装機も動かせないらしい。

 一定以上のマナがある人を

 女性なら魔女 男性ならウィザードと呼ぶ


 因みにウィザードは滅多に存在せず

 今までに2人だけ存在したらしいが

 それは100年も前らしい...



 俺はビットに教えられた事を

 色々と頭の中で考えていた



ネル

『なるほど、

 高いマナを持った人はそれを具現化して

 魔法に変えれるのかぁ、

 マナを持たない人は存在するの?』



 そう言うとビットは真剣な顔で口を開いた



ビット

『マナを持たない人間なぞ存在せん……

 いや、存在を許されないんじゃ』



 ビットは下を向いた


 悲しげな表情のビットに俺は問いかける

「教えて欲しい!」そう力強く・・



 ビットは下を向いたまま喋った



ビット

『人は皆産まれた瞬間に

 マナを測定する機械によって

 その子供のマナを測定するんじゃ、

 もしマナを持たぬ異端児が産まれた場合

 悪魔の子と呼ばれ

 その子供はその場で殺されるんじゃよ』



 ネルは不思議に思った

 何故

 マナを待たないだけで殺されなきゃならないのか

 何故

 何も知らない子供が殺されなきゃならないのかを


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-8 魔装機〉


ビット

『それより坊主、

 男の癖に魔装機に乗りたいのか?』



 俺はモヤモヤしていたが

 それを聞くと

 さっきまでのモヤモヤを忘れたかのように

 ニコニコしながら「乗りたい」っと叫ぶ



ビット

『もしかしたら、ワシの作ったコイツは

 お前でも乗れるかも知れない代物じゃからな』



 ビットはニヤけた顔をしていた

 まるで凄い大発明をしたんだぞ

 っと言わんばかりに


 それを聞いた俺は「乗れるのか!」と問い掛ける



ビット

『乗れるかじゃと?コイツはまだ未完成じゃ

 特別な魔石(マセキ)が魔装機に対応しなくてじゃな』



 また知らないワードだ

 俺は魔石について質問をした



ビット

『魔石はマナを溜め込める石の事じゃ、

 この機械も村の電気も魔石を使って動いておる、

 そして魔装機には魔石と言うコアを使って

 動かす事が出来るが、大量のマナを使うので

 魔石にマナを送り続けれる魔女クラスの者しか

 魔装機は動かす事はできん』



 俺は話を聞き終わると

 さっき言っていた特別な魔石について聞いた


 ビットは良くぞ聞いてくれた

 っと言わんばかりの顔で話し始める



ビット

『いいか、なんとこの魔石は

 空から落ちてきた魔石なんじゃ!!

 普通魔石は

 洞窟とか地面の下からとかしか見つからん、

 しかもこの魔石には通常の魔石より

 遥かにマナを吸収できるとワシは考えておる!!

 わかるか?この凄さが!!』



 嬉しそうにしゃべっている横で

 なんかめんどくさいって感じの表情を

 俺はしていた


 つまり

 宇宙から落ちて来た隕石みたいな感じなのか?


 ペラペラ喋り続けているビットに言った

「未完成って事は動かせないんでしょ?」っと

 ビットは嬉しそうな表情から

 ガッカリした顔になり

「そうじゃ、魔女にも頼んで

 乗ってもらったが動かなかった」と言った


 せっかく魔装機を見れたのに

 動かしてる所を見れないのは残念だ


 2人はため息を吐いた数秒後

 倉庫の外からドシン!と言う大きな物音と共に

 地震が来たかのように地面が揺れた



ネル

『なっなんだ?』



 俺はそう言うと

 ビットは

「外じゃ」っと言って倉庫の外に出ていった


 俺もビットの後を追い外に出た


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-9 動いているロボ〉


 外に出ると青色の魔装機がそこには居た、

 見た目はビットの作った魔装機とは別物だ


 俺は別の巨大ロボットにテンションを上げ

 凄い、カッコイイっと連呼していた


 青の魔装機からスピーカーのような音で

 誰かが喋り始めた



女性の声

『ビット博士、今日こそ我々レインオラクルの

 魔装機研究に力を貸して貰うぞ』



 青の魔装機からは女性の声が響いた


 ビットは焦った顔をしながら断るっと叫ぶ



女性の声

『どうせ空から落ちてきた石とヤラに

 お熱なのであろう

 あんな物ただの石だ!燃えないゴミと同じだ!』



 女性はビットを挑発する

 ビットは怒りながら叫ぶ、石じゃない魔石だと


 青の魔装機はビットの作った魔装機がある倉庫に

 機体を向けた



女性の声

『博士が作っていると言う魔装機を壊せば

 我々の力になってくれるか?』



 それを聞くとビットは焦りだす

 自分の作った魔装機が壊されるのではないか、

 っと心配していた


 俺は青の魔装機に叫んだ



ネル

『お前に勝てば今回は見逃してくれるのか?』



 青の魔装機は首を俺の方へ向け喋り始めた


 なんだこの子は?魔女か?っと

 それを聞くと俺は男だと叫ぶ


「あぁそうか」とスピーカーから声が聞こえてきた



ネル

『で?どうなんだ?』


女性の声

『いいだろう、お前が私に勝てたら今日は引こう』



 ネルはビットの顔を見て

 親指を立てた


 ビットは呆れた顔で言う

 勝つって何で勝負するんだと


 俺は自信満々に言い返す



ネル

『魔装機でバトルするんだよ』



 その言葉を聞いたビットはまた呆れた顔をする

 呆れを通り越して顔は青ざめてきた


 ビットはネルに言い放つ

 お前は魔女でもウィザードでも無ければ

 魔装機すら動かした事がない

 ガミガミ言うビットを無視して俺は言った



ネル

『大丈夫、乗れる気がするんだ!!』



 そんな根拠のない言葉をネルは言った


 だがネルは感じていた、

 この世界に来たと言う事は

 何か特別な力が有るのではないかと?


 ネルはビットに

 コックピットに案内してくれっと言うと

 しぶしぶビットは

 魔装機のコックピットに案内する事にした


 魔装機のコックピットは背中にあるみたいだ

 俺はビットの作った魔装機に乗り込んだ



ネル

『ネル、いっきまーす♪』


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-10 動かない魔装機〉


 ネルは魔装機に乗り込むと

 色んなボタンやらレバーやらがあり

 ロボットに乗ってると実感が湧き

 嬉し泣きをしていた



ネル

『っで、どうやって動かすの?』



 ビットに尋ねると

 ビットはすぐさま教えてくれた、

 レバーを握ってマナを機体に注げば動くと


 俺はレバーを握った

 マナの注ぎ方は分からないがとりあえず念じた



 数十秒、数分が経った



女性の声

『遅い、準備にしては遅すぎる』



 青の魔装機から声が響く


 あれ、おかしい

 俺は困惑していた


 異世界にやってきて何の力も無いなんて...

 まさかあの女神!?

 コレを知っててこの世界に送ったのかとも考え、

 俺はコックピット内でチクショーと叫ぶ


 ビットは

 当たり前じゃみたいな顔で呆れていた


 数分経った時

 青の魔装機の方からまた声が聞こえ始めた



女性の声

『待てよ!?

 よくよく考えれば、さっきの子供は男

 ビット博士は叔父さんという事は

 2人とも・・・男!?』



 女は当たり前の事を喋っていた



女性の声

『ふふふ、ははははは』



 女は当たり前の事を言ってたと思えば

 急に笑い始めた



女性の声

『どうやら私は冗談に付き合わされたらしい!

 ビット博士、お許しください

 その機体は破壊させて貰います!!』



 俺は祈った、女神とか神にじゃないが

 祈るしか無かった


 するとその時

 俺の乗った魔装機が光り始めた


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-11 奇跡〉


 俺が願ったその時

 魔装機は眩い光に包まれた



女性の声

『何の光!?』



 青の魔装機の女は

 倉庫からの輝きを見て叫ぶ


 少ししたら光は収まり


 女は倉庫の方角を確認すると

 倉庫から

 ビットの作ったシルバーの魔装機が現れた



ビット

『きっ奇跡じゃ....』



 ビットは口を開け 黙ってしまった


 ビットの魔装機が外に出て

 青の魔装機と向かい合った


 何故だろう、何故か知らないが

 俺は魔装機の動かし方を知っていた


 さっきまで知りもしなかったのに

 あの光の後、俺は知っていた

 いや?、昔から覚えていた感覚に近い


 コックピットのメインカメラの真ん中に

 敵の女の顔が別モニターに映し出された



女性の声

『驚いたよ、まさか男と言うのはブラフで

 魔女だったとはな、しかも魔装機乗りの』



 俺は向こうの敵の顔が

 モニターに映し出されてビックリした。

 漫画やアニメみたいだとも思った


「それはオープン回線で喋っとるんじゃ」

 とビットの声が機内から聞こえた


 あっそっか、と言い

 俺もオープン回線に繋いだ


 ビットはまた驚いた

 魔装機を動かした事もそうだが

 操縦法も知っていた事に


 敵のモニターにもネルの顔が映し出され

 ヤッホーきこえます?っと喋ってみた



女性の声

『やはり女か、しかも子供』


ネル

『俺は女じゃない!!』


女性の声

『また私を騙そうとしても無駄だ』



 青の魔装機は戦闘体制に入った



ナイン

『名を聞いていなかったな、

 私はナイン・クルセニア

 このディアスカスのパイロットだ』


ネル

『俺はネル、えーとコイツの名前はまだ知らない』


ナイン

『ふん、やはり女の名か』



 そう言い終わると青の魔装機ディアスカスは

 ネルの機体に殴りかかってきた


 俺は瞬時に回避し言った



ネル

『ちょ、卑怯だろ!!』


ナイン

『問答無用、騙してきたのはそちら側が先

 それにお互い武器は持ってないようだ、

 ならば拳で決着を付けるのみ』


ネル

『勝手だなぁ』



 ディアスカスの攻撃を俺はひたすら避けた


 避けてばかりの俺を見てビットは言った



ビット

『ソードじゃ、ソードがあるじゃろ』



 なるほど‼︎っと言い

 俺は機内のボタンを触り始めた


 シルバーの魔装機の肩から剣が飛び出し

 俺はそれを取りディアスカスに攻撃をした


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-12 卑怯者〉


 剣でディアスカスを攻撃したが

 ギリギリでディアスカスは攻撃を避けた



ナイン

『卑怯な!!』


ネル

『どっちが』



 そう言って俺はもう一度剣を構えて

 攻撃体制に入る


 ビットは一連の光景を見て確信した


 魔装機の操縦もした事ない子供が

 完璧に操縦方を理解している、

 オープン回線にも繋ぎ方を理解し

 魔装機に隠されたソードの出し方も理解していた

 間違いない、

 アレは特別な魔石

 いやそれ以上の物だったんだと


 あの石の力で

 坊主を覚醒させたのではないかと考えていた


 ネルはもう一度剣を振るい

 ディアスカスを攻撃する



ナイン

『くそ、仕方ない』



 ナインがそう言ったその時

 ディアスカスの周りに

 謎のバリアの様なものが現れ剣の攻撃を弾いた


 ネルはビックリした口調で言う



ネル

『え⁉︎バリア?

 それとも〇〇フィールドみたいなやつ?』


ナイン

『ふはは、この力は見せたく無かったが

 卑怯には卑怯を使わせて貰う』



 ビットは驚いた口調で言った



ビット

魔装壁(マソウヘキ)‼︎レインオラクルの奴ら

 あんな技術まで

 魔装機に取り入れられたのか!?』



 ナインは自信満々に言い放つ



ナイン

『レインオラクルの最新技術、

 そう簡単にはこの魔装壁を破る事はできない』



 ナインは自信に満ち溢れたのか

 ディアスカスの両手を広げる



ネル

『ならさ』



 ネルは剣を空高く(かざ)した


 魔装機の剣からありったけのマナが

 集まっていくのをナインは感じとった



ナイン

『なんだ?何をするんだ?』



 ナインは焦り始めた

 光り輝く剣をネルは構え

 もう一度ディアスカスの魔装壁に攻撃をした


 すると

 簡単に魔装壁は破れ、

 ディアスカスに攻撃が通った



ナイン

『ばっバカな‼︎』



 ディアスカスの機内に警報が鳴り響く


 ナインは悔しい表情を浮かべ

 逃げる選択肢を選ぶしか無かった


 ディアスカスは去っていた

 勝ったんだ  俺は勝ったんだ


➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖


〈1-13 わかれ〉


 逃げて行くディアスカスを見て

 俺は嬉しくて嬉しくて堪らなかった


 勝った 勝ったんだ

 初めてのロボットバトルで

 初めての戦いに

 夢にまで見たロボットの戦い


 自分にはこの世界を変える力がある

 そう思った


 ネルは喜びのあまり気持ち悪い声を出していた



 やはり

 この世界に来た時から

 俺には特別な力があったんだ

 だから俺にはコイツを動かせたんだと。

 あの女神にはやっぱり感謝しないとな


 あっ忘れてた

 まだ俺はコイツの名前すら

 ビットに聞いていなかった


 俺は魔装機を屈ませて

 コックピットの外に出た


 そのままビットの元に走った



ネル

『大変だ、俺まだコイツの名前すら聴いてなかった

 ビット、なま・・・』



 ビットの作った魔装機の名前を聞こうとした時

 ビットは椅子に座ったまま目を閉じていた


 俺は何度か話しかけたが反応は無かった

 しばらくしてわかった


 ビットが死んでいた事に・・・

                   next▶︎2

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 一話あたりの文字数と、含まれているエピソード数が多すぎる気がします。 11分割して、割り込み投稿でそれぞれを投稿した方が読みやすいと思います。 [一言] なんとかロボットを動かせはした…
2023/05/08 20:18 退会済み
管理
[良い点] 初めまして! ツイッターからやって来ました。 異世界でのロボットものですか。 良いですね、自分もロボットもの大好きです。 ロボットバトルも臨場感があって面白かったです。 [一言] 面白か…
[良い点] 読みました! ロボットものはあまり読んだことがなかったのですが面白いと思います。 [気になる点] 誤字が気になったので報告させていただきました。
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