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魔装機マナリリアン  作者: ロア
   WORLD of END 10章
104/120

10章 もう1人の転生者 82話-赤の過去

〈82-1 赤の過去【手の紋様】〉


▶︎古の時代


 人とエルフ、

 竜人の民が共存する小さな村に

 泣き声を上げぬ赤子が産まれた


 赤子の手の甲には不可思議な文様が・・・


 それを見た人の長、魔女の女性と

 エルフの長、歳終えた男のエルフは

 竜人の長にその赤子を見せた



人の長

『コレは何なのでしょうか?』


エルフの長

『数百年間一度も見た事無い文様・・・』



 人にもエルフにも分からぬ手の痣を見て

 コレは・・・そう驚き竜人の長は2人に言った



竜人の長

『勇者の印....』




▶︎16年後


 キラキラと流れる美しい川

 晴れ晴れとした雲一つない空

 エルフと人の子供達が村で走り遊び

 平和な時が流れていた


 走っていたエルフの子供は

 木陰で瞑想する女性と衝突した


 子供達は皆その女性の前に立ち

 こんな所で何してるの?っと?質問をした


 女性は言った、空気の流れを見ていると


 子供達は首を傾げ

 空を見上げアレの事?っと

 何もない空の空気を指差した



人の男の子

『それより遊ぼうよ!!

 長達とは今日は何も無いんでしょ?』


エルフの男の子

『勇者の何とかってのも無いんでしょ?』


人の女の子

『何とかって?』


エルフの女の子

『授業の事だと思う....』


人の男の子

『ねぇ良いでしょ!!ディナ!!』



 その小さな村には

 勇者と呼ばれた女性が暮らしていた


 名はディナ、

 後に勇気の魔女赤のディナと呼ばれる伝説の魔女


 ディナは子供達の顔を見てニコリと微笑んだ


 木の側に置いてある剣を見て

 エルフの男の子は言った、

 やっぱりディナの剣はカッコイイなぁ〜

 勇者の剣って凄い武器なんでしょ?!


 ディナは剣を持ち言った、

 コレは竜人の長が私にくれた普通の剣で

 特別な力など何もないと


 風の音を聞き

 ディナは子供達に言った、

「竜人の長が私を呼んでる、もう行くわ」


 ディナは立ち上がり剣を背負い

 竜人の長が待つ家にと向かった


 子供達は周りを見て耳を澄ませたが

 長の声なんて聴こえないし

 誰かがディナを呼ぶ音など聴こえなかった


 ディナは何を聞き

 竜人の長が呼んでいると思ったのか

 子供達は分からず顔を見合った


 数秒後

 村の男が子供達に聞いた、

 竜人の長がディナを呼んでくるよう頼まれたんだ

 ディナを見なかったか?っと


 子供達は笑顔になり 凄い凄いと喜び

 男は何が何だか分からず困った顔をした



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-2 赤の過去【星の石】〉


 竜人の長は

 小さな石を眺めディナが来るのを待っていると、

 ディナを呼び出してから数秒後に

 ディナは竜人の長の前に現れ

「何かしら?」っと言った



竜人の長

『もう来たのか、随分と早いな』


ディナ

『声が聴こえたから』


竜人の長

『声?・・・なるほど...』



 机に置かれていた小さな石を見て

 それは何?っとディナは竜人の長に聞いた


 それが何なのか竜人の長は直ぐに答えなかった


 魔石と呼ばれる石を知っているか?

 アレは元々別の呼び名で呼ばれていた石で

 昔は星の石と呼ばれた物なのだと....



ディナ

『星の石?』


竜人の長

『フェアリーの事は知っているな?

 フェアリー族は

 この星のエネルギーから産まれた存在、

 星の石もフェアリー族と同じ

 星から産まれた石だと言う事だ』



 そこに置かれている石も

 星の石と呼ばれる石なのかとディナは聞くと

 半分は正解だが

 半分は不正解だと竜人の長は言った


 半分は正解?

 どう言う事なのかとディナは考えた


 星の石はマナの力を吸収する事ができるが

 この石はそうでは無い、

 しかし星の石なのは違いないと竜人の長は言う


 では何故、それが星の石なのかと聞くと

 竜人の長は天井に指を向け言った



竜人の長

『空の上からやってきたのだ』


ディナ

『空の上?』



 空の上には

 この星と同じ世界が無数も存在する、

 その1つ1つに命が有り魂が存在する、

 この世界にも魂が存在するから

 星はマナと呼ぶ力を放っているのだと

 竜人の長は言った


 つまりこの石は

 別の星からやって来た星の石だと言う事だった


 ディナは空から落ちて来た星の石を見ると

 感じ取れない不思議なオーラを感じた



竜人の長

『私はこの石を賢者の石と呼んでいる』


ディナ

『私にも見えないわね、この石の色が...』



 魔石にはマナを吸収する力を持つ

 賢者の石にも何かを吸収する力を持っていると

 竜人の長は言い

 この石をディナに授けると言った


 賢者の石をカチッとペンダントに塡め

 ディナは自分の首にぶら下げた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-3 赤の過去【魔のモノ】〉


 村近くの魔物を狩っていたディナ


 村に被害を出させない為に

 定期的に森周辺を見回っていた


 地面に倒れるジャイアントオーク、

 ディナはジャイアントオークを燃やし

 神に捧げ祈った


 その光景を

 息を潜め物影から見る者が・・・

 ディナは隠れている者を呼び出そうと言った

「いつまで隠れている気なのかしら?」


 自分の気配に気付いていたディナに驚き

 隠れていた人物はディナの前にと現れた



2本角の女

『まさかバレてたなんてね、流石は勇者様だ』



 魔力のオーラが背後から感じる

 間違いなく魔族の女だ、

 魔族の女は名乗った

 私の名前は

 アルバルスト・リヨリア・ムジカ

 猛獣使いの魔王軍幹部だと・・・・・



ムジカ

『アンタが今殺したオークちゃん、

 私が可愛がってた子だったのになぁ〜』


ディナ

『あら?それはごめんなさいね』


ムジカ

『命は命で返して貰おうかな〜・・・・・

 魔王様がお前の首を欲しがってるからさぁ!!』



 鋭い刃物の用なムチを使い

 ムジカはディナの首を落とそうと攻撃した


 スルリと攻撃を躱わし

 ディナは剣を敵に向け構えた


 ディナの実力を知ったムジカは額から汗を流し

 この場は逃げる事に専念した



ムジカ

『コイツ・・・

 今は魔王様に報告に戻る方が先か...』



 必死に逃げようとするが

 ディナからは逃げられずムジカは捕まった


 離せ!!ヤメロ!!っと必死に抵抗するムジカを

 何も言わずディナは見つめていた


 数秒後、少し様子が変だと直感でディナは感じた


 汗の色が少し変わった・・・

 まさかこの魔族は・・・


 ムジカはニヤリと笑い

 今更気付いても遅いのだと言った



ディナ

『貴方、演技をしていたのね?』


ムジカ

『私の目的はこの場でお前に殺される事、

 そしてもう1つは

 賢い竜人族を殺せとの命令だ!!

 言っただろ?私は猛獣使いだと.....』



 ディナはムジカをその場に残し

 急ぎ村に戻る事にした


 殺されなかったムジカは

 倒れながら高笑いをした


 自分の役目は終わった

 この世界は魔王様の手に落ちるのだと思い・・・



➖➖➖



 竜人の長が居る村に

 ゴブリンの大群が現れた


 人族と竜人族の男達は剣を持ち戦い

 魔女とエルフ族は魔法を使いゴブリンと戦った


 子供を襲おうとするゴブリン、

 子供が悲鳴を上げると

 竜人の長は杖を振り翳しゴブリンを焼き払った



竜人の長

『子供達は家の中に!!

 皆の者、魔物の勢いを止めるぞ!!』



 ゴブリンの群れを次々と倒し

 エルフ族の長は、ゴブリンを指揮する

 魔物が何処かにいると辺りを見渡した


 魔物の群れの奥に

 大斧を持つミノタウロスの姿が・・・

 アイツが指揮官に違いないと考え

 エルフ族の長は人族の魔女の長に

 この場は任せると言って

 魔法で自分を強化させ 剣を構え突撃した



人族の長

『危険だ!!』


エルフの長

『たかがミノタウロス1匹、

 私の剣で葬ってくれる!!』



 エルフの長は剣を振り下ろすと

 ミノタウロスは瞬時に大斧で攻撃を防いだ


 普通の魔物とは違い

 少しは知恵が回るのだとエルフの長は感心したが

 それでも

 魔物がエルフ族の中では強い分類の自分に

 勝てるとは思えない、そう考えていた....しかし



エルフの長

『クッッ・・・、なんだコイツの力は....』



 強化魔法を使い力が強くなっているのに

 なのにミノタウロスに力負けしていた


 並のミノタウロスでは無い

 コイツは特別な個体

 何者かが強化した魔物だと知った


 左腕を犠牲にする覚悟で

 爆発系の上級魔法を使い

 ミノタウロスの顔に左手を押し当てた


 ドカンと大きな衝撃で地面が揺れ

 左腕を失ったエルフの長は

 爆煙の中で荒い息遣いで下を向き言った

「コレで魔物の勢いは...」


 人族の長が叫んでいた、

 その声を聞き 正面を向くと

 黒く太い腕が煙の中から飛び出し

 ミノタウロスはエルフの長を掴み持ち上げ現れた



エルフの長

『グッグッ・・・オノレマモノ・・・』



 首を持ち上げられ 力強く締め付けられ

 やがてエルフの長は腕を下に降ろし

 ブラブラと動かなくなった


 ミノタウロスは

 手に持っていたエルフの首を噛みちぎり

 バキバキと骨を噛み砕き食べた


 人の長は怒りを燃やし

 全属性の魔法を使いミノタウロスに向かい走った



竜人の長

『止まれ人族の長よ!!』


人の長

『己れ魔物ォォォォオ""!!』



 近接戦ではこちらが不利

 魔法が最大火力で当たる中距離で

 人の長は戦った


 ミノタウロスから距離を取りつつ

 各種属性魔法を放った


 ミノタウロスが悲鳴を上げる、

 イケル・・・このまま攻撃を続ければ

 この魔物を倒せる!! そう人の長は考えた


 最大級の上級魔法で終わらせる!!

 魔法の演唱を唱え始めたその瞬間、

 何故か地面が目の前に近づき

 自分の下半身が目の先で立っていた・・・


 アレ? どうして自分の足がそこに?

 目だけを上に向けると

 もう1体のミノタウロスが

 大斧を使い

 自分の胴体を真っ二つにしていたのだと分かった


 ミノタウロスは2体いた・・・・・

 そして自分もこの魔物達に・・・・・


 心の中でエルフの長に謝り

 涙を流し人の長は動かなくなり目の色が消えた


 2体のミノタウロスは村の人間やエルフ

 竜人の民を殺し続けた


 最後に残った竜人の長は

 子供達が隠れる小屋の前で杖を強く握り

 息を荒げ目の前に立つ

 2体のミノタウロスを見ていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-4 赤の過去【勇者の剣】〉


 ディナが到着したその時には

 村に住んでいた者達は息を絶え倒れていた


 沢山の魔物の死体と

 沢山の村に住んでいた者達の死体が・・・


 近くからバキバキと変な音が聞こえ

 ディナはその場所に向かった


 壊された小屋の中でミノタウロスは

 何かをバキバキと音を鳴らし食べていた、

 ミノタウロスの足元を見ると

 子供達が着ていた

 赤や白色の服の切れ端が・・・・・


 ディナは目の色を変え

 剣を握りミノタウロスを背後から攻撃した


 小屋の中に居た

 もう1体のミノタウロスがディナに攻撃し

 何かを食べていたミノタウロスは

 食事を中断して

 食べていた者を地面に落とした


 コロコロと小さな骨がディナの足元に転がり

 小さな小屋の中で

 ディナは2体のミノタウロスと戦った


 ダン!!っと激しい爆発音と

 小屋が崩れる音が空気を揺らし

 2体のミノタウロスは地面を転がり吹き飛ぶ


 落とした大斧を拾い直し

 ミノタウロス達は小屋の瓦礫の上に立つ

 ディナの姿を見た


 ミノタウロス達の目でも分かった、

 今立っている人間はどの生物よりも強く

 生物の本能が逃げろと言っている・・


 鼻息を荒げ後退るミノタウロス、

 アハハと高い笑い声が背後から聴こえ

 ディナは後ろを振り返った



ムジカ

『私の佐牛鬼と佑牛鬼が怯えるなんて、

 唯の人間の魔女が

 魔物に恐怖を与えるなんて凄いじゃん』



 無言でムジカを見つめるディナ、

 今にでもこの場にいる全員を殺そうとする気迫に

 ムジカは笑うのを止め

 佐牛鬼と佑牛鬼に命令をした、

 目の前に居る人間の女を殺せと


 佐牛鬼と佑牛鬼の目は赤く変化し

 自我を失い暴走するかの様に

 大斧を振り回しディナに突進した


 先程戦っていた時よりスピードもパワーも

 格段に上がったミノタウロス達に

 ディナは攻撃の隙を見つけられず

 勇者の剣で攻撃を防ぐ事しかできなかった


 佑牛鬼が放った一撃で勇者の剣に亀裂が...

「そこだ!!」っとムジカが叫ぶと

 佐牛鬼はディナの持つ剣に頭突きをすると

 剣先は地面に落ち

 ディナは折れた剣を見て投げ捨てた



ムジカ

『その剣が無ければ貴様など!!

 そのまま喰らい尽くせ牛鬼共!!』



 佐牛鬼は大きな口を開き

 ディナを喰らおうと顔を近付けた


 ディナは優しく佐牛鬼の顎に手を当て

「ごめんなさいね、

 できるだけ苦しませないから」

 そう、ポツリと呟くと

 ディナが触れた場所から光の柱が天にと登り

 佐牛鬼は悲鳴をあげる間も無く顔が吹き飛び

 胴体だけがバタバタと暴れた


 佑牛鬼は大斧でディナを攻撃するが

 ディナは攻撃を避け

 左手で佑牛鬼の体に触れた


 佑牛機は大斧を地面に落とし

 苦しそうに悲鳴を上げ始めると

 足先から鋭い光が現れ

 徐々に体は光に蝕まれ消滅した


 勇者の剣が ディナの強さの根源だと

 ムジカは思っていたがそうでは無かった、

 2体の牛鬼がアッサリと倒され

 何も言えず眼を見開いていた


 人間の魔女が私の牛鬼を・・・

 勇者と呼ばれる力は

 コレほどまでに強いのか・・・



ムジカ

『魔王様に報告しなければ....』



 ディナをその場に置き去り

 ムジカは何処かに去ってしまった


 瓦礫の中から竜人の長の声が聞こえ

 ディナは瓦礫を掘り起こした


 命が尽きようとしていた竜人の長は

 子供達は助かったのか?と

 真っ先に子供達の事をディナに聞いた


 長の目は焦点が定まっていない・・・

 もう視力が失われているのだろう・・・


 ディナは子供達が居た崩れた小屋を見て

「あの子達は大丈夫、皆んな生きてるわ」

 そう優しく竜人の長に言った


 竜人の長はフフッと苦笑い

「優しいなディナは・・・・・

 もう聴こえないのだよ・・・皆の声が・・・」

 掠れる声で喋った


 竜人の長は手に持っていた杖をディナに渡した



竜人の長

『コレは竜人族に伝わる伝説の杖、導の杖だ・・・

 この先必要に成るであろう・・・

 ディナよ・・・世界を・・魔王から・・・』



 竜人の長は喋るのをやめ

 空を見たまま動かなくなった


 ディナは村の者達を集め

 屍人にならぬ様、火を焼べ祈りを捧げた


 竜人の長から渡された賢者の石と導の杖・・・

 賢者の石は 死んだ者の魂を吸い

 薄らと輝いていた・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-5 赤の過去【ドワーフ族の洞窟】〉


 賢者の石と導の杖を持ち旅を続けていたディナ


 あの日から二年の月日が過ぎ

 ディナはドワーフ達が暮らす

 小さな洞穴に訪れていた


 洞穴に入る前

 外には空を飛ぶ魔物が無数に確認できた、

 アレは何なのかと少し考えたが

 今はドワーフ達に話を聞くのが先だった


 洞窟内に住むドワーフ達は

 人間の魔女がやって来たと驚いた


 この場所のドワーフ達を束ねるドワーフの長老は

 人間の魔女に何用だと質問をした



ディナ

『魔王の居場所を貴方達は知ってるかしら?』


ドワーフの長老

『魔王の?

 ・・・そんな事聞いてどうするか知らんが

 残念ながら私達は魔王の居場所など知らぬ、

 人間達が住む村に行けば分かるので無いか?』


ディナ

『ではその村は何処なのかしら?

 できれば案内をお願いできる?』



 その言葉を聞き

 周りのドワーフ達は笑った

「案内?冗談じゃねぇ」

「外の魔物を見なかったの?

 アイツら私達を空の上から狙ってるのよ」

「洞窟の中なら安全だ、

 奴らも洞窟内では飛べねえだよ」


 どうやらドワーフ達は魔物から逃げ

 この洞穴で暮らしているそうだ


 ドワーフの肉は魔物の好物らしく

 人間やエルフ、肉の少ない種族を

 この周辺に居る魔物は襲わないと教えてくれた



 ディナは考えた

 どうすれば空を飛ぶ大量の魔物を

 全て倒す事が出来るのかと・・・



ディナ

『魔法にも射程があるし、困ったわね』



 1つだけ方法を思い付いたが

 それにはドワーフ達の協力が必要だった


 ディナはドワーフの誰でも良いので

 囮となって魔物を引き寄せて欲しいと言った、

 無論ドワーフ達はそんな事に協力しなかった


 人間と呼ぶ種族は

 全種族の中で1番マナも低く力も弱い、

 そんな下等種族に誰が協力すると言うのか



ドワーフの長老

『お主、まさか外の魔物を

 倒そうと考えとるのではなかろうな?』


ディナ

『そうよ、私が外の魔物を倒してあげる』



 ドワーフ達は更に笑った、

 それは自分が人間だから笑われてるのではなく

 別の何か理由が有るのだとディナは気付いた


 どうしてなの?っとドワーフの長老に聞くと

 長老は悲しそうに言った

「外の魔物は普通の魔物では無い、

 魔王の幹部と呼ばれる魔族が率いる

 とても凶悪な集団なのだ・・・」

 長老の言葉に

 ドワーフ達は暗い顔をした


 何を言っても無駄かと思い

 ディナは何も言わず外にと向かおうとした



ドワーフの長老

『お主何処に行く!』


ディナ

『手を貸してくれないなら構わないわ、

 私1人でその幹部を倒すから。

 それに、魔王幹部が相手なら

 魔王の居場所ぐらい知ってるでしょ?』



 長老は驚いた

 この者は本気で魔王に挑もうとしている、

 嘘などではない

 言葉の重みがどの人物よりも違う


 長老は立ち去るディナを呼び止め

 ならば付いて来いと言った



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-6 赤の過去【浮遊の腕輪】〉


 魔道具・・・

 魔法の道具と呼ばれる特別な道具


 知恵を持つ者が作ったと言われるその道具は

 時には他種族達の役に立つ道具として使われ

 またある時は闘いの道具としても使われた


 ドワーフの長老は

 埃被った箱を取り出しディナに見せた



ディナ

『これは?』


ドワーフの長老

『マナの力で宙に浮く鉄が使われている

 魔道具と呼ばれる物だ・・・

 腕に嵌めマナを込めると使う事ができる

 浮遊の腕輪と呼ぶドワーフ族が作った魔道具だ』



 手渡された浮遊の腕輪を

 腕に装着してマナを少し込めると

 ディナの体はフワフワと宙に浮かんだ


 上手くコントロールができず

 洞窟の天井に頭を打ちそうになり

 左手で天井に手を付き

 マナを込めるのを止め地上にゆっくり降りた


 空を舞うには練習が必要だと長老は言い

 数週間は下準備をするべきだと提案したが、

 ディナは必要無いわと言い捨て

 浮遊の腕輪を持ち

 魔物が居る外に出ようとした



ドワーフの長老

『危険だ!!まだ1回しか使っておらんだろ!?』


ディナ

『戦いながら覚えるわ、ご親切にありがとう』



 無謀で自殺行為だと誰もが思うだろうが

 何故かその魔女の言葉には

 底知れぬ確かな力強さを感じる


 長老はそれ以上何も言わず

 時が来るのを待つ事にした




▶︎洞穴の外


 ブンブンと羽音を鳴らし空を飛ぶ魔物達、

 魔物を従える魔王軍の幹部

 神速フライのハエリダルは

 美味いドワーフ達が洞穴から出てくるのを

 眠りながら空を飛び待っていた


 ハエリダルは特殊な魔族で

 魔物と融合する事ができる魔族種、

 ハエリダルが融合した魔物は

 フライと呼ばれるハエに似た素早い魔物


 空を飛ぶ事ができない他種族に

 フライの力で

 圧倒しようとハエリダルは考えていた



ハエリダル

『ふぁぁあ・・・マジで眠いな』



 従えているフライ共の動きが少し変わり

 ハエリダルは何かと目を横に向けた


 ドカンと爆炎が起こり

 従えるフライの数十匹が黒焦げになり地上に落下


 更に雷撃や光の矢が無数に飛び交い

 フライ達は次々と倒されていった



ハエリダル

『地上から距離はかなり開いている・・・

 魔法の射程内じゃねーぞこの距離わ!?』



 ハエリダルは何者かの攻撃を回避して

 攻撃をしてくる先にと神速で移動した


 少し離れた距離に

 人間の魔女が杖を使いコチラを攻撃していた


 ハエリダルはその馬鹿な女に言った

 俺様が誰なのか知ってて

 こんな事をしているのかと・・・



ディナ

『あら?誰なのかしら?』


ハエリダル

『良くも俺様の可愛いフライ共を・・・

 どうやって飛んでるか知らねーが

 決めたぜ人間!!

 先ずはテメェからあの世に送ってやる!!』



 目にも映らぬ神速で

 ディナの周りをビュンビュンと飛び回り

 自分の名前を名乗った



ハエリダル

『俺様は魔王軍幹部、

 神速フライのハエリダル様だ!!

 俺様と戦える事を光栄に思いやがれ!!』


ディナ

『貴方が魔王の幹部なのね、

 魔王の居場所は何処なのかしら?』


ハエリダル

『死人に口無しってな!!!!』



 鋭い爪でディナの首を狙うハエリダル、

 この距離で狙いは外さない、

 自分の神速に追いつける者など誰も存在しない

 ましてや

 得意な空の上では誰にも負けぬ自信が合った


 しかし


 ディナは爪が当たる寸前で首を動かし

 ハエリダルの攻撃を回避した


 ・・・・・偶然だ、

 偶々首を動かし攻撃が外れただけだ、そう考え

 ハエリダルは足や腕、

 胴体に神速の攻撃を繰り出した


 足や腕 胴体をゆっくりと動かし

 ディナは攻撃を避けた



ハエリダル

『何故だ!?俺様の攻撃が見えているのか!!

 音すらも置き去りにする俺様の神速を

 貴様はどうやって見切っていやがる!!』


ディナ

『なんとなく・・・かしら』


ハエリダル

『なんだと!?』



 未来予知では無いが

 ディナは敵の行動を予測して動いていた


 このタイプの考えを持つ者なら

 必ずこの場所を狙ってくるであろう、

 その行動の後はあの行動を

 自分がこう動けば相手はこう動く

 そう体感的に動いているだけだった


 ふざけた事を言うディナに

 ハエリダルは人生最大級の屈辱を味わい

 何も考えずディナに突撃した



ハエリダル

『人間風情がァァァア!!・・・・あ?』



 ディナの瞳に爪が触れそうになった瞬間

 ハエリダルは体を動かせなくなった


 コレは重力系の闇魔法、

 あらかじめ仕掛けておいた闇魔法で

 体の動きを封じている!!



ハエリダル

『魔族に闇魔法など通用するハズが....』


ディナ

『最後に聞くわね、魔王は何処かしら?』


ハエリダル

『クソガァァァァア!!!!』



 重力魔法で押し潰されたハエリダルは地面に落下


 空を舞うフライの群れを

 ディナは全て焼き払った


 空を舞う魔物の恐怖から

 解き放たれたドワーフ達は

 洞穴から外に出て

 人間の魔女を見て言った


 アレは伝説の魔女、奇跡の魔女だと・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-7 赤の過去【恐怖に怯える村】〉


 その昔

 作物を巨大な魔物に襲われていた村があった


 最初は村の魔女に魔物の討伐を任せたが

 魔女の力では魔物を倒せず

 仕方ないと考えた村人達は

 近くに住むエルフやドワーフ達に

 その魔物の討伐を依頼した


 しかし

 その魔物はエルフやドワーフですらも倒せず

 もう新鮮で美味しい作物が食べられないのではと

 村人達は嘆き悲しんだ


 そんな時だった・・・

 魔神と呼ばれる邪悪な悪魔が

 その魔物を倒してやろうと村人達に言った


 村人達は喜んだ、しかし

 魔神は村人達に条件を出した


 この村の1人を生け贄として我に捧げよ


 魔神が提示した条件は

 人1人を犠牲に魔物を倒す事だった


 誰かが犠牲に成れば魔物を倒して貰える、

 だけどもそれでは誰かが悲しむ・・・

 村の村長は有る決断をした


 その決断を

 村人全員が受け入れたのだった・・・


 巨大な魔物の亡き骸を村に持って来た魔神は

 さぁ我に捧げる生け贄はどいつだ?

 っと喜び言った


 魔神は初めて人間が食べれると思っていた、

 仲間の魔神からは

 人間の魂は美味だと聞かされていたからだった


 村人達は村の生け贄を用意して

 魔神の足元にと運んできた・・・

 しかし

 村人が捧げた生け贄に魔神は激怒した・・・




▶︎ドワーフ達の洞穴


 魔王軍幹部ハエリダルを倒した

 人間の魔女ディナを

 ドワーフ達は奇跡の魔女と呼び称えた


 コレで人間の村まで案内ができるぞと

 ドワーフ族の長老は

 若者の案内人を1人用意した



チャルック

『ドワーフ族のチャルックと言います、

 人間の村まで僕が奇跡の魔女様を案内します』


ディナ

『よろしくね』



 人力車に似た物を持って来たチャルックは

 コチラにお乗りくださいと

 ディナをカゴの上に座らせた


 こんなの恥ずかしいわとディナは言ったが

 僕達を救ってくださった奇跡の魔女様ですから

 ご遠慮など

 為さらないでくださいとドワーフ達は言った


 それならとディナは上に乗り

 大きく手を振るドワーフ達に

 小さく手を振って別れた


 人間の村までは

 さほど遠くない距離に有る、

 揺れる積み荷の上で

 ディナはまったりと空を眺めた


 この空は青く透き通った美しさなのに

 地上は争いの血で染まっている・・・


 ドワーフ族の長老から頂いた浮遊の腕輪を見て

 空を飛ぶ感覚も悪くないわね、そう考えていた



チャルック

『見えて来ましたよ』



 人間達の住む村が見えてきた


 だけど少し様子が変だ?

 村人達は下を俯き 疲れ果てた表情をしている


 様子がおかしいと分かったチャルックも

 どうしたのだろう?っと言っていた



ディナ

『チャルックはこの村に来た事あるの?』


チャルック

『魔王軍が現れる前の20年前に少しだけ、

 でもその時は

 活気に溢れた農業村だったのですけど....』



 ディナは地面に降り

 村の近くに居た

 座って何かで遊ぶ少女に声を掛けた


 ちょっと良いかしら?っと

 後ろからディナが少女に話し掛けると

 なに?っと少女は目を閉じ振り返った


 少女は盲目の子供だった



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-8 赤の過去【魔神との契約】〉


 盲目の少女を見たディナは

 前に差し出した右手を下に降ろした


 村にドワーフと人間の女が現れたのを知り

 村の魔女が

 チャルックとディナ、2人の前に姿を見せた



村の魔女

『貴方達は誰?』



 何か合ったのかしら?

 そう言ってディナは村の魔女に聞くと

 村の魔女は

 ドワーフの男と同じ魔女の女性を見て

 この人達なら話しても大丈夫かと考え

 村長の家にと案内した



 ディナとチャルックが村長の家に着くと

 村の村長は頭を抱え椅子に座っていた



村の魔女

『村長、旅の方です』


村の村長

『旅の?・・・今すぐにこの村を去れ、

 こんな場所に居ても酷い目に合うだけじゃ』



 深刻そうな言葉使いでそう言う村長に

 ディナは「事情だけでも話して」と言った


 旅の女に話しても

 何も変わらないと村長は思いながらも

 どうして村の人達が苦しい表情をしているのか

 ディナとチャルックに教えてやった



 この村は農業が盛んで

 美味しく新鮮な野菜を作っていた、

 しかしある時

 とても大きな魔物に畑は襲われ

 野菜作りができなくなってしまった


 魔物は畑に住み着き

 魔女やエルフにドワーフの力を借りたが

 誰もその魔物を倒す事ができなかった


 もう畑での仕事が出来なくなったと

 悲しんでいたある日、

 私達の村に魔神が現れた


 魔神は魔物を倒す条件に

 村人を1人食べさせてくれと言った


 村人達や村長は悩みに悩み

 生け贄を1人用意した・・・だが


 魔神はその生け贄を見て激怒し、

 生け贄を運んだ村人の男を

 ガブリと食ってしまった


 そして魔神は言った

 毎年新月期の夜に

 俺に食べさせる生け贄を用意しろ、

 そうしなければ村人全員を食べると....


 畑は元に戻ったが

 毎年、村から

 魔神に捧げる生け贄を用意する事に・・・

 そして

 今日が11回目の新月期の夜なのだと言った



 村の魔女は悲しそうな顔を

 ディナは事情を知り口を閉じていた


 ドワーフのチャルックは村長に聞いた

 どうして魔神は激怒したのかと?



村の村長

『・・・盲目の赤子を生け贄に用意したのだ...』


チャルック

『え!?』



 村人達が魔神に捧げた生け贄とは

 生まれつき目が見えぬ

 障害を持った赤子だった・・・


 この赤子は

 もうこの世界で生きていても苦しいだけだ

 それなら村の役に立たせようと

 皆は赤子を祈り魔神に差し出したのだ


 小さな赤子を

 犠牲にする人間に魔神は激怒した



村の魔女

『貴方達が話していた子、あの子が

 生け贄に捧げられる赤子だったの・・・』


チャルック

『そんな...』



 深刻そうにしていたチャルックは

 ドワーフ達を救った魔女様を見て言った

「そうだ!!この魔女様は

 魔王軍の幹部を倒した奇跡の魔女様です!!

 奇跡の魔女様なら魔神を倒せるかも!!」


 しかし

 ディナは口を開かなかった、

 それどころか

 村長や村の魔女も浮かない顔をしていた


 どうして奇跡の魔女様が何も言わないのか

 チャルックは不思議に思っていると

 村の魔女はドワーフ族に教えた


 魔神は魔族と魔物とは別の存在、

 同じ魔力を使うが 魔神と呼ぶ種族は

 1個体が魔王と並ぶ強さを持つと言われている、

 あくまで言い伝えだが・・・・


 魔族や魔王軍の者達も

 魔神とは関わらなかったのだった...



村の魔女

『名の知れた竜人族や、

 強いエルフにドワーフが集まって

 やっと封印できる存在なのよ魔神は...』


チャルック

『って事は奇跡の魔女様でも・・・』


村の村長

『魔神に食われたく無いなら

 とっとと村から出て行くが良い...』



 ディナは何も言わず村長の家を出た


 ドワーフのチャルックは

 奇跡の魔女様を追いかけた


 僕達ドワーフ族を救った

 奇跡の魔女様で無理ならこの村は・・・



 ディナは盲目の女の子の前で腰を下ろし

 女の子の目を優しく触った


 チャルックは悲しそうな表情を見せ

 村長の家から出てきた村の魔女は

 可笑しな事をするディナに言った

「もうその子の目は治らない

 これ以上、私達に関わらないで・・・」


 この世界には回復魔法と呼ぶ概念が存在しない、

 怪我や体の障害は

 薬草や薬で治せる範囲でしか治せない


 しかしディナは

 女の子の目を優しく触り祈っていた



ディナ

『この石が私の思う石ならば・・・』



 ディナは手にマナを集めた、

 女の子の目にディナのマナが集まり

 賢者の石は翠色に輝き

 女の子を光の中にと優しく包んだ


 村の魔女は驚いた、

 この魔女は何をしてるいのだと考え・・・


 光が消えると

 女の子の目を触っていたディナは

 ゆっくりと手を遠ざけた、すると

 女の子は目を開き

 色が見えると驚き喜んでいた


 奇跡が起こりチャルックも村の魔女も驚いた



盲目だった女の子

『凄い!!お姉さんがやってくれたの!?

 私目が見えてるんだよね!?夢じゃなくて!?』



 喜ぶ女の子を見てディナは笑顔になった、

 そしてディナはチャルックに言った



ディナ

『小さな瓶とか作れるかしら?』


チャルック

『ドワーフ族の男だから作れるけど・・・』


村の魔女

『貴方・・・何をするつもりなの?』


ディナ

『私はこの村の人達を助けたい、

 ・・・・私が魔神を封印するわ』



 喜び笑顔になる女の子とチャルック、

 村の魔女は不可能だと思い

 真っ青な顔でディナを見ていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-9 赤の過去【魔神との戦い】〉


 暗闇が村を覆う中

 ディナはチャルックが作ってくれた

 小さな瓶を地面に置き

 魔神が現れるのを待っていた


 村人達は家の中に避難させている

 外に居るのはディナ1人


 魔神に喧嘩を売りディナが負ければ

 この村の人間は全員魔神に食べられてしまう、

 そんな事を考えていた村の魔女は

 ディナが負けそうなら

 自分も外に出て魔神に一矢報いる覚悟だった


 覚悟だったのだが・・・手や足が震えている

 そんな事自分には無理だと体が教えてくれている


 隣で外を見ているドワーフのチャルックに

 村の魔女は震えた声で言った



村の魔女

『あの女の人は魔神に殺されるわ、

 そして私達も魔神に・・・』


チャルック

『あの人は奇跡の魔女様なんだ!

 魔神にだって絶対に負けない!!』



 自信に満ち溢れた言葉に

 村の魔女はどうしてと思い 外を眺めた


 もう時期 夜の光が村を照らす、

 その時に魔神は村に現れる


 ディナは目を閉じ待っていると

 森の奥からドシンと何かが村に近付いてきた


 大きな角を生やしカブトムシの見た目をした

 ディナより少し大きなそいつは

 ディナの前に立ち止まった



カブリダル

『俺様は魔王軍幹部が1人

 剛力カブトのカブリダル様だ!!

 貴様が我が弟、ハエリダルを殺した女だな?』


ディナ

『・・・・・』



 弟を殺した人間の魔女は何も言わず

 目を閉じ動かなかった


 舐めた人間にカブリダルは怒り

 うおーーーっと大声を上げ人間を威嚇した


 その直後ディナは目を開け 顔を上げた、

 視線を合わせてくれたのだと思い

 カブリダルは少し笑った


 だが

 視線は自分より後ろを見ている

 何故だ?そう考えたカブリダルは

 後ろを見た瞬間だった


 魔神の腕がカブリダルの体を貫き

 緑色の液体を口から吐き出し

 カブリダルは動かなくなった



ディナ

『貴方を待っていたわ』



 3メートルを超えた魔神は

 カブリダルの死体を投げ捨て人間の女が

 どうしてこの場所に居るのかと考えた



ディムロス

『我は混沌の魔神ディムロス、

 貴様はこの村の人間では無いな?

 貴様が今月の生け贄なのか?』



 魔神ディムロスは下を見ると

 ディナの足元には小さな瓶が置かれていた


 魔神は笑った、

 その瓶に我を封印しようと

 考えているのではあるまいなと


 そうよとディナが答えると

 ディムロスは家に隠れる村人達に向け叫んだ



ディムロス

『我を倒そうとお前達は考えたようだが、

 それがどう言う結果になるのか

 分かっての事なのだろうな?

 今晩がお前達の

 最後だと言う事を意味するのだぞ!!』



 目で観なくてもわかる

 人間達が怯え震え神に祈る姿が


 だが魔神は寛大だった、

 生け贄の数を1人増やす事で

 お前達の命を救ってやると言った



ディナ

『この村の人達はそんなに多くは無いわ、

 そんな事をしていたら

 いつかこの村の人間はいなくなってしまうわ』


ディムロス

『それがどうした?

 この村の人間達が我とした契約だと言う事だ、

 我は人間を食べられればそれで良い』


ディナ

『貴方が助けた女の子も食べちゃうのかしら?』


ディムロス

『助けたのでは無い

 愚かな人間に罰を与えただけだ。

 それにもう

 食べ頃まで大きく育ってくれたであろう?』


ディナ

『そう・・・なら私が

 貴方を封印しなくちゃいけないわね』



 それを聞き魔神は笑った、

 人間の魔女が1人で魔神に挑むとは

 なんと愚かなのだと


 死に急ぎたい女に

 望み通り殺してやろうと

 魔神は手から魔力の弾を放った


 ディナは攻撃を避け

 導の杖を使い土や雷の魔法で反撃した



ディムロス

『少しはできる様だな』


ディナ

『全く効果が無い見たいね』



 浮遊の腕輪にマナを込め

 ディナは夜空を飛んだ


 空を飛ぶ人間とは初めて見たと

 ディムロスは少し感心し

 背中から大きな翼を広げ

 ディムロスも大きく空を飛んだ


 空中で戦うディナとディムロス、

 ディナの攻撃は

 ディムロスに命中するが効果は無く

 ディムロスの攻撃は

 ディナに命中する事は無かった


 このままでは

 時間の無駄だと考えたディムロスは

 村人達が隠れる民家に手を向けた



ディムロス

『お前は攻撃を避けれても

 村の人間達はどうかな?』


ディナ

『あら?そんな卑怯な真似もするのね貴方』


ディムロス

『我は人では無いのでな』



 村に魔力の弾を放とうとした時だった、

 家からドワーフの男が飛び出し

 地面に置かれていた瓶にと走りだした


 何をするつもりだ?

 そうディムロスは考えていると

 ドワーフのチャルックは瓶の蓋を開けた


 眩い光が夜空を輝かせ

 空を飛んでいたディムロスは光で目が眩んだ


 コレは攻撃などでは無い、

 あらかじめ瓶の中に光魔法を封印していた


 ディムロスがそれに気が付いた時には

 ディナの杖がディムロスの体に触れ

 封印の呪文を唱えていた



ディムロス

『そんな馬鹿な!!人間などに我が!!』



 体が瓶に吸収され

 魔神ディムロスの魂は瓶にと封印された


 チャルックが瓶に蓋をすると

 ディナは地上に降り

 ありがとうチャルックと言った


 村人達は喜び 大声で魔女の名を叫んだ、

 村を魔神から救った救世主、愛の魔女と・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-10 赤の過去【妖精と魔女】〉


 魔神を封印し村を守ったディナを

 村人達は親しみを込めて愛の魔女様と呼んだ



チャルック

『奇跡の魔女様なのに、

 どうして愛の魔女なんだよ・・・』


村の村長

『愛の魔女様!魔神の魔の手から

 村を救ってくださりなんと言えば良いのか』


盲目だった女の子

『愛の魔女様ありがとう!!』



 村人達が皆喜ぶ中

 村の魔女だけは笑顔を見せず

 何かを考える様にディナを見ていた


 ディナは村人達に聞いた

 魔王の居場所を知らないかと・・・

 しかし

 魔王の居場所は村人達は誰も知らなかった


 ここから遠い山奥に

 城壁らしき建物が見えたと誰かが言い

 ディナはその場所に向かう事にして

 ドワーフのチャルックや

 村人達に別れの言葉を言い村を離れた





 村から遠く離れた山奥

 キラキラと流れ落ちる滝に

 透き通る綺麗な湖でディナは体を洗っていた


 大自然の空気で体を癒していると

 近くの茂みからガサガサと物音が鳴った


 ディナは自分の手で体を隠し

 ゆっくりと地上に上がり

 魔法で体を乾かし服を着た



 奥の茂みから物音が何個か近付いて来る、

 ディナは杖を構えその方角を見て待機していると

 小さなフェアリーが草の中から

「助けて!!」っと叫び飛び出して来た



シエラ

『私はシエラ、助けて人間に追われているの!!』



 フェアリー族

 人族やエルフ族やドワーフ族

 竜人の民と同じマナを宿す種族だが

 魔物や人を倒す魔法は使えず

 心を通わす魔法や特別な魔法を扱う


 シエラが飛び出した数分後、

 人族の男、山賊達が細長い剣を持ち現れ

 魔女のディナとフェアリーのシエラを取り囲んだ


 山賊はディナに言った、

 そのフェアリーを引き渡せば

 お前に危害を加え無い

 痛い思いをしたくなければ言う事を聞けと



ディナ

『どうしてこの子を追っているのかしら?』


山賊の男

『そんな事も知らねぇのか、

 フェアリーってのは色々と便利で

 高額で取引されてんだよ』



 フェアリー族の羽や血や涙には

 特別なマナの力が宿っている


 それを使い魔道具と呼ばれる道具を作ったり

 フェアリー族を食べ

 マナを活性化させる事も可能だとか・・・


 ディナは真剣に話を受け止め

 分かったわと山賊達に言葉を返した


 シエラは引き渡されると怯え

 山賊達は素直で良い女だと笑みを浮かべた



ディナ

『そう言う事なら貴方達を見逃せないわね』


山賊の男

『あ"?なんだとテメェ?』



 山賊達は剣をディナに向け

 めんどくせー、この女を殺して

 サッサとボスの所に

 フェアリーを持ち帰ろうと考えた


 人間の女が

 武器を持つ人間の男達に勝てる訳が無い

 そう山賊達は思っていたが

 シエラには分かっていた


 フェアリー族のシエラには

 マナの色を見分ける事ができる、

 目の前に居る人間には

 前に出会った人間の女性と同じ

 マナの輝きが見えた、

 この人間は強い それも想定を超えた・・・



 シエラの考え通り

 山賊達は一瞬でディナに敗れ

 覚えてやがれと捨て台詞を言い

 ボロボロの山賊達は何処かに逃げた


 疲れすら感じさせていなかったディナは

 フェアリー族のシエラに聞いた、

 こんな山奥で何をしているのかと・・・


 そうだとシエラは思い出し

 ディナに助けてともう一度叫んだ



シエラ

『お願い助けて!!

 私の友達が山賊達に捕まったの!!』



 目的の城壁に向かおうと思っていたが

 困っている者が居るなら助けない訳にはいかない


 山賊達が住む場所は何処なのかシエラに聞くと

 シエラは指を向け言った

「この先の大きな建物に山賊達が居るの!!」


 その方角には

 ディナが向かおうとしていた城壁が見えていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-11 赤の過去【マナの涙】〉


 森奥の山に佇む古い城


 元々はドワーフ族が住んでいた場所だが

 凶悪な魔物に滅ぼされ

 今は山賊達の住み家として使われていた


 城の中で武器を研ぐ山賊達は

 狩りに出掛けた仲間達を待っていた



悪顔の山賊の男

『久しぶりにフェアリーの肉が食いてぇ〜』


髭を生やした山賊の男

『仲間が今探してるらしいぞ、

 予備の商品を手に入れたら

 羽を毟った用済みは食えるかも知れねぇな』



 不気味に笑う山賊達、

 城壁の外から物音が近づき

 仲間が戻って来たのかと扉の方角を見た


 ギィーっと古い扉が地面をすれる音が鳴り

 見た事ない1人の女が現れた


 仲間では無い・・・ボスの知り合いか?

 山賊の男達は剣を持ち女に言った、

 お前は誰で外の仲間はどうしたと.....



 ディナは服の中に潜ませた

 フェアリーのシエラに小さな声で話した



ディナ

『少し動くわよ、隠れていてね』


シエラ

『わかった』



 小さく頷くシエラ、

 ブツブツと何かを言うディナに

 山賊達は誰と話していると怒り始めた



 物凄い物音が山賊のボスの部屋まで聞こえ

 ボスは騒がしく暴れる手下達の元に向かった


 ディナが全ての山賊達を倒し終わると

 耳の長いエルフの男がディナの前に現れ

 エルフの男は周りで倒れる山賊達や

 外で気絶していた山賊達を見て

「なるほど」っと呟いた、


 どうやらこのエルフが

 山賊達のボスらしい・・・・・



山賊のボス

『魔女の人間・・・しかも

 かなり強いマナを使う事ができる用だな・・・』


ディナ

『悪に手を染めたダークエルフって所かしら?』


山賊のボス

『人間の魔女程度に私は負けぬ!』



 山賊のボスはマナを最大まで高め

 高火力の魔法をディナに放った


 魔法を回避したディナに

 無数の魔法を使い山賊のボスは攻撃をした


 山賊のボスは

 マナの消費を半分以下に抑える

 特別な魔道具を持っていた、

 この魔道具の力を使い

 無限の魔法での攻撃を可能としていた


 いくら相手が強くても 無数の魔法を放てば

 この狭い城の中では逃げる事は不可能、

 攻撃の数で相手を倒そうと

 山賊のボス考え魔法を放ち続けていた


 竜人の民すらも殺した事が有る、

 人間の魔女程度の相手、自分の敵では無い

 そう思っていた・・・・・


 しかし この人間はレベルが違った、

 全ての攻撃を避け、一瞬の隙を見つけ

 魔法で山賊のボスの腹部に大穴を開けた


 ゆっくりと自分の穴を見て

 目の前の魔女に言った、

「なるほど・・・お前がこの世界を....」


 言い終わる事無く地面に倒れ

 ディナはシエラを外に出し

 シエラと一緒にシエラの友達を探した


 友の名を叫ぶシエラ、

 ディナは山賊のボスが使っていた部屋や

 他の部屋を調べると小さな肉塊が・・・

 ディナは無言で肉塊を見ていると

 別の部屋からシエラの叫ぶ声が...


 ディナはその場所に向かうと

 羽根を捥がれたフェアリーを

 シエラは抱きしめ泣いていた


 シエラの友達はもう・・・・・


 シエラは大声で泣いていたが

 フェアリーの涙は死ぬ時以外流す事ができない、

 どうして涙も流れないのかと

 シエラは叫び苦しんでいた



ディナ

『もう山賊達はいなくなったわ、

 コレで他のフェアリー達は助かると思うわ...』


シエラ

『生きるのって楽なのかと思ってた、

 でも本当は難しいんだね・・・

 生きるだけの事が死ぬ事より難しいなんて....』



 シエラはディナに言った、

 自分と一緒に友達を灰にして

 同じ木の下に撒いて欲しいと

 涙を流しながら・・・


 シエラは友達と一緒に目を閉じ

 ディナはシエラの涙を

 魔神を封印する時に使おうと思っていた

 予備で持っていた瓶に入れた



 約束を守り

 2人の灰を1番大きな木の下に撒き

 目を閉じ祈った・・・


 2人の灰は風に乗り天高く舞消えた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-12 赤の過去【鳥獣】〉


 ディナがフェアリー達に祈りを捧げていると

 後ろから人間の女性が現れた


 その女性は

 魔神の脅威に怯えていた村の魔女だった



 目を閉じ祈りを捧げていた

 村の英雄、愛の魔女様に村の魔女は

 自分の名前を名乗り、ある頼み事をした



ニア

『私はニア、

 愛の魔女ディナ様にお願いがあります、

 私には

 どうしても手に入れたい魔道具が有るのです』



 ディナは目を開き 無言でニアの顔を見た




▶︎遠く離れた地


 開けた森の奥に小さな見張り台が

 その近くにはエルフ族が暮らす里が存在した


 高台から見張りをしていたエルフは

 人間の女が2人近付いてくるのを見て

 里で1番偉い巫女のエルフに

 人間が来ている事を報告した


 巫女のエルフは里の人達を民家に避難させ

 人間の者がやってくるのを

 里の入り口で待機していた・・



 ディナとニアが里に到着すると

 巫女は2人に「止まりなさい!」っと

 この里は人間の者が来る場所では無い

 危険ですので立ち去りなさいと忠告した


 ディナは辺りを見渡すと

 数人のエルフからの視線を感じ取った、

 コチラを警戒の目で見ている

 もし従わなければ

 この里の者達は私達を攻撃する視線だ・・・


 周りに目を向ける事無くディナは巫女に言った、

 私は隣に居るニアと言う魔女に呼ばれ

 この場所に来ただけだと・・・



ニア

『貴方達に迷惑は掛けません、

 1つだけ頼みがあるのです・・・


巫女のエルフ

『頼みとは?』



 ニアは巫女に言った

 この里の魔道具【聖種の水結晶】を

 私に譲って頂きたい


 聖種の水結晶とは

 神聖種族の住む場所で取られる特別な石を

 水晶玉に加工した魔道具、

 神聖種族と同じ力

 誰かの過去を見通す事ができ

 この世界に二つしか存在しない



巫女

『聖種の水結晶を・・・

 アレは古代から祀られているこの里の魔道具、

 外の者に渡す訳にはなりません』


ニア

『この魔女が鳥獣ガルーダを倒したとしたら?』



 巫女は無言で人間達を見た


 ディナが知らない鳥獣と呼ぶ言葉をニアが言うと

 周りのエルフ達の目の色が変わった、

 どうやら

 エルフ達は鳥獣に怯えている



 ニアは知っていた、

 この里には聖種の水結晶が有る事を...

 そして

 鳥獣ガルーダにエルフ達は怯えて逃げていた

 聖種の水結晶を手に入れる為にディナを連れ

 鳥獣を倒して貰おうとニアは考えていた


 魔神を倒せる魔女なら

 鳥獣と呼ばれる魔物も倒せるハズだと思っていた



巫女

『確かに、

 そこの人間からは強いマナが感じられます

 しかし鳥獣は倒せるとは思いません・・・』


ディナ

『鳥獣と呼ぶ魔物はそんなにも強いのかしら?』


巫女

『戦えば分かります、

 エルフや竜人も倒せぬ鳥獣の強さが・・・』



 ニアはもう一度巫女に聞いた

 鳥獣ガルーダを倒せば

 聖種の水結晶を譲ってくれないかと・・・


 倒せればと巫女は2人に言った


 どうしてニアが

 その魔道具を必要としているのかは

 ディナには謎で合ったが、

 エルフ達が怯える鳥獣を見過ごす訳にはいかない


 この世界から悲しみを消す為に戦う

 それがディナの旅だった・・・



 ディナは里の外で鳥獣が現れるのを待った、

 この里のエルフ達は鳥獣から逃げ

 住む場所を変え移動を続けていた、

 もし鳥獣を倒す者が現れたのなら

 そうエルフ達は考えたが

 鳥獣は誰にも倒せない そう分かっていた


 見張り台から空を見上げていたエルフは

 鳥獣が現れたと叫んだ


 ディナは浮遊の腕輪を使い空を飛び

 鳥獣ガルーダの姿を確認した


 大きな翼に4本の鋭い足

 長い尻尾や獲物を刈り取るクチバシ、

 グリフォンに似たその魔物は

 魔力では無く マナを操り

 土の無い空の空間で土を作り出し

 ディナに土魔法で攻撃をした


 攻撃魔法を防ぎ

 ディナも導の杖を使いガルーダに魔法を放つ


 鳥獣は確かに強い魔物だが

 倒せないレベルでは無い そう思った


 ガルーダは素早くディナの魔法を避け

 ディナの背後から爪で切り裂こうとした、

 ディナは視線を低くさせ

 鳥獣の胸に氷の刃を突き刺した


 悲鳴を上げる鳥獣、

 次の一撃で鳥獣を倒せる・・・しかし


 ディナが魔法を放とうとしたその瞬間

 鳥獣ガルーダは大きな翼を広げ

 ディナの目の前から突然姿を消した


 透明化の魔法!?いや違う・・・コレは!!


 敵の気配が完全に消えた・・・


 鳥獣ガルーダの羽には

 空間移動を可能とする

 特別なマナが宿っていた・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-13 赤の過去【不死鳥の魔物】〉


 空間移動をして姿を消した鳥獣、

 ディナはニアと巫女が待つ場所に戻り

 2人と話していた


 ある程度のダメージは与えたので

 しばらくは姿を見せないとディナは言ったが

 鳥獣ガルーダには

 自分の体を蘇生させる力を持っていると

 巫女は話した、

 回復すれば直ぐにでも

 戻ってくる可能性が有るのだと言う・・・・・


 攻撃をしても蘇生され

 空間移動で何処かに逃げられる魔物・・・

 普通に戦えば

 勝てる相手では無いとディナは言った



巫女

『一度だけ、

 鳥獣の首や手足を破壊した時がありましたが

 それでも鳥獣ガルーダを倒せませんでした、

 動きを封じる魔法や封印魔法も試しましたが

 マナを持つ魔物にはどれも効果が無く・・・』


ディナ

『打つ手なしね...』



 魔神を倒したディナですら

 鳥獣ガルーダを倒す事は不可能だと言った


 幸いにも鳥獣はエルフの肉を好む、

 他種族には被害を出さないと

 巫女は教えてくれたが

 それではニアの望みは叶わない

 何とかして

 聖種の水結晶を手に入れたいと考えていた


 しかし

 魔神を倒したディナでも

 鳥獣ガルーダを倒せないとなると...

 そう不安に思っているとディナは・・・



ディナ

『治癒の力を持つ相手でも

 いつしか持明で命が尽きるわ』


ニア

『それまで待てと言うのですか...』


ディナ

『それか・・・もう一つだけ・・・』



 その言葉に

 巫女やニアは驚き固まっていた・・・


 ディナが考えた

 空間移動や治癒の力を持つ

 鳥獣ガルーダを倒す方法とは・・・




 翌日・・・

 ディナは鳥獣ガルーダが現れるのを待った


 鳥獣ガルーダの空間移動能力は

 マナが多い場所にワープする能力、

 その力は一度

 エルフの者が鳥獣ガルーダの羽を使い

 実際に魔法を唱え使った者が居た


 鳥獣はマナの多いこの場所にもう一度現れる

 その事は皆も知っていた


 見張り台から空を見上げていたエルフは

 突如空に現れた鳥獣を見て

「鳥獣が現れたぞ!!皆家屋に避難しろ!!」

 そう叫んだ


 ディナは浮遊の腕輪を使い

 鳥獣の前で止まった・・・・・

 氷の刃で突き刺した胸の部分は

 綺麗に塞がっている・・

 数日で元通りだと言う事は

 治癒の力は本物だと言う事になる・・・


 咆哮で空気を揺らす鳥獣、

 ディナは杖を構え鳥獣に言った



ディナ

『さて、本当に成功するのかしらね』


鳥獣ガルーダ

『キイイイイイイイン』



 最大火力の魔法を初手から放つディナ、

 鳥獣は翼を大きく動かし

 素早く空を飛びディナの魔法を避け続けた


 空を舞ながら鳥獣も

 ディナに向け火や氷の魔法を使い反撃した


 人間の魔女と鳥獣ガルーダが

 空の上で激しく戦っている、

 里のエルフ達は

 鳥獣と互角に張り合う人間に驚いた



 ディナは一瞬の隙を見つけ鳥獣の首を

 雷の魔法を使い切り裂き首を落とした


 普通の生き物なら首を落とされれば命を落とす

 しかし鳥獣ガルーダは瞬時に首を再生させた


 首の回復を見て

 ディナは鳥獣の翼を炎の爆撃で燃やした、

 首の蘇生を使った後は

 直ぐに翼の蘇生をしようと鳥獣はしようとしたが

 首の回復がまだ終わっておらず

 翼の回復にまで治癒の力が間に合わなかった


 翼を破壊された鳥獣は地面に落下する、

 鳥獣ガルーダの羽は

 空間移動をする力を持っている、

 翼を破壊している今がチャンスだった


 ディナは下に居た巫女達に今よ!!と言った


 巫女は仲間のエルフ達を従え

 地面に倒れる鳥獣に無数の魔法を放つ


 地面に降りて来たディナも

 魔法を使い鳥獣に攻撃する


 分厚い鳥獣の皮膚は魔法で溶かされていく、

 しかし

 鳥獣の溶けた皮膚は1秒も経たず蘇生する


 どれだけ攻撃しても

 鳥獣の治癒が魔法を上回る


 巫女は皆に言った、

 怯まず魔法を浴びせ続けろ!!と


 一瞬だが

 ドクドクと動く鳥獣の心臓がディナには見えた


 ディナは魔法を打つのを止め

 走って鳥獣の心臓に杖を突き刺した


 ディナの作戦とは

 鳥獣ガルーダの心臓を停止させる事・・・

 治癒の力が

 心臓までも蘇生する事が可能で有れば

 ディナの作戦は失敗に終わる


 大きな氷の結晶が鳥獣を包み

 ディナは結晶化した鳥獣の心臓を取り出した


 鳥獣の心臓は完全に停止、

 心臓を抜かれた鳥獣の眼球は

 ピクリとも動かなくなっていた



巫女

『鳥獣ガルーダが・・・・・』



 不死鳥と呼ばれた鳥獣ガルーダを倒したディナを

 里のエルフ達はこう呼んだ 英雄の魔女だと



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-14 赤の過去【神聖種族の老婆】〉


 聖種の水結晶を巫女から受け取り

 人間のディナとニアは里を離れた


 エルフ達は

 英雄の魔女様と親しみの言葉でディナを見送り、

 ニアはいくつもの呼び名が有るディナに

 貴方は不思議な人だと言った



ディナ

『そうかしら?』


ニア

『誰かの為に戦う魔女など聞いた事が無い、

 そんなお人好しな魔女は長生きできない、

 だから不思議なのよ...』


ディナ

『私も貴方の事が不思議だわ、

 どうしてその魔道具を必要としていたの?

 その訳を私はまだ知らないわ』



 ニアの表情は重くなり、

 私の恩師に返す為だと言った


 返す?渡すでは無く?


 ニアの恩師に会えば

 ディナが必要としている先の未来を示してくれる

 そうニアは言った





 遠く離れた山奥に

 小さな民家が隠される様に建てられていた


 そこには

 神聖種族のレイナードと呼ぶ老婆が住んでいた


 レイナードは特別な強い力、

 過去や未来を見通す事ができる


 強い魔力を秘めていた彼女は

 神聖種族の里を離れ

 遠く離れた土地で1人で暮らしていた


 そんなある日だった・・・

 トントンとレイナードの家をノックする者が...


 レイナードは外に出ると そこには

 痩せ干せた若い女性と小さな女の赤子が・・・


 レイナードには分かった、

 この女性はもう時期死ぬ

 未来が黒く真っ暗で何も見えない、

 抱いている赤子は

 大きく育ち自分の側で暮らしている・・・


 女性が何を言うのか察しはできた、

 レイナードは何も言わず

 赤子を受け取り扉を閉めた



 受け取った赤子の名はニア、

 レイナードはニアと暮らし教育し

 立派な人間の魔女として育てた


 子供だったニアは

 机に置かれていた綺麗な結晶玉を見て

 それに触ろうとした


 水晶玉は地面に落ち

 大きな音を立て粉々に割れてしまった...

 レイナードに怒られると思い

 ニアは泣く事しかできなかった


 でもレイナードはニアを抱きしめ

 大丈夫だよと優しく慰めてくれた


 ニアが壊した物こそ

 聖種の水結晶と呼ばれる

 世界に二つしか存在しない魔道具だった...



 成長し大人に成ったニアは

 何も言わず育ての親レイナードの元を離れ

 もう一つの聖種の水結晶探し旅に出た


 修行の途中に勝手に家を出た弟子のニアに

 レイナードは愛想を尽かしていた


 そんな馬鹿弟子が

 もう一つの聖種の水結晶を手に持ち帰って来た、

 見知らぬ女と一緒に・・・



ニア

『ただいま・・・師匠・・・』


レイナード

『・・・・・』



 レイナードは弟子のニアと

 見知らぬ女を家に上げた・・・

 見知らぬその女からは

 とてつもないマナとは違うオーラが秘めていた


 レイナードは恐れていた、

 その者の未来を見る事を・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-15 赤の過去【未来の予言】〉


 ニアは

 昔自分が壊した聖種の水結晶を

 レイナード師匠に手渡した


 罪を償い聖種の水結晶を渡せば

 自分の恩師で有るレイナード師匠も

 喜んでくれるだろうと思ったが

 レイナードは無表情で何も言わず

 そんな物は必要無いと言った


 修行の途中で家を出てまで

 こんな物私には必要無かったと言われ

 ニアは凄く寂しそうな表情を浮かべていた



レイナード

『そこの若いの』


ディナ

『私かしら?』


レイナード

『お主、魔神を封印した瓶を持っておるな』



 魔神ディムロスを封印した瓶を

 ディナはレイナードに差し出すと、

 コレをこのまま持ち歩くのは危険だ

 私が加工してやると言って

 レイナードは魔神が封印された瓶を手に取り

 家の奥にと入って行った


 どうして魔神を封印した瓶を持っていた事を

 彼女は知っていたのだろうと

 ディナは考えていると、ニアが説明した

 レイナード師匠は未来と過去を見通す力を持ち

 その人の運命を導く事もできる

 神聖種族の占い師なのだと


 レイナード師匠に頼めば

 貴方がこの先どうすれば良いのか助言をくれる、

 直ぐにでも魔王の場所にも案内できると

 ニアはディナに教えた



 数時間も経たぬ間にレイナードは

 ニアとディナの待つ部屋にと戻って来た


 レイナードは黒い何かが入った瓶を

 ディナの目の前に置き

 それが何なのか説明をした



レイナード

『魔神の力を分散させた丸薬じゃ、

 お主レベルのマナを持つ者が

 この丸薬を食べても効果は無いが

 ある程度のマナを持つ者なら

 マナを活性化させ

 本来以上のマナを手に入れる事ができる、

 じゃが・・・マナの低い者が口にすれば

 魔神に心を乗っ取られるじゃろうな』



 レイナードはそれを【解放丸華】と呼んだ


 ディナは解放丸華を荷物袋に入れていると

 ニアはレイナード師匠に頼んでいた、

 こちらの魔女は

 魔神や鳥獣を倒した実力を持った者で

 魔王と戦おうと旅をしているのです

 ディナさんの運命の未来を占って欲しいと


 レイナードは無言でディナの目を見つめた、

 憎悪や邪念を感じない真っ直ぐな眼差しに

 レイナードは恐怖した


 こんな人間が存在するのか・・・

 この者は世界を変える為生を受けた

 だとすると

 自分が見ていた未来の形は

 姿を変える可能性も・・・・・


 この者が作り変えるかも知らぬ世界を

 知るのが怖い・・・だが知らねばならぬ・・・

 しかしレイナードは・・・



レイナード

『無理じゃ・・・・・』



 歳終えたレイナードは魔力の力が弱まり

 マナの高いディナの

 未来を見通す事が不可能だった・・・・・


 それを知ったニアは落ち込み

 ディナは残念ねと言った


 レイナードは席を立ち

 また何処かに行き戻って来た


 手には見たこと無い丸い箱が

 透明なガラスに中には針が埋め込まれている



レイナード

『歩みの針・・・

 その者が次に行くべき場所を針指す魔道具じゃ

 コレがお主の運命を導く』


ディナ

『運命を導く....』



 歩みの針を受け取ると

 グラグラと動いていた針は

 北の方角を指し止まった


 自分の行くべき場所が分かり

 ディナはレイナードに礼を言った



 その夜 レイナードの家に

 泊めてもらう事になったディナは

 レイナードに呼ばれ寝室にと向かった


 横になっていたレイナードはディナに話した

 自分が知っている遠い未来の話を



レイナード

『遠い遠い未来

 この世界の種族は未だ魔王と戦い続けていた、

 その世界が平和とは言わぬが

 絶望する光景とも私は思わなかった、

 魔王は世界のバランスを作っていた、

 魔王は正義では無いが悪でも無いのやも知れぬ』



 ディナの目を見てレイナードは言った

「この世界から魔王が消えれば

 真の平和が来ると皆思っておろうが

 そうでは無いと私は考えている」


 その考えをディナは優しい表情で聞いていた


 ディナと呼ぶ存在が

 世界を作り変えると言うのなら

 それは本当に正しい事なのか

 レイナードは考え目を閉じた



レイナード

『世界の終わりを、

 お主が運んできたのやもな』



 目を閉じたレイナードは動かなくなり

 喋ることをやめた


 翌朝

 旅の準備を終えニアと別れの挨拶をした



ニア

『私はレイナード師匠の名を継ぎ

 アヴィニア・レイナードとして

 未来を見通す魔法を勉強して行きます』


ディナ

『そう・・・レイナードさんも喜ぶわね』


アヴィニア

『コレはディナさんが受け取ってください』



 アヴィニアは聖種の水結晶をディナに手渡した


 ディナは何も言わず袋に入れ、小さく手を振り

 歩みの針が指す方角にと歩いて行った



 その後アヴィニア・レイナードは世界を占い

 絶対の予言を残した


 魔王死すこの世界に3回の試練が世界に訪れる

 1つ

 魔王の血を受け継ぎし者と戦うであろう

 2つ

 この世界の者で無い者が世界を混乱の渦に沈める

 3つ

 人々は大きな戦いを起こす


 この予言を書き残そうか私は悩んだ

 だが真実を伝えたい

 私はこの予言を最後に予言をする事を止めよう


 魔装機がこの世界を滅ぼし

 この世界の生物は全て滅びる



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-16 赤の過去【青の魔女】〉


 何年もの時が過ぎ去り

 24歳になっていたディナは今も旅を続けていた


 歩みの針指す方角を進み

 魔物と戦い村の者達を魔王軍幹部から守り

 幾度もの魔族とも戦った


 そして

 ディナは1人の魔女と出会った・・・・・



 精神を失っているかの様な虚な瞳の彼女に

 ディナは歩みの針を見て話しかけた


 針はこの者を指している

 この普通な彼女が自分の目的の相手なのか?

 少しだけディナは不安に思っていた



ディナ

『貴方大丈夫?』


レイン

『セリック・・・違う、誰だ...お前は...』



 ブツブツと顔を曇らせ喋る彼女の隣には

 大きな鎧に似た何かが佇んでいる、

 ドワーフ族の傀儡でも無い

 魔物?・・・いや違う

 この鎧からはマナでも魔力でも無い

 無色透明な力を感じる


 コレは何?っとディナは言うと

「勝手に私の魔装機に触るな!!」っと

 彼女は激怒した


 魔装機・・・それがこの鎧の名前・・・


 魔装機に触れると

 ディナのマナに反応して

 レインが作った魔装機が起動した


 レインは驚いた、

 自分のマナ以外で魔装機が動くなんて・・・

 目の前の女はかなり強い魔女

 それに

 始めてで魔装機を起動させる事もした・・・


 いつしか色を失っていたレインの目は元に戻り

 目の前の彼女に言った「お前名前は?」



ディナ

『私はディナよ、貴方のお名前は?』


レイン

『・・・なるほど、少し私に付き合え』



 自分の名前も名乗らず

 スタスタと何処かに行くレインに

 ディナは少し疲れた表情を見せ

 彼女の後をついて行った


 崖に近づき

 レインは口に指を当て

 音を立てるなと合図をした


 崖の下には

 スヤスヤと眠るキングオークが、

 キングオークは強力な魔物の1体

 他種族達ですら少し手を焼く魔物だ



ディナ

『アレを倒せば良いのかしら?』


レイン

『普通に倒すのでは無い、

 さっきの魔装機にお前が乗り戦え』



 あの大きな鎧に自分が?

 そんな道具使わなくても

 あのレベルの魔物なら自分1人で倒せる

 そう思っていたが

 今は彼女の言う事を聞くことにした


 そしてもう一つ



ディナ

『私の名前はディナよ、そろそろ貴方のお名前も

 聞かせて欲しいのだけど?』


レイン

『レインだ・・・期待してるぞディナ』



 ディナは魔装機に乗り

 レインに魔装機の動かし方を習った


 数秒で魔装機の事を理解したディナに

 飲み込みが早いなとレインは感心した



ディナ

『思っていたより軽いのね』


レイン

『マナとリンクして動作が軽くなっただけだ、

 マナが低下すると動きもレバーも重くなる』



 ディナの乗った魔装機は

 眠っていたキングオークの前に立った


 大きな音にキングオークは目を覚ました

 目の前に立っていた

 自分と同じサイズの魔装機に威嚇して攻撃をした


 ディナは魔装機を動かし

 キングオークの腕を掴んだ、

 キングオークは痛そうに悲鳴を上げる



ディナ

『動きも軽いし力も強いわ、

 人が動かす巨大な鎧・・・・・コレは...』



 キングオークの腕を離すと

 キングオークはガムシャラに魔装機に攻撃した


 全ての攻撃を回避して

 レインに教えられたブレードを使い

 キングオークの胴体を貫き倒した



 流石のディナでも

 慣れない魔装機に少しだけ疲れを感じていた


 魔装機から降りてきたディナを見て

 汗1つ流さずさっきと変わらない表情の彼女に

 レインはまた驚いていた


 まさか始めて魔装機を動かしたのに

 マナ切れを起こさず疲れも見えない・・・

 マナの扱い方が常人以上なのかと考えた


 それに先程の戦い

 魔装機を手足のように動かし

 キングオークの攻撃を一撃も食らわず倒した、

 自分なら数発は攻撃が受け

 キングオークを倒すと言うのに・・・・・


 レインはニヤリと笑った、

 この女は自分の野望を叶える為に必要な逸材だ

 魔装機を世に広める為には彼女の協力が必要だ


 レインは自分の目的を彼女に話した、

 私は魔装機の力を世に広め

 弱い人族が他種族と並ぶ力を作りたいと


 その話を聞き

 ディナは素晴らしい考えねと言った



レイン

『ディナの目的は?』


ディナ

『私は魔王を倒して世界を平和にしたいだけよ』


レイン

『よろしくなディナ、同じ魔女の人間同士』



 レインはディナに手を伸ばすと

 よろしくと言ってディナはレインの手を掴んだ


 それが赤の魔女ディナと

 青の魔女レインの出会いであった・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-17 赤の過去【最強の魔女】〉


 その魔女は

 全ての生物で頂点を目指す最強の生き物で合った


 拳一つで魔物や強い種族と戦った


 自分の倍大きな魔物を倒し

 力自慢のドワーフ族の王を捻じ伏させ

 3体の魔神にも勝利し、彼女は

 強者と呼ばれる相手を探し続け旅をしていた


 未だ負け知らずの彼女には

 やがて強者と呼ばれる存在はいなくなり

 魔王と呼ばれる相手だけしか残されていなかった


 世界の平和など彼女にはどうでも良かった、

 強者と戦う事だけが彼女の生き甲斐で合った



 四体目に戦っていた魔神

 魅了の魔神・デュロッセルと戦っていた時だった


 女型の魔神デュロッセルは膝を地面に付け

 たった1人の人間如きに敗北するなんて

 そう悔しそうに血を流し

 揺れる視界で地面を見ていった



デュロッセル

『クソッッ!!クソッッ!!

 魔神の私が人間なんかに!!』


人間の魔女

『なぁお前、他に魔神は知らねぇのか?

 強敵が最近少なくてよ、退屈してんだよ』


デュロッセル

『ディスムスやデャランケットが敗れた相手とは

 コイツの事だったのか・・・・クソォォ...』


人間の魔女

『聞いてんのか?

 まさかもう耳が死んじまったのか?』



 デュロッセルはフラフラと立ち上がり

 不気味な笑みを浮かべ小さく笑った


 女相手に

 この手だけは使いたくなかったが

 仕方ないとデュロッセルは両手を相手に向け

 謎の呪文を唱え始めた


 人間の魔女は何もせず

 相手の攻撃が終わるのを待った


 馬鹿な人間だとデュロッセルは笑った


 魅了の魔神デュロッセルが使った魔法は

 相手を洗脳するチャームの魔法


 洗脳と言っても

 デュロッセルを好きになる魔の魔法で

 男女問わずデュロッセルの言いなりとなる


 若い人間の男を洗脳して

 楽しんだ後に食べる為に使っていた魔法を

 女相手に使う事になるとは

 そうデュロッセルは不快な気持ちになった


 呪文を唱え終えると

 人間の魔女は動かなくなり

 無表情でデュロッセルの事を眺めていた


 洗脳が完了したとデュロッセルは思い

 目の前に立つ人間の女に

 私に近づき抱擁しなさいと命じた


 無言で近づいてくる人間の魔女、

 デュロッセルは手を大きく広げ

 最強の自分の力に天高く笑った


 ドスッ・・・っと大きな音が聞こえ

 上を眺めていたデュロッセルは

 え?っと声を出し下を見た


 人間の魔女の拳が自分の体を貫いている・・・

 どうして?この女は魅了されてるのに?



人間の魔女

『コレがお前の魔法か?くだらねぇ技だ』


デュロッセル

『・・・そんな....』



 魔神はその場に倒れ消滅した


 遠くから自分を観ている者に

「いつまで隠れてやがんだ?お前も戦うのか?」

 っと魔女は大声を上げた


 闇に隠れていた

 魔王軍の幹部、闇術師グレイゴンは姿を表し

 人間の魔女に拍手した



グレイゴン

『とてもお強い魔女様だ、

 まさか魔神を何体も倒せるなんて

 魔王様ですら貴方には敵わないでしょう』



 面倒な奴だと感じた魔女は

 無言でグレイゴンに近づき拳を振りかぶった


 魔女の拳が当たりそうになったその時

 グレイゴンは

 魔王様を貴方様が倒して欲しいと頼んできた


 グレイゴンの顔寸前で拳は止まり

 魔女は「は?」っと顔を傾けた



グレイゴン

『貴方様こそこの世界最強の存在、

 貴方様がこの世界を支配して

 私をその部下にとして欲しいので御座います』


人間の魔女

『興味ねぇ』


グレイゴン

『魔王様の居場所を貴方様に教えます』



 魔王は姿を隠し

 誰もその場所は知らなかった


 魔王と呼ぶ存在と戦えるならそれで構わないと

 魔女は考えグレイゴンに言った

「世界に興味はねぇ

 強い相手と戦う事だけが

 自分の生き甲斐なんだよ」


 グレイゴンはますます喜び

 貴方様は最高で御座いますと言った



 魔王の城が姿を表すのは数週間後

 その時道の架け橋が現れるとグレイゴンは教えた


 魔王城と橋の場所を聞き

 魔女は何処かに去って行った


 最後に

 貴方様のお名前をお聞かせくださいと

 グレイゴンは頭を下げた



ローズ

『ローズだ、そう魔王に言っておけ』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-18 赤の過去【黄の魔女】〉


 魔王城が現れるまでの時間

 退屈そうにあくびをして時間を待っていたローズ


 腹が減ると手頃な魔物を狩り

 眠くなるとその場で眠り

 平和な時間を過ごしていた


 そんなローズの前に2人の魔女が現れた


 それは魔王を倒す為

 旅をしていたディナとレインだった



 歩みの針を使い

 次に進むべき場所にと辿り着いたディナ達


 ローズは常に動き回り

 中々ローズに出会えなかったディナだったが

 ローズが同じ場所に居座っていた事で

 やっと針の示す場所にと到着した


 目の前に立つ2人の女と巨大な魔装機に

 さっきまで退屈そうにあくびをしていた

 ローズの目の色は変わっていた


 ローズには強者のオーラが見える、

 そのオーラは2人にも見えていた


 1人は力では無く別のオーラ、

 もう1人は今まで感じた事無い特殊なオーラ


 魔王と戦う前の

 ウォーミングアップには丁度良いと考え

 ローズは立ち上がった


 ディナはローズに話しかけようと声を出すと

 ローズは無言でディナに殴り掛かった


 ディナとレインはローズから離れた



レイン

『こいつ・・狂ってるのか』


ディナ

『落ち着いて、私達は貴方の敵じゃ無いわ』


ローズ

『敵とか味方とかどうでも良いんだよ!!

 お前ら人間にしてはかなり強そうだな

 2人同時でも構わねぇ!!私と勝負しろ!!』



 相手をするだけ無駄だと思ったレインは

 コイツを無視して

 魔王の居場所を探すぞとディナに言った


 しかしディナは

 歩みの針が示すローズに

 顔を背ける事をしなかった


 レインにもその事が分かっていた、

 ディナは世界の為に戦っている

 歩みの針が示す目の前の女に挑み

 仲間にするつもりなのだと・・・・・



ディナ

『レインは少し離れていて、彼女相当強いわ』


レイン

『・・・そうさせてもらう』



 レインは後ろに下がり

 魔装機を止めていた近くで

 ディナとローズの戦いを眺めた


 相手が1人減り

 なんだよと文句を言いながら

 ローズはガッカリした表情で拳を下に向けた



ディナ

『あら?私1人じゃ不満かしら?』


ローズ

『最初に言っとく、

 お前1人じゃ私にはゼッテェに勝てねぇ

 さっきの奴と一緒なら楽しめると思ったのによ』


ディナ

『戦う前から勝利宣言かしら?

 勝負の世界は

 戦わないと結果なんて分からないわよ?』



 減らず口をたたくディナに

 ローズはその調子の良い言葉がいつまで続くか

 力の違いを教えてやる事にした


 素早い拳をディナは避け

 左からの蹴りを回避して魔法で反撃する、

 強力なマナを込めた上級魔法がローズに命中

 そこらの魔物なら一撃で倒せる力だったが

 ローズは何一つ傷を負わず

「生ぬるい!!」と言い捨て

 ディナに連続の攻撃を続けた


 外から眺めていたレインには分かった、

 実力は向こうの筋肉馬鹿の方が私達より強い

 ディナの力ではどう足掻いても勝ち目は無い

 しかしディナは

 ローズの乱撃を全て回避し

 一撃のダメージも受けずに戦っていた


 攻撃を受けなければ勝てると言う物でも無い

 あの女に勝つにはアレの力が必要だ

 そうレインは考えていた


 全ての攻撃を避けるディナにローズは言った

「回避してるだけでは勝負に勝てねぇぞ!!」


 それはディナにも分かっている、

 もしローズから

 この場全体を破壊する力を使われれば

 例えディナでも避けきれなかった・・・



ローズ

『チッ・・・めんどくせぇ!!

 一瞬で全て終わらせてやるよ!!!!』



 ローズの拳に全てのマナが集まり

 周辺を破壊するレベルの

 力のオーラが体から溢れた


 流石のディナも焦りを見せた、

 そんな事をすれば自然の草や木や

 周辺に住む村の人も死んでしまう


 ディナが声を上げようとした時

 ローズを止めたのはレインだった



レイン

『辞めろ!!、本当の戦いを楽しみたいなら

 この勝負、私達が魔装機を使って戦えば

 お前は私達に必ず敗北する!!』


ローズ

『あ?魔装機?』



 最大級の力で

 地面を殴ろうとしていたローズの手は止まり

 レインの言った言葉を聞いた


 魔装機と呼ぶ謎の力を使えば

 お前達が勝ち 私が負ける?

 道具や武器を使った所で

 何も結果なんて変わらない

 そうローズは思っていたが

 レインの目を見て全て理解した、

 こいつから感じる

 嘘偽り無い瞳の色が自分の心を昂らせる


 ローズは笑いながら

 その魔装機を使ってみろよと2人に言った



ディナ

『良いのかしら?』


ローズ

『そっちの女の目を見て分かった、

 ハッタリじゃねぇーって事ぐらいわな』



 魔装機と呼ぶ力で私を倒して見ろよと

 ローズはディナとレインに挑発した


 ディナはレインの元に行き

 どうするのかと聞いてみた。


 ディナが魔装機に乗って戦えば

 あの女に勝つことができる

 そうレインはディナに言った



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-19 赤の過去【魔女と兵器】〉


 魔装機の調整を終え

 ディナは魔装機に乗りローズの前にと立った


 バカデカい鉄の塊が目の前に現れ

 それが魔装機って奴なのか?

 っとローズはレインに聞いた



レイン

『そうだ』


ローズ

『なんだかデケェだけで弱そうだな』


ディナ

『その前に良いかしら?』


ローズ

『ア"?』



 ディナはローズに在るお願いを1つだけした


 それは

 周辺を破壊する程の力を

 使わないで欲しいと言う事だった、

 それを使われれば

 負けるからなんて言い訳では無く

 自然や村の人達に迷惑を掛けたく無いと言う

 ディナの優しさだった


 耳をほじりながら

 考えてやるよとローズは言った


 一つ一つの態度にムカつく奴だとレインは思い

 魔装機に乗るディナに言った、

 あの女は私達の手に収まる人物では無い

 例え勝っても仲間になんてならないぞ っと


 ディナは少し笑い、

 そうかも知れないわねと返事をして

 魔装機を動かし 構えをとった



 先に動いたのはローズだった


 大きな魔装機の腕を破壊しようと

 腕を全力で殴ろうとするが

 ディナは攻撃の振動を受け流し

 ローズの背中に全力で蹴りを入れた


 見た目の割に

 随分と身軽な動きと凄まじいパワーに

 ローズは血反吐を吐きながら吹き飛び

 近くの木に激突した


 ゆっくりと姿勢を戻し

 血を腕で拭い魔装機を見た


 なるほど・・・・・

 コイツは面白いとローズは笑った


 さっきはディナの攻撃を受けても

 何一つダメージなど食らっていなかったが、

 魔装機の力を使ったディナは

 明らかに全ての力が自分を上回っていた


 コレほどの強者は初めてかも知れない

 そうローズは思い、気分を昂らせ

 マナの力を大きく膨れ上がらせていた


 ドンドンとマナの力が上がるローズに

 マナの見えないレインにも

 強さを増すローズに驚いていた



ローズ

『全力で戦ってやるよ!!』



 全力を出し合うローズとディナ


 激しい激突に地面や空気が揺れ

 凄まじい戦いにレインは驚いた


 たかが人間の魔女が魔装機と同レベルの力を

 あの女は何者なのだと・・・


 胴体に蹴りや殴り

 頭突きを頭部にするローズ


 魔装機を動かし

 小さなローズ相手に攻撃を続けるディナ、

 ローズは何度も吹き飛ばされても

 何度でも直ぐに立ち向かってきた



 ローズには分かった

 奴に攻撃は通って入るが

 全ての攻撃を

 最小限のダメージに受け流されている、

 このままでは

 何度攻撃しても魔装機は破壊できない


 倒す術は

 魔装機を動かしている本体

 ディナを倒す事だとローズは考えた



 何度目かの攻撃を回避して

 少し離れた所でローズは拳にマナを溜め

 拳を地面に向け殴ろうとしていた!


 この周辺を破壊する力を使おうとしている!!


 レインはディナに逃げるぞ!!と叫ぶが

 ディナは魔装機を走らせ

 ローズを止めようとした


 魔装機に乗っていては間に合わない

 ディナはコックピットを開けローズに突撃した



ローズ

『待ってたぜ!!』



 ディナが魔装機から飛び出して来るのを

 ローズは待っていた


 拳を地面ではなくディナに向け

 突撃してくるディナ目掛け殴ろうとローズはした


 拳が鼻先に触れようとした時にローズは気付いた


 ローズの拳は空気を殴り

 ディナは魔法で自分の幻影を作り

 ローズに向け飛ばしていた


 ローズの目の前には魔装機の拳が・・・


 ローズの空振った拳は空気の音を鳴らし

 魔装機の拳はローズに直撃して

 地面を削りながらローズは吹き飛んだ



 ディナは魔装機を降り レインと一緒に

 地面に倒れるローズの元に向かった


 空を見上げながらローズは言った



ローズ

『・・・・負けたのかよ・・・同じ人間に.....、

 負けた負けた!!私の負けだぁぁあ!!』



 突然大声を上げ笑い出したローズは

 ディナに質問した


 最後の攻撃 どうして幻影を飛ばしたのかと



ディナ

『約束を守ってくれると思ったからよ』


ローズ

『はぁ?そんな事で負けたのかよ私は・・・

 ふふふ、はははは!!』



 その場で立ち上がり

 先に名乗っていたディナとレインに

 自分の名をローズは名乗った



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-20 赤の過去【神の存在】〉


 魔力を持つ者にしか入れぬ闇の世界


 闇の世界を作った魔王は

 魔王城をその空間に隠し

 闇の世界から地上を眺めていた


 魔王の前で跪き怯える猛獣使いのムジカは

 大量の汗を流し頭を下げ続けていた...



 魔王は手下達に言った

 魔王軍幹部最強の魔族バアスを呼べと・・・



▶︎闇の世界 魔族の町


 お腹を大きく膨らませた若い魔族の女性と

 魔族最強の男バアスは

 その大きく膨らみ

 新たな魂が芽生えたお腹を触っていた


 女性は夫のバアスに

 この子の名前は考えていますか?っと言うと

 バアスは悩み言った



バアス

『男で有ればユーリムと名付けたい、

 女の子ならば・・・すまん、考えておらぬ』



 女性は笑い言った

 男ならユーリム もし女の子ならば

 その子が子供を産んだ時に

 ユーリムと名付けて貰えば宜しいと


 2人は笑っていると

 バアスの部下は腰を低くさせ現れ

 魔王様がお呼びでございますと言った


 妻に別れの言葉を言い

 バアスは魔王様の玉座にと向かった



バアス

『ウィルバルン・レーデル・バアス、

 魔王様に呼ばれ参りました』



 自分の名を名乗り部屋に入ると

 汗を流し跪くムジカと

 闇術師グレイゴン将軍が魔王様の玉座にといた


 魔王はバアスに言った

 この世界を変える大きな力を持った者が

 もう時期我の元に訪れると


 グレイゴン将軍は不気味な笑みを浮かべ

 魔王様とバアスに

 自分が仕入れた情報を話した、

 ローズとの取引を隠しながら

 グレイゴンは影で魔王様の首を狙っていた



グレイゴン

『人間の魔女

 確か名はローズと言っておりました、

 人間は

 我々の住う魔王城の入り方を知っております!

 速やかにローズと呼ぶ人間と

 その仲間の魔女達を倒さなければ!!』



 魔王はグレイゴンの話を聞き

 どうして人間の者達が

 魔王城の場所を突き止めたのだと

 グレイゴン将軍に質問をすると、

 グレイゴン将軍は

 魔力の道標を探ったのかも知れませぬと言った



魔王

『嘘が下手だなグレイゴン』


グレイゴン

『嘘とは・・・・・・・・魔王様!?』



 魔王は魔力の力を使いグレイゴンを消し炭にした


 悲鳴を上げること無く消滅したグレイゴンを見て

 ムジカはガタガタと震え怯え

 バアスは何言わぬ表情で魔王様を見ていた


 人間の魔女 ディナと呼ぶ女を

 始末できなかったムジカは、

 このままでは自分も殺されると考え

 無礼ながら大声を上げ魔王様に言った

 もう一度私にチャンスをくださいませと・・・



ムジカ

『必ずやディナと呼ぶ女も

 ローズと呼ぶ魔女の女も倒して見せます!

 魔王様!!私に戦う許可を!!』



 震えた言葉で必死に訴えかけるムジカに

 魔王は無言の時間を続けた


 喋り終えたムジカは

 汗をポタポタと床に垂らし

 目を震わせていると

 魔王様は「許可する」っと一言だけ発した


 その言葉を聞き

 ムジカは喜んだ表情で魔王様の顔を見て

 ありがとうございますと大声を出していた



 出撃の準備に向かったムジカ、

 玉座に残っていたバアスに

 魔王は在る頼みを託した



魔王

『バアスよ、この戦いを最後と考え

 魔女ディナと戦って来るが良い』


バアス

『最後?』


魔王

『お前が敗れると言うことは

 この闇の世界の王である私も次期に倒され

 闇の空間は消滅する、

 そうなると

 魔族の者は地上での苦しい暮らしを強いられる』



 まるで自分達が その魔女の女達に

 負けると分かっていると感じさせる発言だった...


 先に出撃したムジカはどうするのかと

 バアスは魔王様に聞くと、

 アイツの処分はお前に任せると魔王様は言った


 最初からムジカが

 ディナ達に勝つとは思っていなかった、

 同じ魔族の人間に殺された方が

 魔族として楽な死に方だと魔王様は言った



 自分の役目を聞き入れ頭を下げるバアスに

 魔王は上を見上げ

 何故自分が魔王で在るのかと

 バアスは知っているのかと難解な質問をした



魔王

『我が何故世界を脅かす魔王であるのか

 その理由をバアスは分かっておるか?』


バアス

『理由・・・ですか?』



 考えもせぬ質問に

 バアスはその答えが何なのか分からなかった


 言葉を詰まらせるバアスに魔王は話を続けた



魔王

『我が生まれたその時から

 決められていた宿命であった、

 この世界を脅かす魔の手が存在しなければ

 他の種族達は争い殺し合う、

 だから神は我を作ったのだと....』



 魔王が居なければ他種族同士で争っていた?

 難しい話を聞き

 バアスは「神とは?」っと魔王様に聞いた



魔王

『我にも分からぬ・・・だが何者かが

 世界を作り想像しなければ生命は存在せぬ、

 神とは大地や空、生き物の命を作った存在、

 この世界の在るべき姿を作った創造主。

 遠く何処かから我達を観ている監視者...』


バアス

『神とは私達の敵なのですか?』


魔王

『魔族の敵でも他種族の味方でも無い

 神は我々を観ることしかせぬ存在・・・』


バアス

『敵では無いと?』


魔王

『・・・・・、外の者が

 世界に歪みを与えるなら神も或いは.....』



 魔王自身にも神の答えに辿り着けていない

 その答えを知る者は

 世界の何処にも存在しないと

 魔王にも分かっていた


 魔王は全てを託し

 魔族最強のバアスをディナの元に送った



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-21 赤の過去【最後の幹部】〉


 夜食を食べていたディナ達は

 ローズから魔王城の情報を聞き

 もう時期この場所に

 魔王城にと続く道が現れると教えていた


 魔王城の場所さえ分かれば待つだけだ、

 残された短い時間を

 ディナ達は過ごしていた


 どうして魔王に挑むのかと話になった時


 ローズは答えた

 強者を求め戦いたいだけだと、

 レインは魔装機が最強の兵器で在る事を

 証明する為に魔王に挑み、

 ディナは世界を平和にしようと戦っている


 皆答えは違ったが 目的は同じだった


 魔装機と呼ぶ力に負けたローズは

 その魔装機は自分にも動かせるのか?

 とレインに聞くと、可能だとレインは答えた



ローズ

『さっきは魔装機無しで負けたからな、

 同じ魔装機を使えば私が勝つに決まってる!!』


レイン

『脳が筋肉で作られてそうなお前に

 魔装機を動かせるとは思えないが・・・』


ローズ

『私の事を馬鹿にしてんのかよ!!

 どんな武器だろうが使いこなしてみせるぜ!!』


レイン

『魔装機は武器でなく兵器だ』


ローズ

『似たような物だろ?』


レイン

『コレだから馬鹿の相手は疲れる...』



 自分をバカにするレインに

 何だと!と笑いながらレインの首を掴むローズ、

 辞めろ!!と本気で嫌がるレイン


 2人を見てディナは微笑んだ


 時間もまだまだ有るので

 前に聞いた

 レインの好きな人の話をディナがすると

 ローズは揶揄いながら

「お前好きな人とか居たのかよ」と笑った



レイン

『何故その話をするディナ!!』


ディナ

『誰かを愛せる事なんて素敵だと思うのだけど』


ローズ

『堅物そうなのに意外と乙女なんだなお前』


レイン

『・・・・・お前達はどうなんだ...』



 レインの質問に

 今はいないのだけど

 その内愛せる人を探したいわねとディナは答え

 恋愛なんてめんどくさいから

 どうでも良いとローズは答えた



ローズ

『私の体が目当ての男がいたけど

 なんて言うんだアレ?体を重ね合わせるヤツ?

 アレの何が嬉しいのか分からず試したけど

 結局私には何が楽しいのか理解できなかったぜ』


レイン

『下品な奴だ』



 何気ない会話を続け夜は明け

 レインは2機目の魔装機を作り上げていた


 完成された2機目の魔装機をローズは乗り

 コレでディナと決着が付けられると喜んだが

 魔装機の操縦は思っていた以上に難しく

 操作を理解する必要があった


 勉強が苦手だったローズは

 もっと簡単に魔装機は動かせないのかよと

 文句を言っていたが そんな方法など無く、

 しっかりと基礎を学び始めた



レイン

『無理矢理なマナで魔装機を動かすな!!』


ローズ

『思っていた以上にコイツは難しいぜ...

 オイディナ!!コツとか無いのかよ!!』


ディナ

『そんな事言われても困るわ』



 模擬戦を試そうにも

 ローズはまだ

 魔装機を動かすレベルには達していない


 もう少し練習が必要だと考えていた時だった

 ディナとローズは

 空中から何かがやってくる気配を感じ

 レインもその邪悪な気配を知り上を見た


 空中から

 黒いドラゴンの死体が数体ディナ達の前に落ち

 何かを抱えた魔族の男が空の上から現れた


 現れた男は

 抱えていた魔族の亡骸を

 ディナ達の前に投げ捨て名を名乗った



バアス

『私は魔王軍最後の幹部

 ウィルバルン・レーデル・バアスと呼ぶ魔族だ!

 人間の魔女ディナよ、私と勝負してもらう!』



 捨てられた魔族の亡骸は

 自分の村を襲った魔王軍幹部の

 猛獣使いムジカの姿だった・・・


 ディナは魔装機を降り

 バアスの前にと姿を見せた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-22 赤の過去【不可思議な力】〉


 現れた魔族の男を見て

 ローズは強いオーラを感じ

 レインとディナに言った


 あの魔族は今まで見たどの魔族よりも強い、

 魔神と匹敵する力を持っていると....


 それを聞き

 えぇ...っとディナは返事をした、

 ディナの瞳でも

 バアスの強きオーラを目視していた



 お互いの姿を見つめ合うディナとバアス、

 魔装機に乗り戦わないのかと

 レインはディナに言うと

 この戦いだけは必要無いとディナは答えた


 生身で戦うなら自分と替われとローズは言った



ローズ

『お前の力じゃ

 アイツには勝てねぇ私と替われ!!』


ディナ

『あの魔族は

 私と正々堂々戦いたいと思っているわ、

 私もそれに答えるだけよ』



 バアスは近くの魔装機を見て

 ディナはその力を使わないのだと知った


 未知の力を使われたら

 勝てるか分からぬ勝負だとバアスは考え

「感謝する」とディナに礼を言った



ローズ

『ディナの野郎死ぬぞ』


レイン

『何か考えがあるのか・・・』



 3人で戦うか

 魔装機を使えば楽に勝てる相手だった・・・

 しかしディナは

 魔装機の力を使わず自分の身1つで

 バアスと一騎打ちでの勝負をする事に・・・


 バアスは勝負を始める前に

 1つだけディナに問い掛けた



バアス

『人の魔女よ、魔王様を倒し

 その後の世界をどうしたいと思っている?』


ディナ

『未来の事なんて私には分からないわ、

 私は目の前に立ちはだかる脅威を払うだけよ』


バアス

『・・・そうか、それが人の答えか...』



 静けさで時間が止まったかの様に感じた

 一瞬の出来事だった、

 ディナとバアスはマナと魔力の力で衝突し合い

 凄まじい魔法の波動が吹き荒れた


 どれほどの時が立ったのか誰にも知り得ない

 そんな時間すら忘れた時が経過し

 先に地面に手を突いたのはディナだった...


 バアスとの戦いを見ていたレインとローズは

 ディナはアノ魔族に負け死ぬのだと分かった


 ローズはレインに言った、

 ディナが死ねば私がアイツを殺る

 お前は手を出すなよと


 あぁ・・・そう小さく返事を返し

 魔装機を完璧に操縦するディナが死ぬと

 自分の計画が破綻するかも知れないと

 レインは考えていた...



 魔族の剣を握り

 ゆっくりと地面に手を突くディナに近づくバアス


 かなりの強敵に

 バアスも息を切らし疲れを見せていた



バアス

『コレほどの人間が地上に居るとは・・・

 魔王様が仰る通り我々魔族は・・・』



 バアスが独り言を喋っていると

 ディナがペンダントとして首に身に着けていた

 賢者の石が眩く光、バアスの目を狂わせた



バアス

『この輝きは!?』



 光が収まると

 マナを全て回復させたディナが

 バアスの前にと立っていた


 バアスは自分の死を察し

 剣を地面に刺し 両手を広げていた


 魔王様・・・私は・・・

 そう喋り終わる前に、

 ディナの魔法でバアスは消滅した


 魔族最強のバアスを倒し

 ディナはレインとローズの場所にと戻った



 その後・・・魔王城の道を辿り

 魔装機の力で魔王を倒したディナ達は

 伝説の魔女と呼ばれ語り継がれた・・・


 知恵の魔女 青のレイン

 力の魔女  黄のローズ


 そして

 勇気の魔女 赤のディナとして・・・



 魔女の伝説は語り継がれ

 やがてその伝説は

 人の欲望の闇にと消えて行った・・・


 人は伝説の魔女達を犠牲に

 魔装機の力を使い他種族を滅ぼし

 伝説の魔女の名を付けた 三つの国を作った


 ディナガード国

 レインオラクル国

 ローズストーン国


 魔族や魔王と争い

 他種族とも争った人間は

 この先の未来人間同士でも争う事に・・・


 この世界には平和など無く

 争いの血で塗り固められていた・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈82-23 空の方舟〉


▶︎薄暗い洞穴


 洞穴の中で

 レインとローズの帰りを待つディナと謎の男


 言葉を発する事無く時間を待っていると

 レインとローズが

 ローズストーン国から戻って来た


 どうだったかい?っと男が2人に聞くと

 2人は何も言わずディナの顔を見た



ローズ

『それで、ディナは

 その悪趣味な計画に賛成してたんだよな?』


ディナ

『ええそうよ』


レイン

『まさか世界の平和を願う者の口から

 そんな言葉を聞かされるとはな...』



 2人はどうするのかしら?

 そうディナは2人に質問すると

 2人は同じ表情で昔と同じ返答をした



ローズ

『強い奴と戦えるなら私はそれを選ぶだけだ!!』


レイン

『未来の魔装機技術、

 その力を私は確かめてみたい』



 その言葉を聞き

 素晴らしいと男は絶賛した


 この世界にも君達と同じ

 救世主と呼ばれる英雄が3人居ると男は言った

 ネル、アラン、リオン、3人の名を教えると

 ローズは男に聞いた

 そいつらは強いのかと・・・・・



謎の男

『とても強いよ、

 滅びの未来を変えた者達だからね』


ローズ

『そいつはおもしれぇ、

 私も魔装機を充分に動かす力持ってんだが

 魔王相手の後は

 戦う相手がいなくて退屈してたんだ』



 不気味な表情で喜ぶ謎の男に

 レインはローズストーン国で調べていた事を

 その男の前で言った


 異世界から来た転生者が

 未来から過去にとやって来た

 ドルズと呼ぶ男と戦い未来を変えた、

 そして私達の前に居る男も

 この世界の技術では不可能な力を使い

 過去の私達を現代に呼び出した、

 つまり・・・そいつと同じ存在なのだと


 訳の分からないレインの言葉に

 ローズはどう言う事なんだとレインに聞いた



レイン

『この男も異世界人と言う事だ』


ローズ

『なんだって!?』


謎の男

『流石は知恵の魔女だ、

 隠してても直ぐにバレてしまうんだね』



 そしてもう一つ

 レインは謎の男が用意した

 ニューワールド達を隠す基地が

 何処に有るのか言い当てた



レイン

『空の上だ』


ローズ

『空?』



 空中にデカイ基地なんて

 誰にでも見えて

 バレバレだとローズは思っていたが

 ローズの考える空とは違うとレインは言った


 空の上 空気の届かぬ場所だと・・・


 その答えに

「素晴らしい!!」っと謎の男は大いに喜んだ



謎の男

『全て理解しているようだね』


レイン

『この世界の人間の技術力を超えてる者なら

 それぐらいできると考えたまでだ』



 ローズは無言のディナに

 どう言う意味かと聞いたが

 時期に分かるわと言い返された


 ディナ達の前に

 ニューワールドのアリエスが現れ

 レインとローズに名を名乗り

 我々の拠点となる場所の名を言った



アリエス

『知恵の魔女レイン様、力の魔女ローズ様

 参りましょう私達の方舟、ノアズアークに。』



                   next▶︎24

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