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魔装機マナリリアン  作者: ロア
   WORLD of END 10章
103/120

10章 もう1人の転生者 81話-力と知恵の魔女

〈81-1 仮装祭り〉


▶︎ローズストーン国


 仮装祭り当日

 ローズストーン国の人々や他国の貴族達は

 仮装祭りと呼ぶコスプレイベントを楽しんでいた


 妖精のコスプレをする

 アメジスト隊の隊長ココや、

 アズマ総隊長のコスプレをする

 ガーネット隊の隊長アズサ、

 城の警備や

 国周辺を他の機士達が防衛の陣を固めているので

 隊長のココとアズサは祭りを楽しんでいた


 どうして私がこんな事を

 そうアズサは思っていたが

 憧れのお姉ちゃんの服を着られ

 満更でもない表情をしていた


 少し嬉しそうなアズサに

 妖精のコスプレをしたココは

 妖精ステッキをアズサに向けた



ココ

『どうしたのアズサ何だか嬉しそう?』


アズサ

『え!!そう!?、

 ・・・まぁ今日は機士の仕事じゃないし

 祭りの日に休みだから気持ちが昂ってるのかも』



 適当な事を言って誤魔化すアズサ、

 妖精の杖をフリフリと振り回すココを見て

 この子も楽しんでいるのだとアズサも思った


 街の人達が仮装して楽しんでいる中

 英雄のリオンとアランを発見、

 アズサは2人の服装を見て少し驚き笑った


 リオンは

 エルフ族が着ていたと言われていた

 緑がかった長い絹のローブを、

 アランは

 魔王風の豪勢で黒い肩に棘が付けられた衣装を


 クスクスと笑いながら

 喜んでいるリオンにその服どうしたの?っと

 アズサは2人に聞いてみた


 無言で嫌そうな顔をするアラン、

 リオンは満面の笑みでアズサに教えた



リオン

『とても良い衣装ですよね!!

 魔王らしい服を作って貰ったんですよ!!』


アラン

『とても酷い服だ、

 実在した魔王もこんな趣味の悪い服など

 着ていなかっただろうな』


リオン

『アランさんはとても似合ってますよ!!』



 リオンとアランの姿を見た他の人達は

 コスプレする可愛い2人を見て

 キャーキャーと声を上げ喜んでいた


 アランも大変なのだと

 アズサも心の中だけで心配した


 リオンとアランの前に

 魔女らしい服を着たお婆さんが現れ

 リオンを見て

「似合ってるねリオン」っと声を掛けた


 そのお婆さんを見たリオンは数秒固まり、

 その人が誰なのか気付くと涙目を浮かべ

 お婆さんに抱き付いた



リオン

『ユナエラさん!!!!』


ユナエラ

『全く英雄になってもまだまだ子供のままだね』



 リオンの姉、

 セリカが幼い赤子のリオンをユナエラに託し

 ユナエラはその日からリオンを育てた、

 ユナエラはリオンの育ての親と言う事だ



ユナエラ

『聞いたよ、アンタの姉の事や

 小さなフェアリーと一緒に戦った事も』



 ネル達とローズストーン国まで旅をしてから

 アレから一度も

 ユナエラに会って居なかったリオンは

 山程話したい事があると言った


 ユナエラは魔族のアランの顔を見ると

 アランはペコリと頭を下げた



リオン

『ユナエラさんが好きだった

 フルーツがある店を知ってるんです!!

 そこでお話しましょう!!

 アランさんもこっちに!!』



 2人を連れ何処かに行くリオン

 とても微笑ましい光景だとアズサは思った、

 もし今もアズマお姉ちゃんが生きていたら

 そう考えると心が苦しくなる


 嫌な顔をするアズサに

 ココは妖精の杖をアズサの頬にツンツンと当てた



アズサ

『何するのよココ!!』


ココ

『また怖い顔してるアズサ、

 お祭りなんだから楽しも?』



 そうねとアズサは考え

 優しいココの頭をナデナデと触った


 子供扱いされ少し嫌だったココ

 だけど

 アズサが元気になってくれてそれで満足だった



ロニー

『2人とも今日は楽しんでるかな?』



 カボチャカラーの服に

 カボチャの帽子を頭に被ったロニーが

 アズサとココの前に現れた


 城の外はキサラギ達が見回り

 ロニー達は城の周囲を見回っているそうだ


 自分達だけ

 こんな楽しんでて良いのかとアズサは言うと

 ロニーはそうだねと考えた



ロニー

『祭りの参加者に機士が紛れ込んでいる方が

 私達より物事を色々見られると思うよ、

 例えばそうだね・・・向こうの2人組とか

 少し怪しいとは思わないかい?』



 ロニーが指を差す方角には

 ローズストーン国の

 住人とは思えない二人組の女性が、

 貴族らしい服でも無いし

 仮装しているのかも曖昧な服、

 それに・・・・・



ロニー

『何故か彼女達から少ないマナしか感じないんだ、

 あの風貌ならもう少しマナを持っていても

 不思議では無いんだけども・・・』



 マナ探知が使えるロニーは

 二人組のマナを調べて怪しいと感じていた


 アズサは考え過ぎだと思い

 仕事のしすぎだとロニーに言った



ロニー

『少し話をしてみるよ』



 ロニーはアズサ達と別れ

 怪しい二人組に近づき話を掛けた



 コレからどうしようかとアズサは考えていると

 あの人の店に行ったら?っとココは言い出した


 あの人と言われ

 それが誰なのかアズサは直ぐに気が付き

 アイツか〜、そう考えていた



アズサ

『まぁ祭りで忙しそうだし

 ラッキーの店にでも行ってみますか』


ココ

『わーい、クレープが食べれる』


アズサ

『アンタ最初からそれが目的だったでしょ?』



 立ち去るアズサとココ

 ロニーは二人組の女性に

 ちょっと良いですかと呼び止めた


 呼び止められた女性達は

 ローズストーン国にやって来ていた

 伝説の魔女レインとローズだった



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈81-2 コスプレですか?〉


レイン

『ここがローズストーン国・・・』



▶︎ローズストーン国


 仮装祭りで賑わうローズストーン国にやって来た

 青の魔女レインと黄の魔女ローズ


 天使の仮装や悪魔の仮装をする人間達を見て

 この国は

 いつもこんな感じなのかとローズは言った


 そうでは無いとレインはローズに教えた、

 周りの空気や人々の表情を見て

 コレが何かの催し物だと推理して言ったのだった



ローズ

『見ろよ、私達が頑張って魔王を倒したってのに

 向こうのガキは魔王の格好してるぜ、

 私達の時代では考えられねぇよな』


レイン

『そうだな』



 クンクンと何処からか

 とても香ばしい良い肉の匂いが・・・

 せっかくだからと

 ローズは何か食おうとレインに言った


 遊びに来た訳では無いとレインは言うが

 この先何が起こるか分からない

 食事は食べられる時に食べるのがベストだと

 何故か自信に満ち溢れた表情でローズは言った


 これ以上騒がれても面倒だとレインは考え

 仕方なく屋台の店主に

 その肉の棒を1つくれと言って金を払った


 店主は営業スマイルで「毎度あり!」っと言うと

 2人の顔と服装を見て何か変だと考え固まった



屋台の店主

『ん?アンタ達のその顔とその服何処かで・・・

 確か昔の本で見た事が・・・・・、

 そうだ!!あの本だ!!!!』



 何かに気づき驚いた顔をする店主、

 自分達の正体がバレたとレインは思い

 この場で店主を殺そうと考えた


 周りには人混みが多く

 普通の攻撃魔法では誰かに見られてしまう、

 腕の中で毒の霧を作り出し

 その霧を店主に吸わせ毒殺しようとしたその時



屋台の店主

『アレだろ!?伝説の魔女

 レインとローズのコスプレだろ!?

 いや〜凄いクオリティだね嬢ちゃん達』


ローズ

『コスプレ?なんだそれ?』


屋台の店主

『良い物見たからコイツはオマケだ

 もう1本サービスだ!!』


ローズ

『マジか!ありがとなオッサン』


レイン

『・・・・・』



 毒魔法を消し肉の棒を2本受け取ったレイン


 まさか私達の存在を

 見ただけで気付かれるとは思っていなかったが

 幸いにも周りの人間達も何かの仮装をしている

 それでバレなかったのだとレインは考えた


 ディナが用意してくれた服は

 昔私達が着ていた服に近い、

 数100年前の人間が

 突然現代に現れるとは誰も思わないだろうが

 このままではいつ何があるか分からない

 服を変えた方が得策だと思った



レイン

『私達も仮装するぞ』


ローズ

『ん?祭りを楽しむのか?』



 レインから奪った肉の棒を

 二つ食べていたローズ、

 2人は近くの服屋に入り

 貸し出し用の仮装衣装を購入した



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈81-3 仮装用の衣装〉


▶︎ローズストーン国


 レインが貸出し用の服を

 服屋で買おうと店に入ろうとした時、

 トパーズ隊の隊長ロニーが

 2人を呼び止めて来た


 彼女の顔立ちやオーラを見て

 普通の市民では無いとレインとローズは察し

 目の色と表情を一瞬だけ変えていた



ロニー

『申し訳ありません呼び止めてしまって、

 私は機士の者なのですけど

 2人がどちらからお越しになったのか

 聞かせて貰えませんか?』



 機士と呼ぶ聞き慣れないワード、

 下手な事を言えば

 コイツは私達の素性に気づく可能性が有ると

 思ったローズは、そんな事かよと笑い

 この場はレインに任せる事にした


 ローズの考えを察し

 レインは機士の女に説明した



レイン

『ディナガード領の小さな村から来ました、

 ローズストーン国で大きな祭りが有ると知り

 来てみたかったので友達と一緒に来たのです』



 ペラペラと嘘を吐くレイン、

 余りにも不自然では無いレインの喋り方に

 ロニーは頭を下げ

「申し訳ありません、

 仮装祭りを楽しんでくださいね」

 っと言って2人に謝罪した


 考え過ぎかか・・・

 仕事のやり過ぎで疲れてるのだとロニーは思い

 2人に笑顔で手を振り別の場所を見回りに行った


 嘘の笑顔で手を振るローズと

 顔色1つ変えず無表情のレイン、

 揶揄う様にローズはレインに言った



ローズ

『私達友達だったのか〜?』


レイン

『うるさい、これ以上騒ぐな』



 服屋に入り 私達に似合う服を

 二着用意して欲しいとレインが言うと

 店員の女性は瞳を輝かせた


 2人の体型を見るに

 1人はスラッとしたモデル体型で

 顔立ちも中世的でとても美人で美しく

 もう1人は筋肉質で

 笑顔の似合うカッコ可愛い系の女性


 直ぐに採寸して

「お持ちして参ります!!」っと

 速足で店の裏に行き、

 レインとローズの仮装服を用意した


 レインが着た服は

 男性用のネクタイが似合う執事服

 ローズが着た服は

 体型が大きな人用のデカくてフリフリなメイド服


 とてもお似合いですよと店員はとても喜び

 男性服を着たレインに爆笑するローズ

 可愛い服を着たローズを無言で見るレイン



ローズ

『なんだよそれ、男物じゃねーか』


レイン

『お前もなんだ、似合ってないぞ』


ローズ

『可愛いだろ?』



 ローズの大きな胸のラインが強調され

 ボインと弾む様に揺れ、

 レインは自分の胸を見ると

 絶壁の様にストンとしていた


 何故か殺意が湧き始めたレインは

 濁り澱んだオーラを体から放った


 どうした?っと

 ローズは心配そうにレインに言った



レイン

『何でも無い・・行くぞ』


ローズ

『待てよ!!』



 2人のお客様に笑顔で手を振る店員、

 とても良い物が見れたと

 心の底から今日を感謝した



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈81-4 歴史の本〉


▶︎ローズストーン国 図書館


 大きなあくびをして

 暇そうに外の祭りを眺めるローズ、

 レインは歴史の本を読み漁っていた


 ローズストーン国の

 図書館にやって来たレインは

 未来の歴史を調べるなら本が早いと考え

 この世界の事を調査した


 本には全ての歴史が記されている、

 私達が魔王を倒した歴史や

 魔装機を危険視する他種族との戦争や

 魔族を滅ぼしたレインオラクル国の人々、

 そして

 三人の英雄がドルズと呼ぶ男を倒し

 世界を救ったと言う事も本には書かれていた


 ディナやあの男が言ったとおり

 この世界は間違い無く我々の知る未来の世界、

 そしてそれが本当だと言う事は・・・


 レインは自分達がどのように死んだのか調べた、

 他種族との戦争に

 自分達が関わるとは思えない、

 そうだとすれば他種族に殺されたのか?

 そう思っていたが・・・真実は違った


 眠そうな顔をする

 ローズの頭に1冊の本を投げた、

 頭に本が直撃したローズはレインに怒る



ローズ

『なにすんだ!!』


レイン

『そのページを読め』


ローズ

『文字は苦手なんだよ・・・・・』



 そう思っていたローズの顔は変わり

 コレはどう言う事だとレインに言った


 真実だろうとレインは

 窓の外に映る街の人々を見てそう言った



 本に書かれていたのは、

 竜人族の怒りを買った人族が作り出した魔装機

 人族は許しを得る為に

 魔装機を発明したレインや

 その仲間のディナとローズを

 竜人族に差し出したと書かれていた


 自分達が差し出されると言う事は

 人間達に殺された事を意味している


 しかし何故

 弱き人族は他種族に勝ち滅ぼす力を得ていたのか


 元々魔装機は私達3人しか動かせなかった、

 魔装機を動かすには莫大なマナを使う、

 普通の人間の魔女では到底不可能だった


 魔装機を使って他種族を滅ぼしたのは

 自分達だとレインは考えていたが、

 そうではなかった


 魔石の力を使ったとしても

 魔装機を動かすだけの力を持たない、

 自分達の様なマナの力を持つ者意外は・・・・



ローズ

『誰が魔装機を作って他種族を殺したんだ?

 私達以外に

 強いマナを持った魔女が居たって事か?』


レイン

『そうは考えられないな、

 魔王軍との戦いで強い魔女は少なかった、

 弱い魔女でも動かせる魔装機を

 作ったと考えるのが普通だろうな・・・・・』


ローズ

『それを作った奴は

 お前より頭が良いって事だろうな』


レイン

『・・・いや、不可能では無い』


ローズ

『あ?』



 何かを知っていたレイン

 どう言う事なんだとローズはレインに問うたが

 その答えを

 この目で実際に確かめるとレインは言った


 自分達より弱い魔女でも

 魔装機を動かすのは不可能では無かった、

 しかしその術を使ったとするなら

 人間は邪悪で恐ろしい存在だとレインは思った


 その術は本には書かれていなかった、

 レインが考え得る方法を使ったのだとすると

 そんな事は本に残さないだろう、

 人間達が愚かで最悪な術を選んだ事など....


 力の秘密は魔石に合った・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈81-5 未来の魔装機〉


 本を読み終え

 目的の場所に向かっていたレインとローズ


 歩いている道中

 機士の女性が祭りの参加者にビラを配っていた



ガーネット隊の機士

『大きな魔装機に乗って見ませんかぁー、

 今なら皆さんも魔装機のコックピットに乗る

 体験型のイベントをしていますよぉー』



 魔装機と言う言葉を聞き

 何だか面白そうだとローズは思い

 先を急ぐレインに言った


 さっきは本を読む時間をレインに使ったんだ

 自分も少しぐらい遊んでも良いだろうと



ローズ

『良いだろレイン?』


レイン

『そんな暇は・・・・・』



 今の時代の魔装機には興味が有る、

 数100年の歴史で

 どれだけ魔装機技術が進化したのか

 レインも気になってはいた


 少しだけだぞとレインは言うと

 よっしゃとローズはガッツポーズをした



▶︎ローズストーン国 魔装機体験館


 大きな建物内に

 市民達の目を引く魔装機が置かれていた


 巨大な魔装機ダンゼルバインZ

 子供達や若い女性の魔女から男性や老夫婦まで

 皆ダンゼルバインZのコックピットに入り

 操縦する体験イベントを楽しんでいた



ガーネット隊の機士

『お時間で〜す、次でお待ちのお客様どうぞ〜』


子供

『ママ、凄く楽しかったね』


子供の母

『そうね、またローズストーン国に来ようね』



 楽しくワイワイ盛り上がる館内、

 その中で1人だけテンションが上がらず

 嫌な思いをしていた者が居た


 整備士のリースは

 不機嫌そうに顔を膨らます機士に言った



リース

『まぁまぁ、皆さん楽しんでるんスから

 ダン副隊長も楽しむッスよ!!』


ダン

『ダンゼルバインを出し物見たいに扱って、

 アレはゼルとバインが

 私に託した大切な魔装機なんだぞ!!

 それを汚されるのはどうにも・・・・・

 オイ!そこのカップル!!

 ダンゼルバインの前で写真なんて撮るな!!!』



 アハハと笑うリース、

 そんな中 列に並ぶレインとローズ


 見た事も無い巨大な魔装機に

 とても驚いていたレイン、

 未来の魔装機はコレ程までに進化していたのかと

 脚部から頭部までをしっかりと調査していた



ローズ

『なんだか馬鹿デケェ魔装機だな』


レイン

『四機の魔装機を連結させているのか・・・

 4人分のマナ量が無ければ動かせない魔装機

 余程息のあった者達が動かしているに違いない』


ガーネット隊の機士

『お待たせしました、コックピット内にどうぞ〜』



 どっちが魔装機に乗るか

 ローズはレインに聞こうとしたが

 レインはここで見ていると言ったので

 ローズは1人で魔装機に乗る事にした


 ダンゼルバインZのコックピットは

 複雑そうな機械がゴチャゴチャと並んでいる、

 見ているだけでも吐き気がしてくると

 ローズは感じ、顔に現れていた


 良ければ触っても大丈夫ですよと

 ガーネット隊の機士は言った、

 元々ダンゼルバインZは4人乗りの魔装機

 人1人程度のマナでは動く事は無い


 操縦レバーを見つけたローズ

 コレにマナを送れば

 魔装機は動く事は知っていたので

 ガーネット隊の機士に言った



ローズ

『マナを送って動かしても良いのか?』


ガーネット隊の機士

『大丈夫ですよ〜。

(ナイト級のマナが合っても動かせないけどね)』



 ニヤリとローズは笑い

 自分のマナをダンゼルバインZに注ぐ、

 すると

 ダンゼルバインZは起動して

 ピカリと目を輝かせた


 客達は何か見せてくれるのか?っと賑わい

 イベントを仕切っていたガーネット隊の機士は

 ダンゼルバインZが突然動き出しビックリとした


 何かの不具合?調整ミス?

 ガーネット隊の機士は

 整備士のリースさんに報告しようと

 リースさんとダン副隊長が居る場所を見ると

 リースさんとダン副隊長は

 何か口論をしている様子で

 コチラに全く気付いて無い


 どうしようと慌てていると

 ローズはダンゼルバインZから降り

 とてもオモシレェ魔装機だったと言って

 満足そうに何処かに行った


 ローズが降りると

 ダンゼルバインZは動いていなかった、

 何かの見間違いかな?

 そうガーネット隊の機士は考え

 次で待つお客様を通した



レイン

『勝手な行動は辞めろと言っただろ』


ローズ

『悪かったって、少し楽しくなっちまってよ』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈81-6 退屈な未来〉


▶︎ローズストーン国


 街の人達は祭りを楽しみ皆笑顔だ、

 ワイワイと走り回る子供達も居る


 ローズはそんな市民達を見て

 コレがディナの目指した未来の世界なのかと

 レインに言った


 その言葉を聞き

 お前はどうなんだとレインは聞き返した



ローズ

『未来の事なんて考えた事もねぇ、

 強い奴と戦って勝つ事以外

 何にも世界になんて興味なんて無かったからな、

 お前はどうなんだよ?』


レイン

『私・・か・・・』



 自分が夢見た未来、

 レインにもローズにも

 そんな夢は持っていなかった、

 魔王を倒したのも

 自分達の強さを証明する通過点だとしか

 考えていなかったから・・・・・


 今の世界の方が笑顔も多い飯も美味い

 魔王と戦っていた自分達の時代より

 何もかもが幸せに見えた


 ある一点に目を瞑れば・・・



 ローズには強い者を見ただけで

 どれ程の実力者なのか見分ける目を持っていた


 それはマナ探知の魔法などでは無く

 オーラに似た何かがローズにだけ見えている


 街の人達や機士の人間を見ても

 昔より力もマナも低下している、

 今の世界に

 自分を楽しませてくれる者はいないと

 ガッカリしていた


 向こうに見えるクレープ屋の店主

 ラッキーを見たローズはレインに言った



ローズ

『お...アイツ中々悪く無い力を秘めてるぞ』


レイン

『屋台の店主にしか見えないが』


ローズ

『悪く無いレベルだが

 私達の時代なら

 五万とあのレベルの奴は居たからな、

 未来の世界ってのは退屈な場所だぜ』



 本当に退屈だった、

 誰も食料で殺し合いなどしない

 生きる為に殺し奪う世界でも無い


 こんな世の中は自分には合わないと

 ローズは昔の事を思い出していた




▶︎ローズの過去


 遥か昔 魔王が生きていた時代、

 密林の中に有る小さな村に

 可愛い女の子が産まれた


 その村の人達には

 普通の人間とは違う不思議な力を持っていた、

 大きな丸太を片手で持ち上げ

 拳一振りで木を真っ二つに破り

 大きな魔物の尻尾を引っ張り運んだりと


 その村の人達は

 力自慢のドワーフよりかは劣るが

 人並み以上の力量を持っていた


 オギャーオギャーっと

 人1倍泣く赤子を抱きしめる両親


 父親は赤子を抱き上げ天に向かって言った



赤子の父親

『この子はローズ!!

 ローズ、それがお前の名だ!!』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈81-7 力の魔女ローズ〉


▶︎ローズの過去


 小さな布袋を持ち

 テクテクと女性は歩いていた


 茂みからホーンウルフが2頭

 コチラに気が付いていない女性を目で追う


 女性はテクテクと歩き続ける、

 ホーンウルフはソロリと音を立てず女性に近づく


 女性が背中を見せたその時

 1匹のホーンウルフが牙を剥き

 背後から女性に襲い掛かった


 全く気が付いていなかったハズなのに

 女性はホーンウルフの方角を見る事なく

 片腕を瞬時にホーンウルフに向け

 ホーンウルフの首を掴みへし折った


 1匹のホーンウルフはブラブラと

 その女性に首を掴まれ宙を浮いていた、

 もう1匹はグルルと音を鳴らし

 後退りながら女性を見た



ローズ

『お前も戦うか?』


ホーンウルフ

『ガルルルル』



 女性が顔を向けると

 もう1匹のホーンウルフは走り去ってしまった


 倒したホーンウルフを首に巻き

 今日の食料が確保できたとローズは喜んだ




 翌朝

 ホーンウルフの骨をガリガリと齧りながら

 ローズは歩いていると

 少し大きなドワーフ達の里に到着した


 里の中では剣や盾を作るドワーフの男や

 子供を抱き話し合うドワーフの女性達、

 そして奴隷の服を着た人間の男・・・


 奴隷は物を運んだり

 土にクワを振り下ろしたりと

 ドワーフ達に命令され働かされていた


 奴隷の人間なんて珍しい者では無い、

 古の次代 魔力が低く弱い人間は

 他種族に拾われ奴隷として働く者も居た、

 そうしなければ生きていけない

 魔物と戦う力など無いのだから.....



ドワーフの男

『オラ!!もっと頑張れ!!』



 荷物を運んでいた奴隷の人間が地面に倒れた、

 ドワーフ達は頭を抱え

 使えない奴だと人間を哀れんだ


 ローズは横目でその人間を見ると

 助けを求める目をローズに向けていた


 ローズは無視して里の中央に向かった


 里の中央ではドワーフ達の騒ぎ声が、

 どうやら

 力自慢を決める大会をしていたようだ


 この里のドワーフ王はとても強い力自慢で

 次の王は自分より強い者に決めると言った


 王に挑戦するドワーフ達、

 しかしドワーフの王は次から次に

 挑戦者達を薙ぎ倒して強さを見せつけた



ドワーフ王

『まだ挑戦する勇士有る者はおらぬか!!』



 その言葉にローズはニヤリと笑い

 持ち物の布袋を地べたに落とし

 ドワーフ王が待つ闘技場の舞台上に上がった


 突然人間の女性が現れ

 ドワーフ達は困惑した顔でその女を見た

「なんだアイツ?人間じゃねーか」

「女の人間なんて虫よりヨエーぞ」

「魔女なのか?だとしても

 命が惜しいなら直ぐに帰んな!!」



 グダグダと耳障りなドワーフ達を無視して

 ローズは軽く体を動かした


 挑戦するのか?そうドワーフ王は

 ローズの顔を見て問うた



ローズ

『そうだ、だからアンタも

 戦う準備をしろよ、怪我しても知らねえぞ?』


ドワーフ王

『人間の女如きが調子に乗りよって・・・

 好かろう!!自分の愚かさを知るが良い!!』



 ドワーフ王と人間の女の戦いが始まった


 ドワーフ達には結果が分かりきっていた、

 ドワーフ王が勝ち

 舐めた口を言った人間が殺される

 そうだと皆思いヤレヤレとして見ていた


 しかし結果は・・・ドワーフ王が敗れ

 人間の女は汗1つ流さず

 倒れるドワーフ王の前に立っていた



ローズ

『この程度かよ・・・ガッカリだぜ』


ドワーフの民

『あり得ない・・・王が負けるなんて・・・』


ドワーフの民

『あの人間が次の俺達の王・・・』


ドワーフの民

『インチキだ!!!!

 竜人の力かエルフの魔法を使って

 王を倒したに決まってる!!

 そうだろ皆んな!!』



 そうは言うが

 明らかに人間は魔法など使っていない、

 拳だけでドワーフ王を倒した

 それはこの場に居たドワーフ達が皆目撃した


 こんな事があり得るハズが無かった

 力が1番強いドワーフ族が

 弱い人族の・・・それも女に敗れるなんて

 あってはならない事だった・・・


 1人のドワーフが新たな王に聞いた、

 この里のルールは王がお決めに成る

 この里をどうしたいのかと?


 何も考えてなかったローズは言った



ローズ

『自由に生きる!誰かに頼るんじゃ無く

 自分の意思で考え動く、

 この里から皆自由に生きるんだよ』



 新たな王の言葉を聞き皆その言葉に従った


 里中が騒がしい中

 ローズは里の食料をムシャムシャと平らげた


 気がつくと数日は食事を食べており

 食料も無くなり里には誰も居なくなっていた


 この場所にもう要はない

 次の闘いにローズは歩き始めた


 里を出ると

 地面に転がる人間の死体やドワーフの死体が...

 外の魔物に殺られたのだろうか?

 弱い者は魔物に殺される

 それは魔物でもそうだ、

 生きて行くには力が必要

 力が無い者は力有る者に食われる定め


 ローズの瞳には

 地面に転がる残骸など見えていなかった、

 タダ前を見続ける

 自分を楽しませてくれる強い存在だけを


 死体の山を踏み荒らし ローズは歩いて行った




 ローズは強いと呼ばれる魔物と闘った


 ディルゴ火山の魔竜と戦い

 雷の塔に住む雷神の竜を倒し

 荒れ狂う果ての海を泳ぐヌシに挑んだ


 その全てに勝利したが

 ローズを満足させる強者は現れなかった


 最後に残ったのは魔王と呼ぶ存在

 そいつが自分を満足させる強者だと考え

 ローズは立ち上がると

 目の前に自分と同じ人間の魔女が2人現れた



ローズ

『・・・・・誰だ?

 お前らは私を満足させてくれるのか?』



 目の前に現れたのは

 後に勇気の魔女と呼ばれるディナと

 知恵の魔女と呼ばれるレインだった



 そして その日

 ローズは人生初めての敗北をした



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈81-8 秘密を持つ〉


▶︎グレット邸 ネル視点


 俺とアケミは屋敷に戻り

 いつも通りの日常を過ごしていた


 マナリリアンから現れた青い蝶に触れてから

 アケミの奴はなんだか様子が少し変だった


 何故か

 俺とマナリリアンを見て寂しそうな顔をする

 どうしてだ?と聞いても教えてくれない

 何やら訳が有るのだろうが

 今は無理に聞き出さない方が良いのかも知れない


 JKってのは難しい生き物だ!

 変に俺が大人振っても

 アケミを怒らせるだけだろう!


 だから俺は

 アケミが話してくれるまで待つ事にした



ネル

『そうだ!デルク司令に

 魔石の秘密を聞きに行くんだった』



 魔石と聞き

 ノイリスが俺の前にやって来た


 ノイリスに俺は

「何か知ってるのか?」っと聞くと

 魔石は土から掘り起こし 国に運ばれ

 加工して使える用になる物だと教えてくれた


 土から掘り当てただけの魔石では

 そのまま使えないのだとか・・・



ネル

『加工って何をするんだ?』


ノイリス

『詳しくは知りませんけど

 特別なマナを注ぐと聴きましたよ』



 特別なマナ?

 元々魔石はマナを注ぎ使う物だろ?

 どうしてマナを注がないと使えないんだ?


 とにかくデルク司令に聞けば分かる事か、

 俺はルーチアやアケミ達に

 ディナガード国に行く事を伝えた


 マナリリアンに乗り出掛けようとすると

 またアケミは寂しそうな顔で

 俺とマナリリアンを見ていた



ネル

『なんだよ、

 出掛けるだけだから直ぐに帰ってくる』


アケミ

『ごめん・・・・・』



 アケミの事も心配だが

 今は魔石に付いて調べたいと俺は思っていた


 俺はマナリリアンに乗り

 ディナガード国に出発するのだった



▶︎ローズストーン国 城の地下


 城内に侵入したレインとローズは

 コツコツと地下に続く階段を降りて行った


 長い階段を降り着くと

 薄暗く広い空間に2人は足を踏み入れた



ローズ

『まさか城の地下にこんな場所が・・・』


レイン

『・・・・・アレか...』



 何かを見つけたレインはその場で足を止めた


 最初はそれが何なのか分からなかったローズだが

 近くでその物を見て言葉を失った



ローズ

『嘘だろ・・・・・』


レイン

『やはりそうだったのか.....』



 魔石の秘密を知った2人は

 人間達はどれほど愚かで

 最悪な行為をして来たのかと思い知らされた


 レインの考えは当たっていた、

 魔装機を作ったあの日から

 人と呼ぶ種族に

 悪魔の力を与えてしまったのだと

 レインは考えていた


 レイン自身も

 この世界の人にも他種族にも興味など無かった、

 全てを滅ぼそうとまで考えた時も・・・


 それは遥か昔に遡る・・・



▶︎レインの過去


 魔王が生きていた古の時代

 神聖種族と呼ばれる

 人族と同じ見た目をした種族が存在した


 人族と神聖種族の違いは

 マナを身体に宿すか魔力を身体に宿すか

 それだけだった


 神聖種族には特別な力が有った、

 それは魔力と同じ魔法を使い

 未来や過去を見透す力を持つ者も・・・・・


 エルフ族や竜人の民は

 魔族や魔物と同じ

 魔力を持つ神聖種族を危険視していた



 神聖種族は人族と同じ里で暮らし

 日々を過ごしていた



 そんな里に

 人族と神聖種族との間の子供が産まれた、

 マナと魔力

 相容れぬ力を身体に宿す女の子

 レインが産まれた


 マナと魔力は反発しあって掻き消す存在

 人族と神聖種族が子を作っては成らぬと

 昔から言い伝えられていた


 規則を破ったレインの両親は殺され

 赤子のレインだけは

 里長に許され生き延びた


 しかし

 周りの者からは災いの子と呼ばれていた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈81-9 知恵の魔女レイン〉


▶︎レインの過去


 成人になっていたレインは

 皆が魔法の訓練をする中

 1人鉱石遊びをしていた


 ガンガンと鉄を砕き 溶かし固め

 ガラスや特殊なエキスを集め混ぜ

 バチバチと何かを作っていた


 里の青年はレインに近づき

 また鎧や兜を盗んできたのかい?っと言った



セリック

『いつも石遊びをしてレインは楽しいの?』



 青年の名前はセリック

 人族の男性でレインと同じ年齢だった



レイン

『石遊びでは無い、人類進化の発明だ』


セリック

『進化の発明?

 ・・・レインは難しい言葉を使う』



 レインが発明と呼ぶ物は

 里の者達には伝わらず ガラクタだと言われた


 繊細で熱を通す液晶

 基盤と呼ばれる意味不明な板

 色を放つ小さな物体


 どれも意味不明で何に使うのか皆知ら無かった


 災いの子だから可笑しな物を作る

 それだけだと皆思った



 セリックはレインに聞いた

 レインが作っている物は

 どんな役に立つ物なのだと?



レイン

『弱い人族が魔王を倒す力だ・・・』


セリック

『人族が魔王を倒す?』



 突拍子もないレインの言葉に

 セリックはくすりと笑い微笑んだ


 里の者達は自分の事を蔑み笑う

 セリックもそう言う人間なのだとレインは考え

 自分のやるべき事を進めた


 不機嫌な顔をするレインに

「ごめん、そんなつもりじゃ!」っと謝るセリック


 レインの事を馬鹿にしているとか

 そんな事は不可能だとも考えていない、

 皆が考えない事をレインは考えるのだと

 感心したのだと言った



 馴れ馴れしく喋るセリックに

 自分の立場がどう言う物なのか

 私が里でなんて呼ばれているのか

 レインはセリックに教えてやった



レイン

『男の人族のお前が

 女の神聖種族の私と仲良くしていると

 恋仲なのかと疑われ殺されるぞ、

 それに私は

 マナと魔力を扱う災いの子なんだ...』


セリック

『そんな事無い!!』



 セリックは後ろ姿のレインに言った、

 レインは災いの子でも可笑しな子でも無い

 普通の人なのだと!

 里長が言っている言葉は間違ってると!


 黙々と作業を続けるレイン、

 自分の話なんて聴いてくれて無いと

 セリックは思い

 肩を落としガッカリしていたが、

 レインはセリックの言葉に

 顔を赤くして微笑んでいた




 それから月日が経ち

 レインとセリックは仲良くなっていた


 レインの機械遊びは終わり

 念願だった巨大で大きな何かを完成させた


 全長8mの巨大な何かに

 セリックはそれが何なのかと考えていた、

 巨大な鎧にしては使い道は無いし

 ドワーフ族が作る傀儡とも違う、

 魔物のゴーレムなのか?そうセリックは言うと

 レインがその答えをセリックに教えてあげた



レイン

『コレは魔装機、マナで動かす人型機械兵器だ!』


セリック

『マナで動かす機械・・・・・』



 機械と呼ぶ聞き慣れない単語に

 セリックは頭を傾けた


 どう使うのか見せた方が早いと考えたレインは

 魔装機に乗り込み起動させる事にした



レイン

『モニター出力異常無し

 魔石と繋がるバルブも動いている

 腕部と脚部のワーム動作確認

 さて・・・私のマナでどれぐらい動くか・・・』



 魔装機が起動して

 大きな足がドシンと地面を揺らした


 この大きな乗り物に

 レインが乗り動かしているとセリックはわかり

 凄い凄いと喜んでいた


 魔装機を動かすだけでマナの消費が激しく

 2分も保たずレインは魔装機を動かすのを辞めた


 ハァハァと息を切らし魔装機から降りると

 セリックはレインに近づき

 とても凄い物をレインが作ったのだと喜んだ


 しかし

 超短時間の運用しかできない

 試作品の魔装機では実用的では無かった、

 マナの消費を減らし

 長時間魔装機を動かす工夫が必要だと

 頭を悩ませた


 レインにはできる

 絶対にそう思うとセリックは喜びながら言うと

 レインは顔を赤らめセリックの目を見た



セリック

『どうしたのレイン?』


レイン

『・・・・何でもない...』



 自分の気持ちをセリックに伝えられない、

 いつも応援してくれたセリックの事を

 レインは好きになっていた


 だけど自分は神聖種族で

 セリックは人族の人間・・・もしこの事が

 里長に知れればセリックは・・・


 仲の良さそうな二人を木陰から見ていた

 レインと同じ神聖種族の若い女性達は

 その事を里長に報告した



 翌日

 セリックは里長に呼ばれ

 この里から追放される事になった


 その事を知ったレインは

 里長の家に居るセリックに会いたいと

 里の男達に言うが

 男達はレインを通す事は無かった


 後ろから

 自分と同い年ぐらいの女性達の声が聞こえてきた

「異性の人族とあんな事してたんだから当然よね」

「災いの子なんだから大人しくしててよ」


 レインは振り向き女性達の顔を見た


 怖いレインの顔に

「何よ...」っと震え声で女性達は言った



フェアリー

『助けて!!大きな魔物に襲われてるの!!』



 突如里に現れたフェアリー族の女は

 大声で助けを求めそう言った


 グワーーーンっと大きな咆哮に

 里の者達は外に出てその咆哮が何なのか調べた


 里に現れたのはとても大きな魔竜、

 黒みがかった魔竜は

 里の人間達を見てもう一度雄叫びを上げた


 戦えない人族は避難し

 魔法が使える神聖種族は魔竜と戦った


 しかしその魔竜はとても強く

 神聖種族の魔法ですら倒す事はできなかった


 このままでは里が滅びる

 レインは魔装機まで走り

 魔装機を動かし魔竜の前にやって来た


 とても大きな鎧が現れ里の者は皆驚いた


 魔装機を動かすだけでマナの消費が大きく

 戦う前にレインの体力はなくなっていた


 魔竜の尻尾で魔装機は倒れ

 レインは頭から血を流し魔竜を見ていた



レイン

『・・・・・こんな所で私は....』



 レインが乗る魔装機の前に

 1人の人間が手を広げ現れた


 レインは僕が守ると叫ぶ声の主は

 レインが愛した男 セリックの姿だった



セリック

『レイン逃げろ!!君はその

 魔装機を完成させなくちゃいけない!!

 君の役目は誰にでも出来る事じゃない!!

 僕は君の事を・・・』



 グシャリと魔竜に潰され

 セリックの肉片と血が飛び散る・・・

 レインの目には光が消えていた



 魔装機に乗り込んできたフェアリーは

 レインに近づき

 コレでアイツを倒せるの?っと言った


 操縦レバーを動かさないレインの手を

 フェアリーは動かそうとレインの指を引っ張る、

 すると

 魔装機の出力は大幅に上がり

 少ないマナで

 魔装機を動かす事ができるようになっていた



レイン

『コレは!?・・・

 オイお前、名をなんと言う・・』


シエラ

『シエラよ』


レイン

『シエラ、お前のマナも使うぞ!!』



 魔装機の拳が魔竜の顔に直撃し

 そのまま首を掴み身動きを封じた


 バタバタと胴体や尻尾を動かし暴れる魔竜、

 魔装機の力は更に上がり

 魔竜の首を折り トドメを刺した


 その場に倒れる魔竜を見て里の者達は喜んだ


 死者は1名

 それ以外には被害はなかった


 里長はセリックの肉片を見て言った

 コレはこやつが規則を破った罰

 災いの子に触れこうなった運命だったと


 その言葉を聞き

 レインの顔色は変わった


 シエラはレインを見ると

 黒く邪悪なオーラを感じとった


 コレ以上この場に居たくないと思ったシエラは

 魔装機から降り、レインに御礼だけを言って

 何処かにフワフワと飛び去った


 今この場で里の者達を殺す

 それが今のレインが考えていた事だった、

 セリックはどの道この里から追放されていた

 意味の無い風習で殺されるぐらいなら

 いっそこの場で皆を・・・・・


 身体のマナが溢れ魔装機を動かす力が強まる


 レインは里の者達を・・・・・



 殺さなかった



 里を捨てたレインは

 魔装機に乗り何処か遠く離れた場所に来ていた、

 セリックが死んでから顔を上げる事はなくなり

 自分の足や地面ばかりを見ていた


 激しい雨に打たれながら

 木に寄りかかり下を向くレイン


 こんな時セリックなら

 私に手を差し伸べてくれたのに・・・そう思った



 雨が止み

 空から眩しい光がレインの足元を照らした


 目の前に人影が見え、誰かが立っている、

 もしかしてと顔を上げると

 一瞬だけだが

 手を差し伸べるセリックの姿がレインには映った


 手を差し伸べていたのはセリックでは無く

 ディナと呼ばれる魔女だった


 それがディナとの最初の出会い....



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈81-10 魔石の真実〉


▶︎ディナガード国 ネル視点


 城に到着した俺は

 デルク司令とナラ隊長に

 魔石の秘密に付いて聞いてみた


 レインオラクル国のオドマンと呼ぶ奴から

 魔石とは何なのか知る必要が有ると言われ

 軽い気分で2人に相談すると

 デルク司令もナラ隊長も顔色を変えた


 アレ?俺何か変な事言ったか?


 どうしようかとナラ隊長は悩み

 デルク司令の顔を見ると、

 デルク司令は閉じていた目を開き言った



デルク

『ネルにも話す必要が有る、

 魔石の真実とは何なのか・・・』



 重苦しい言葉に

 俺は何かの覚悟をしていた


 デルク司令は俺とナラ隊長を連れ

 ディナガード国の地下にと案内した、

 まさかディナガード国にこんな広い地下が

 今まで存在するなんて思わなかった、

 こんな物を隠してたのかよと俺はデルクに言うが

 デルクは何の反応も見せなかった



デルク

『着いたぞ』



 暗く大きな部屋に案内され

 デルクは部屋の照明を点けると

 そこには大量の魔石と

 丸い小さなガラスの中に

 魔石とは違う何かが入っている・・・

 しかも沢山有るぞ?何だ?


 俺は目を凝らすと

 それが何なのかハッキリと分かった


 それは小さな脳だった、

 人間の脳と同じ小さな脳だ!!

 この脳はいったい・・・


 俺はデルクとナラに叫んだ

 コレが何なのか魔石とはどう言う関係なのか!!

 皆はこの事を知っているのか!!

 そう何度も言っていた....


 魔石の秘密は極小数の関係者しか知り得ない

 そうナラは俺の目を見ず言い、

 この脳は人の脳では無いとデルクは言った



ネル

『じゃあ何の!!』


デルク

『フェアリーの脳だ』



 フェアリー!!!!

 シャロと同じフェアリー族の脳って事か!?

 でもフェアリー族は滅びたんじゃ・・・


 デルクは俺に全て話した



 遥か昔魔王を倒した後の世界、

 レインと呼ぶ女が作った魔装機を

 他種族の者達は危険だと感じ恐怖した、

 人族は魔王を倒した3人の魔女を殺し

 コレで世界は平和になったと他種族に話した


 しかし人間は愚かな生き物だった


 魔装機と呼ぶ巨大な力を自ら作り上げ

 更にはフェアリー族を使えば

 魔石を活性化させ更に強い力が手に入ると知った


 フェアリー族を殺し魔石と融合させ

 とても強力な魔装機を作り上げた、

 それを知ったドワーフ族やエルフ族や竜人の民は

 人族に反旗をお越し魔装機と戦った


 結果は皆が知る通り他種族は死に絶えた、

 フェアリー族の脳細胞を分解させ

 複製させる事にも成功した人族は

 永遠に魔石を作り続けていた・・・・・



ネル

『フェアリーを絶滅させ他種族まで滅ぼしたのは

 人族だって言うのか・・・・・』


デルク

『それがこの世界の歴史だ、

 街や村で使われている光は魔石の力

 言わばフェアリー族の力だと言う事だ』



 確かに考えた事も無かった

 この世界には電気エネルギーが無いのに

 ガスや電気を魔石で使えている、

 魔石にはマナを注がないと力は発揮しないのに

 マナを送らずにも光や火は使えていた....


 巨大で大きな魔装機を動かすには

 フェアリーの力とは別に

 マナの力も必要だとデルクは言った、

 シャロが魔装機に反応していたのは

 魔石とリンクさせていたと言う事なのか?

 イヤ待て、そもそもマナリリアンは

 特別な魔石を使っていると言った、

 人の魂で動くと言う事は

 マナリリアンはフェアリーの力を必要とせず

 人の魂だけで動く事が可能だと言う事か?


 色々考えたが今はそんな事どうでも良い、

 どうしてこんな事を

 今まで隠していたのかって事だ!!!!



デルク

『知れば皆が幸せか?

 我々の祖先が愚かな行為をしたので

 自分達には生きる権利も無いと思うか?』


ネル

『そうじゃ無い・・・・けど・・・・』


デルク

『誰もが真実を受け入れられない、

 知らなくて良い真実も有ると言う事だ』


ナラ

『ネル殿、私もデルク司令と同じ考えです、

 心の強い人だけでは無く

 心が弱い人だって沢山居ます、

 今ある幸せの笑顔は

 偽りだったと思いたく有りません』



 ナラの言った通り

 こんな事間違ってると言っても

 もう既に、100年も前に

 終わってしまった事なんだ・・・


 今生きているこの世界の人達には何も関係無い

 過去の真実を

 悔やんだり涙を流したりする必要は無い、

 だけれども・・・・・

 本当の事を皆に知って欲しい

 歴史を知る事も

 今を生きる者には必要な事だと俺は思ったが

 それが正しい事なのか俺には分からない


 正解の無い答えに

 俺は何も言えなくなった


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