表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔装機マナリリアン  作者: ロア
   WORLD of END 10章
101/120

10章 もう1人の転生者 79話-忘れていたピース

〈79-1 伝説の魔女達〉


▶︎暗い洞穴


 ジメジメと薄暗い洞窟の中で

 冷却カプセルの中で眠っていた魔女達がいた


 カプセルの中の液体はゆっくりと排出され

 2人の魔女は目を覚ました・・・・



ローズ

『ゲホ!ゲホ!・・・どこだここは?』


レイン

『洞窟の中・・・かなり深い場所だな・・・』



 冷静に辺りを見渡す青のレインと

 落ち着きの無い様子で周りを見渡す黄のローズ


 彼女達は三大魔女と呼ばれる伝説の魔女、

 古の時代に赤の魔女ディナと共に魔王を倒し

 数100年の時空を移動し

 ネル達の居る時代に

 何者かの手によって召喚された


 レインは落ち着きのない様子のローズを見て

 少しはジッとしていられないのかと思った


 数分後、レインとローズの前に

 赤の魔女ディナと見知らぬ男が現れた


 2人は目の色を変え

 全てを理解していそうなディナに

 どう言う事なのかと説明させた



ローズ

『私達を監禁して殺そうとでも考えたかディナ?

 それに隣の男は誰だ?お前の仲間か?』


レイン

『・・・・・どうやら、

 私達は何かに巻き込まれたようだな』


ローズ

『ん?』



 ディナは2人に話した、

 この世界が私達の知る世界では無く

 未来の世界である事を・・・

 そして

 この男が成そうとする計画の事も・・・


 ディナの話を聞き終え

 先に口を開いたのはローズだった



ローズ

『それで?その悪趣味な計画に

 協力しろって言いたいのか?』


謎の男

『君達が協力してくれたら

 元の世界に戻す事を約束するよ』



 男の顔を見て

 気に食わない野郎だとローズは思っていた


 話を全て聞かされたレインは2人に言った



レイン

『まずは服を用意しろ、

 いつまで裸の状態で立たせてるつもりだ』


ディナ

『ごめんなさい、服は私が用意しているわ』


ローズ

『そう言う趣味なのかと思ったぜ』



 着替え終えたレインとローズは

 自分達がこの世界でどうしたいのかを

 謎の男とディナに説明した


 この世界を壊す男の計画に

 最初から協力する事は不可能だとレインは言い

 誰かの駒として

 使われるのは嫌だとローズは言った


 2人の返答を知っていたディナは

 ならこの世界を

 自分達の目で見てくると良いと言った


 魔王を倒して平和になった未来の世界は

 本当に自分達が守るに値する世界なのかと....



ローズ

『ならそうさせて貰うぜ、

 本当に未来の世界なのか確かめたいからな』


レイン

『まさか、私達の中で1番平和を愛していたお前が

 この世界を滅ぼす者と手を組んでいたとはな』


ディナ

『貴方達も直ぐに分かるわ、

 この世界の真実を知れば・・・・・』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-2 未知なる未来〉


▶︎ディナガード国 ネル視点


 ディナガード国に足を運んだ俺は

 司令のデルクや魔装機研究の博士ライルに

 俺とアケミが倒した天秤の魔装機のパイロット

 リーブラに付いて話をしていた


 奴が俺達に言った言葉・・・破壊の神


 デッドデスターや魔業教団

 それに魔族達を操り、俺達人間に

 戦いをお越した元凶は私だと言っていた


 魔装獣の事に付いても奴は話していた・・・

 ドルズに滅ぼされる未来を改変した事で

 産まれた存在の1つだと・・・


 荒唐無稽な言葉を聞かされたデルク達は

 言葉を失い俺の顔を伺っていた


 俺が嘘を言う人間だと思っていなかった2人は

 俺の言った言葉を信じてくれた



ライル

『破壊の神・・・未来の改変か・・・

 とても信じられない敵と戦ってたんだね』



 奴を倒した事で

 魔装獣はもう現れないのだろうか?

 それとも・・・・・、

 もし奴の仲間が存在するなら

 この世界は本当に滅ぼされるのかも知れない


 デルクは俺の顔を見て

 ローズストーン国から届いていた情報を伝えた


 魔装機大会に参加していたマナブや

 ロイヤルフラッシュのジョーカー達が

 何者かに倒され死んでいた事を・・・・・

 リーブラの言った通り

 奴はこの世界で暴れていた・・・・・



 どの様な魔装機と戦ったのか

 教えて欲しいとライルは言っていたので

 俺は謎の魔装機、天秤の魔装機の事を教えた



ライル

『この世界の技術力では無い魔装機と言う事が

 ネル君の話だけで分かったよ・・・

 倒した時に発光して消滅したと言う事は

 多分だけど、

 魔装獣と同じ科学力を持つ者が作ったか

 本当に

 破壊の神が作り出した物だと言う事だろう』


ネル

『もう魔装獣は現れないと思うか?』


ライル

『どうだろう・・・僕には分からない』



 未知なる敵に怯える俺達、

 リーブラが何者なのか

 本当に破壊の神だとするなら

 この世界を滅ぼすまで

 奴らはまた現れるのか・・・


 デルクは俺に言った、病気で倒れていた

 バエル王の体調が良くなったらしく

 近々三ヵ国会議を行うそうだ、

 そこでリーブラの事や

 今後の事で話し合うと言っていた



デルク

『またこの世界が何者かの手によって

 闇に覆われようとしている、

 ネル、お前はまた世界の為に戦ってくれるか?』


ネル

『当たり前だろ、皆んなやエレノアが居る

 この世界を消させてたまるかよ!

 マナリリアンと俺が全て守ってやる!』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-3 言い忘れた言葉〉


▶︎ディナガード国 ネル視点


 デルク達と話し終え

 俺は街の中を少し見て回っていた


 楽しく暮らす人々の顔

 もしこの世界に住む者達が

 何も知らないまま滅ぼされるなら

 それはとても恐ろしい事だと

 俺は考えていたら・・・・・



レイナ

『どうしたのよ、怖い顔して』


ネル

『レイナ・・・久しぶりだな』


レイナ

『時間があるならお茶に付き合ってよ』



 どう言う風の吹き回しなのか知らないが

 街1番と思われる子綺麗な店に

 俺はレイナに連れて行かれた


 確か前に

 エレノアとも一緒に来た店だったよな・・・

 レイナは俺と2人で

 話し合いなんてするタイプでは無いハズだけど

 どうしたんだ?何か相談でもあるのか?


 それこそ無いよな・・・

 コイツは何でも1人で卒なくこなす人間だ



 無言で美味しいレモンティーを飲んでいると

 先に喋りかけたのはレイナからだった



レイナ

『私達色々合ったよね』



 色々と呼ぶのはどの事だ?


 確かに色んな事が山程合った・・・

 学園を追い出されそうになって戦ったり

 デルク司令を連れ

 ローズストーン国まで冒険したり

 レイナとは長い付き合いと言えばそうかもな



 何を言いたいのか分からなかった俺は

 友達のノノカやマルとは

 一緒じゃ無かったのかと話題を変え質問した


 ローズストーン国の機士達の強力で

 ディナガード国の

 機士団の仕事も数が減ったらしく

 機士達も少し余裕が産まれ

 暇な時間が作れるようになったそうだ


 ノノカとマルは別の仕事で

 今はディナガード国には居ないと言っていた



 ふ〜んっと俺は素っ気ない返事をすると

 レイナは突然ごめんなさいと謝り

 俺は飲んでいたレモンティーを吹き出した



ネル

『ゲホゲホッッ、なんだよ突然!?』


レイナ

『ネルに謝りたかったの、

 学園から追い出そうとした時や

 ローズストーン国で

 私達を助け戦ってくれた時の事とか・・・

 謝る機会を失っていたから・・伝えたくて・・』



 レイナも謝れる事ができる人間だったんだなと

 茶化してやろうかと思ったが、

 彼女の顔を見て俺は何も言わなかった



レイナ

『魔業教団や魔族・・・

 魔装獣って呼ぶ正体不明の敵まで

 私達の周りには溢れてる・・・・・

 今のディナガード国には他国と比べ力が無い、

 もし巨大な敵が現れたら

 今度こそディナガード国は滅びるかも知れない』



 レイナは頭の良い人間だ

 ディナガード国がもし新たな敵に襲撃されれば

 どうなるか考えていたのだろう・・、

 この国の未来を

 レイナは不安視していたのだろう・・・



ネル

『安心しろ、レイナやノノカ達も

 サラサやレベッカ達機士の人間も

 俺は全て守るってエレノアと約束したからな』


レイナ

『ネルの力が

 ディナガード国には必要なのは皆んな知ってる、

 私やノノカも・・皆んな頼りにしてるから』



 なんだか恥ずかしい台詞を言ったのに

 恥ずかしい台詞で言葉を返され

 余計に恥ずかしくなってしまった・・・


 その後、会計の支払いの時

 俺とレイナはどっちが払うのかで少し揉めた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-4 見せたかった景色〉


▶︎ディナガード国 ネル視点


 バンカーに到着した俺は

 アケミやルーチア達が待つ

 屋敷に帰ろうとしていた


 その時だった、

 仕事を終えたサラサが俺を見かけ挨拶してきた



サラサ

『今から帰るの?』


ネル

『そーだけど、サラサは仕事終わりなのか?』


サラサ

『まぁね』



 時間があるなら頼み事があるとサラサは言った


 暇だし帰っても屋敷でのんびりするだけだ、

 どうした?っと俺はサラサに聞くと・・・



サラサ

『マナリリアンに乗せてよ、

 乗ってみたかったんだよね』


ネル

『え?』



 バンカーからマナリリアンを出し

 空の上からディナガード国を眺めた


 普段見慣れない光景に

 サラサは乙女の様に喜び騒いでいた、

 こんなサラサを観るのは初めてだ



ネル

『お前も女みたいにハシャグ時あるんだな』


サラサ

『こんな綺麗な光景見たら

 誰だってテンション上がるわよ、

 空を飛ぶのってこんなに楽しいのね』



 前にエレノアにも頼まれ

 マナリリアンに乗せ空の散歩をした時があった、

 その時の

 エレノアと同じぐらいサラサは喜んでいた


 ディナガードを空の上から見下ろすなんて

 機士団の中でも私ぐらいなのかな?

 っと言っている、

 隣で嬉しそうなサラサの顔を見て

 俺も少し嬉しくなった



サラサ

『機士の皆んなにも見せてあげたかったな、

 ユリも絶対に喜んでくれたと思う....』



 ユリ・ヴォルティナ・・・・・サラサの親友で

 ディナガード国の機士だった人だ・・・・・、

 彼女はレインオラクル国のスパイで

 サラサ達を裏切り

 最後はサラサとナラの目の前で

 爆弾を起動させ自爆した・・・・・


 寂しそうな顔でそう呟くサラサに

 俺は何も言えず俯いていた



サラサ

『デルク司令から聞いた、

 リーブラって呼ぶ強い敵と戦った話を』


ネル

『安心しろ、俺がこの国を..』


サラサ

『守ってくれんでしょ?わかってる・・・・・

 でももし、そんな奴らが沢山現れたら

 私達機士の皆んなも

 時間稼ぎの為に戦う事になるかも知れない』



 サラサが何を言おうとしているのか

 俺は理解して

 その先を言わないで欲しいと思っていた



サラサ

『私も皆んなを守りたい、

 それはレベッカもフタナも

 機士の皆んなだってそうだと思う、

 ・・・・・もし私が死ぬ事になっても

 ネルはネルのまま前を向いていてね.....』


ネル

『・・・・・、

 そう言ってる奴が1番長生きするんだよな

 それに 俺が絶対にそうはさせない』


サラサ

『・・・ネルってカッコイイね、

 魔竜と戦ってた時もそう思ってたけど』



 もしエレノアと付き合っていなければ

 俺はサラサの事を

 好きになっていたのかも知れない、

 何故かそう感じた


 エレノア姫を大切にしなさいよと言われ

「あぁ」っと俺は低い声で返事を返した


 サラサ・・・・・お前は俺を・・・・・


 バンカーに戻り

 俺達はマナリリアンから降りると

 機士のレベッカが俺達を見て

 あらまとした表情をして口を手で抑えていた


 誤解だと俺とサラサは大声を上げた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-5 悪夢の記憶〉


▶︎グレット邸


 腕の包帯を外し

 ブンブンと怪我をしていた腕を振り回すチュイ


 そんなに腕を回して

 大丈夫なのかとルーチアは思っていると

 もう平気だとチュイは言い

 自分の魔装機の修理は終わったのかと

 ノイリスに聞いた


 まだ修理が終わっていない事を伝えると

 チュイは不機嫌そうに唇を尖らせた



チュイ

『魔装機も動かせないし

 畑の世話や屋敷の掃除ばかりで退屈だな〜』


ノイリス

『それがチュイさんの仕事ですよね?』


アケミ

『それより、リーブラって言ってた

 白い服の女はアイツ1人だったの?

 何か思い出せない?』



 頑張って山賊時代の事を思い出そうとしたが

 どうやってもリーブラの事だけしか思い出せず

 チュイは分からないと残念そうに言った


 チュイはリーブラの仲間

 白い服のスコーピオとも出会ってはいたが

 その記憶だけが何故か記憶から消滅していた


 どうやっても奴らの正体を掴めなかったアケミは

 後の事はネルや機士の人達が

 何とかしてくれるだろうと考えた


 不安そうに考えていたアケミに

 ルーチアはアケミとナナミの2人に言った



ルーチア

『ネル様やアケミ様達が屋敷に来てから

 もう時期3の月が経ちますね』


ナナミ

『もうそんなに経ったんですね!』


アケミ

『この世界に来てから半年以上になるのか....』



 アケミは日本での暮らしを思い出していた、

 受験勉強で友達と塾に通っていた事や

 父親や母親と一緒に暮らしていた家族の事や

 学校に部活に好きだったアイドルに・・・・・


 どうして自分が今

 こんな生活をしているのかと思い返した



ナナミ

『アケミさん?』


アケミ

『・・・・・大丈夫、

 私は1人だけど1人じゃないから』



 母親に包丁で刺され

 その母親の包丁を奪い差し返した事が

 昨日の事かの様に記憶に刻まれている....


 ナナミやルーチア、

 皆んなの顔を見たらそんな悪夢も薄れ

 今の自分がこの場所で生きているんだと実感する


 アケミにとって

 この場所は第2の実家だと思えた


 チュイはアケミに抱き付き

 アケミは1人じゃない

 私が居るだろと言いながら体を触っていた


 セクハラをするチュイに

 アケミは怒り 自分から離れるように言った



アケミ

『本当にヤメテよこんな事!!

 私は貴方なんかに興味なんて無いから!!』


チュイ

『怒ってるアケミも可愛いぞ』



 アケミはチュイに怒っていると

 体に巡るラプラスの血が覚醒して

 チュイの後ろから青い蝶が現れた


 アケミはそれに気が付き

 その蝶に触れると・・・・・


 チュイの過去

 デッドデスターだった頃の記憶が

 アケミの脳裡に書き加えられていった


 自分のライバルだと思っていた

 バーナビーと言い争っていた記憶も

 私達のママ、ドライゴンの顔や

 優しくしてくれたダミリアの事も・・・

 チュイはダミリアの事を愛していた事を

 アケミはその記憶の書き換えで知った


 そして・・・・・

 山賊のアジトに現れた白い服の女の姿が・・・

 1人はアケミ達の前に現れた

 リーブラと呼ぶ女だと分かったが

 もう1人

 別の白服の女の姿が・・・・・


 女にはモザイクで顔が隠され

 記憶を覗いてもプロテクトされており

 その女の情報だけが何も分からなかった


 数分倒れていたアケミは意識を取り戻し

 心配する皆の顔を見て

 自分の意識が飛び倒れていた事を知った



アケミ

『今のは・・・・・』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-6 夜這い〉


▶︎グレット邸


 アケミの体には

 神聖種族のラプラスと同じ血が流れている、

 ラプラスの力を使ったアケミは

 魔力酔いで倒れ、自分の部屋で眠っていた


 今なら好き放題アケミの体を

 触れると思っていたチュイだったが

 そんな事をすれば

 ルーチアにもアケミにも嫌われると考えていた


 この屋敷での生活で

 少しは御利口になっていたチュイは

 大人しく屋敷の掃除をしていた



 屋敷に帰ってきていたネルは

 メイドのルーチアからアケミの病態を聞き

 アケミの事を心配していた



ルーチア

『青く輝く何かに触れると

 アケミ様が急に倒れたのです』



 前にもそんな事が起きた

 アレはアケミとナナミを連れ

 エレノアとピクニックに出掛けた時だった...


 変に魔力の力を使って

 少し疲れただけだろうとネルは言うと、

 それでも心配ですとルーチアは言った


 確かに少し心配だとネルも思っていた、

 明日の朝

 アケミを連れレインオラクル国に行こうと考えた


 レインオラクル国には

 アランの妹 魔族のアイナも居る、

 魔力に詳しいレインオラクル国に行けば

 少しは病態が良くなるとネルは考えた


 だけど・・・

 アケミと機士団長のナインは犬猿の仲だ・・・

 2人とも嫌がるのだろうなと

 ネルは2人がどうなるのか大体の予想を考え

 少し嫌そうな顔をしていた



 その夜



 部屋で眠るネル、

 スヤスヤと深い眠りに付いていると

 部屋の扉がゆっくりと開き

 何者かがネルの部屋に入ってきた


 気配を感じ取ったネルは

 目を擦りながら「誰だよこんな夜遅くに」っと

 不機嫌そうに言うと


 そこに居たのは下着姿のチュイだった、

 チュイは寂しそうな表情で

 ネルの顔をジッと見詰めていた


 数秒眠たそうに固まっていたネルだったが

 突然夜這いにやって来たのかと思ったネルは

 ボヤけていた視界が晴れ眠気が吹き飛んだ


「こんな所で何してるんだお前!?」

 そうネルが大声を上げると

 チュイは下を向きながらネルに言った



チュイ

『アケミは大丈夫なのか?、

 仲間を失ってばかりの人生だったから

 アケミが死んでしまうんじゃないかと思って

 心配で眠れなかったんだ・・・』


ネル

『・・・お前』



 大好きなルーチアの所では無く

 ネルに会いに来たと言う事は

 自分なら何とか出来ると思ってくれたのだろう、

 そうネルはチュイの表情を見て理解した


 心配するな

 アケミは少し疲れてるだけだと

 優しくネルはチュイに教えると

「本当か?」っとチュイは顔を上げ言った



ネル

『本当だ、明日レインオラクル国で

 アケミを見て貰おうと思ってたんだ、

 チュイが心配してくれてアケミも喜んでるよ』


チュイ

『ネルには色々な恩がありすぎる』


ネル

『気にするなよ、チュイも家族の一員だろ?』


チュイ

『お返しに何もできないのはツライ』



 そう言うとチュイは肌を裸させ

 変なアピールをしながらネルの目を見詰めた


「今日だけだからな」っと湿っぽく言うチュイを

 ネルは部屋から摘み出し 部屋の鍵を閉めた



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-7 病態〉


 翌朝

 もう平気だとアケミはネルに言うが

 ネルはアケミをマナリリアンに無理矢理乗せ

 ルーチア達に出掛けてくると言い

 レインオラクル国に向かった



▶︎レインオラクル国 ネル視点


 レインオラクル国に到着した俺は

 昨日魔力酔いで倒れたアケミを

 オリーブ博士の研究室に連れて行き

 検査して貰う事にした


 オリーブ博士は魔族のアランやアイナの

 健康管理をしていた事を知っていた。

 魔力の事ならオリーブ博士に任せれば

 大丈夫だろうと思っていたが・・・・・



オリーブ

『ごめん、僕には分からなかったよ』


ネル

『オリーブ博士が駄目ならもうお終いだよ』



 どうやら

 アケミの魔力は魔族の力とは少し違い

 特別な個体の魔力だと知らされた


 オリーブ博士に分からないのなら

 誰もアケミの病態を調べられ無いと言う事だ...



アケミ

『もう平気だから屋敷に帰ろ?

 皆んなに迷惑かけてごめんて謝るから』


ネル

『アケミが倒れた事に俺達は心配してるんだ!!

 原因が分からないまま帰って

 また倒れたら俺の責任でもある!!

 皆んなアケミの事が心配なんだよ』



 咄嗟に出た言葉に

 アケミは顔を赤らめ黙ってしまった


 でも本当に困った

 コレではナナミやルーチア達も

 心配が収まらないだろう・・・・・、

 そう考えていると

 オリーブ博士は良い案が有ると言った


 ドルズがこの国を支配していた時代

 この国には多くの研究者や学者

 専門的な分野に携わる人間達が集まっていた


 その中に魔力や魔族

 特殊な力を研究していた者の資料が

 残っていると聞かされた



ネル

『その資料が見付かれば

 アケミの体の事も分かるって事か?』


オリーブ

『断言はできないけど、

 ある程度はわかると思うよ』



 オリーブ博士は

 同じ研究者のオノマト博士と共に

 残された資料を探してくれる事になった


 アケミの検査で夜も遅くなってしまったし

 その資料がいつ見つかるかも分からない、

 今日は

 レインオラクル国に泊まる事に成るだろうな


 そう俺がアケミに教えると

「機士のあの人が私がこの国に居る事を知ったら

 直ぐにでも追い出されるんじゃ無いの?」

 そう言った


 あぁ・・・ナインの事か・・・。

 あの人?っとオリーブ博士は考え

 もしかしてナイン団長の事かな?

 っと俺達に言った


 どうしようかと考えていた俺に

 ナイン団長なら

 ローズストーン国に出向いているよと

 オリーブ博士から教えて貰い

 それなら大丈夫だろうと俺は考えた



ネル

『良かったなアケミ』


アケミ

『そう言う問題じゃないと思うけど...』



 そうと決まれば

 今晩泊まれる宿と食事を食べられる場所を探そう


 飯は知り合いのうどん屋に当てがあるとして

 先ずは宿を探さないとだな・・・

 オリーブ博士に教えてもらった宿に行くと

 今は生憎1部屋しか空いていないらしく

 しかもベッドはダブルベッドだそうだ....



アケミ

『絶対に嫌だから!!

 ネルと一緒の部屋なんか生理的に無理!!』


ネル

『仕方ないだろ!俺は床で寝るから

 アケミはベッド使えよ』


アケミ

『どうせ私の寝顔覗いたり、

 肌とか色んな場所見るつもりでしょ!!』



 誰がそんな事を!!そう心で思ったが

 前にサウナで

 アケミの裸を見そうになってしまった事が・・・

 何とかその事はアケミにバレては無いが

 生足を近くで見てしまった事は

 今でも反省している


 宿屋で騒いでいる俺達を

 店主の人は困った表情で俺達の顔色を眺め

 外にまで俺達の痴話喧嘩は聞こえてた所為で

 宿屋前にギャラリーも集まってきた


 俺達の声を聞き

「君達は」っと外から声を掛けられた



ヌーア

『英雄のネル君がどうしてこんな所で?

 それにそっちの子は確か・・・』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-8 美味しい食事と酒〉


▶︎レインオラクル国 ネル視点


 レインオラクル国には

 国を支援したり 国のあり方などを話し合う

 幹部会と呼ばれる組織が存在する


 前の幹部達の多く国を去ったが

 新しく国を立ち上げた時に

 新生幹部会をナインは立ち上げた


 その仲の1人

 マナリリアンを作ったビット博士の幼馴染

 ヌーア・ロニアルダ博士に

 俺とアケミの痴話喧嘩を聞かれ

 今晩泊まる宿が無いなら

 私の家に来なさいよと言われ

 俺達はヌーア博士の家に行く事になった


 ヌーア博士の家にお邪魔すると

 博士の助手のヒナイさんが

 手料理を作りヌーア博士の帰りを待っていた



ヌーア

『ごめんヒナイ、四人分の料理って作れる?』


ヒナイ

『大丈夫ですよ、今日は鍋の予定だったので』



 突然の来訪にも関わらず

 食事まで用意してくれるなんて本当に申し訳ない


 俺はアケミの事を

 ヌーア博士とヒナイさんに紹介し、

 アケミの事も2人に紹介した



アケミ

『本当に64歳なんですか!?

 お肌も30代とは思えないツヤ肌だし・・・』


ヌーア

『うふふ、そうでしょ?』



 ヌーア博士は若返りの薬で

 64歳の肉体から34歳の肉体に若返っている、

 若返りの薬と聞いて

 アケミも興味深そうに話を聞いていた



アケミ

『私もお婆ちゃんになったらその薬使おうかな?

 でも可愛い

 お婆ちゃんのままも良さそうだし・・・』



 アケミの年寄りか・・・・・

 口ウルサイお婆さんになりそうだと俺は考えたが

 そんな事を言ったら

 確実にアケミに殴られると知っていた俺は

 心の中だけでその事を完結させた


 鍋の準備ができましたと

 ヒナイはテーブルに鍋を置き

 皆に取り皿を配った


 俺は前々から思っていた事が有る、

 他人の家で食べる鍋は

 どうしてこんなにも美味しいのだろうか?

 その家の特徴的な味付けや具材

 全てがベストマッチして口の中に広がる、

 皆で同じ鍋をつつきながら

 ワイワイと雑談をして楽しむ、

 居酒屋で楽しむ空気とは

 また違った楽しみ方が鍋にはある。


 お酒を飲み始めたヌーア博士は

 俺にも酒を進めて来た


 確かに俺は27歳のサラリーマンだが、

 今は18歳の体なんだよな・・


 酒を断ろうとしたら・・・・・



ヌーア

『この国では18歳からお酒を飲めるのよ?

 ドルズが国を独裁してた時は

 食やアルコールの娯楽すら奪われてたけど

 今は楽しくお酒を飲める時代だわ、

 どう、異世界のお酒も美味しいわよ?』


ネル

『ゴクリッッ・・・・・』



 確かにこの世界に来てから

 お酒を飲む楽しみを忘れていた


 俺は口の中に溜まった唾液を飲み込み

 ヌーア博士からお酒を注いでもらった


 透き通る美しさに キラキラと輝く液体

 神秘的な小さな水面に

 酒を飲みたいと思う美男子の顔が

 映し出されていた



 ゆっくりと酒を味わい

 喉に落ちていく感覚が体を温め

 脳を活性化させる気持ちに心が弾む


 異世界の酒も美味い

 そう俺はニンマリとしていた



アケミ

『美味しいの?』


ネル

『うま〜い』


アケミ

『私も飲ませてよ!』



 駄目だと言ってやろうと思ったが

 確かアケミも18歳だったんだよな?

 でもアケミは日本人だろ!

 お酒とタバコは20になってからだ!


 アケミには駄目だと俺は言うと

「良いじゃないか」とヌーア博士は

 他人事の様に嬉しそうに言った



アケミ

『ヒナイさんも同い年なんでしょ?

 ヒナイさんは飲まないの?』


ヒナイ

『私お酒苦手で....』


アケミ

『ふ〜ん』



 小さなお猪口に酒を注ぎ、

 俺は横目で酒を飲むアケミの姿を見ていた


 少しだけゴクリと飲むと、

「ウエッマズイ」っと嫌な物を飲んだ顔をして

 お猪口を机に置いた



アケミ

『コレの何処が美味しいのよ』


ネル

『子供には酒の楽しみ方が分かって無いんだな、

 酒は美味しくて飲む物じゃないからな』


ヌーア

『そうかい?私は美味しくて飲んでるけど』


ヒナイ

『魔力はアルコールに弱いと聞いた事が・・・

 毒だと体が認識して吐き出させたのかも・・・』



 酒は毒だと言っている人が

 俺の周りにもいたな・・・・、

 魔力とアルコールの

 相性が悪いとは思わなかったが


 そうだ、言っておく事が合った!!

【注意!!】

 お酒とタバコは20歳に成ってから!

 良い子は絶対にマネしないように!



 楽しく酒を飲み 美味しい鍋を食べ

 なんて最高な日なのだろうか!


 アレ?なんだか少しフワフワする・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-9 酔い潰れる〉


 ヌーア博士の家で

 美味しい鍋を食べ 美味い酒を飲み

 地球での思い出話で盛り上がっていた俺とアケミ


 異世界の酒もとても美味しく

 俺は最高の気分だと感じていると

 頭がポワポワとした変な感覚に苛まれ始めていた


 アレ?なんだかこの感覚は・・・

 久々のお酒で酔ってしまったのかな?

 ・・・・・・・・そう言えば

 この世界で酒を飲むのは初めてだったな・・・、

 この体が酒に慣れていなかったのか?


 そう俺は考えたが

 数分後にそんな事はどうでも良くなっていた



▶︎レインオラクル国 ヌーア博士の家


 気分が良くなり顔を赤くさせるネル、

 ヌーア博士はそんなネルに

 エレノア姫とはどうなのよと

 酔っ払いの様に質問していた



ネル

『俺はエレノアを異世界1幸せにする!!

 ついでに異世界の皆んなも幸せにする!!』


ヌーア

『カッコイイねネルく〜ん』



 完全に酔っ払いの言動を見せる2人に

 アケミとヒナイは困った顔をしていた


 コレ以上酒を飲まないでくださいと

 ヒナイが酒を取り上げると

 ヌーアはまた何処かから酒を取り出し

 ネルと2人で酒を飲み楽しんだ


 心配になったアケミも

 酒を飲み続けるネルを叱るが

 俺は大丈夫だ!平気だと言い続け

 酒を飲む手を止めなかった



アケミ

『本当に大丈夫なの!?明日酔い潰れて

 帰れなくなっても困るんだって!』


ネル

『安心しなさい、アケミの事は

 俺が絶対に守ってみせる!!』


アケミ

『返事になってないし....』



 2人の姿を見たヌーア博士は

 ネルに好かれているんだねとアケミに言った


 その言葉に「そんなんじゃ...」っとアケミは言い

 ネルは「俺達には特別な絆があるんだ」と

 意味不明な言葉を言っていた


 コレ以上

 酔った人間の相手をしたくなかったヒナイは

 ネルとアケミの寝場所を用意して

 夜も遅いので寝ますよとヌーア博士に言った


 母親の様な言動に

 それだから男の貰い手も出来ないのだと

 怒ったヒナイの顔を横目で見ながら

 ヌーア博士は言った


 そうだ!っとした顔で

 ヌーア博士はネルに尋ねた。

 アケミとヒナイ、

 どちらを嫁の貰い手にしたいと考える?


 その言葉に

 アケミもヒナイも顔を赤らめ

 同時に「な!?」っとビックリした声を上げた



アケミ

『私とネルはそんなんじゃ!!』


ヒナイ

『そうですよ先生!!失礼ですよ!!』


ヌーア

『どうなんだいネルくん?』



 2人の顔を何故か見比べるネル、

 アケミとヒナイは頬を赤らめ

 ヌーア博士はニマニマとしながら3人を見ていた


「ヒナイかな」っとネルが言うと

 ヒナイは今日1番の照れ顔になり

 どうしてヒナイを選んだんだい?

 とヌーア博士は簡単な質問をした



ネル

『アケミは俺の娘の様な存在だ、

 恋愛対象とかで正直見れない大事な家族だ』


アケミ

『ネル・・・』


ネル

『そして何より!俺はおっぱいが好きだ!!

 ヒナイのおっぱいの方が大きくて最高だ!!』



 悪酔いしていたネルは

 普段言わないデリケートな事を

 ズバズバと正直に言っていた


 その言葉を言い終わると

 アケミの拳がネルの顔面に直撃し地面に倒れ

 スヤスヤと良く無い眠り方でネルは眠り始めた


 もう一撃殴ろうとするアケミを

 取り押さえるヒナイ、

 ヌーア博士の大笑いが

 家の外まで響いていた・・・



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-10 二日酔いの後〉


▶︎レインオラクル国 ヌーア博士の家 ネル視点


 俺が目を覚ましたのは次の日の朝だった・・・

 頭がズキズキと痛い、二日酔いか?


 少しグルグルとする視界で辺りを見渡し

 昨日鍋を食べた食卓で眠っていた事が分かった、

 どうやら

 酒を飲んでその場で眠ってしまったらしい・・・


 ・・・酒を飲んで後の記憶が全く無い、

 酒には強い方だと思っていたが

 そう言えばサラリーマンの時も

 俺は良く酔い潰れて、後輩の高橋に

 家まで送ってもらっていた気がする・・・・・、

 俺は全然酒に強くなかったかも.....

 それにしてもここまで記憶が無いのは初めてだ

 この体が酒に慣れていないだけだと思うが・・・


 立ち上がると

 視界の悪さや脳の痛みとは別の違和感を

 瞬時に感じ俺はまさか!っとした顔をしていた


 ゆっくりと顔を下に向けると

 27歳の大人の俺が

 グッショリとズボンを濡らしていた・・・・・

 やっちまった・・・しかも人の家で・・・


 その直後

 朝起きて来たヌーア博士やアケミ達が現れ

 おはようと俺に挨拶をしていたが

 俺は固まり下を向き続けていた



ヌーア

『おはようネル君、昨日は良く眠れたかな?』


ヒナイ

『アレ?なんか変な匂いが・・・・・』


アケミ

『アンタまさか・・・・・』



 良い年した大人がお漏らししたのと

 こんな姿を女性達に見られたショックと

 もうどうしようも無い状況に

 俺は涙目を浮かべアケミ達の顔を見た・・・


 神様・・・・・

 どうして俺がこんな目に・・・・・




 脱衣場に案内された俺は

 シャワーを浴び体を拭き

 着る服が無いので、ヒナイが子供の頃に

 着ていた服を借り

 可愛らしい女の子の服を着た俺は

 ヌーア博士とアケミの前に立っていた



ヌーア

『とても可愛いよネル君』


アケミ

『・・・・・』



 完全に笑っているヌーア博士と

 何も言わず俺の姿を見るアケミ


 アケミよ・・・・・

 こう言う時は笑ってくれた方が

 凄く助かると言う物なんだぞ・・・・・



ヒナイ

『ごめんなさい、

 ネルさんに合う服がコレしか無くて・・・』


ネル

『ありがとうヒナイさん、それとごめんなさい、

 俺が汚した場所を掃除してもらい、

 男の汚物を掃除させられるのは

 屈辱でしたでしょ?』


ヒナイ

『いえ、先生も良く吐いたり漏らしたりするので』



 良くできた助手だ、

 俺はヌーア博士とヒナイさんに頭を下げ謝り

 こんな見っともない姿を見せたアケミにも謝った


 本当にごめんと俺はアケミに謝罪しても

 どうしてかアケミは俺を無視していた、

 それもそうだ

 お漏らし男の俺がヌーア博士達に迷惑を掛け

 アケミも凄く不快な気持ちを味わったのだろう


 反省していた俺が俯いていると

 ヒナイさんが俺の耳元に顔を寄せ

 アケミに聞こえない小さな声で俺に言った



ヒナイ

『覚えていないかも知れませんがネルさん、

 昨日アケミさんに酷い事言ったんですよ?』



 酷い事?俺が?

 駄目だ完全に酔い潰れて忘れてる


 なんて言ったんですかと聞いてみると

 ヒナイは顔を赤らめ 俺と目線を合わせず

「やっぱり男の人は大きいのが好きなのですか?」

 っと恥じらいながら言い出した


 !!??

 俺は昨日、何を言ったんだ!?


 慌てていた俺はアケミの肩を掴み

「俺は昨日アケミになんて言ったんだ!!

 教えてくれ!!」っと必死になっていた


 慌てて動揺する俺に

「あー鬱陶しい」っとアケミは言い捨て

 オリーブ博士の研究所に行くんでしょと

 話題を変え俺に言った


 そんな事今はどうでも良い!!

 それより俺が酔った勢いで

 アケミになんて言ったのか気になる!!

 だが

 アケミもヒナイさんもヌーア博士も

 皆んな俺には教えてくれなかった



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-11 魔力の血〉


▶︎レインオラクル国 ネル視点


 オリーブ博士は

 俺の可愛らしい服装を見て少し戸惑っていた、

「君も大変だね」簡単そうにそお言って

 俺とアケミを

 オノマト博士が待つ場所にと案内した



 ドルズが優秀な研究者を集め

 使っていたと言われる研究所に俺達は訪れた


 もう使われていない研究所には

 ホコリ被った本や

 誰かが散らかしたと思われる光景が・・・・・


 アケミに関する何かの資料を見つけたと

 言っていたオノマト博士は

 オリーブ博士と俺達を椅子に座らせ

 その資料に書かれていた事を口にした


 内容はこうだ、

 レインオラクル国は

 神聖種族と呼ばれる人間の力を研究し

 その力を活用しようと考えていた。

 人なのに魔力を扱う神聖種族の中には

 他人の未来と過去を見透す

 特別な魔法を扱える者も存在する。

 滅亡した種族だったが

 その中でとても貴重なサンプルを

 レインオラクル国は手に入れていた。


 そこからは専門的な会話で

 内容が理解出来ない俺とアケミは

 頭を混乱させていた



ネル

『つまりどう言う事なんだ?』


オノマト

『アケミくんの体には神聖種族の血が流れている、

 何故だかは知らないが

 レインオラクル国が開発したサンプルの薬を

 使ってそうなったって事だね。』



 なるほどなるほど、レインオラクル国が

 神聖種族を作ろうとした薬が合って、

 その薬を誰かに使われ

 アケミは神聖種族と同じ血が

 体に流れているって事なのか・・・

 イヤ!誰が何のためにそんな事をしたんだよ!?

 1番大事な所が意味不明のままじゃねーか!!


 とにかく今大事なのは

 アケミさんがその力を使って

 大丈夫なのかどうなのかだと

 オリーブ博士は言った、

 確かにその通りだ!どうなんだオノマト博士?



オノマト

『大丈夫だと思うよ〜』


ネル

『気の抜ける解答だな』


オノマト

『未来や過去を多く見たら

 それだけ体に負担が掛かるって事だね。

 試しに昨日の僕の晩御飯を当てて見てよ』



 ワクワクしながらそう言うオノマト博士だったが

 アケミは残念そうに言った、

 力の使い方が自分では分からないのだと・・・


 凄く残念そうになっていたオノマト博士は

 力が使えるようになったら

 実験させてねとアケミに言った、

 サラッと怖い事言うなこの博士は・・


 でも

 不意に力を使ってしまったら

 どうすれば良いんだ?

 その答えをオリーブ博士が答えた


 魔法と呼ばれる物は

 使用者が拒むと力が消えるそうだ、

 もし力を使ったら

 心の目を閉じ魔法を拒否すれば良いそうだ



ネル

『なんだ、魔法って簡単なんだな』


アケミ

『他人事だからって簡単にそう言うけど、

 それってとても難しいと私は思うけど』


オリーブ

『確かに魔法に慣れていない人からすれば

 難しい事だよね、何か良い方法が有れば....』



 何か方法か・・・・・!?

 そうだ、前にアイナが言っていたよな?

 古い魔力を溜め込むと病気になった時の事だ!


 アイナは魔法を使い

 魔力を放出させていると言ってたぞ!

 つまり

 アイナは魔力を使った魔法が扱えるって事だ!


 天才ネルさんが思い付いた作戦を

 オリーブ博士に伝えると

「確かに可能かも知れない」っと言った



ネル

『良し!特訓するぞアケミ!』


アケミ

『は?』



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-12 可愛いお人形〉


▶︎レインオラクル国 ネル視点


 アルティメットウルトラスーパー天才の

 俺の作戦でアケミはアイナと会い、

 魔力で扱える魔法の特訓をする事になった


 数日は屋敷に帰れそうも無いので

 俺はマナリリアンで屋敷に戻り

 ルーチア達にアケミの事を話した



ルーチア

『わかりました、美味しい手料理を作り

 ネル様とアケミ様の帰りをお待ちしております』



 ルーチア達に事情を話終えた俺は

 レインオラクル国で魔法の修行をする

 アケミとアイナに会いに戻った



ネル

『どうだ調子は?』


アケミ

『思っていた以上に難しい、

 魔法なんて使った事なかったから余計にね』



 なるほど、そう簡単では無いと言う事か・・・


 ナインがいつ

 レインオラクル国に戻って来るか分からない、

 もしナインが戻ってきたら

 またアケミと喧嘩をしてしまう。


 考え事をする俺の前に

 アケミの魔法の先生アイナがやってきて

 少し照れながらとんでもない事を言い出した



アイナ

『ネル様がどうして女性用の服を着ているのか

 アケミさんから聞きました、

 あの・・・その・・・

 私はそんなネル様も大好きです!!』



 ん?女性用?

 完全に忘れていた!!

 俺はお漏らしをして、今はヒナイが使っていた

 子供服を着ていたんだった!!


 だから屋敷に戻った時

 ルーチア以外の皆んな変な顔をしていたのか!

 違和感の無い自分の可愛らしさに

 俺は女性だと一瞬思ってしまっていた!


 それより!

 俺が漏らした事を

 アイナに教えやがったなアケミ!!

 俺は怒りの表情でアケミを見ていると

「昨日の罰よ」っとアケミは言った


 昨日の罰?何の事だ?

 クソッ、酔っていた出来事が何も思い出せない!


 怒りを燃やし続けていると

 レインオラクル国の姫、リューネ姫が

 アイナの部屋に訪れた



リューネ

『遊びに来たぞアイナ!

 ネル!?どうしたんだその格好は!?』



 俺の可愛らしい服装を見たリューネは

 アイナと3人で写真が撮りたいと言い出した


 ヤメロ!俺はお前達の遊び道具なんかじゃ無い!

 そう思ってはいたが

 リューネとアイナは俺に他の服を着させ

 着せ替え人形の如く持て遊ばれた・・・・・


 まさか

 リューネとアイナの服が

 俺にピッタリなサイズだとは思わなかった、

 それが1番ショックだ...



ネル

『アイナの服を着た事をアランが知れば

 俺殺されてしまうかもな』


アイナ

『お兄様には内緒にしますね』



 次はこっちの服を着てくれと

 リューネ姫が嬉しそうに近寄って来ると、

 部屋に入ってきた助手のヒナイさんが

 俺の服が乾いたので持ってきたと言った



ネル

『助かった〜』


リューネ

『もう少し遊びたかったのに・・・』


ネル

『もう勘弁してくれ』


リューネ

『それよりなんで服を乾かしてたの?』


ネル

『え!?・・・ちょっと雨で濡れてしまって...』


リューネ

『雨?昨日と今日降ったか?』


ネル

『良し!修行の続きをやるぞアケミ!』



 俺は無理矢理話を終わらせ

 アケミの修行を再会する事にした



◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉◉



〈79-13 魔装機開発をしていた者の過去〉


 アケミの魔法特訓は続き

 その次の日


▶︎レインオラクル国 ネル視点


 暇な時間を有効に使い

 俺はマナリリアンの武器クリスタルブレードを

 ゴウテツさんのもとに運び手入れしてもらい、

 うどん屋の店主と会いうどんを食べ、

 レインオラクル国の機士と

 魔装機で手合わせしたりと色んな事をした


 俺のレインオラクル国での騒ぎを知り

 様子を見に来た新生幹部会のオルトマン、

 俺の顔を見て生意気そうだと考えたのか

 オルトマンは他国の部外者が

 いつまでレインオラクル国に居るつもりだと

 難癖を態々言いに来てくれた



ネル

『バスタードを作った人ですよね?

 バスタード以外の魔装機を

 作った事が無いと聞きましたけど

 オルトマンさんは

 本当に魔装機学者なのですか?』



 嫌味を言う相手に対抗して

 俺も嫌味な事をオルトマンに言った


 グヌヌと腹を立てたオルトマンは

「お前らディナガード国の人間達が

 本当に困った時何も支援せんからな!!」

 そう捨て台詞を言い、何処かに行った


 誰がお前なんかに頼るかよ、

 そう俺は思っていたが

 レインオラクル国の機士フォルミナは

「オルトマンさんとは

 仲良くしてくださいませんか?

 アレでも幹部会のメンバーなので...」

 そう困った顔で言っていた


 仕方ない・・大人の俺が折れてやるか


 オルトマンは

 レインオラクル国で2番目に

 大きな屋敷に住んでいた、

 俺の住んでいる屋敷の倍以上は有る...

 何故か負けた気分で悔しい!!


 屋敷に入っても誰も人は居らず

 メイドや執事の姿も見当たらない、

 こんな広い屋敷に1人で暮らしているのか?


 奥から光の灯る部屋が・・・

 その場所に俺は近づき

 扉の中を覗くとオルトマンが椅子に座り

 写真立てを手に持ち見ていた



オルトマン

『見えているぞ、無断で屋敷に入りおって』


ネル

『バレてたのかよ』



 部屋に入り椅子に俺は座ると

 オルトマンは

 手に持っていた写真立てを机に置いた


 写真には若い男が2人写っている、

 1人はオルトマンで

 もう1人は兄だろうか?顔が良く似ている


 家族?っと俺は聞くと

 そうだとオルトマンは答えた



オルトマン

『・・・・・お前さっき、

 魔装機作りの事で俺に何か言っていたな』


ネル

『悪かったよ、機士の人達からも怒られた』


オルトマン

『お前の言った通りだよ・・・・・』



 ん?どう言う意味だ?


 オルトマンは俺に真実を話してくれた、

 どうして自分がバスタードだけを作り

 他の魔装機開発をしないのか・・・


 オルトマンには尊敬する兄が居た、

 兄は魔装機学者で

 コストを抑えた量産機開発の文野で

 活躍していたそうだ


 ある日オルトマンの兄は

 バスタードの設計図を完成させた、

「コレを国に売れば大金が入り

 別の街や村で裕福に暮らせるぞ」

 そう弟のオルトマンに言ったそうだ


 しかし

 母と父が最後に残した実家を捨てる事が

 オルトマンは許せなかった


 それが原因で喧嘩に成り

 兄は設計図を持ち家を出たそうだ


 しかし

 魔族の残党に兄は殺され

 バスタードの設計図だけが手元に残された


 オルトマンはその設計図を受け取り

 バスタードを作り上げ国に貢献した



オルトマン

『俺は魔装機学者なのでは無い、

 兄の描いた設計図を組み立てただけだ』


ネル

『・・・・・』



 オルトマンの功績を知ったドルズは

 オルトマンを幹部会のメンバーに就任、

 バスタード開発と魔石開発だけをするように

 ドルズから言われたそうだ・・・・・



ネル

『悪かったな・・・嫌な事を思い出させて』


オルトマン

『あぁ・・・本当にだ・・・』



 そう言えば魔石開発と言っていたな?

 魔石って鉱石を山から採取するんだろ?

 開発って事は魔石を作っていたのか?


 そう言えばドルズやプルネンが使っていた魔石は

 魔力を溜め込む特別な魔石だったよな?

 それを作っていたって事なのか?

 そう俺はオルトマンに聞くと

 それも含まれていたと答えてくれた


 含まれていた?



オルトマン

『お前は魔石の真実を知っているのか?』


ネル

『魔石の真実?』


オルトマン

『・・・魔石の真実は一部の者しか知り得ない、

 お前の国の偉い奴にでも聞いてみるんだな』



 勿体ぶってなんだよそれ!

 まぁ良いか、デルクやナラに聞けば

 教えて貰える話だろうし...


 オルトマンは最後に言った


 全ての真実が甘く美味しい物では無い、

 苦く吐き出したくなる

 知らなくて良い真実も存在するのだと


 どう言う意味だ?




 その時の俺は何も知らなかった、

 魔石と呼ぶ力の秘密を...


                   next▶︎80

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ