秋の訪れ(他三篇)
赤い矢/
突き刺さりそうで
こわい、と
逃げまどう子は
赤トンボの群れを
前にして
スキンケア/
たっぷりと
惜しみなく
みるみる吸い込ませて
蓋をする
もちもち
ぷるぷる
の、肌の下に触れる
白けきった
かたい
頬骨のつめたさ
台風の前/
「爆発したオレンジを
わたあめで包んだみたい」
窓に手をつき見る
空は明るく不気味
秋の訪れ/
伸ばした手は
空を切った
まるで
フィルター越しの
鈍い日射し
なのに
どこまでも高く青い空
雲を
追いやって
風を
冷やして
夏を
すべて 届かなくして